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更新日付:2015年2月6日 / ページ番号:C040245

市長の部屋 さいたま市長 清水 勇人 絆をつなぐ

平成27年度施政方針

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平成27年2月4日開会の平成27年さいたま市議会2月定例会において、清水勇人市長が施政方針演説を行い、平成27年度の市政運営の基本的な考え方や主要な施策などについての説明を行いました。

  補足 平成27年度施政方針の全文は、最下段のダウンロードファイルをご覧ください。

議員各位には、平素より市政運営に御支援をいただき、心から感謝を申し上げます。

本日ここに、新年度に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

はじめに ―変化に先んじ、実行する市政へ―

私は、平成21年5月の市長就任以来、さいたま市を「子どもが輝く“絆”で結ばれたまち」に、そして市民の皆様が住んでいることを誇りに思えるまちにするため、常に先を見ながら全力で、市政の運営に当たってまいりました。

おかげさまで、本年度の市民意識調査の結果では、さいたま市を「住みやすい」と感じている方は、80.7%に達し、調査を開始した平成19年度の74.0%から上昇基調が続いております。また、「今住んでいる地域にこれからも住み続けたい」という定住の意向をお持ちの方も、83.5%にのぼっております。私は、現状に満足することなく、「さいたま市が住みやすい」と感じる市民の割合を2020年までに90%以上とする高い目標を掲げ、さまざまな取組を更に進めてまいります。

この市民満足度90%に向けた取組を「(仮称)CS90運動」と名付け、より多くの市民の皆様から住みやすいと言われる都市の実現に向けて、市民や事業者の皆様とも連携して、全庁一丸となって取り組んでまいります。CSとは、一般的にCustomer Satisfactionの略として、顧客満足と訳されますが、ここでは「Citizen Satisfaction(市民満足度)」の意味であり、また、目標達成に向けて挑戦する「チャレンジ さいたま」という私たちの姿勢を示した言葉でもあると考えております。

私は、これまで、さいたま市役所は「市民一人ひとりのしあわせコーディネーター」であると職員に伝えてまいりました。私たちが行っている仕事が、全て市民のしあわせを応援していくためにある、そうした意識をもって仕事に取り組むことを呼びかけてまいりました。そして、市民の声、現場の声を大切にする徹底した現場主義で市政に臨むことを基本姿勢としてきたところです。

加えて、市民満足度を更に向上させるため、さまざまな要望等をデータベース化した「市民の声データベース」や、市民意識調査等、市の業務から得られる多様なデータや統計資料等を積極的に活用し、施策の評価や検証、企画立案やPRにつなげる「さいたまシティスタット」を新たに構築するとともに、「都市戦略本部」の機能強化により、タイムリーかつスピーディーに対応できる市政を目指してまいります。

本市出身で日本人初の国際宇宙ステーションの船長を務めた若田光一宇宙飛行士は、リーダーの心構えについて、「チームとしていい仕事をしていく時は、チーム全員の力を出す必要がある」と述べております。私も「チームさいたま」のリーダーとして、議員各位、市民の皆様、企業や事業所の皆様、職員と共に力を合わせ、「CS90」という目標に向けて、全庁挙げて、また全市挙げてまい進する決意であります。

また、市民満足度の向上のためには、「しあわせ倍増プラン2013」を着実に実行し、市民生活の質の向上を図り、市民の皆様に実感していただくことが大切であり、引き続き全力を尽くしてまいります。

さいたま市の人口は平成37年までは増加が見込まれますが、その後は減少していくと予想されます。また、他の大都市よりも多い団塊ジュニア世代の高齢化が更に急速に進んでまいります。このような中において、これからの5年、10年がさいたま市の将来にとって最も重要な時期であると強く感じております。

「しあわせ倍増プラン2013」と高品質経営市役所を目指す「行財政改革推進プラン2013」、昨年公表した「さいたま市成長戦略」は、「地方版総合戦略」に先駆けた取組であります。これらを着実に実行・実現していくことで、さいたま市を取り巻く厳しい環境を緩和する方向に導き、「市民一人ひとりがしあわせを実感できる都市」、「市民や企業から選ばれる都市」を実現できるものと私は改めて確信をしたところであります。

さて、来月14日は、北陸新幹線の金沢開業など我が国の鉄道史にとって記念すべき日となりますが、本市にとりましてもビッグチャンスの到来であります。私は、北陸新幹線と上野東京ラインの開業という鉄道網の大きな拡充により、他の都市にはない本市の優位性を確実なものにしてまいります。

さいたま市は、首都圏と東北、上信越地方をつなぐ交通の要衝に位置し、鉄道と道路のネットワークが発達しております。このたびの北陸新幹線の開業により、大宮-金沢間が直結し、所要時間も金沢まで最速2時間4分、富山までは最速1時間44分と大幅に短縮されます。関西や中部の経済圏であった北陸地方が首都圏の経済圏ともなり、私たちにとって身近な地域となります。例えば、富山大学工学部は、北陸新幹線開業に先んじて、関東会場を新設し、今月25日に大宮で入学試験を行うと聞き及んでおります。これは、東北、上越新幹線の結節点で、首都圏だけでなく、より広範囲から志願者を集められるさいたま市の地の利が評価された一例なのではないかと考えております。大宮駅が東日本のハブステーションになるよう、新幹線の大宮始発についても働きかけを行ってまいります。

同じく3月14日には、上野東京ラインも開業し、宇都宮線、高崎線の概ね7割の列車が東京駅や品川駅方面へ直通運転となりますので、乗り換えることなく通勤通学ができるようになります。さらに、昨年JR東日本が発表した、東京-羽田間を概ね18分で結ぶ羽田空港アクセス線を経由して直接空港へ乗り入れるという構想を早期に実現させ、さいたま市と羽田空港を直結する機能を強化していくことで、本市の交通拠点としてのブランド力を益々上昇させるよう強く働きかけてまいります。

道路網につきましても、平成27年度には一般道路である上尾道路が開通する予定となっております。さらに新大宮上尾道路が整備され、圏央道と直結すれば、市内の国道17号バイパスの渋滞が緩和されます。また、併せて首都高速埼玉新都心線が東北自動車道に接続することで、広域交通基盤の代替性や多重性が確保されるとともに、防災力の強化を図ることができます。さらに「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」に向けても、三環状道路とのアクセス向上が早期に実現できるよう、国をはじめとした関係機関に働きかけを行ってまいります。

私は、交通の利便性が、人や企業が都市を選ぶための重要なポイントになると考えております。交通の結節機能を高め、人、モノ、情報の流れをつくり、港のような機能を強化することが経済の発展につながります。こうした交通網の整備を進めることで、「東日本の中枢都市(ハブシティ)」としてのさいたま市の地位がひときわ上昇するものと確信しております。このような本市のポテンシャルを最大限に活かすためにも、大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区や浦和駅周辺地区をはじめとした2都心4副都心のまちづくりについて、広域的な視点も踏まえて交通網の拡充及び交通の要衝としての都市機能の高度化を進めてまいります。

もう一つの大きな優位性は、地理的に自然災害に強く、また、国の広域防災拠点であるさいたま新都心を有する点であります。本市といたしましても、さいたま新都心の広域防災拠点としての機能を充実・強化するとともに、幹線となる緊急輸送道路周辺の民間建築物耐震化などハード面での取組、災害時の情報基盤の整備などソフト面での取組を通じて、広域防災拠点都市としての地位を確立してまいります。先に公表された「国土のグランドデザイン2050」においては本市の要望が実現し、災害時に国土全体を活用する上で重要となる日本海側と太平洋側の連携拠点として、さいたま新都心が位置付けられました。私は、日本の国土形成に先手を打つ意味でも、政府業務継続計画(政府BCP)において、さいたま新都心の合同庁舎を緊急時における国の指令塔機能の重要な拠点として位置付けるとともに、さいたま新都心周辺地域を緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)の集結拠点として位置付けることなどを国に対して要望してまいります。また、本市としましても受入態勢を整えてまいります。

民間企業におきましても、これらの優位性を高く評価していただいており、平成15年から10年間の企業本社の転入・転出状況を分析しますと、112社の純増で、指定都市中2位といった結果となっております。この分析結果は、企業の皆様がビジネスの拠点として、さいたま市を選び、まさに「東日本の中枢都市」としての存在感を示しつつある証ではないかと考えております。

そして、大震災の被災地をはじめとした東日本各地、首都圏に近くなった北陸地方との経済的・文化的なつながりを深める取組も一層推進してまいります。

また、さいたま市には、地理的な優位性の他に「教育」「環境」「健康・スポーツ」といった良さや強みがあります。これらを更に発展させることによって、都市のブランド力と市民満足度を高めてまいります。

はじめに、教育文化都市の実現であります。

さいたま市は、交通利便性や教育の充実などから「子育てしやすいまち」と言われております。ワーク・ライフ・バランスを重視する社会環境の変化に先んじる意味においても、これからは「子育てするならさいたま市」を一歩進めて、「子育て楽しいさいたま市」を目指してまいります。昨今、男性も育児に参加する環境が整ってきたものの、依然として男性の育児参加の機会が少ないことから、これまで実施してきた「さいたまパパ・スクール」、「一日保育士・幼稚園教諭体験」等に加え、父親の育児参加促進事業「(仮称)パパサンデー」を実施し、子育て支援センター10か所におきまして、新たに日曜日の開所を行い、父親向けの講座やイベントを一層充実させてまいります。このような取組を通じて、親子の絆を深める子育て支援を拡充してまいります。

また、保育所待機児童の解消は喫緊の課題となっております。私は、子育て世代の不安を解消し、安心して子育てできる環境を整え、保育の質を低下させることなく、平成28年度末までに、定員を3,600人増加させ、1日も早く待機児童がゼロとなるよう、さまざまな方策に取り組んでまいります。併せて放課後児童クラブの拡充も進め、平成28年度末までに、受入可能児童数を1,600人増やしてまいります。これらの目標の達成と、「子ども・子育て支援新制度」への対応、保育所の待機児童解消に向けた体制の強化のために、「幼児未来部」と「のびのび安心子育て課」を設置し、事業を推進してまいります。

さいたま市は、日本一の教育都市を目指しています。日本一の教育都市は、子どもたちが「夢や目標を持っている」割合が日本一高い都市です。そして「知・徳・体・コミュニケーション」の4つの力をしっかり身に付け、どんな環境にあっても、夢や目標に向かって、自ら、道を切り拓くことができる子どもたちを育んでいくまちです。そのための取組の一つとして、日本一の読書のまちをつくってまいります。

さいたま市は、図書館の数や市民一人当たりの貸出冊数の多さが指定都市の中で1位です。図書館では、司書等の積極的な取組により、子ども読書活動の推進に力を入れており、全ての図書館でおはなし会などの赤ちゃんや子ども向けの催し物を行っております。また、家庭や地域で子どもたちが読書に親しみ、本を読む習慣を身に付けることのできる環境づくりを進めるために、家庭で楽しく読み聞かせをするためのガイダンスや読書ボランティア向けの講座などを開催いたします。さらに、学校図書館司書を全校に配置しており、小・中学校はもとより、保育園、美術館、博物館等と連携した催し物を充実させてまいります。来年1月には、浦和美園駅前に美園図書館がオープンいたします。生涯学習と情報発信の拠点がまた一つ増えますので、図書館を「地域の知の拠点」として更に充実させ、学校図書館との連携を強め、学校・家庭・地域と一体になって、日本一の読書のまちを目指してまいります。

なお、来年度より、新たに創設される「総合教育会議」につきましては、市長直轄組織である「都市戦略本部」において所掌し、さいたま市の重要な柱となる施策として、取り組んでまいります。

近年、食生活をめぐる社会環境の変化に伴い、朝食を食べないなどの不規則な食事や食習慣の乱れによる栄養の偏り、食の海外への依存や伝統的な食文化の危機などが指摘されております。さいたま市では、健全な食生活を実践し、さらに、学校における食育を充実させるため自校方式の給食を進めてきましたが、本年7月から自校方式の給食が全ての市立小・中学校で提供されるようになります。さいたま市は自校方式の給食を通じて、日本一笑顔あふれる給食、日本一安全でおいしい給食を実現してまいります。また、地元シェフによる学校給食は児童生徒に好評を得ておりますので、引き続き実施してまいります。新鮮で安全・安心な地場の食材を学校給食に活用することや、学校教育ファーム等の体験学習を通して、児童生徒の地域や食への理解を深め、食生活が多くの人々の苦労や努力に支えられていること、そして食料の生産に携わっている方々への感謝する気持ちを育んでまいります。

本市は、コミュニケーション能力を強化し、グローバル人材を育成するために、英語教育にも力を注いでまいります。さいたま市では、平成17年に教育特区の認定を受け、小学校5年生から「英会話」を実施するなど、英語教育にも力を入れ、これまでも先進的な取組を推進してきました。国においては、平成25年12月に「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を新たに策定し、小学校中学年からの英語教育の開始などに取り組む方針を公表しています。今後、本市では、国際感覚や英語による発信力などの基礎づくりを行うため、指定都市初となる、小学校1年生からの教科としての新しい英語教育を推進してまいります。平成27年度より、研究開発モデル校を設定し、小学1・2年生にも英語の授業を始めることとなりますが、この取組は国からも高く評価をされ、積極的な支援を約束いただいたところであります。また、市立高等学校では、「国際バカロレア」の認定に向けた取組や、海外研修を通じて、グローバル人材を育成するための海外交流支援事業を推進し、魅力ある学校づくりに引き続き取り組んでまいります。

また、さいたま市では、市内及び近隣の大学の連携組織として設立された「大学コンソーシアムさいたま」と包括協定を結び、相互の人材、施設、情報等を活用しながら、幅広い分野において大学との連携事業を行っております。昨年11月には、「第4回学生政策提案フォーラムinさいたま」を開催し、9大学11チームから本市への政策提案がありました。前例に囚われない視点で、日常生活に根差した素晴らしいアイデアとプレゼンテーションでありました。今後は、学生が、提案内容について情熱をもって実際に現場へ行き、試行錯誤とブラッシュアップを繰り返していくことが大切ではないかと考えております。大学は地域の知の拠点であり、その施設や教員、学生は地域の貴重な財産であります。今後も本市と大学が連携してモデル事業を展開するなど、未来の課題を共に解決していきたいと考えております。

地域の課題に対しては、行政単独では解決できない場合がある一方、市民だけで解決できない場合も存在します。そうした時に互いの不足分を補い、共に協力して課題解決に向けて取り組むことが大切だと考えておりますので、引き続き市民との協働も積極的に推進してまいります。地域社会の中で子どもたちを心豊かで健やかに育む「チャレンジスクール」では、平成25年度は、延べ44,895人のボランティアの皆さんの協力により、延べ163,102人の子どもが参加し、子どもたちやボランティアの皆さんから参加してよかったとの好評をいただいております。また、PTAや地域の皆さんと連携し、子どもを見守る「学校安全ネットワーク」を推進しております。本市では、住みやすいまちを築くため、さまざまな分野で、パートナーである自治会やボランティア、NPO、企業の皆さんとともに、連携を強め、協働しながら、地域の課題を解決してまいります。

そして、「市民局」に「市民協働推進課」を設置し、市民活動の支援やNPO法人の認証認定など、市民協働の更なる推進を図ってまいります。また、併せて「スポーツ文化局」を設置し、本市の進める重要なスポーツ文化イベントが円滑かつ着実に実施できるよう体制を整備してまいります。

また、本市では、文化芸術都市の創造に向けて策定した「さいたま市文化芸術都市創造計画」の重点プロジェクトである国際芸術祭「さいたまトリエンナーレ2016」を平成28年度に開催いたします。現在、「未来の発見!」という開催テーマのもと、市民がアーティストと協働し、文化芸術を通じて生活の中から未来を探していくという、本市らしさを活かした市民参加型の芸術祭を計画中であります。平成27年度は、プレイベントを順次開催し、気運の醸成を図るとともに、市民の文化活動への支援や文化芸術に携わる人材の育成にも力を注ぎ、文化芸術都市さいたま市の創造を目指してまいります。

次に、環境未来都市の実現についてであります。

昨年12月、市民活動による「未来遺産・見沼たんぼプロジェクト推進委員会」の取組が、日本ユネスコ協会連盟の100年後の子どもたちに伝えるべき「未来遺産」に登録されました。さまざまな市民活動団体が活躍している本市におきまして、大都市の中にある自然を守ろうという一つの目標に向かって一致団結する活動が評価されたことは大変素晴らしいと感じております。見沼田んぼをステージに「日本一の桜回廊」を実現していくことと併せて、農業振興にも取り組みつつ、見沼田んぼの魅力を全国に発信し、都市と自然が共存する本市のすばらしさを広くPRしてまいります。

美しい風景と古い歴史を残していく一方で、最先端の環境分野にも取り組んでまいります。昨年9月、世界初となる「パッケージ型水素ステーション」を本市とホンダ、岩谷産業株式会社が共同で東部環境センターに設置しました。この水素ステーションでは、ゴミ発電による電力を使用し、水素を製造しておりますが、さまざまな再生可能エネルギーによる水素生産も可能となっております。エネルギーの地産地消を可能とするシステムが、世界に先駆けて本市からスタートいたしました。本市では、これまでもEVの普及施策、水素社会の実現に向けた施策、地球温暖化対策など全国的にも先進的に取り組んできております。これからも、低炭素でエネルギーセキュリティの確保された環境未来都市の実現を目指して、水素ステーションの整備や、燃料電池自動車導入補助制度を創設してまいります。「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」の開催を踏まえ、浦和美園地域において、地域のエネルギーの最適化や新たなコミュニティサービスを創出し、地域に提供する「(仮称)アーバンデザインセンターみその」を産学公連携により、開設いたします。これを起爆剤として、浦和美園地域のブランディングを加速度的に向上させてまいります。そして、「世界に通じるスマートシティ・モデル」として構築すべく、民間企業の活力も活用し、全力で取り組んでまいります。

次に、健幸都市づくりについてであります。

昨年、本市中央区の百井 盛さんが男性世界最高齢者として、ギネス世界記録に認定されました。同時期に厚生労働省より発表された、健康寿命については、さいたま市は浜松市、静岡市に次いで、指定都市第3位となりました。さらに、健康で、長生き、幸せなさいたま市をつくりたいと考えております。

高齢化・人口減少社会が到来しても地域住民が身体面の健康だけでなく、生きがいを感じ、安心安全で豊かな生活を送れるよう、「スマートウエルネスさいたま」の実現に向け、全庁、全市を挙げて取組を強化してまいります。「歩く」を基本に、「体を動かす、動かしてしまう」まちづくりを推進するため、歩数計と体組成計で身体の状態などを見える化する健幸サポート事業により、市民の健康づくりを支援するシステムを構築してまいります。併せて、健康マイレージの制度設計を進めるとともに、スマートウエルネス推進月間を設定し、楽しく歩きながら健康づくりが実現できる取組を推進してまいります。

自転車には、空気を汚さず、楽しみながら健康づくりができるなどの魅力があります。身近な移動手段として利用される一方で、交通ルールが、必ずしも市民に浸透していないと実感しております。交通事故を防止する観点から、自転車施策を体系的に取りまとめた「自転車まちづくりアクションプラン」を策定し、コミュニティサイクルの地域拡大やレクリエーションルートの策定などを検討し、安全で元気な自転車のまちに向けた取組を進めてまいります。また、一昨年、昨年に続き「さいたまクリテリウム」を継続開催してまいります。「さいたまクリテリウム」は、日本に自転車文化の種を蒔くという思いをもって、本市の自転車まちづくりや、スポーツ振興を象徴するイベントとして実施してまいりました。来年度におきましても、世界トップクラスの選手によるツール・ド・フランスの感動と自転車の楽しさを、さいたま市のみならず、全国、世界に発信してまいります。そして、「スポーツのまち さいたま」、「世界的な自転車のまち さいたま」として都市イメージの向上を図るとともに、地域経済の活性化、日本の自転車文化の醸成に貢献してまいります。

手軽に始められるスポーツとして、マラソンの人気がますます高まっております。何か月もかけてトレーニングを積み重ね、完走したときの達成感は、マラソンの魅力であります。成長戦略の「スポーツ観光・産業都市戦略」の中で、さいたまシティマラソンのフルマラソン化を掲げておりますが、オリンピックや世界陸上の選考レースとなります国際女子マラソンとともに、計画を1年前倒しして、平成27年度より市民フルマラソンを同時開催してまいります。

高齢者の皆さんが社会的役割を持つことは、生きがいや介護予防につながります。就業の場の提供、グループ活動やボランティア、学習活動の支援を行うことで、高齢者の社会参加についても積極的に取り組んでまいります。私は、医療や健康の情報化を進め、データに基づく分析や施策効果を検証する体制を整備してまいります。プラチナ世代のヘルスリテラシーを向上させ、健康長寿日本一を目指してまいります。そして、それらを推進していくために、保健福祉局内に「いきいき長寿推進課」を設置し、介護予防や認知症高齢者支援等、地域包括ケアシステムの構築に向け、実施体制の強化を図ってまいります。

また、医療の充実にも取り組んでまいります。

市内唯一の市立病院であるさいたま市立病院は、第2次救急医療を担っておりますが、平成30年度建て替えに合わせて救命救急センターを設置し、救急医療を強化してまいります。また、さいたま赤十字病院やさいたま北部医療センターも建て替えにより機能が強化されます。これからの数年で老朽化した市内中核病院の機能更新が完了します。市民の皆様に1日でも早く最先端の医療を提供できるよう取り組んでまいります。健康で長生きできる暮らしを応援する予防体制といざという時の安心を確保する救急医療の体制を整えることで、市民の皆様が住んでよかったと思えるまちを実現してまいります。

我が国は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に、2,000万人の訪日外国人の受け入れを目指しています。さいたま市もインバウンド対策や全国から訪れる観光客へのおもてなし、MICEの誘致推進に取り組んでまいります。そのため、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」を見据えて、都市戦略本部内に、「オリンピック・パラリンピック部」を設置し、全市を挙げた取組を進め、海外に向けても本市の魅力を発信してまいります。

昨年10月の「2014 ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム presented by ベルーナ」では、本場から自転車文化をもたらす一方で、ツール・ド・フランスに参加した国際色豊かな有力選手たちは、氷川神社での厳かな巫女舞や女子高生たちによる書道パフォーマンスなどの日本文化を世界中へと持ち帰っていきました。さいたまクリテリウムやマラソン大会、さいたまトリエンナーレ、世界盆栽大会、東京オリンピック・パラリンピック等の国際的イベントを通じて、今後も、日本と世界の交流の一翼をさいたま市が担ってまいります。北陸新幹線や上野東京ラインの開業により、本市の訪問客数の増加が期待されますが、より多くの鉄道利用者にも下車をしていただけるよう、北陸地方を含めた東日本の各地と連携した企画を打ち出し、訪問客を一層増やしていく取組を積極的に行ってまいります。そのために、経済局を、「商工観光部」と「農業政策部」に再構築するとともに、「観光国際課」を設置し、その直下に「世界盆栽大会係」を設置します。そして、海外からの誘客のための受け入れ環境づくりや、地域資源を活用した観光事業を一体的に推進してまいります。来月には、さいたま観光国際協会が、パリにて期間限定のアンテナショップを展開し、「大宮盆栽」の技術の高さを海外にてPRしてまいります。

さらに、円安の効果により、増加している訪日外国人観光客をさいたま市に呼び寄せて滞在していただくためにも、世界規模のネットワークを持つ国際シティホテルの誘致に着手してまいります。 

昨年12月、急速な少子高齢化の進展に対応するために、まち・ひと・しごと創生法が制定されました。これを受けまして、本市においても、「地方版総合戦略」等の策定を通じて、さいたま市の成長につなげるための取組を進めるとともに、地域経済の活性化を図り、元気な地域づくりを推進してまいります。

また、公共施設の老朽化に対応するために、公共施設マネジメント基金を設置するとともに、PPPやPFI等の活用、公共施設の長寿命化のための予防保全にも取り組むなど、「公共施設マネジメント計画・第1次アクションプラン」を本格的にスタートさせ、これからの100年を見据えた重要な第一歩を踏み出してまいります。

地域が自らの発想と創意工夫により課題の解決を図るためには、地方分権改革の推進が必要となります。本市が目指す特別自治市の実現のためにも、他の指定都市と連携し、国から地方への権限移譲や規制緩和に向けて働きかけてまいります。

私は、誰もが住みやすいと思えるまちをつくるために、市民の皆さんとともに、「責任と共感・共汗」、「徹底した現場主義」、「公平・公正・開かれた市政」を堅持しながら、さいたま市の良さや強みを活かした取組を実行してまいります。

平成27年度予算編成等

―着実な実行に向けて―

平成27年度予算につきましては、今申し上げた私の想いをもとに、総合振興計画の後期基本計画を推進するとともに、しあわせ実感都市を実現するための「しあわせ倍増プラン2013」と「選ばれる都市」を実現するための「成長戦略」を着実に推進する予算として、編成をいたしました。

歳入の根幹をなす市税収入の増収が見込まれるものの、歳出予算では、社会保障関連経費の増加等により、厳しい予算編成作業でありました。そのような中で、徹底した行財政改革を進め、コスト削減と財源の確保を図りました。

この結果、一般会計予算は、4,560億円、対前年度比 1.9%の減となりました。

また、特別会計予算総額は、3,233億円、企業会計予算総額は、1,215億円、全会計予算総額は、9,008億円となったところであります。

以下、平成27年度の主な事業等について、申し上げます。

まず、子育てが楽しいまちづくりについてであります。

家庭環境の多様化や地域のつながりの希薄化など、子育て中の家庭を取り巻く環境は年々厳しくなっております。乳幼児を持つ子育て家庭の不安や子育ての負担感の軽減を図るために、子どもが健やかに育ち、子育て家庭が安心して、ゆとりをもって子育てができるまちを目指してまいります。本年4月から施行される「子ども・子育て支援新制度」を円滑に実施し、施設整備による保育の受け皿の量的拡大とともに、質の改善を図りながら早期に待機児童の解消を目指してまいります。また、子どもや子育て家庭を総合的に支援する中核施設として、平成29年度中の開設を目指し(仮称)さいたま市子ども総合センターの建設工事に着手してまいります。

次に、健康で元気あふれるまちづくりについてであります。

高齢者の皆さんが、いつまでも元気で活動的に輝き続けるプラチナ世代として、健康で活躍できる環境づくりを推進し、健康長寿を支援するために、公共施設等を無料又は割引料金で利用できるアクティブチケットの交付や介護、福祉、医療等の相談を受け付ける地域包括支援センターの機能を強化してまいります。

また、市民の皆さんに安心して暮らしていただくため、防災を明確に意識した都市づくりを推進する防災都市づくり計画を策定してまいります。さらに、防災ガイドブックを作成し、全戸に配布することで、防災意識を高めてまいります。そして、災害が発生した際に避難場所となる学校体育館等の非構造部材の耐震化やバリアフリー化を引き続き実施してまいります。さらには、(仮称)緑消防署等複合施設の建設工事を実施し、消防力を強化してまいります。

次に、都市基盤整備に関する事業についてであります。

本市の都心・副都心につきましては、都市基盤の整備が着々と進められております。大宮区役所新庁舎では、県大宮合同庁舎敷地の取得に伴い、県に対する機能補償を実施してまいります。さらに、民間活力を活用し、スピード感とコスト意識をもって整備を進めてまいります。また、さいたま新都心地区では、交通拠点性の機能を高めるため、長距離バスターミナルの整備に向けた基本計画を策定してまいります。そして、浦和美園地区では、浦和美園駅東口駅前にコミュニティセンター、図書館、支所、教育相談室、拠点備蓄倉庫等からなる複合公共施設が開館いたします。岩槻駅周辺地区では、岩槻歴史街道の検討を市民との協働により推進し、与野本町駅周辺地区では、まちづくりマスタープランに基づき、施策の具体的な検討を進めてまいります。

さらに、市民の皆様から要望の高い暮らしの道路・スマイルロードの整備事業を拡大し、道路環境を改善してまいります。重要なインフラである下水道施設の老朽化対策や橋りょうの長寿命化修繕も進めてまいります。また地震防災対策を強化するため、緊急輸送道路閉塞建築物等の耐震化への助成を拡大してまいります。

次に、地域経済の活性化を基軸として、多様なイノベーションを創出する事業についてであります。

今まで以上に活気あるまちづくりを実現するため、市内の中小企業の経営基盤強化、創業者の育成、女性の起業等を総合的に支援してまいります。併せて医療ものづくり、環境技術などの新産業育成や中小企業の国際展開なども支援してまいります。また、地域経済の活性化、雇用機会の創出、財政基盤の強化を目的として、戦略的な企業誘致を展開してまいります。商業活性化の新たな取組として、スポーツチームと連携し、来街者に対し商店街などに足を運んでいただくイベントなどを実施してまいります。また、さいたまるしぇも引き続き開催し、市内の「食」のブランド化を図り、観光客の拡大と地域経済の活性化を促進してまいります。そして、新たな交流機会の創出として、外務省との共催による駐日各国外交団視察ツアーを開催してまいります。

昨年は、市民の皆様の信頼を失うような事案が相次いで起こりました。今後、更なる綱紀粛正の徹底を図り、コンプライアンスの意識と自覚を再確認し、市政に対する信頼回復に努めてまいります。そのために、総務局総務部に「法務・コンプライアンス課」を設置し、法令実務とコンプライアンスを一体的に推進することで、コンプライアンス意識の向上と、管理体制のなお一層の充実強化を図ってまいります。そして法令遵守はもとより、先に述べた「(仮称)CS90運動」を展開していく中で、使命感、誠意、正確、スピード、スマイルなどをキーワードとした日常業務を積み重ね、経営改革を全職員一丸となって実践し、高品質経営市役所を目指してまいります。

結びに ―常に時流に先んずべし ―

トヨタグループの創始者・豊田佐吉氏の考え方をまとめた豊田綱領のひとつに、「常に時流に先んずべし」という一節がございます。この精神は、今日においてもすべての従業員、経営陣の精神的支柱となっていると伺っております。

21世紀を目前にした当時、世界の自動車メーカーでは、次世代のスタンダード技術を確立した企業こそ生き残りの権利を確保できるという大競争時代を迎えておりました。トヨタ自動車は、環境、安全、情報通信の三点をキーワードとして、新たな展開を見せ始めた時代の流れに先んじて、自動車産業こそ環境問題への取組の先端を走るべきとの信念の元、地球温暖化に直結する二酸化炭素の排出低減を最重要課題と位置付けました。そこで完成を前倒しして登場したのが世界初のハイブリッド車「プリウス」でありました。ラテン語で「~に先立って」という意味であり、環境を軸とする21世紀の自動車大競争に先駆けるという願いが込められた乗用車であります。

行政におきましても、都市間競争の時代を迎えております。少子化、高齢化、人口減少社会、公共施設の老朽化、私たちを取り巻く情勢は、多くの課題を抱えております。しかし、それらをそのまま受け入れるのではなく、世の中の趨勢に先んじて、対策を講じてまいります。さいたま市の良さや強みである「教育」「環境」「健康・スポーツ」、そして、地理的な優位性である「交通網の充実」「災害への強さ」を活かして、私はこれらの困難に立ち向かってまいります。

さいたま市の発展を目指していくスタンスは議員の皆様と同じ方向にあると考えております。私は、市民一人ひとりがしあわせを実感できる“絆”であふれるさいたま市、誰もが住んでいることを誇りに思えるさいたま市を、126万人の市民、事業者や団体の皆様と共に手を携えて、実現してまいります。

以上、平成27年度の市政に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げました。市民の皆様並びに議員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

今議会に提出いたしました議案は88件でございます。予算議案といたしまして、補正予算が15件、新年度予算が20件、また、条例議案が31件、一般議案が22件でございます。

何とぞ慎重なる御審議の上、全議案につきまして、御承認をいただきますようお願いを申し上げます。

 

平成27年2月4日

さいたま市長 清 水 勇 人

  補足 平成27年度施政方針については、以下のダウンロードファイルをご覧ください。

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