メインメニューへ移動 メインメニューをスキップして本文へ移動 フッターへ移動します


ページの本文です。

更新日付:2017年2月13日 / ページ番号:C052342

市長の部屋 さいたま市長 清水 勇人 絆をつなぐ

平成29年度施政方針

このページを印刷する

平成29年2月7日開会の平成29年さいたま市議会2月定例会において、清水勇人市長が施政方針演説を行い、平成29年度の市政運営の基本的な考え方や主要な施策などについての説明を行いました。
その全文(議場に配付した内容 )は、以下のとおりです。

※ 議場に配付した冊子のPDF版は、最下段のダウンロードファイルをご覧ください。

平成29年度施政方針

議員各位には、平素から市政運営に御支援をいただき、心から感謝を申し上げます。
本日ここに、新年度に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げ、議員各位及び市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

1 はじめに

「市民一人ひとりがしあわせを実感できる都市」を実現したい。
平成21年5月の市長就任以来、この思いを一時も忘れたことはありません。「責任と共感・共汗」、「徹底した現場主義」、「公平・公正・開かれた市政」という3つの基本姿勢の下、常に全力で市政の舵取りに当たってまいりました。
そして、市民の皆様とのお約束を着実に実現するため、「しあわせ倍増プラン」や「行財政改革推進プラン」を任期ごとに策定するとともに、2期目には、「市民や企業から選ばれる都市」を目指して、「さいたま市成長戦略」や「さいたま市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、着実に施策を推進してまいりました。「しあわせ倍増プラン2013」及び「行財政改革推進プラン2013」に掲げた事業については、おおむね8割が達成できる見込みとなっております。 

これまでの取組の主な成果を申し上げますと、子育て・教育に関しては、この4年間で、認可保育所等の定員の6,429名増、放課後児童クラブ受入可能児童数の2,009名増など、当初計画以上に子育て環境を整備しました。また、給食室の全市立小中学校への整備完了、小学校1年生からの新たな英語教育「グローバル・スタディ」の国に先駆けた全市立小中学校での開始、チャレンジスクールの全校実施、市立高等学校の特色ある学校づくりの推進、特別支援学級の設置校の大幅増加等を実現しました。
健康・スポーツに関しては、「スマートウエルネスさいたま」の推進、健康マイレージ制度の創設、各区ウォーキングコース・ジョギングコースの設定、シルバーポイント事業やアクティブチケット事業の拡充等を実施しました。
環境に関しては、「スマートシティさいたまモデル」の構築に向け、「美園タウンマネジメント協会」、「アーバンデザインセンターみその(UDCMi)」等の体制整備や、スマートホーム・コミュニティ先導モデル街区の第1期整備を行いました。また、低炭素で災害に強い多様なエネルギーの確保に向け、全市立学校に太陽光発電設備及び蓄電池を設置したほか、平成23年度に国から地域活性化総合特区の指定を受け、市有施設への自立分散型電源の整備等を推進しました。
経済振興に関しては、企業本社数が平成18年から10年間で指定都市3位の61社の純増となったほか、入込観光客数においては、この4年間リーマンショック以前のピークを超える水準を維持して合計9,476万人となりました。また、「さいたまスポーツコミッション」による各種大会の誘致等により、平成23年度から4年間で約409億円の経済波及効果を創出しました。平成25年度から4年間の広告換算値では約45億円となります。
そして、行財政改革に関しては、改善・改革を日常的に実践する組織風土の醸成を進めたことにより、職員による毎年1万件を超える改善がなされたほか、収納率の向上による市税等の歳入確保、コスト削減や委託化の推進等による歳出削減により、4年間で約600億円の財政的効果を生み出す見込みとなっております。 

このような様々な取組の結果、「平成28年度 さいたま市民意識調査」では、さいたま市を「住みやすい」と感じている方が83.2%に達し、調査を開始した平成19年度の74.0%から上昇基調が続いております。また、「今住んでいる地域にこれからも住み続けたい」という定住の意向をお持ちの方も84.6%にのぼり、過去最高を記録するに至っております。さらに、昨年の日本総合研究所の指定都市幸福度ランキングで、本市は幸福度1位の評価をいただきました。
これらの結果は、「しあわせ実感都市」、「選ばれる都市」を目指す本市として大変光栄なことですが、もとよりこれは私一人の力によるものではありません。本市誕生以来の先人を含め、議員各位、市民・企業・団体の皆様、職員が、それぞれの立場で、ともに地域の課題を考え、行動していただいたことの賜であると、心から感謝申し上げます。

2 「運命の10年」を更なる発展に「結」び付ける

昨年10月に公表された平成27年国勢調査の人口等基本集計結果によれば、前回調査と比較して、総人口は増加したものの、15歳未満人口及び生産年齢人口は減少する一方、高齢者人口の割合が20%を超えました。今後は、少子高齢化の急速な進展により、地域力の低下が懸念されるとともに、財政運営も厳しさを増すことが見込まれます。
こうした本市を取り巻く厳しい状況の流れそのものを止めることは難しいことですが、その影響を緩やかなものとすることは可能であると考えております。そして、これからの5年、10年は、そのために最も重要な時期であるということを、これまでも申し上げてきたところであります。

そうした中、昨年3月に国土交通大臣決定された「国土形成計画 首都圏広域地方計画」では、これからの10年は、首都圏全体にとってもその将来を決する「運命の10年」とされました。こうした動きと軌を一にし、この「運命の10年」を本市の更なる発展に「結」び付けていかなければなりません。
同計画において、本市は、東日本からの多種多様なヒト、モノが実際に集結して交流する最初の対流拠点であり、東日本のネットワークの結節点として連携・交流機能の集積・強化と災害時のバックアップ拠点機能の強化を図ることとされております。同計画を踏まえ、本市を、「東日本を連結する対流拠点都市」として、首都圏、東日本、日本全体、そして世界の中で様々な役割を果たし、貢献する都市とすることが、私たちの責務であると考えております。
そして、急速な少子高齢化が進む中で、市民の皆様に、こうしたさいたま市の姿に誇りを持っていただき、まちとしての活力を持続させるためには、市民の皆様一人ひとりの暮らしをきめ細かく支える「上質な生活都市」づくり、さらに、これらを下支えする強い行財政基盤の構築を並行して行っていくことが必要不可欠であります。
以下、こうした基本認識の下での今後の都市づくりの方向性について、具体的に述べてまいります。

1 「東日本を連結する対流拠点都市」へ  

(1) 東日本の中枢都市の形成

まず、「東日本を連結する対流拠点都市」の形成のためには、第1に、これまで進めてきた「東日本の中枢都市」の形成の取組を更に進めていくことが必要であることは言うまでもありません。
本市の地の利である交通の利便性は、人や企業が都市を選ぶための重要なポイントであります。この強みを最大限に生かすためにも、大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区、浦和駅周辺地区の2都心と4副都心のまちづくりを始め、交通の要衝としての都市機能の高度化や、広域的な視点も踏まえた交通網の更なる拡充を、本市の未来への投資として積極的に進めてまいります。
特に、新幹線6路線を始め、JR各線や私鉄線が結節する大宮駅については、そのプレゼンスを更に高め、本市の発展のエンジンとなるよう、乗換改善等を含めた駅機能の更なる高度化、駅前広場を中心とした交通基盤整備、駅前広場に隣接する街区のまちづくりを三位一体で推進する「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」を推進するとともに、新幹線の始発の新設を引き続き要望してまいります。
また、地下鉄7号線の延伸については、引き続き、「浦和美園~岩槻地域成長・発展プラン」の推進を図り、延伸プロジェクトの評価を高め、埼玉県と連携して一日も早い事業着手を目指してまいります。東西交通大宮ルートについても、実現に向けて引き続き努力してまいります。
さらに、道路網については、国土強靭化の視点も踏まえつつ、上尾南インターチェンジまでの事業化が決定された新大宮上尾道路の整備促進や、首都高速埼玉新都心線の東北自動車道への接続について、引き続き、国に対して要望してまいります。加えて、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、三環状道路とのアクセス向上が早期に実現できるよう、引き続き、国や関係機関に働きかけてまいります。
そして、長距離バスターミナルの整備など、成田空港・羽田空港へのアクセス強化等により、国際的な結節機能を充実させ、国際ビジネス都市としての発展を視野に入れてまいります。
また、東日本の各地域との連携・交流を進めることは、東日本を連結する対流拠点機能の強化のみならず、まち・ひと・しごと創生の推進の観点からも重要であり、本市のみならず東日本全体の発展にも寄与するものであります。
昨年1年間の訪日外国人旅行者数は2,400万人を突破し、東京オリンピック・パラリンピックを控えて更なる増加が見込まれる現状は、本市が「通過されるまち」から脱却する絶好の機会です。引き続き、スポーツや文化等の地域資源を活かした取組を進めるほか、広域周遊観光ルートの構築やMICEを含む対流拠点機能の整備を始めとして、東日本の各地域との広域的連携を図りつつ、地域活性化や交流人口の拡大を推進してまいります。 

(2) 日本一の安心減災都市づくり

第2に、「日本一の安心減災都市づくり」についても、平時の拠点機能の強化と表裏一体のものとして、引き続き取組を進めていく必要があります。
昨年は、「国土形成計画 首都圏広域地方計画」において、国の出先機関が集積する「さいたま新都心付近」が、TEC-FORCE(国土交通省緊急災害対策派遣隊)の進出拠点として位置付けられ、7月には、国土交通省関東地方整備局及び日本大学法学部と、「TEC-FORCEにおける日本大学法学部大宮キャンパスの使用に関する協定」を締結いたしました。
これらの動きを踏まえ、引き続き、さいたま新都心の広域防災拠点としての機能を充実・強化するとともに、災害時に幹線となる緊急輸送道路周辺の民間建築物耐震化などハード面での取組と、災害時の情報基盤の整備などソフト面での取組の両面から強靱な都市づくりを進め、広域防災拠点都市としての地位を確立してまいります。
また、発生から6年を経過しようとしている東日本大震災を始め、大規模災害の被災地が一日も早く復興するよう、各種の支援に取り組んでまいります。 

(3) 本市の特性を活かした産業振興

第3に、ビジネス面での拠点機能の強化として、本市の特性を活かした産業振興を進めていくことが重要であります。
本市には他に類を見ない研究開発型ものづくり企業が多く集積しており、独自の研究開発力・技術力を武器に新製品を生み出し、その技術は、医療機器、光学機器、自動車・航空機部品、情報通信機器など各分野で世界トップクラスの優位性を誇ります。この技術力は地域経済の発展にとって欠かせないものであります。
こうした本市の特性を踏まえ、「医療・ヘルスケア」、「環境・エネルギー」に代表される成長分野をテーマに、東日本地域での広域的な企業間のビジネスマッチングや企業・大学間の産学連携を図り、本市を結節点としたイノベーション創出を目指してまいります。併せて、成長産業への新規参入や技術開発に対する重点的な支援、イノベーション創出を担う人材の育成を中心に市内中小企業の経営基盤の充実を図り、ドイツを中心とした欧州企業との技術交流による高付加価値市場参入やASEAN、アジアへの販路拡大を促進することで、東日本の中枢都市である「さいたま」から世界へ飛躍するリーディング企業を生み出してまいります。 

2 「上質な生活都市」の実現へ

(1) 子育て・教育環境の更なる充実

次に、「上質な生活都市」の実現に向けて、第1に、子育て・教育環境の更なる充実は、他の都市から本市に「住みたい」、また本市に「住み続けたい」という意識を醸成し、それが子育て世代の転入の更なる増加や出生率の向上につながるものとして、重要な取組であります。
若い世代が安心して子どもを産み育てることができるようにするため、待機児童解消はもちろんのこと、妊娠・出産から子育てに至るまで、切れ目のない総合的な支援を行ってまいります。また、一日保育士・幼稚園教諭体験やパパサンデー、孫育て講座などを通じて親と子、家族の絆を深める子育て支援を行い、パパ・ママともに子育てが楽しくなり、それが更に次の子どもの出産にもつながっていくという、「子育て楽しいさいたま市」の実現を目指してまいります。
また、子どもたちには、「知・徳・体・コミュニケーション」の4つの力をしっかりと身に付け、どんな環境にあっても努力を惜しまず、夢や目標に向かって自ら道を切り拓くことができるよう、心豊かにたくましく育って欲しい、そして、世界に羽ばたき、国際的にも活躍できる人材になって欲しいと考えております。
現在、「全国学力・学習状況調査」において、本市は全国や大都市の平均正答率を大きく上回っております。また、「将来の夢や目標をもっている」と回答した割合は、全国平均を大きく上回っているところですが、今後も、「グローバル・スタディ」を充実するとともに、「特色ある学校づくり」、「日本一笑顔あふれる給食」、「日本一の読書のまち」等の取組を継続してまいります。また、チャレンジスクールやスクールサポートネットワークなどを通じ「地域の教育力」を高めるほか、子どもたちそれぞれの状況を踏まえたきめ細やかな支援を行ってまいります。 

(2) みんなに「居場所がある」まちづくり

第2に、年齢や性別、障害の有無にかかわらず、「みんなに「居場所がある」まちづくり」を進めることが、暮らしの安心感を醸成し、生活の質を高めるものとして、重要であります。 

まず、健康寿命を伸ばし、市民一人ひとりが生涯にわたり「健幸」に、生きがいを持って、安心して暮らすことができる「健幸長寿社会」を築くことが、超高齢社会を迎えた今後の本市の活性化に不可欠であります。そこで、自転車利用やウォーキングの推進など、身体面での健康だけでなく生きがいを感じ、心豊かな生活を送ることができる都市を目指す「スマートウエルネスさいたま」の取組を継続するとともに、市民の皆様がスポーツに関わる機会の更なる増加を図ってまいります。また、一人ひとりの高齢者が「生涯現役」として地域の中で引き続き活躍できる環境づくりを進め、活気あふれる社会を築いてまいります。
また、超高齢社会では、認知症の方や重度の要介護者が増加することが懸念されることから、「地域による助け合い・支え合い」の重要性を地域社会全体の問題として共有し、医療・介護・予防・生活支援・住まいが一体的に提供できる「地域包括ケアシステム」の構築などの取組が急務となっております。このため、事業者だけではなく、多様な主体が参加する仕組みづくりを進めてまいります。
そして、性別にかかわりなく一人ひとりがお互いを認め合い、お互いを尊重しながら、あらゆる分野でその力を十分に発揮できる社会づくりを進めるため、女性の就業支援を進めるほか、市民及び事業者への啓発などを通じ、仕事と家庭の両立を普及させてまいります。
さらに、障害のあるなしに関係なく、自らの主体性をもって安心して生活を送っていただけるようにするため、障害のある方一人ひとりの生活状態や障害に合わせて、ニーズを的確に把握し、障害のある方が地域で自立した生活を送ることができるような環境整備を図ってまいります。特に、障害者の社会参加意欲は大きく、就労意欲が高まる中、就労に関する相談が増加傾向にあること、発達障害に関する相談や困難事例が増加傾向にあることを踏まえ、ノーマライゼーションの理念に基づく就労支援及び発達障害者支援に関わる新たな環境整備を進めてまいります。

また、誰もが「住みたい」都市、そして安心して「住み続けられる」都市となるためには、医療の充実も不可欠であります。
昨年11月には自治医科大学附属さいたま医療センターに新たな外来棟がオープンしたほか、本年1月には、さいたま赤十字病院と県立小児医療センターがさいたま新都心地区に開院し、両病院の連携によりこれまで以上に高度な医療が効果的に提供されるようになりました。また、今後、さいたま北部医療センターも建替えにより機能が強化されることとなっております。
さいたま市立病院におきましても、市民が可能な限り地域で必要な医療を受けることができる「地域完結型医療の要」としての役割を果たせるよう、救命救急センターや緩和ケア病棟など新たな機能を含めた施設整備を実施し、安心で安全な医療の提供と医療機能の充実及び強化を図ります。市民の皆様に1日でも早く最先端の医療を提供できるよう取り組んでまいります。 

(3) 環境未来都市の実現

第3に、上質な生活都市の実現に当たっては、首都圏に位置しながら見沼田圃を始めとした緑豊かな自然環境を有するという本市の特性を活かし、自然と共生した「環境未来都市の実現」を引き続き進めていく必要があります。
まず、首都圏に残された貴重な大規模緑地空間である見沼田圃を保全・活用・創造するため、「さいたま市見沼田圃基本計画」で定めた見沼田圃づくりの基本方針に沿って、農、歴史・文化、観光・交流等に係る諸施策を積極的に推進してまいります。
次に、国から地域活性化総合特区として指定を受けた「次世代自動車・スマートエネルギー特区」については、事業期間を3年間延長して内容を発展させ、市内事業者の力を最大限活用して、低炭素で災害に強いまちづくりの発展と市内経済の活性化を両立してまいります。
具体的には、初期投資不要でエコリフォームを可能とする「さいたま版グリーンニューディール事業」の導入、平時から多様なエネルギーを供給し、災害時には避難拠点・物流拠点にもなる「レジリエンス・ステーション」の整備、災害時の移動式電源となり、東京オリンピック・パラリンピックのレガシーともなる「拠点間輸送EVバスシステム」の導入などにより、暮らしやすく、強靭で活力のある都市として継続的に成長する環境未来都市を実現してまいります。 

3 「高品質経営市役所」へ

そして、強い行財政基盤の構築に向けて、「高品質経営市役所」への転換に向けた行財政改革の歩みを更に進めてまいります。
まず、市民満足度が高い市役所の構築を目指して、市民満足度を2020年までに90%以上とする「CS90運動」を、引き続き強力に展開してまいります。
このため、様々な施策の推進に当たり、「市民の声データベースシステム」の活用等により市民の声を着実に反映させるとともに、業務により蓄積されたデータを施策の評価、検討及び企画立案等をするための基礎的資料として積極的に活用する「さいたまシティスタット」の取組を推進してまいります。
そして、「CS」のもう一つの意味である「チャレンジさいたま」の姿勢で、私自身も全身全霊をかけて、市民満足度の向上のため、市民や事業者の皆様とも手を携えて、全庁一丸となって取り組んでまいります。
また、私は、これまで、さいたま市役所は「市民一人ひとりのしあわせコーディネーター」であり、さいたま市の職員は皆が市民一人ひとりのしあわせを応援しているという意識をもって仕事に取り組むことを呼びかけてまいりました。
職員はさいたま市役所にとって最大の財産です。昨年、本市は全管理職を対象に県内自治体初の「さいたま市役所イクボス宣言」を実施したところですが、引き続き、働き方の見直しを進めることにより、職員のモチベーションの一層の向上やワーク・ライフ・バランスの実現を図り、働きがいのある市役所づくりを更に進めてまいります。

3 平成29年度予算案の概要

平成29年度当初予算につきましては、今申し上げた基本的な考え方の下、第1に、各種計画を着実に実施し、「CS90運動」を推進することで、より多くの市民が住みやすいと感じる都市の実現に向けた予算、第2に、東日本の中枢都市として成長・発展するための取組を強化するための予算、第3に、子育てがしやすい環境整備やきめ細かで質の高い教育の提供、いつまでも健康で充実した生活を送れるための超高齢社会への対応、安心安全に暮らせるまちづくりなどの施策に重点配分した予算、第4に、本市の将来を見据え、「選ばれる都市」、「しあわせ実感都市」の実現に資する事業へ積極的に投資する予算として、編成いたしました。
歳入の根幹をなす市税収入は増収が見込まれるものの、社会保障関連経費等の増大等により厳しい予算編成作業となりましたが、徹底した行財政改革によりコスト削減と財源の確保を図ったところであります。
この結果、一般会計予算総額は対前年度比13.0%増の5,301億円、特別会計予算総額は3,373億円、企業会計予算総額は1,223億円となり、全会計予算総額は9,897億円となりました。県費負担教職員の給与負担等の権限移譲等に伴う経費増を除いても、本市誕生以来最大の予算規模となりました。
 

4 平成29年度の主な事業等

 それでは、以下、平成29年度の主な事業等について、申し上げます。 

1 次代を担う人材をはぐくむ「若い世代をアシスト」

第1に、次代を担う人材をはぐくむ「若い世代をアシスト」に関する事業についてであります。
まず、安心して子どもを産み育てられるまちを目指し、妊娠期から出産前後の時期の母親に対する支援を強化するため、妊娠・出産包括支援センターを全区に拡大します。また、このセンターや医療機関等と連携して、産後に心身の不調や育児不安のある母親に対して助産師等による訪問型の支援を新たに実施します。
そして、安心して子育てができる環境づくりを目指し、認可保育所等の新設、増改築などの施設整備に補助等を行うことにより、定員を1,332人増員します。また、首都圏で保育士として就職を希望する地方の学生を対象に、市内保育施設へ就職するイメージを実感できる保育体感ツアーを新たに実施するとともに、保育の受け皿拡大に伴い必要となる保育人材を確保するため、小規模保育施設や市が認定した認可外保育施設の常勤職員に対する処遇改善費を助成します。そして、私立幼稚園等における預かり保育事業を促進することで、多様な保育ニーズに対応した子育て支援環境を整備します。
さらに、子ども・家庭をとりまく課題に総合的に取り組み、子ども・家庭、地域の子育て機能を総合的に支援する、本市らしさを生かした中核施設として、(仮称)さいたま市子ども総合センターを整備します。また、子どもの貧困に関する実態調査及び子どもの貧困対策計画の策定を行います。そして、子どもの地域における居場所づくりの一環として、多世代交流会食を実施します。
次に、世界に羽ばたく人材の育成のため、ALT(外国語指導助手)や非常勤講師を配置し、小・中学校9年間を一貫したカリキュラムで英語教育を行う「グローバル・スタディ」の授業時数を、全市立小学校で増加して実施します。また、学習意欲を高めるため、イングリッシュ・キャンプを実施するなど、体験活動の充実を図ります。
そして、児童数及び生徒数の増加が見込まれる浦和美園地区に新設小学校及び新設中学校を整備します。
さらに、一人ひとりの教育的ニーズに的確に対応するため、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童に対し、的確な指導・支援が行えるよう、発達障害・情緒障害通級指導教室を20教室増設して28教室に拡充します。 

2 市民一人ひとりが元気に活躍する「スマートウエルネスさいたま」

第2に、市民一人ひとりが元気に活躍する「スマートウエルネスさいたま」に関する事業についてであります。
まず、高齢者が自ら健康増進や介護予防に取り組み、誰もが住み慣れた地域でいきいきと輝きながら、いつまでも元気で自分らしく暮らせるために、介護保険の新しい総合事業をスタートさせます。また、地域の実情に応じた高齢者に対する生活支援サービスを提供できる体制を構築するため、市内すべての日常生活圏域にコーディネーターを配置し、協議体を設置します。
次に、西区宝来に公認のグラウンド・ゴルフ場を整備し、また東楽園の再整備に向けた基本構想の策定など、高齢者が自ら介護予防に取り組める機会を提供するとともに、元気な高齢者の活躍を促進します。
また、継続的に健康づくりに取り組む市民を増やすため、歩数や各種健(検)診の受診に応じた特典を市民が受けられる健康マイレージに介護予防の観点を加味し、65歳未満の年齢上限を撤廃して対象者を拡大します。また、健康マイレージで貯めたポイントを長寿応援制度のポイントと交換可能にします。
そして、シルバーポイント事業により、一定程度社会参加等をした高齢者及び75歳以上の高齢者を対象として、市内の公共施設等を無料又は割引料金で利用できるアクティブチケットを交付します。
さらに、認知症高齢者等とその家族が、地域社会の中でその人らしく安心して暮らし続けることができる環境づくりを進めるため、認知症の方とその家族に対して体系的な支援を実施します。
そして、フルマラソンを中心とした市民マラソンとオリンピック等の女子マラソン代表選考レースを併せた「さいたま国際マラソン」を引き続き開催します。 

3 新しい価値を創造し、革新(イノベーション)する「産業創出による経済活性化」

第3に、新しい価値を創造し、革新(イノベーション)する「産業創出による経済活性化」に関する事業についてであります。
まず、市内中小企業の経営基盤強化、創業者の育成、女性の起業、女性の就業等を総合的に支援します。また、医療機器関連分野への新規参入・事業拡大に資する支援策を展開するとともに、社会課題解決に貢献する多様なイノベーション創出のため、市内企業の新技術創出を支援します。
次に、交通の結節点という強みを生かして、東日本地域の交流人口の拡大やビジネス活動の促進を図るため、「東日本連携・創生フォーラムinさいたま」の開催を継続し、(仮称)東日本連携支援センターの開設に向けた準備を進めるとともに、東日本の特産品等を活用したにぎわいの創出に対する支援や東日本連携各都市との広域周遊ルートの検討などを行います。そして、大宮駅を拠点として、新幹線沿線都市への外国人旅行客の誘客を促進し、受入体制を構築するとともに、本市でのMICE開催を推進していくため、推進体制強化や誘致活動の実施方策を検討します。
また、長い歴史と伝統によって育まれ、地域に根差し発展してきた盆栽文化・人形文化を世界に発信するため、「第8回世界盆栽大会inさいたま」を開催するとともに、(仮称)岩槻人形博物館の整備を進めます。また、「さいたまシティカップ」や「さいたまクリテリウム」などのスポーツの国際大会を開催することにより、「スポーツのまち さいたま」を国内外に発信します。
そして、認定農業者等、地域の担い手である農業者により、遊休農地等、利用集積を推進するとともに、企業の参入や連携、IT農業等の導入により収益性の高い都市農業を振興します。 

4 自然と共生しながら、都市の機能を向上する「上質なくらしを実現できる都市」

第4に、自然と共生しながら、都市の機能を向上する「上質なくらしを実現できる都市」に関する事業についてであります。
まず、運輸部門の低炭素化と災害時の輸送手段確保に資する次世代自動車の導入支援のほか、ハイパーエネルギーステーションの整備を促進します。また、低炭素かつ強くしなやかな「スマートシティさいたまモデル」構築に向け、本市が目指す理想都市の縮図として、「アーバンデザインセンターみその」を拠点に「公民+学」による先進的な総合生活支援サービスの提供やスマートホーム・コミュニティモデル街区第2期について、まずは、美園地区で取組んでまいります。
次に、大宮駅周辺のまちづくりについては、本市で2箇所目となる「アーバンデザインセンター大宮」が設置される予定であり、産・官・学・民が連携するまちづくりの推進体制の整備を進めます。また、大宮駅東口で初の再開発事業である大門町2丁目中地区の再開発ビルの着工に向けて、市としても再開発組合に積極的な支援を行います。さらに、大宮駅グランドセントラルステーション化構想の実現に向けて、駅機能の高度化等について具体的な検討を進めます。
また、浦和駅周辺のまちづくりについては、西口南高砂地区再開発組合が実施する事業に要する費用の一部を補助するほか、浦和西口停車場線(県庁通り)の整備工事を実施するとともに、東西連絡通路と西口中ノ島地下道とを接続する通路を整備します。
次に、自転車まちづくりについては、「さいたま自転車まちづくりプラン~さいたまはーと~」に基づき、「人と環境にやさしい安全で元気な自転車のまち さいたま」の実現のため、自転車が安全で快適に走行できる通行環境の整備その他の施策を実施します。
また、都市公園の適正な配置・整備に向けて、公園が不足する地域を重点に、歩いて行ける身近な公園を整備します。 

5 みんなで安全を支える「安心減災都市」

第5に、みんなで安全を支える「安心減災都市」に関する事業についてであります。
まず、安心安全なまちづくりを進めるため、セーフコミュニティの認証取得に向けた事業を行います。
また、近年急増する振り込め詐欺被害の防止や刑法犯認知件数に占める割合が高い自転車盗防止のため、重点的に広報・啓発を実施します。
次に、民間建築物の耐震補強等の助成を実施し、耐震化を促進するとともに、橋りょうの耐震化、幹線道路の歩道整備、生活道路の安全対策であるゾーン30の整備、踏切内の歩行空間整備を行う踏切改良などを実施します。また、浸水被害の軽減を目的とした雨水管及び貯留施設等の整備を推進します。
そして、消防体制の構築のため、(仮称)見沼区片柳地区消防署の建設工事、岩槻消防署の建設実施設計、中央消防署用地既存建物解体設計を実施するとともに、緊急性に即した救急対応を行う体制を整備するため、救急需要対策ポスターの作成、緊急度を市民が判断できる指標の活用促進並びに、救急車の利用に関するガイドブックの作成及び全戸配布を行います。
また、市民の憩い、レクリエーションの場となる身近な公園を整備するとともに、さいたま新都心の広域防災・医療拠点を補完するオープンスペースを確保します。

5 結びに ―大切なのはしっかりとした信念―  

先月、稀勢の里関が日本出身力士として19年振りに横綱に昇進し、明治神宮において雲竜型で奉納土俵入りが行われました。雲竜型は、「攻め」と「守り」を表現したものと言われます。
同じく雲竜型で横綱土俵入りをしていた、昨年亡くなられた第58代横綱千代の富士関の言葉として、「いま強くなる稽古と、3年先に強くなるための稽古の両方をしなくてはならない。」、「今日いい稽古をしたからって明日強くなるわけじゃない。でも、その稽古は2年先、3年先に必ず報われる。」、「自分で信じてやるしかない。大切なのは信念だよ。」というものがあります。
この言葉は、当面の課題を額に汗を流し懸命に解決してゆくことはもちろんのこと、それに止まらず、しっかりとした信念を持ち中長期的な課題にも同時に対応する必要性を指摘しており、「運命の10年」に向けて多くの課題を乗り越え、未来に向けて進もうとする私たちを勇気付けるものであります。
私は、「攻め」と「守り」をともに進め、信念をもって課題に正面からぶつかっていけば、そこから未来は開けるということを信じ、市民一人ひとりがしあわせを実感できる“絆”であふれるさいたま市、誰もが住んでいることを誇りに思えるさいたま市を、128万人の市民、事業者や団体の皆様と手を携えて、実現してまいります。

以上、これまでの8年間、市政運営の任を与えていただいた私の、現在の想いを述べさせていただくとともに、平成29年度の市政に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げました。市民の皆様及び議員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

さて、今議会に提出いたしました議案は82件でございます。
予算議案といたしまして、補正予算が15件、新年度予算が19件、また、条例議案が35件、一般議案が13件でございます。
何とぞ慎重なる御審議の上、各議案につきまして、御承認をいただきますようお願いを申し上げます。 

平成29年2月7日

さいたま市長 清 水 勇 人

関連ダウンロードファイル

GET ADOBE READER

PDFファイルの閲覧にはAdobe Reader(無償)が必要です。同ソフトがインストールされていない場合には、Adobe社のサイトからAdobe Readerをダウンロードしてください。

この記事についてのお問い合わせ

都市戦略本部/都市経営戦略部 
電話番号:048-829-1035 ファックス:048-829-1997

お問い合わせフォーム