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更新日付:2014年2月18日 / ページ番号:C034293

市長の部屋 さいたま市長 清水 勇人 絆をつなぐ

平成26年度施政方針

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平成26年2月7日開会の平成26年さいたま市議会2月定例会において、清水勇人市長が施政方針演説を行い、平成26年度の市政運営の基本的な考え方や主要な施策などについての説明を行いました。

補足 平成26年度施政方針の全文は、最下段のダウンロードファイルをご覧ください。

議員各位には、平素より市政運営に御支援をいただき、心から感謝を申し上げます。

本日ここに、新年度に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

はじめに ―計画から実行に向けて大きな一歩を―

私は、平成21年5月の市長就任以来、さいたま市を「子どもが輝く“絆”で結ばれたまち」に、そして市民の皆さんが住んでいることを誇りに思えるまちにするため、常に全力で、市政の運営に当たってまいりました。

おかげさまで、「しあわせ倍増プラン2009」の138項目、「行財政改革推進プラン2010」の192項目の事業につきましては、おおむね9割を達成することができました。本年度の市民意識調査の結果では、さいたま市を「住みやすい」と感じている方は、調査を開始した平成19年度の74.0%から年々増加し、81.8%に達しております。この調査結果を本市の人口に換算しますと、中央区に匹敵する約97,500人の増加となります。また、「今住んでいる地域にこれからも住み続けたい」という定住の意向をおもちの方も、82.1%にのぼっております。

そして、昨年5月の選挙では多くの市民の皆様から御支援を賜り、再度さいたま市長として市政の重責を担っていくこととなりました。一層の決意と情熱をもって市政運営に全力でまい進していかねばならないと改めて重く受け止めているところであります。

私は、激しさを増す都市間競争に勝ち残っていくために、これからの5年、10年が、さいたま市の将来にとって極めて重要な時期であると認識しているところであります。

昨年の6月定例会のあいさつにて、市民一人ひとりがしあわせを実感でき、市民や企業から選ばれる都市を目指すために、「東日本の中枢都市構想の推進」、「日本一の安心減災都市づくり」、「日本一の教育文化都市を実現」、「環境未来都市の実現」、「健幸都市づくり」の5つの柱を基本としたまちづくりに取り組む決意を述べました。その後、これらの都市像を具現化するための検討を重ね、さいたま市が特に力を入れて取り組むべき施策10分野、60項目、111の個別事業で構成される「しあわせ倍増プラン2013」と「選ばれる都市」を実現するために、さいたま市の強みを活かした「成長戦略」を推進していくこととしました。また、市政を総合的かつ計画的に運営するための「総合振興計画後期基本計画」について議決をいただきました。さらに“見える改革”、“生む改革”、“人の改革”の3つを柱とした「行財政改革推進プラン2013」も策定し、これらのプランを下支えしながら、「高品質経営」市役所への一層の転換を図ってまいります。平成26年度は、まさにこれらの計画を実行に移す年であります。

日本の景気は緩やかな回復を続けており、明るい兆しが見えてきました。本市においても国の成長戦略や経済対策と歩調を合わせ、さいたま市の成長につなげるための検討を進め、地域経済の活性化に向けて積極的に取り組みたいと考えております。

しかし、日本の総人口の減少や特に都市部で急速に進む高齢化、あるいは高度経済成長期に大量に整備した施設・インフラの老朽化など、我が国を取り巻く環境は確実に厳しいものとなってまいります。また、さいたま市の人口は平成37年までは増加が見込まれるものの、その後は団塊ジュニア世代が他の大都市よりも多いことから、高齢化が更に急速に進み、人口が減少していくと予想されます。このような中において、これからの5年、10年がさいたま市の将来にとって最も重要な時期であると強く感じております。

私は、「しあわせ倍増プラン2013」と「成長戦略」をスピーディーに実行していくことにより、さいたま市を取り巻く厳しい環境を緩和する方向に導き、「市民一人ひとりがしあわせを実感できる都市」、「市民や企業から選ばれる都市」を実現してまいります。また、「しあわせ実感都市」、「選ばれる都市」を実現することで、都市間競争の勝利者になれるものと私は確信しております。

さて、本市が政令指定都市に移行して10年が経過をしました。その間、環境、健康・スポーツ、教育といったさいたま市の良さや強みに磨きをかける取組を通して蒔いてきた種は着実に成長し、花を咲かせてきております。

まず、環境についてであります。本市では、「暮らしやすく、活力のある都市として、継続的に成長する環境未来都市」の実現を目指し、電気自動車普及施策「E-KIZUNA Project」を推進するとともに、国から地域活性化総合特区である「次世代自動車・スマートエネルギー特区」の指定を受け、都市の低炭素化、エネルギーセキュリティの確保に向けた取組を進めております。こうした取組を国内外の多くの皆様に知っていただくため、昨年9月に韓国の水原(スウォン)市で、世界84か国1000以上の自治体が参加している持続可能性を目指す自治体協議会「イクレイ」主催のエコモビリティ会議に出席し、本市の取組のプレゼンテーションを行ってまいりました。さらに、先月30日には、本市が主導する「E-KIZUNAサミット」の第4回大会がつくば国際会議場で開催され、私から本市の先行事例を発表いたしました。また、昨年6月には、本市とホンダで構成している「さいたま市小型電動モビリティ利活用推進協議会」が提案した超小型モビリティ導入促進事業の事業計画が国土交通省に認定されました。この社会実証では、ホンダの超小型モビリティ「MC-β」を用いてまいります。電気自動車で、軽自動車よりも小さく手軽な乗り物という特性を活かして、省エネ・低炭素化への貢献はもとより、公共交通との連携による移動の充実や子育て世代や高齢者の方々への移動支援、さらには、市内観光の活性化に向けた取組を進め、都市のブランド力向上を図ってまいります。これからもさいたま市が日本一環境にやさしいまちづくりを先導していくことで、我が国の優れた環境技術の発展に寄与してまいります。

次に、スポーツ・健康についてであります。本市は、平成23年10月に、日本では初めてとなる本格的なスポーツコミッション「さいたまスポーツコミッション」を設立し、プロスポーツ大会からアマチュアスポーツ大会まで数々の誘致実績を積み重ね、国内でスポーツツーリズムの最先端を走ってまいりました。平成23年度には、プロバスケットボール「bjリーグオールスター戦」や総合格闘技「UFC Japan」など、平成24年度は、「FIFA U-20女子ワールドカップ」や「なでしこリーグオールスター戦」などの誘致や支援を行いました。こうした取組が高く評価され、昨年2月には、スポーツツーリズム賞部門の最高賞である「国土交通省観光庁長官賞」を受賞いたしました。昨年10月にはスポーツによるまちづくりのシンボルとして、「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」を開催し、「スポーツのまちさいたま」を国内外に広くアピールすることができました。そして、来月は、「ISU世界フィギュアスケート選手権大会2014」が開催されます。子どもたちの夢となる世界レベルの競技が私たちのすぐ近くで行われております。また、スポーツの観戦だけではなく、スポーツによる健康増進及びそれに伴う医療費削減の効果と観光リピーターによる経済効果の両方に役立つ「さいたまシティマラソン」や「さいたマーチ~見沼ツーデーウオーク~」なども実施いたします。スポーツに親しみながらいつまでも健康でいることのできる施策を引き続き実行してまいります。

そして、教育についてであります。平成19年度から始まった全国学力・学習状況調査において、さいたま市はすべての科目で全国や大都市、埼玉県の平均正答率を上回る実績をあげております。私は、明日のさいたま市を担う児童生徒を大切に思う保護者や地域の方々の支援、熱心な指導などが、良好な結果につながっていると考えております。チャレンジスクールやスクールサポートネットワーク等、学校・家庭・地域・行政の強い結びつきにより地域全体で教育に取り組む好循環が本市の強みであります。また、この冬に開催されました第92回全国高校サッカー選手権大会に市立浦和高等学校が出場し、ベスト16に入る善戦をいたしました。同校に中学校が併設されてから7年目になり、昨年春には中高一貫教育1期生が卒業しました。内部進学生は、高校から入学する生徒とクラスを別にしており、特に中学3年生に対しては、一部で高校教員による授業も実施しています。部活動でも中高一貫の特徴を活かして、高校の顧問やコーチが中学生も指導しております。市立浦和中学校・高等学校では、このような特色のある教育と盛んな部活動がバランス良く展開されています。今後とも、グローバル化への対応も含め、こうした市立4校それぞれの特色を活かした市立高校改革を推進してまいります。そして、未来を担う子どもや若者が心身ともに健やかに育ち自立するため、日本一の教育都市を目指してまいります。

また、これらの良さや強み以外にもさいたま市には他の都市にはない優位性があります。

それは、地の利であります。さいたま市は、首都圏と東北、上信越地方をつなぐ交通の要衝に位置しており、道路と鉄道のネットワークが発達しております。

道路網につきましては、上尾道路が平成26年度末までに開通する見通しとなり、さらに、首都高速埼玉大宮線の整備が促進されれば、市内の国道17号バイパスの渋滞を緩和することができるようになります。また、首都高速埼玉新都心線が東北自動車道に接続することで、防災力を強化する点からも広域交通基盤の代替性や多重性の確保を図ることができます。さらに「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」に向けても、三環状道路とのアクセス向上が早期に実現できるよう、国をはじめとした関係機関に働きかけてまいります。

また、鉄道網につきましては、平成26年度末までには既存の新幹線5路線に加え、北陸新幹線の長野駅から金沢駅間が開業し、北陸地方ともダイレクトでつながります。同時に東北縦貫線(上野東京ライン)も開業し、東京駅や品川駅方面への通勤通学の利便性が向上いたします。さらに平成28年3月には、北海道新幹線の(仮称)新函館駅までの開業が予定されております。

私は、交通の利便性が、人や企業が都市を選ぶための重要なポイントになると考えており、こうした交通網の整備を進めることで、「東日本の中枢都市」としてのさいたま市の地位が格段に上がると確信しております。昨年3月には湘南新宿ラインが浦和駅に停車するようになり、また、12月には浦和駅、武蔵浦和駅の羽田空港行きのバス路線がスタートを切り、首都圏や空港へのアクセス向上が図られました。このような本市のポテンシャルを最大限に活かすためにも、大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区や浦和駅周辺地区をはじめとした2都心4副都心のまちづくりについて、広域的な視点も踏まえて交通網の拡充及び交通の要衝としての都市機能の高度化を進めてまいります。

もう一つの大きな優位性は、地理的に自然災害に強く、また、国の広域防災拠点であるさいたま新都心を有する点であります。東日本大震災を経て、災害に強いまち、防災・減災対策に積極的に取り組むまちに関心が集まっております。本市としましても、さいたま新都心の広域防災拠点としての機能を充実・強化するとともに、幹線となる緊急輸送道路周辺の民間建築物耐震化などハード面での取組、災害時の情報基盤の整備などソフト面での取組を通じて、広域防災拠点都市としての地位を確立してまいりたいと考えております。

民間企業におきましては、この2つの優位性を評価していただいており、さいたま市を進出先に選択する企業も増えてきております。これは、「東日本の中枢都市」としての存在感を示しつつある証ではないかと考えております。そして、大震災の被災地をはじめ東日本各地との経済的・文化的なつながりを深める取組も忘れることなく一層推進してまいります。

しかし、さいたま市が人や企業から選ばれる都市になるために乗り越えなければならない課題もあります。

一つ目は、少子高齢化への対応であります。人口減少と少子高齢化は、経済の停滞、若年層の負担増大、社会保障制度に対する信頼感の低下などを招き、社会に対する閉塞感や不安感の増大につながるものと危惧されております。特に、さいたま市は全国的にも急激なスピードで高齢化が進むと予想されております。このような状況で、本市としましては、子育て支援の更なる充実、女性や高齢者の就労機会の増大、地域活動への参加機会の拡大などに取り組み、地域と連携した安心できる地域システムを構築し、“成熟した社会”づくりを進めてまいります。

二つ目は、公共施設の老朽化への対応であります。本市の公共施設の多くは、人口が急増した昭和45年から56年ごろに整備されており、老朽化が進行しています。今後、大規模改修や建て替えが必要となる建物の大幅な増加が見込まれます。市民の皆様と情報や問題意識を共有した上で、合意形成を図りながら、平成26年度からスタートする「さいたま市公共施設マネジメント計画・第1次アクションプラン」に基づき、安心・安全で持続的な施設サービスを提供してまいりたいと考えております。

三つ目は、さいたま市の4つの良さや強みと2つの優位性を活かした情報発信の強化とブランド化であります。昨年5月に全庁的な組織としてシティセールス推進本部を設立しましたが、平成26年度の組織改正におきまして、市長直轄の組織として新設する都市戦略本部にシティセールス部を設置し、市内においては、魅力の創造・再発見や愛着・誇りの醸成を図り、市外においては、本市の認知度を高め、訪問人口を増加させるため、市の魅力を発信してまいります。私たちは、昨年の「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」の開催をきっかけにして、本市の存在感を全国、そして世界に向けて発信する足がかりを築くことができました。「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」、「さいたまシティマラソン」などの重要スポーツイベントや、これから開催される「第8回世界盆栽大会」、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」などを通して、さいたま市の情報発信力を強め、更なる高みを目指してまいります。また、市外の人にさいたま市の魅力を感じてもらうため、そして市民が誇りをもってもらうために、都市のブランド力が必要となります。さいたま市はスポーツ等の4つの強みをブランドにする基盤を有しております。本市の地域資源であるスポーツ等の強みをブランドとして、施策等を更に充実・強化してまいります。

最後に四つ目は、財政状況が厳しくなる中での多様なニーズに対する行政の対応であります。さいたま市が成長していくためには、市民との協働に加えて、民間の知恵や工夫、アイデアを活用し、公共サービスを提供するPPP(公民連携)の取組も重要となります。そこで昨年、地元企業、各種団体、行政との連携を図るために、「さいたま公民連携コミュニティ」を設置したところであります。今後も「チームさいたま」として、さまざまな市民ニーズへの対応や効率的で質の高い市民サービスの提供を図ってまいりたいと考えております。

これらのまちづくりに当たっては、市民の皆さんが市政に参加しやすい仕組みづくりの充実を図り、行政と一体となって取り組むことが必要であると考えております。そのためには、地方分権改革の更なる推進を図り、政令指定都市において住民サービスに関わる事務が全てできるよう、権限や財源の移譲や、新たな大都市制度の創設が必要だと考えております。

これらの課題を乗り越えて、さいたま市の良さや強みを活かして各種の施策を実行していくことで、より多くの人にさいたま市に住んでもらえる、あるいは訪れてもらえる、また、より多くの企業にさいたま市に来てもらえる、「選ばれる都市」になることができる。そして、2017年に、大宮で開催される「第8回世界盆栽大会」、また、埼玉スタジアム2○○2がサッカーの競技会場となる「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」などまたとないチャンスを活かして、さいたま市の存在感が国内外で認められる。私は、そう確信しております。

そのためには、市民の皆さんとともに、「責任と共感・共汗」、「徹底した現場主義」、「公平・公正・開かれた市政」を堅持しながら、さいたま市の強みを活かした取組を実行してまいります。

平成26年度予算編成等

―新たなスタートを切って―

平成26年度予算につきましては、今申し上げた私の想いをもとに、新たにスタートする総合振興計画の後期基本計画を推進するとともに、しあわせ実感都市を実現するための「しあわせ倍増プラン2013」と「選ばれる都市」を実現するための「成長戦略」を推進する予算として、編成をいたしました。

歳入の根幹をなす市税収入の増収が見込まれるものの、歳出予算では、社会保障関連経費の増大等により、厳しい予算編成作業でありました。そのような中で、従来のシーリング方式を採らずに一件査定を実施することにより、メリハリのある事業選択を行いました。そして、既存事業の更なる見直しや徹底した行財政改革を進めるとともに、基金や市債の活用により財源確保を図りました。

この結果、一般会計予算は、4,649億円、対前年度比3.9%の増となりました。

また、特別会計予算総額は、3,152億5,800万円、企業会計予算総額は、1,184億3,205万円、全会計予算総額は、8,985億9,005万円となったところであります。

以下、「環境・アメニティ」、「健康・福祉」、「教育・文化・スポーツ」、「都市基盤・交通」、「産業・経済」、「安全・生活基盤」、「交流・コミュニティ」の各分野及び行財政改革に係る平成26年度の主要な事業等について、申し上げます。

(1)環境・アメニティ

まず、「環境・アメニティ」に関する施策であります。

環境への負荷の少ない持続可能な社会の実現に向けて、本市が取り組むべき優先課題として、地球温暖化の問題があります。国から指定を受けた、「次世代自動車・スマートエネルギー特区」を活用し、都市の低炭素化、エネルギーセキュリティの確保等、先駆的な取組を推進してまいります。また、自宅に太陽光発電などの創エネ・省エネ設備を設置する市民に対して、引き続き費用の一部を補助していくとともに、日本一の快晴日数を誇る本市の太陽エネルギーを最大限活用し、平成26年度は、岩槻区川通地区のメガソーラーを本格稼働させてまいります。防災拠点施設のエネルギーセキュリティの強化と再生可能エネルギーの導入を促進するため、平成27年度末までに、全市立学校に太陽光発電設備や蓄電池を順次設置していく中で、平成26年度は、61校に整備してまいります。これらをはじめ、本市のエネルギー政策については、平成25年3月に策定された「さいたま市エネルギー・スマート活用ビジョン~新エネルギー政策~」に基づいて、市と市民、事業者の連携を図り、低炭素なまちづくりを推進してまいります。

また、老朽化が進んだ2つのごみ処理施設の代替として、平成26年度中の施設完成を目指して新クリーンセンターの整備を進めております。熱エネルギーを最大限活用し、効率的な廃棄物発電を行うことで、地球温暖化対策や電力不足への対応にも大きな効果を発揮いたします。

本市は、首都圏にありながら、貴重な自然が多く残っております。私たちは、その代表である見沼田んぼの自然・歴史・文化を次世代に引き継がなくてはなりません。その一方で、東日本大震災を契機に、防災意識が高まり、見沼田んぼを広域的な防災拠点として活用する必要が生じてきたところでもあります。こうした背景から、新セントラルパーク構想としまして、関係機関や市民協働会議関係者と協議を行い、基本構想を改定し、次期整備区域の整備方針を策定してまいります。また、昨年、私は見沼田んぼをステージに「日本一の桜回廊」をつくろうと申し上げました。20キロメートル以上の桜回廊の実現に向け、平成26年度は、見沼代用水沿いの植樹に加え、桜の拠点となる「さくらの杜」づくりを併せて進めてまいります。市民や企業、団体の皆さんと行政が心をひとつに、共につくりあげることで、さいたま市の“絆”と“誇り”の象徴となるよう、目指せ日本一!サクラサク見沼田んぼプロジェクトを推進してまいります。

(2)健康・福祉

次に、「健康・福祉」に関する施策であります。

子育て世代から支持されるために、まず第一に行わなくてはならないのは、待機児童の解消であります。「しあわせ倍増プラン2013」に盛り込みました新待機児童ゼロプロジェクトにより、保育需要の高い地域を中心に、平成28年度末までに、定員数を3,600人増加させ、待機児童ゼロを目指してまいります。そのうち、平成26年度は、保育の質を確保しながら、670人分の定員数を増やすとともに、各区役所に配置しました保育コンシェルジュによる、保育の受け皿に係る情報提供や相談も引き続き実施してまいります。さらに、保育者の居宅などで保育サービスを提供する家庭的保育事業の実施に向けた準備も進めてまいります。放課後児童クラブの待機児童対策といたしましては、放課後児童クラブの安定的な運営を支援し、入所児童数を拡大することにより、待機児童の解消を図ってまいります。

子どもや家庭を取り巻く課題は年々複雑になっております。このため、ワンストップで相談対応できる総合相談窓口と児童相談所をはじめとする専門機関を集約するなど、すべての子ども・家庭への支援や問題の予防・早期解決に取り組む施設として、平成29年度の開設を目指して、「(仮称)さいたま市子ども総合センター」の実施設計に着手してまいります。

高齢化が進展する中で、高齢になっても地域で元気で暮らせる社会を実現するために、身体の健康だけではなく、人々が生きがいを感じ、心豊かな生活を送れる「健幸」づくりが必要な時代になっております。平成26年度より、健康づくりの継続化を支援するモデル事業である健幸サポート事業や、各区におけるウォーキングイベントをはじめとした関連事業を実施するとともに、「健康マイレージ制度」創設の準備を行ってまいります。区役所を含めた局間の連携を推進し、市全体で総合的な健幸のまちづくり「スマートウェルネスさいたま」の実現に取り組んでまいります。

誰もが住んでみたいと思う魅力的な都市になるためには、医療の充実が必要条件となっております。市民に安心で安定した医療の提供と医療機能の強化を図るため、市立病院に救命救急センター設置を含めた施設整備を実施してまいります。社会保険大宮総合病院のプラザノース北側市有地への移転新築事業も進んでおります。老朽化が著しいこれらの病院の施設更新に目途が立ったところであります。医療の側面から市民の安心安全を確保してまいります。

高齢者が生涯にわたって地域社会で安心して生活できるように、介護者への支援も含めた総合的な支援に取り組んでまいります。平成26年度におきましても、高齢者のボランティア活動等にポイントを付与するシルバーポイント事業や、市内の公共施設等を無料や低額で利用できるアクティブチケット事業の利用者の増加を図り、高齢者が生涯現役として地域の中で引き続き活躍できるための施策に取り組んでまいります。また、同じ悩みや心配事を抱える他の介護者と交流し、語り合うことで不安を解消する場として介護者サロンを開催し、介護者にリフレッシュしていただくために介護者カフェの開設準備を進めてまいります。

(3)教育・文化・スポーツ

次に、「教育・文化・スポーツ」に関する施策であります。

不登校、ひきこもり、いじめ、自殺など子どもや家庭を取り巻く環境は複雑化しております。悪質ないじめや問題行動等に適切かつ迅速に対応するため、専門的な知識や経験を有する非常勤職員を配置してまいります。また、いじめ防止シンポジウムや「いじめ防止対策推進法」施行に伴う各組織等を設置し、いじめや自殺防止等の子どものサポートを確実なものとしてまいります。そして、障害のある児童生徒が住み慣れた地域で学ぶことができるようにするため、特別支援学級の新設や増設を推進するとともに、市立全中学校に配置しているスクールカウンセラーを新たに小・高等・特別支援学校にも配置してまいります。また、学校に配置している少人数指導等支援員等の7つの「補助要員」を発展統合し、新たに教員免許状を有する「スクールアシスタント」を各学校に配置し、児童生徒のニーズにきめ細かく対応してまいります。

文化芸術は、人々の創造性を豊かにし、生活にゆとりと潤いをもたらすとともに、まちの魅力を高めるものであります。この文化芸術のもつ力を活かすことで、市民が生き生きと心豊かに暮らせる都市の創造を目指してまいります。そこで、文化芸術都市さいたま市の創造に向け、その象徴的・中核的な事業となる国際的な芸術祭「(仮称)さいたまトリエンナーレ」の平成28年度開催に向け、平成26年度は、準備委員会を設立し、開催方針や事業計画を検討してまいります。大宮盆栽美術館につきましては、盆栽や盆栽文化に関する資料等を収集するとともに、国内外に向けて盆栽の魅力を発信してまいります。併せて「(仮称)盆栽アカデミー」の開設に向けて、調査を進めてまいります。

スポーツは、青少年の健全な育成、健康増進・体力の向上等に資するもので、健やかで心豊かな生活を営む上で極めて重要なものとなっております。市民の誰もがそれぞれの体力や年齢、技術、興味や目的に応じて、生涯にわたって継続的にスポーツに親しむことができるよう、スポーツイベントや各種教室の開催、指導者の育成などに関連団体等と連携して取り組んでまいります。併せまして未利用地を活用したスポーツもできる多目的広場を整備してまいります。平成26年度も「さいたまシティマラソン」を開催いたしますが、フルマラソン化への移行も検討してまいります。

(4)都市基盤・交通

次に、「都市基盤・交通」に関する施策であります。

住みやすいと言われるまちづくりを進めていくためには、利便性の高い都市機能の集積が必要不可欠なものとなります。

東日本の玄関口である大宮駅につきましては、鉄道事業者や県などとの協議の場等を設けて、機能の高度化に関する調査検討を実施してまいります。また、大宮駅周辺地域戦略ビジョンに掲げた「協働によるまちづくり」をより一層推進するため、民・学・官が協力体制を整えられるよう「(仮称)アーバンデザインセンター大宮」の設置に向け、センターの機能や市の役割等を検討してまいります。大門町2丁目中地区につきましては、大宮駅東口のリーディングプロジェクトとなりますので、市街地再開発事業が円滑に推進できるよう支援してまいります。

さいたま新都心のまちづくりにつきましては、にぎわいの創出と広域防災拠点を活かしたまちづくりを進めるとともに、さいたま新都心将来ビジョンに掲げる目標実現に向けまして、北袋1丁目地区における適正な土地利用転換を促進し、公共施設の整備を検討してまいります。

浦和駅周辺のまちづくりにつきましては、浦和駅西口南高砂地区第一種市街地再開発事業の支援、並びに県庁通りの整備を推進してまいります。

岩槻駅周辺のまちづくりにつきましては、「岩槻まちづくりマスタープラン」に示されるまちの将来像を実現するアクションプランを策定するとともに、旧岩槻区役所敷地利用計画を取りまとめ、城下町の歴史や文化が息づくふれあいのまちづくりを推進してまいります。

浦和美園駅周辺のまちづくりにつきましては、みそのウイングシティを副都心にふさわしい「環境」、「スポーツ・健康」等をテーマとした魅力ある市街地とするために、土地区画整理事業による基盤整備を推進してまいります。また、浦和美園駅東口駅前に、コミュニティセンター、図書館、教育相談室、支所、拠点備蓄倉庫からなる複合公共施設を整備するとともに、情報発信の拠点となる「(仮称)アーバンデザインセンターみその」の基本構想を策定いたします。

浦和美園~岩槻地域につきましては、2つの副都心を結ぶ本市の南北都市軸として、地域の成長・発展に資する方策を戦略的に展開し、定住人口・交流人口の創出を図り、効果を検証しつつ地下鉄7号線の延伸を促進してまいります。

与野本町駅周辺のまちづくりにつきましては、公共施設再編も含めたまちづくりマスタープランの素案の検討を行うとともに、与野本町駅から彩の国さいたま芸術劇場を結ぶアートストリートを整備してまいります。

市民の生活に密着した社会資本整備につきましても、積極的に進めてまいります。暮らしの道路・スマイルロード整備事業は、「しあわせ倍増プラン2013」に基づき、要望の積み残しを一掃し、その後の新規工事は原則2年以内に整備するなど、市民の要望が強い事業を引き続き推進するとともに、ゾーン30の整備により、生活道路における安全対策を実施してまいります。

また、幅広い年齢層の市民に身近な交通手段である自転車の安全で快適な走行を実現するため、自転車ネットワーク整備計画に基づき、10年間で200キロメートルの自転車通行環境を整備してまいります。

(5)産業・経済

次に、「産業・経済」に関する施策であります。

地域の雇用や経済を支える中小企業者の経営基盤強化に向けた意欲的な取組を支援する必要性が一層高まっております。

中小企業者や創業者等に対する経営の安定化に必要な資金融資のあっせんやその他総合的な支援により、地域経済の活性化に尽力してまいります。また、市内企業の人材確保や若年者の安定就労を図るため、若年者就業支援事業をはじめとする各種の就業支援を実施してまいります。

新しい産業の育成や企業の新規事業活動の促進に向け、医療機器関連分野への新規参入や事業拡大を支援するさいたま医療ものづくり都市構想推進事業、海外の産業クラスターとの交流を通じた中小企業のグローバル展開を支援するとともに、市の財政基盤の強化、雇用機会の創出、地域経済の活性化を目的として、戦略的企業誘致、桜区田島地区を候補地とした新たな産業集積拠点整備を推進してまいります。

スポーツ分野で新たな観光客を獲得するため、積極的に、スポーツ大会やスポーツイベントの誘致活動を展開してまいります。また、昨年に続き、世界最高峰の自転車競技「ツール・ド・フランス」の名を冠したレースの開催を通じまして、「スポーツのまちさいたま」を国内外にアピールしてまいります。

海外でも人気のある大宮盆栽を世界に発信し、国内外からの観光客を誘致するため、「第8回世界盆栽大会」開催に向けた支援をしてまいります。

「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」や「世界盆栽大会」といった大規模イベントを一過性のものとせず、絶えずさいたま市に国内外のコンベンションを誘致するため、主催者への助成や情報収集・発信をするとともに、コンベンション施設やホテルなどの受入環境整備に向けた誘致体制づくりなどMICEを推進してまいります。

(6)安全・生活基盤

次に、「安全・生活基盤」に関する施策であります。

都市の安全性を推進することで、安心安全都市としてのブランド力が高まります。市民力を活かして、WHOの推進する国際セーフコミュニティやインターナショナルセーフスクールの認証取得に取り組み、安全な地域コミュニティや学校を構築することで、「住みたいまち・住み続けたいまち」と市民が思えるような都市を実現してまいります。

昨年は、突発的な竜巻が越谷や熊谷を襲い、多大な被害が発生しました。それ以外にも首都直下地震、台風、ゲリラ豪雨、その他起こりうるさまざまな災害への対策に早急に取り組む必要があります。地震防災対策強化のため、住宅や多数の者が利用する建築物、緊急輸送道路閉塞建築物の耐震化に対する助成を引き続き実施してまいります。さらに、浸水被害の軽減に向けた取組といたしまして、下水道浸水対策事業や河川改修事業を行ってまいります。

また、移動系防災行政無線のデジタル化を進めることにより災害時の確実な通信手段を確保してまいります。

複雑多様化する大規模災害に対応するためには、市民の生命や財産を守る消防力の強化も必要不可欠であります。消防救急デジタル無線や新消防緊急情報システムの整備を進めるとともに、新たな指令センター庁舎の整備を行うなど、災害通信体制の充実強化を図ってまいります。また、市内の消防力を充実させるため、複合施設へ移転新築する緑消防署の建設工事や片柳地区の新消防署の用地取得を行ってまいります。

(7)交流・コミュニティ

次に、「交流・コミュニティ」に関する施策であります。

近年、少子化高齢化の進行や人々の価値観やライフスタイルの変化から、地域住民の交流の希薄化や地域社会の機能低下が懸念されております。

コミュニティ活動の促進を図るため、みこし等の屋外活動備品や集会所建設時における机等の屋内活動備品の整備に関する経費の一部を補助し、支援を拡充してまいります。また、自治会活動の場の確保や充実を目的として、自治会集会所の新築及び増改築修繕に要する経費の一部を補助してまいります。

(8)行財政改革

さいたま市では、市民の視点に立ち、常に利用のしやすいサービスを提供し、市民満足度が高い、「高品質経営」市役所への更なる転換を目指しております。そのため、昨年に策定しました「行財政改革推進プラン2013」に基づき、改革プログラム46項目54事業の行財政改革を積極的に実行してまいります。先に述べました2つの高齢化のひとつは、公共施設の老朽化であります。私は、この問題を、「知恵と工夫」、「市民との協働」、「民間との連携」によって解決し、子や孫の世代に安心・安全な公共施設をしっかりと引き継いでいきたいと考えています。公共施設の維持には膨大な財政負担が伴いますが、公共施設を単に廃止・縮小するわけではありません。施設の機能をできるだけ維持しながら、市民の皆さんのニーズを満たした公共施設を再構築していきたいと考えております。公共施設の問題は、市民の皆さんと問題意識を共有しながら、一緒になって取組を進めていかなければならない、大変重要な問題だと考えております。引き続き、市民の皆さんと合意の形成を図り、その取組を丁寧に推進してまいります。

結びに ―チャレンジ、尽きることなく―

「チャレンジして失敗することを恐れるよりも、何もしないことを恐れろ」とは、本田技研工業創業者の本田宗一郎氏の言葉であります。埼玉にゆかりが深く、本市とも環境未来都市の実現に向けて連携している本田技研工業のスタートは、オートバイでありました。仲間と夢を共有し、困難な目標に挑戦するホンダイズム。二輪車生産台数国内1位を達成した後、後発組として、乗用車への進出やF1レースへの参戦にチャレンジを繰り返し、今や世界のホンダとなりました。

不透明な世界経済の行方、少子高齢化の到来、グローバルな都市間競争、公共施設の老朽化、さいたま市を取り巻く環境は年々厳しいものになります。しかし、どのような時代や境遇にあっても、「決断に必要なのは、誰でもうなずける科学的根拠であり、次の段階へステップアップしていくためには、立ち止まらずに、チャレンジし続けるしかない」と本田宗一郎氏は説いています。

このことは自動車会社の経営だけではなく、都市の経営についても同じことが言えるのだと考えております。私が先頭に立ち、数々の困難に挑戦し続けることで、国内外から今まで以上に存在感のある都市として認められるようになる。その先に、新しいさいたま市ブランドが誕生する。私は固く信じております。

私は、さいたま市の将来にとって最も重要な時代を迎えている今、集め得るあらゆる根拠を集め、それを検証し、そして勇気をもって、新しい政策を立案し、新しい制度と新しい事業を展開し、全庁一丸となって職員と共に果敢にチャレンジしていく所存であります。

さいたま市の成長を実現していくスタンスは議員の皆様と同じ方向にあると考えております。私は、現実を見据え、危機感や目指すべき方向性等を議員の皆様と共有しながら、市民一人ひとりがしあわせを実感できる“絆”であふれるさいたま市、誰もが住んでいることを誇りに思えるさいたま市を、125万人の市民、事業者や団体の皆様と共に手を携えて、実現してまいります。

以上、平成26年度の市政に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げました。市民の皆様並びに議員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

今議会に提出いたしました議案は87件でございます。予算議案といたしまして、補正予算が12件、新年度予算が20件、また、条例議案が40件、一般議案が14件、諮問議案が1件でございます。

何とぞ慎重なる御審議の上、全議案につきまして、御承認をいただきますようお願いを申し上げます。

平成26年2月12日
さいたま市長 清水勇人

補足 平成25年度施政方針については、以下のダウンロードファイルをご覧ください。

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