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更新日付:2016年2月2日 / ページ番号:C046022

市長の部屋 さいたま市長 清水 勇人 絆をつなぐ

平成28年度施政方針

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平成28年2月2日開会の平成28年さいたま市議会2月定例会において、清水勇人市長が施政方針演説を行い、平成28年度の市政運営の基本的な考え方や主要な施策などについての説明を行いました。
その全文(議場に配付した内容 )は、以下のとおりです。

※ 議場に配付した冊子のPDF版は、最下段のダウンロードファイルをご覧ください。

平成28年度施政方針

議員各位には、平素から市政運営に御支援をいただき、心から感謝を申し上げます。

本日ここに、新年度に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げ、議員各位及び市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

1 はじめに ―2020年を見据えて強みを徹底的に生かす―

このさいたま市は、平成13年5月1日、浦和市・大宮市・与野市の合併により、3市がそれまで育んできた、「文教都市浦和」、「鉄道のまち・商業都市大宮」、「芸術文化のまち与野」等の個性ある都市イメージや、「サッカー」、「うなぎ」、「盆栽」、「漫画」等の魅力ある文化を受け継いで、その産声を上げました。新年度である平成28年度は、本市誕生15年という節目に当たります。

この間、平成15年の指定都市移行、「城下町」等の歴史や「人形」等の文化を有する岩槻市との平成17年の合併を経て、今や人口は127万人を超え、持続的に発展・成長し続ける大都市となってまいりました。市長として、今日の発展の礎を築かれた先達の英知と汗に、改めて感謝を申し上げます。

これまでの本市の取組を振り返りますと、本市には、「教育」「環境」、「健康・スポーツ」の分野において、積極的な取組の積み重ねがあり、その成果が他の都市に負けない「強み」となっています。

私は、市長就任以来、そうした強みを更に磨き伸ばせるよう、特に力を入れて取り組んでまいりました。例えば、「教育」については、保育所や放課後児童クラブの待機児童対策、全市立小中学校でのチャレンジスクールの実施、市立高等学校の「特色ある学校づくり」などの取組であります。また、「環境」については、「E-K1ZUNA Project」による次世代自動車の普及や充電設備の導入、「次世代自動車・スマートエネルギー特区」による水素ステーションの整備などの取組であります。そして、「健康・スポーツ」の面では、「スマートウエルネスさいたま」の推進、「さいたまクリテリウム」、「さいたま国際マラソン」、「さいたマーチ~見沼ツーデーウオーク~」の開催などの取組であります。

このような様々な取組は、着実に成果を上げてきたと認識しております。就任2期目の中間年の成果として、市政運営の基本となる「総合振興計画」の後期基本計画の実施状況、市民一人ひとりがしあわせを実感できる都市を目指す「しあわせ倍増プラン2013」及び高品質経営市役所への転換を目指す「行財政改革推進プラン2013」の中間評価では、目標の8割以上を達成することができました。

おかげさまで、「平成27年度 さいたま市民意識調査」の結果では、さいたま市を「住みやすい」と感じている方は、82.9%に達し、調査を開始した平成19年度の74.0%から上昇基調が続いております。また、「今住んでいる地域にこれからも住み続けたい」という定住の意向をお持ちの方も、84.3%にのぼり、過去最高を記録するに至っています。

一方、本市の人口は、「総合振興計画」の推計では、平成37年までは増加が見込まれるものの、その後は減少に転じ、団塊ジュニア世代の割合が多いため、高齢化が急速に進むという見通しとなっております。また、公共施設の老朽化も進んでまいります。

そして、本市の財政状況についても、これまでは比較的健全性を維持してきましたが、昨年9月に公表した本市の中期財政収支見通しでは、社会保障関連経費等の増大により、平成28年度から平成31年度までで約2,058億円もの財源不足となるなど、厳しい財政運営が見込まれております。このほか、コミュニティ力の低下、都市のブランド力の向上などの課題もあり、本市を取り巻く環境は今後大変厳しくなっていくと予測されます。

私は、本市がこのような課題を克服し、東日本の中枢都市として、将来も成長・発展していくためには、これからの5年、10年が最も重要な時期であるということを、これまでも、様々な場で申し上げてきたところであります。

そして、今後の市政運営に当たっては、特に、「総合振興計画」の計画期間が満了する年度であり、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」が開催される年である、4年後の2020年というタイミングを見据えて、施策を効果的かつ迅速に推進することが極めて重要であると考えております。

私は、それまでの期間を、本市が更なるステージに上がるための大きなチャンスと捉え、強みを徹底的に生かし、私たちの郷土さいたま市を、我が国を代表する都市、日本や世界が注目する都市として、市民の皆様が誇りを持てる都市にしたいと考えております。

2 2020年を見据えた取組の基本方針
   ―強みや優位性を徹底的に生かし、更なるステージへ―

 それでは、本市が更なるステージに上がるための取組の基本方針について申し上げたいと存じます。

 (強みを生かした取組)

まず、先ほど申し上げましたそれぞれの「強み」について申し上げます。

第1に、「教育」についてであります。

私は、今後も本市の「強み」である「教育」を徹底的に生かした施策を推進することが、他の都市から本市に「住みたい」、また本市に「住み続けたい」という意識の醸成を通じて、本市の人口の主な増加要因の一つである子育て世代の転入の更なる増加や出生率の向上につながっていくものと考えております。

今後も、若い世代が安心して子どもを生み育てることができるようにするため、妊娠・出産から子育てに至るまで、切れ目のない総合的な支援を行ってまいります。具体的には、子どもの病気やけがに対する十分な医療や、子どもに関する悩みを解消できる適切な相談を受けることができるなど、働き育てやすい環境づくりを進めてまいります。また、一日保育士・幼稚園教諭体験やパパサンデー、孫育て講座などを通じて親と子、家族の絆を深める子育て支援を行ってまいります。こうした取組を通じ、パパ・ママともに子育てが楽しくなり、それが更に次の子どもの出産にもつながっていくという、「子育て楽しいさいたま市」の実現を目指してまいります。

併せて、企業などにおける働き方を変え、子育てにしっかりと向き合う時間を作れるよう、ワーク・ライフ・バランスを重視した企業等の増加につながる取組を進めてまいります。

また、「日本一の教育都市」を目指し、2020年までに、「将来の夢や目標を持っている」子どもの割合を日本一にしてまいります。

子どもたちには、「知・徳・体・コミュニケーション」の4つの力をしっかりと身に付け、どんな環境にあっても努力を惜しまず、夢や目標に向かって自ら道を切り拓くことができるよう、心豊かにたくましく育って欲しいと願っています。2020年には、東京オリンピック・パラリンピックという夢の舞台が、本市でも開かれます。これを機会に、子どもたちには多くのことを学んで欲しいと思っております。

第2に、「環境」についてであります。

本市への移住・定住を更に促進するためには、本市が上質な暮らしを実現できる都市となることが必要です。そして、そのためには、見沼田圃を始めとした自然環境の保全や自然と共生した都市づくりを行うとともに、再生可能エネルギーの導入、自立・分散型エネルギーシステムの構築、次世代自動車などの普及促進等による低炭素化とエネルギーセキュリティの確保に加え、最先端のICT技術を活用した「暮らしやすさ」を実現する「環境未来都市」を構築することが必要です。

私は、本市の副都心の一つであり、東京オリンピック・パラリンピックのサッカー競技が開催される美園地区を「本市が目指す理想都市の縮図」にしていくと、申し上げてまいりました。

昨年8月に、「公民」が業界の枠を超えて連携する「美園タウンマネジメント協会」を立ち上げ、10月には、まちづくりの拠点施設となる「アーバンデザインセンターみその」を開設いたしました。また、12月に事業者と協定を締結した、「スマートホーム・コミュニティ事業」については、低炭素化・スマート化に、新たにレジリエンスの視点も加えた先進的なモデル街区を構築し、認証制度の創設も視野に入れて、取り組んでまいります。

さらに、最先端のICT技術や大学・民間企業の知見を融合した、これまでにない総合的な生活支援サービスの提供や地域コミュニティの醸成を進めてまいります。

平成28年度は、この「スマートシティさいたまモデル」の構築に当たり、最も重要な年となります。同モデルを美園地区から市内全域、更には近い将来、国内外へと積極的に展開することで、世界に通じるモデルとして強力に推進してまいります。

第3に、「健康・スポーツ」についてであります。

まず、健康については、健康寿命を伸ばし、市民一人ひとりが「健幸」に暮らしていくことが、超高齢社会を迎えた今後の本市の活性化に不可欠であります。

そこで、「スマートウエルネスさいたま」の取組等を通じ、楽しみながら体を動かすこと、食生活に気を配ることといった生活習慣への意識を高めるとともに、予防の観点から健康診断などを若いうちからしっかりと受けることが重要という意識を高めてまいります。

また、健康増進はもちろんのこと、車利用を減らすことで温室効果ガスの削減にもつながり、環境に優しいことから、自転車利用やウォーキングを積極的に推進してまいります。

また、介護ボランティア制度や長寿応援制度の拡充など、高齢者の社会参加、生きがいづくり、健康づくりなど、生涯現役として地域の中で活躍できるまちづくりを引き続き進めてまいります。そして、健康寿命については、本市は、現在、浜松市、静岡市に次いで、指定都市第3位でありますが、この体を動かす楽しさへの理解を更に深めていただき、指定都市の中で日本一を目指してまいります。

さらに、医療の充実にも取り組んでまいります。

さいたま市立病院は、第2次救急医療を担っておりますが、平成31年度の建て替えに合わせて救命救急センターを設置し、救急医療を強化してまいります。また、市内で唯一の高度救命救急センターとなる予定のさいたま赤十字病院やさいたま北部医療センターも建て替えにより機能が強化されます。これからの数年で老朽化した市内中核病院の機能更新が完了します。市民の皆様に1日でも早く最先端の医療を提供できるよう取り組んでまいります。

次に、スポーツについては、例えばサッカーでは、全国唯一のJ1リーグ2チームのホームタウンである等、スポーツが盛んな本市の強みを生かし、積極的にスポーツを行う市民が増えることで、本市が活力あるまちとなるよう、スポーツに親しみやすいまちづくりを一層進めてまいります。

私は、スポーツの力が、本市が直面する課題の解決の鍵となると考えております。スポーツによる健康増進は、元気に長生きする人が増えて医療費の適正化が図られる等、高齢化問題の解決にも寄与します。また、「スポーツのまち さいたま」としての都市ブランド力が向上すれば、少子化や人口減少への対策として有効であると考えます。さらに、心や身体を鍛え、ルールを守るといった子どもたちの教育や健全育成、スポーツ観光やビジネスによる地域経済の活性化、スポーツを通じたコミュニティの再生など、スポーツは様々な力を持っています。

そこで、さいたまスポーツコミッションを通じて魅力溢れるスポーツ大会やイベントを誘致することで、2020年にはスポーツ観戦を含む年間来訪者数3,000万人を目指すとともに、併せて、本市の地域文化を紹介する(仮称)岩槻人形博物館、漫画会館、大宮盆栽美術館などへの誘客を積極的に進めます。さらに、宿泊施設の充実も図り、さいたま市らしい「おもてなし」を醸成してまいります。

また、スポーツボランティア参加率20%を目指します。特に、東京オリンピック・パラリンピックのボランティアでは、「子ども大使」に取り組みたいと考えております。また、成人の週1回以上のスポーツ実施率で日本一を目指してまいります。

このようなスポーツを「する」、「みる」、「支える」といった取組を通じ、「日本一スポーツで笑顔あふれるまち」を目指してまいります。

(優位性を生かした取組)

以上が「強み」を徹底的に生かした取組でありますが、本市には、これらの強みに加えて、他の都市にない「優位性」があり、それらも徹底的に生かすことが、本市が更なるステージに上がるためには必要不可欠であると考えております。

一つ目の優位性は、鉄道や高速道路などの広域的な交通網が充実しており、交通の利便性が非常に高い都市であるという、「地の利」であります。

交通の利便性は、人や企業が都市を選ぶための重要なポイントであります。交通の結節機能を高め、人、モノ、情報の流れをつくり、強化することにより、「東日本の中枢都市(ハブシティ)」としての本市の地位が一段と上昇するものと確信しております。

このような本市のポテンシャルを最大限に生かすためにも、大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区と浦和駅周辺地区という2都心と4副都心のまちづくりについて、広域的な視点も踏まえて、交通網の拡充及び交通の要衝としての都市機能の高度化を進めてまいります。

特に、新幹線5路線を始め、JR各線や私鉄線が結節する大宮駅については、昨年開業した上野東京ラインや北陸新幹線による利便性の向上に加え、本年3月26日に開業予定の北海道新幹線により新函館北斗駅まで最速で3時間38分で結ばれるなど、東日本の玄関口としての利便性・重要性が更に高まっております。

私は、こうした大宮駅のプレゼンスを更に高め、本市の発展のエンジンとなるよう、新幹線の大宮駅始発の新設、乗換改善等を含めた駅機能の更なる高度化、駅前広場を中心とした交通基盤整備、駅前広場に隣接する街区のまちづくりを三位一体で推進する「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」の実現に向けた取組を更に強化してまいります。具体的には、都市局に東日本交流拠点整備課を設置して庁内の推進体制を強化し、鉄道事業者やまちづくり団体等との協議を精力的に進めるとともに、支援の強化について国等への働きかけを強めてまいります。

また、交通の結節点という優位性を本市経済の活性化につなげるため、昨年10月、新幹線でつながる主要な都市の首長を本市にお招きして開催した「東日本連携・創生フォーラムinさいたま」において、12の都市と共同宣言を採択し、地域資源の相互PRや東日本版のゴールデンルートづくりなど、各都市が協力して経済交流や観光振興を進めていくことを確認しました。

今後も、同フォーラムを継続開催するとともに、国の補正予算で措置された地方創生加速化交付金も活用し、東日本の広域的連携による地域活性化の推進や交流人口の拡大に向けた事業を実施してまいります。

さらに、道路網については、圏央道との直結により市内の国道17号バイパスの渋滞緩和につながる地域高規格道路「新大宮上尾道路」の整備促進や、広域交通基盤の代替性や多重性の確保など、防災力の強化につながる首都高速埼玉新都心線の東北自動車道への接続について、引き続き、国に対して要望してまいります。加えて、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、三環状道路とのアクセス向上が早期に実現できるよう、引き続き、国や関係機関に働きかけてまいります。

二つ目の優位性は、本市は、内陸都市であり、比較的安定した平坦な地域であること、また、国の広域防災拠点に位置付けられているさいたま新都心を有することであります。

本市といたしましても、さいたま新都心の広域防災拠点としての機能を充実・強化するとともに、災害時に幹線となる緊急輸送道路周辺の民間建築物耐震化などハード面での取組、災害時の情報基盤の整備などソフト面での取組を通じて、広域防災拠点都市としての地位を確立してまいります。

また、今年は、東日本大震災から5年の節目の年となりますが、引き続き東日本の復興のため被災地の支援に取り組んでまいります。

そして、本市が持つこのような優位性は、国が国土づくりの基本的な方向性を定める国土形成計画の体系の中で、現在改定作業が進められている「首都圏広域地方計画」において位置付けられようとしております。同計画の中間整理においては、「大宮」が、東日本から多種多様な人やモノが実際に集結して交流する玄関口であり、各圏域が連携・融合する対流拠点としての役割を果たすとともに、首都直下地震の発災時には首都圏のバックアップ拠点の最前線となることから、東日本のネットワークの結節点として連携・交流機能の集積・強化とバックアップ拠点機能の強化を図ることとされております。

今後は、こうした国の国土計画における位置付けを十二分に活用し、国や関係機関の協力を得ながら、この優位性を生かした事業の推進を更に強化してまいります。

(国際イベント等を通じた交流拡大・経済活性化)

先月政府が発表した我が国の昨年1年間の訪日外国人旅行者数は、1,973万3千人となり、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに2,000万人とするという政府目標の達成が前倒しで実現し、更なる上積みが予想される状況になってまいりました。

こうした状況を、本市としてもまたとない好機と捉え、「さいたまクリテリウム」、「さいたま国際マラソン」、「さいたまトリエンナーレ」、「第8回世界盆栽大会」、東京オリンピック・パラリンピックといった国際イベントを梃としながら、インバウンドへの取組、観光客のおもてなし体制の整備や、MICEの誘致推進等の取組により、広く国内外から観光客を呼び込み、交流拡大と本市経済の活性化へとつなげてまいります。

特に、「さいたまトリエンナーレ2016」については、本市誕生15年という節目を飾る象徴的な事業として、より多くの人たちが参加し、楽しんでいただける国際芸術祭にしてまいります。そして、文化芸術の持つ創造性や波及力を活用して、地域の活性化を図り、都市としての魅力を高め、文化芸術都市としてのさいたま市を創造してまいります。

(現場主義を忘れず、市民のために)

私は、これまで、さいたま市役所は「市民一人ひとりのしあわせコーディネーター」であると職員に伝えてまいりました。私たちが行っている仕事が、全て市民のしあわせを応援していくためにある、そうした意識をもって仕事に取り組むことを呼びかけてまいりました。そして、市民の声、現場の声を大切にする徹底した現場主義で市政に臨むことを基本姿勢としてきたところです。

このことから、私は、市民満足度の向上について、冒頭申し上げた状況に満足することなく、引き続きこの割合を2020年までに90%以上とする「CS90運動」を積極的に展開してまいります。そして、「CS」のもう一つの意味である「チャレンジさいたま」の姿勢で、私自身も全身全霊をかけて、市民満足度の向上のため、市民や事業者の皆様とも手を携えて、全庁一丸となって取り組んでまいります。

その上で、市民満足度を更に向上させるため、さまざまな要望等をデータベースとした「市民の声データベース」を始め、市の業務から得られる多様なデータや統計資料等を積極的に活用し、施策の評価や検証、企画立案の基礎資料として活用する仕組み「さいたまシティスタット」を活用し、タイムリーかつスピーディーに対応できるようにしてまいります。

そして、市民の声を市政に着実に反映させ、市民が利用しやすいサービスを提供し、市民満足度が高い、「高品質経営市役所」への転換に向けた行財政改革の歩みを更に進めてまいります。

3 平成28年度予算案の概要
   
持続的発展と活力ある未来に“繋げる”予算

平成28年度予算につきましては、今申し上げた基本的な考え方のもと、「総合振興計画」の後期基本計画を推進するとともに、平成28年度が最終年度となる「しあわせ倍増プラン2013」と「行財政改革推進プラン2013」の総仕上げに向け、全力でその取組を推進するものとしました。

また、「選ばれる都市」を実現するための「さいたま市成長戦略」や、新たに策定した「さいたま市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を着実に実施するとともに、本市の良さや強みである「教育」、「環境」、「健康・スポーツ」といった分野を生かしながら、将来を見据えて、「子育て支援」、「安心・安全」といった分野に重点的に配分し、そして、東日本の中枢都市構想を推進する施策に積極的に投資し、地域経済の活性化や都市のブランド力の向上に資するものとしました。

そして、これらの取組を着実に実施することで、市民満足度を高め、より多くの市民が住みやすいと感じる都市の実現に向けて、持続的発展と活力ある未来に“繋げる”予算として、編成をいたしました。

歳入の根幹をなす市税収入の増収が見込まれるものの、歳出予算では、社会保障関連経費等の増大により、厳しい予算編成作業でありました。そのような中で、徹底した行財政改革を進め、コスト削減と財源の確保を図りました。

この結果、一般会計予算は、4,689億円、対前年度比 2.8%の増となりました。

また、特別会計予算総額は、3,294億円、企業会計予算総額は、1,153億円、全会計予算総額は、9,136億円となったところであります。

4 平成28年度の主な事業等

それでは、以下、平成28年度の主な事業等について、申し上げます。

1 次代を担う人材をはぐくむ「若い世代をアシスト」

第1に、次代を担う人材をはぐくむ「若い世代をアシスト」する事業についてであります。

まず、不妊等に悩む夫婦に対し、相談や情報提供、特定不妊治療費の一部助成を拡充して行うなど、総合的な支援を実施します。

また、妊娠期から出産前後の様々なニーズに対応するため、「妊娠・出産包括支援センター」を各区の保健センターに段階的に設置します。

そして、待機児童ゼロの実現に向け、本年4月に保育所等の定員を当初の整備計画を上回る1,505人増員し、平成29年4月の開設を目指して、保育所等の新設及び増改築に対する補助を引き続き行うとともに、賃貸物件による保育所整備の補助を拡充することにより保育所等の定員を1,302人増員します。また、保育士の確保のため、保育士資格の取得や民間法人等の保育士用宿舎の借り上げ費用等を支援してまいります。放課後児童クラブについても、待機児童の解消を図るため、放課後児童クラブの安定的な運営を支援することにより、入所児童数を拡大します。

さらに、子ども・家庭をとりまく課題に総合的に取り組み、子ども・家庭、地域の子育て機能を総合的に支援するため、さいたま市らしさを生かした中核施設として、(仮称)さいたま市子ども総合センターの建設工事を実施します。

次に、世界に羽ばたくグローバル人材の育成を行うため、ALT(外国語指導助手)や非常勤講師を配置し、小学校1年生からの新たな英語教育「グローバル・スタディ科」を全ての市立小・中学校で実施します。

また、市立高等学校の「特色ある学校づくり」計画を実施し、中高一貫教育の拡充やグラウンド人工芝改修工事など、市民の期待に応える魅力ある学校づくりを推進します。

2 市民一人ひとりが元気に活躍する「スマートウエルネスさいたま」

第2に、市民一人ひとりが元気に活躍する「スマートウエルネスさいたま」の事業についてであります。

まず、健康で活力ある「スポーツのまち さいたま」を象徴するため、第2回さいたま国際マラソンの開催に際して、より多くの市民が参加できるように定員、参加種目等を拡充します。

次に、高齢者が活躍するまちづくりを目指し、アクティブチケットの交付事業及びシルバーポイント(長寿応援ポイント・介護ボランティア)事業の更なる促進を図り、高齢者の活動や交流の機会を増やします。

また、高齢者の健康増進や生きがいづくり推進のため、公認のグラウンド・ゴルフ場の整備を進めます。

そして、高齢者の生活を支える体制強化として、市内すべての日常生活圏域にコーディネーターを配置するなど、地域の実情に応じた高齢者に対する生活支援サービスを提供できる体制を構築します。

さらに、継続的に健康づくりに取り組む市民を増やすため、各種健康づくり事業に参加した市民が特典を受けられる健康マイレージ制度を本格的に実施します。

そして、だれもが気軽に楽しめるウォーキングを促進するため、各区のウォーキングルートのPRや、本市の豊かな自然と地域の特性を生かしたウォーキングイベントを開催します。

3 新しい価値を創造し、革新(イノベーション)する「産業創出による経済活性化」

第3に、新しい価値を創造し、革新(イノベーション)する「産業創出による経済活性化」の事業についてであります。

まず、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、さいたま市の“おもてなしのこころ”を表すため、官民一体の協働体制により取り組むための行動計画を策定するとともに、スポーツイベント等の開催により気運の醸成を図ります。

また、さいたま市をアートで溢れるまちにするため、文化芸術の持つ創造性や波及力を活用して、地域の活性化を図り、都市としての魅力を高め、文化芸術都市としてのさいたま市を創造するため、その象徴的・中核的な取組として、「さいたまトリエンナーレ2016」を開催します。

そして、「スポーツのまち さいたま」としての都市イメージの向上を図るため、世界最高峰の自転車レースである「ツール・ド・フランス」の名を冠した大会を開催します。

次に、東日本の各都市の連携による地方創生及び地域の活性化に向けて、東日本連携・創生フォーラムを継続開催するとともに、本市の交通結節点という優れた立地特性を生かした連携拠点となる「(仮称)東日本連携支援センター」の設置に向けた事業を実施します。

また、欧州産業クラスターとの技術交流や海外展示会を通じ、中小企業の国際展開を推進するとともに、地域金融機関のノウハウを活用し、企業の海外新市場への販路拡大を支援します。

そして、平成29年4月に開催される「第8回世界盆栽大会inさいたま」に向けて、プレイベント等による気運の醸成やPRを行い、本市の観光資源である大宮盆栽や盆栽村を世界に発信します。  

4 自然と共生しながら、都市の機能を向上する「上質なくらしを実現できる都市」

第4に、自然と共生しながら、都市の機能を向上する「上質なくらしを実現できる都市」の事業についてであります。

まず、本市の重要施策の一つである地下鉄7号線延伸の事業着手に向け、これまで順調に進捗している「浦和美園~岩槻地域成長・発展プラン」の更なる推進強化を図るとともに、建設コストの縮減方策の検討及び国等への積極的な働きかけを行い、延伸プロジェクトの評価を高めてまいります。目標とする事業着手を見据えますと、平成28年度は非常に重要であると認識しており、採算性が事業認可となる一般的な目安に届くよう、埼玉県とともに、延伸に関する基本的な考え方、いわゆる4原則2課題に基づき、しっかりと取り組んでまいります。

次に、環境への負荷が少ない持続可能な社会の実現に向け、「次世代自動車・スマートエネルギー特区」の重点プロジェクトの一つである「ハイパーエネルギーステーション」については、民間企業による整備を支援してまいります。また、災害時の避難所となる市有施設に、太陽光パネル、蓄電池や次世代自動車から建物への給電が可能な設備を計画的に整備してまいります。

さらには、本年度開設した「アーバンデザインセンターみその」を拠点に、美園地区全域を対象とする「公民+」による先進的な取組を通じて、「低炭素でエネルギーセキュリティの確保された安全・安心で快適・便利なまち」を実現し、「スマートシティさいたまモデル」を世界に通じるブランドになるよう挑戦してまいります。

次に、東日本の玄関口としての役割を担うため、大宮駅周辺広域拠点形成に向けた取組として、東日本中枢都市構想の中で位置付けている「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」の実現に向けた戦略的な施策の検討を実施します。また、大宮駅東口大門町2丁目中地区第一種市街地再開発事業について、市民サービス・商業・業務等の拠点形成に向けた取組を積極的に支援します。

また、「(仮称)さいたま自転車総合利用計画」に基づき、「人と環境にやさしい 安全で元気な自転車のまち さいたま」の実現のため、レクリエーションルートの環境整備などの施策を実施してまいります。

そして、都市公園の適正な配置・整備に向けて、身近な公園が不足する地域を重点に、歩いて行ける範囲に身近な公園整備を推進します。

さらに、見沼田圃をステージに「日本一の桜回廊」の実現を目指し、自然環境豊かな魅力あるまちづくりを推進します。

5 みんなで安全を支える「安心減災都市」

第5に、みんなで安全を支える「安心減災都市」の事業についてであります。

まず、市民が安全に安心して暮らせる地域社会を実現するため、WHOが推奨するセーフコミュニティの認証取得に向けた事業を推進します。

また、自治会活動の場を確保・充実させることを目的として、これまでの自治会集会所の新築、増改築修繕に加え、新たに借上げに要する経費の一部を補助します。

次に、浸水被害を軽減し、安全・安心に暮らせるまちにするための取組として、豪雨による浸水被害を軽減するために、小・中学校、公園など公共施設へ、降った雨を一時貯留、浸透させる施設を設置します。また、豪雨時の水防活動に資するため、河川の水位情報を正確かつ迅速に収集する監視システムを構築します。 

また、浸水被害の軽減を目的とした雨水幹線及び貯留施設等のハード対策を引き続き実施するとともに、市民の自助及び共助の促進を目的としたソフト対策を充実します。

5 結びに ―努力は成果につながる。常に独自性を― 

昨年、埼玉大学卒業の梶田隆章さんが、ノーベル物理学賞を、本市に所在する学校法人・開智学園名誉学園長の大村智さんがノーベル生理学・医学賞をそれぞれ受賞されたことは、世界において、その分野に夢や希望を与えたばかりか、私たちにとっても大変誇りであり、大変うれしいことであります。また、これからの子どもたちや多くの市民にとっても励みになり、そして、誇りに思っていただける大変大きな、また顕著な功績だったと思っております。

先頃出版された大村さんの伝記に御自身が寄せられた序文の中に、次のような一節があります。

「研究をするときは、人の真似は絶対にしないと自分を言い聞かせ、立ちはだかる壁を乗り越えるべく、あらゆる挑戦を重ねてきました。私は研究室の学生たちには、よく『至誠天に通ず』という中国の儒学者、孟子の言葉を語って聞かせました。何事にも誠実に全力をあげて取り組めば、やがて結果がついてくるという意味です。ごまかしていい加減にやっているとだめだが、一生懸命にやっていれば、必ずいい結果につながり支援者も現れる。努力をすれば報われる。この言葉こそ私の人生そのものでした。」

この大村さんの信念は、多くの課題を乗り越え、更なるステージに向けて進もうとする私たちにとって非常に勇気付けられるものであります。

私は、努力は必ず成果につながることを信じ、さいたま市の良さや強みである「教育」、「環境」、「健康・スポーツ」、そして、地理的な優位性である「交通網の充実」、「災害への強さ」を徹底的に生かして、「市民や企業から選ばれる都市」の実現を目指してまいります。

さいたま市の発展を目指していくスタンスは、議員の皆様と同じ方向にあると考えております。私は、市民一人ひとりがしあわせを実感できる“絆”であふれるさいたま市、誰もが住んでいることを誇りに思えるさいたま市を、127万人の市民、事業者や団体の皆様と共に手を携えて、実現してまいります。

以上、平成28年度の市政に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げました。市民の皆様並びに議員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

さて、今議会に提出いたしました議案は70件でございます。予算議案といたしまして、補正予算が15件、新年度予算が19件、また、条例議案が22件、一般議案が14件でございます。

何とぞ慎重なる御審議の上、各議案につきまして、御承認をいただきますようお願いを申し上げます。

平成28年2月2日

さいたま市長 清 水 勇 人

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