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更新日付:2022年1月1日 / ページ番号:C005979

検査対象となる主な細菌性疾病

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さいたま市保健所からの依頼により行っている病原体検査(細菌の分離・同定検査及び分離菌の精査)の対象となる細菌性疾病は以下のとおりとなっています。

腸管系感染症

コレラ

 コレラ毒素(CT)産生性コレラ菌(Vibrio cholerae O1 又はV. cholerae O139)による急性感染性腸炎です。
 潜伏期間は数時間から5日、通常1日前後です。軽症の水様性下痢や軟便で経過することが多いですが、まれに“米のとぎ汁”様の臭いのない水様便を大量に排泄し、激しい嘔吐を繰り返すこともあります。

細菌性赤痢

 赤痢菌Shigella dysenteriae、S.flexneri、S.boydii、S.sonnei)の経口感染で起こる急性感染性大腸炎です。
 潜伏期は1日から5日で、大多数は3日以内に発症します。発熱、下痢、腹痛を伴うしぶり腹(便意は強いがなかなか排便できないこと)、膿・粘血便の排泄などの赤痢特有の症状が現れます。症状は一般的に成人よりも小児の方が重くなります。

腸管出血性大腸菌感染症

 腸管出血性大腸菌感染症はベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli)に汚染された食品等を経口摂取することにより起こる感染症です。
 潜伏期は2日から10日程度で、症状は主に腹痛と下痢(水様便)で血便を呈することもあります。有症者の約5%で溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症等の重篤な合併症を併発します。

腸チフス

 チフス菌(Salmonella serovar Typhi)の感染による全身性疾患です。
 潜伏期間は7日から14日で、患者、保菌者の便や尿から感染します。39度を超える高熱が1週間以上も続き、バラ疹(胸腹部に現れる淡紅色の小指の爪大の発疹)、下痢などの症状を呈し、腸出血、腸穿孔を起こすこともあります。重症例では意識障害や難聴が起きることもあります。

パラチフス

 パラチフスA菌(Salmonella serovar Paratyphi A)の感染による全身性疾患です。
 臨床的症状は腸チフスに類似し、7日から14日の潜伏期間の後に38度以上の高熱が続きます。症状は腸チフスと比較して、軽症の場合が多いです。

感染性胃腸炎

 感染性胃腸炎は多種多様の病原微生物を原因とした消化器症状を起こす感染症の総称です。細菌性のものでは、病原性大腸菌、サルモネラカンピロバクター腸炎ビブリオ等が起因病原体となります。

呼吸器系感染症

結核

 結核は結核菌群(Mycobacterium tuberculosis complex、ただしMycobacterium bovis BCGを除く)による感染症です。
 主に肺結核患者から、気道を介した飛沫核感染により感染します。感染後数週間から一生涯にわたり発病の可能性がありますが、発病するのは通常30%程度です。
 多くの場合、肺の病変として発症(肺結核)しますが、胸膜、リンパ節、脊椎・その他の骨・関節、腎・尿路生殖器、中枢神経系のような、肺以外の臓器に病変をつくることもあります。肺結核の症状は咳、喀痰、微熱が典型的で、胸痛、呼吸困難、血痰、全身倦怠感等を伴うこともありますが、初期には無症状のこともあります。

レジオネラ症

 レジオネラ症Legionella pneumophilaをはじめとするLegionella属菌による呼吸器感染症です。
 病型は劇症型のレジオネラ肺炎と一過性および非肺炎型のポンティアック熱の2つに分けられます。レジオネラ肺炎の潜伏期は2日から10日程度で、症状は急性の発熱、悪寒、倦怠感等を呈しますが、人から人への感染は起こらないと言われています。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎A群レンサ球菌による上気道感染症です。乳幼児では発熱と咽頭炎、年長児や大人では発熱と扁桃炎が症状となることが多く、一部の人は全身に発疹を生じたり、気管支炎を起こしたりします。また、リウマチ熱や腎炎の原因になることもあります。

百日咳

 百日咳は百日咳菌(Bordetella pertussis)による呼吸器感染症です。
 潜伏期は5日から10日程度で、カゼ症状から始まり、次第に特有の発作性咳嗽を呈するようになります。カタル期、痙咳期、回復期と経過し、回復まで約2、3か月を要します。

マイコプラズマ肺炎

 マイコプラズマ・ニューモニエの感染による肺炎です。6歳から12歳の小児に好発し、小児では発生頻度の高い感染症の一つです。潜伏期は2週間から3週間とされ、飛沫感染します。頑固な咳と発熱が主な症状で、中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などの合併症を併発することもあります。

ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae(PRSP)感染症

 抗菌薬のペニシリンGに対して耐性のある肺炎球菌による感染症です。小児及び成人の化膿性髄膜炎や中耳炎で検出されます。その他、副鼻腔炎、心内膜炎、心嚢炎、腹膜炎、関節炎、まれに尿路生殖器感染から菌血症を引き起こすこともあります。

その他の感染症

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症
carbapenem-resistant Enterobacteriaceae(CRE)感染症

 メロペネムをはじめとするカルバペネム系薬剤及び広域β-ラクタム剤に対して耐性を示す腸内細菌科細菌による感染症です。主に免疫力の低下した患者や外科手術後の患者、抗菌薬を長期間使用している患者に対し、菌血症、敗血症、呼吸器、尿路等の各種感染症を引き起こします。

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症

vancomycin-resistant Staphylococcus aureus(VRSA)感染症

バンコマイシン耐性腸球菌感染症
vancomycin-resistant enterococci(VRE)感染症

 抗菌薬のバンコマイシンに対して耐性を示す黄色ブドウ球菌や腸球菌による感染症です。バンコマイシンの長期間投与を受けた患者から検出される可能性があります。主に悪性疾患など基礎疾患のある患者に、日和見感染症や術後感染症などを引き起こします。発熱やショックなどの症状を呈し、死亡することもあります。

多剤耐性緑膿菌感染症

multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa(MDRP)感染症

 広域β-ラクタム剤、アミノ配糖体、フルオロキノロンの3系統の薬剤に対して耐性を示す緑膿菌による感染症です。免疫力の低下した患者や、長期にわたり抗菌薬を投与されている患者に日和見感染します。敗血症や骨髄、気道、尿路、皮膚、軟部組織、耳、眼などにさまざまな感染症を引き起こします。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症

methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)感染症

 メチシリンや他の多くの抗菌薬に対し、多剤耐性を持つ黄色ブドウ球菌による感染症です。外科手術後の患者や免疫不全者、長期にわたり抗菌薬を投与されている患者などに日和見感染します。突然の高熱、血圧低下、腹部膨満、下痢、意識障害、白血球減少、血小板減少、腎機能障害、肝機能障害などの症状を示します。

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