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さいたま市立病院/救急科
■診療科責任者
部長 芳賀 佳之
(慶應義塾大学医学部客員准教授、日本救急医学会救急科専門医、日本外科学会指導医、日本胸部外科学会指導医、感染制御医(ICD)、日本医師会認定産業医、ICLSコースディレクター、JPTECインストラクター)
■スタッフ
医師 角田 修(日本救急医学会救急科専門医)
我が国の救急医療は重症度により一次(初期)・二次・三次の階層に分けられ、三次救急医療は救命救急センターが、二次救急医療は一般の救急病院が担当してきました。しかし、昨今の医師不足は医療崩壊の大きな原因となっており、多数の救急患者を受け入れている二次救急病院では救急部門の機能維持が困難となっています。当院は二次救急医療機関に位置付けられていますが、重症外傷、重症熱傷を除くほとんどの傷病に対応しており、上に述べた一次〜三次の区分には当てはまらない機能を持っています。当院救急科では少数の救急医療スタッフで多数の患者の診療を行うため、救急医は診断・トリアージ(重症度判定)と初期治療に特化し、臨床各科が専門治療を引き継いでゆく「ER型」と呼ばれるシステムを採用しております。限られた人的資源で効率的に救急医療を行うために、こうした「ER型」救急病院は全国で増えつつあり、救命救急センターとは異なるコンセプトによる医療体制として注目されております。いわゆる「患者たらいまわし」を防ぐためにも、病態、重症度にかかわらず診療を行うER型の普及は望ましい傾向であるといえるでしょう。
当院の救急外来受診者総数1990年代半ばから一貫して上昇していましたが、この数年は上昇傾向が鈍り、年間患者数約20000人程度となっております(下図)。当院の救急車受入台数はさいたま市の二次救急医療機関中最も多く、年間約6000台となっています。心肺停止患者(CPA)の搬送件数は年間100〜120例ほどで、救命センターに比べると半数以下ですが、二次救急医療機関としては非常に多数であるといえます。
救急科は2001年5月に発足し、現在は専任医3名および研修医2名(平成22年度からは3名)の体制で平日日勤帯の救急外来受診者(小児科、産婦人科を除く)と院内で発生した救急事例の診療を担当しています。救急科の診療患者数は発足時の2001年度には年間768人でしたが年毎に増加し、2009年度には3000人を超える見通しです。当院はER型救急病院であるため、対象疾患の種類と重症度の範囲が広く、外傷など外因性疾患の多い救命救急センターとは異なり内因性疾患が多いのが特徴です(下表)。入院を要する救急患者の診療は救急科から臨床各科に引き継がれますが、急性薬物中毒、アナフィラキシーショック、重症敗血症、心肺蘇生後などについては救急科が引き続き入院治療も担当し、年間50人ほどの入院患者があります。
このように一般によくみられる疾患(common diseases)から心肺停止(CPA)まで広範囲の患者を数多く診療するため、当院救急科は臨床研修医の修練の場として一定の評価を獲得しています。また臨床研修医のみならず、大学医学部における医学教育の一環として年間を通して慶應義塾大学病院救急部からの学生臨床実習を受け入れています。さらに、さいたま市消防局の救急救命士の就業後研修も当院救急科において行われています。当院救急科は、次世代の医療を支える人材を育成することも地域の中核病院に課せられた重要な義務であると考え、医学教育機関としてもさらに体制を整備してゆく方針です。
当院救急科では心肺停止(CPA)となった患者に迅速に対応するため、当院および近隣の病院スタッフ、救急隊員を対象に救急蘇生法(日本救急医学会認定ICLSコース)の普及を図っています。さいたま市立病院主催のコースだけでも既に13回を数えており、今後ともコース開催を継続してゆきます。
救急科診療患者内訳 (2004年4月〜2009年3月)
総数
(%)
入院
転送
外傷
3806
35.9
552
35
消化器疾患
1008
9.5
489
5
脳神経疾患
820
7.7
541
7
循環器疾患
732
6.9
399
5
幻暈、頭痛
614
5.8
72
0
呼吸器疾患
480
4.5
296
4
感染症
430
4.1
177
3
意識障害
422
4
38
4
精神疾患
397
3.7
19
9
中毒
185
1.7
75
5
代謝性疾患
143
1.3
60
5
脱水症
142
1.3
54
3
尿路結石
124
1.2
5
0
アレルギー
88
0.8
24
0
窒息・溺水
62
0.6
25
0
体温異常
58
0.5
6
0
熱傷
42
0.4
3
1
その他
1047
9.9
213
16
合計
10600
100
3048
102
単位:人

