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更新日付:2018年2月9日 / ページ番号:C058091

市長の部屋 さいたま市長 清水 勇人 絆をつなぐ

平成30年度施政方針

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平成30年2月6日開会の平成30年さいたま市議会2月定例会において、清水勇人市長が施政方針演説を行い、平成30年度の市政運営の基本的な考え方や主要な施策などについての説明を行いました。
その全文(議場に配付した内容)は、以下のとおりです。

※ 議場に配付した冊子のPDF版は、最下段のダウンロードファイルをご覧ください。

平成30年度施政方針 

議員各位には、平素から市政運営に御支援をいただき、心から感謝を申し上げます。
本日ここに、新年度に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げ、議員各位及び市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

1 はじめに

(振り返り:政令指定都市15周年、明治150年)

平成13年に誕生したさいたま市は、平成17年の岩槻市合併を経て、今や人口129万人に達し、「東日本を連結する対流拠点」にふさわしい、持続的に成長・発展し続ける大都市となってまいりました。
そして本年は、本市が政令指定都市に移行してから15年、また、我が国が近代国民国家への第一歩を踏み出した明治150年の節目でもあり、市長として、今日の発展の礎を築かれた先達の英知と汗に、感謝を申し上げる次第であります。
昨年5月の選挙では、多くの市民の皆様から御支援を賜り、3期目の当選を果たすことができました。私は、この「政令指定都市15周年」、「明治150年」を更なる市政の発展に向けての節目となるよう、市政の運営をより一層の決意と情熱をもって「市民の皆様とともに、さらに前へ」進めていかなければならないと考えているところであります。

(振り返り:政令指定都市移行からの成果)

この政令指定都市移行から、これまでを振り返りますと、総合振興計画はもとより、しあわせ倍増プラン等、様々な計画を着実に推進してきたことで、様々な分野で成果が出ております。 

初めに、環境・アメニティの分野であります。
本市では、これまで、見沼田圃を始めとした自然環境の保全や自然と共生しつつ、暮らしやすく活力ある都市として継続的に成長する「環境未来都市」の構築を目指してまいりました。
平成21年度からのE-KIZUNA Projectや、平成24年度からの「次世代自動車・スマートエネルギー特区」の取組などにより、次世代自動車などの普及促進や再生可能エネルギーの導入、自立・分散型エネルギーシステムの構築による、低炭素化とエネルギーセキュリティの確保、ICTを活用した「暮らしやすさ」の実現を図ってまいりました。
具体的には、昨年3月に、まちびらきを行った「スマートホーム・コミュニティ」や、民間力を活用した「ハイパーエネルギーステーション」の整備など、全国的にも先進的な取組を実現しております。また、昨年8月に招かれた、アメリカワシントンD.C.の国際会議において、私自ら、これまでの成果や、ICT技術を活用したスマートシティさいたまモデルについて発表し、先進的な取組を進める「さいたま市」という、本市のブランディングにもつながったものと考えております。

次に、健康・福祉の分野では、誰もが、生きがいを持って、安心して長生きしていけるよう「健幸長寿社会」を築く取組、いざというときのための「医療・福祉の充実」の取組、障害のある人が障害のない人と同じように生活を営める社会をつくり上げるという「ノーマライゼーション」の理念に基づいた取組等を進めてまいりました。また、「子育て楽しいさいたま市」の実現を目指し、誰もが安心して子どもを産み育てることができるよう親と子の絆を深める子育て支援をしてまいりました。
具体的には、健康寿命を伸ばし、市民一人ひとりが「健幸」に暮らすことを目指し、「スマートウエルネスさいたま」の取組等を通じ、平成28年度には健康マイレージの本格実施を始めたところです。また、超高齢社会では、認知症の方や重度の要介護者の増加が懸念されることから、「地域包括ケアシステム」の構築を進めてまいりました。
そして、市立病院、さいたま赤十字病院、さいたま北部医療センターの建設・拡充等、医療体制の整備や、平成23年3月に全国の政令指定都市に先駆けて通称「ノーマライゼーション条例」を制定し、障害のある人もない人も誰もが共に暮らすことのできるまちづくりを進めてまいりました。
子育て支援につきましては、具体的には、平成21年度からの8年間で、認可保育所等の定員を10,503人から19,388人に増やし、平成29年4月に旧定義での待機児童ゼロを達成いたしました。これに伴い、保育士確保や保育の質の向上の取組も強化いたしました。また、保育サービスについて情報提供を行う保育コンシェルジュの全区配置や、一日保育士・幼稚園教諭体験やパパサンデー、孫育て講座などを行ってまいりました。
さらに、妊娠期から出産前後の様々なニーズに対応するため、「妊娠・出産包括支援センター」を全区に拡大するとともに、「子ども家庭総合センター」の開設に向けて取り組んでまいりました。 

次に、教育・文化・スポーツの分野のうち、教育につきましては、これまで、学校・家庭・地域の教育力の強化と連携を高めるとともに、子どもたちの状況を踏まえたきめ細かな支援を行ってまいりました。
具体的には、昨年で10回目の実施となる「全国学力・学習状況調査」では、「教科に関する調査」において、調査開始以来、小・中学校ともに、常に全ての実施教科で全国の平均正答率を上回る結果となっており、平成29年度の調査結果では政令指定都市でトップレベルとなっております。また、「将来の夢や目標を持っている。」、「学校に行くのは楽しいと思う。」などの生活習慣に関する質問項目では、全国と比べて肯定的な回答の割合が高くなっております。特に、「自分には、よいところがあると思う。」という質問項目について、肯定的な回答をした中学3年生の割合が80.8%にのぼり、全国平均を約10ポイントも上回る結果となっております。この結果は児童生徒の努力はもとより、学校や地域の連携や協力、教育委員会が独自に展開している教育施策の成果だと考えております。
そして、市立高等学校における「特色ある学校づくり」を進め、市立浦和高校では併設型中高一貫教育の推進、大宮北高校では平成28年度から文部科学省によるスーパーサイエンスハイスクールの認定を受けるなど、各市立高等学校の強みを生かした取組を進めてまいりました。
文化につきましては、これまで、文化芸術都市さいたま市の創造を目指してまいりました。平成23年度に「さいたま市文化芸術都市創造条例」を制定するとともに、その象徴的・中核的な事業として、「さいたまトリエンナーレ2016」を開催しました。参加人数は64,061人、来場者数は363,273人となり、多くの方に文化芸術の魅力を知っていただく機会となりました。
そして、本市は、日本で唯一の公立の盆栽美術館を有しております。昨年4月には、本市では28年ぶりとなる「第8回世界盆栽大会」がさいたまスーパーアリーナをメイン会場に開催されました。来場者数は約12万人を数え、盆栽美術館もサブ会場として他の会場と連携しながら、国内外そして世代を超えた来場者に盆栽の魅力を広く伝えることができたと考えております。また、これを一つの契機として、「さいたま国際盆栽アカデミー」を開講し、盆栽に関する人材育成と技術の伝承を進めているところです。
スポーツにつきましては、スポーツが持っている多様な力をまちづくりに生かしていこうと、「する」、「みる」、「まなぶ」、「ささえる」といった機会や場を増やすこと等を通じて、「日本一スポーツで笑顔あふれるまち」を目指してスポーツ施策に取り組んでまいりました。
具体的には、平成23年度に策定した「さいたま市スポーツ振興まちづくり計画」の下、「スポーツもできる多目的広場」の整備等様々な関連事業を行いました。その結果、平成23年度において、38.3%であった「成人である市民の週1回以上のスポーツ実施率」が、平成29年度において、60.9%まで増加いたしました。
また、スポーツを地域経済の活性化に活用していこうと、全国初の自治体主導のスポーツコミッションを平成23年度に創設し、平成28年度末までに、「世界フィギュアスケート選手権大会」など、多くの誘致実績をあげ、「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」などの主催・共催事業を含めた累計件数は211件となっており、その経済効果は、累計約440億円、さいたま国際マラソンの経済効果を加えると約516億円にものぼるものとなっております。 

次に、都市基盤・交通の分野では、本市が交通の要衝としての強みを強化するために、広域的な鉄道、道路等の交通網の拡充及び都市機能の高度化を進めてまいりました。
具体的には、交通網の拡充といたしましては、新大宮上尾道路の延伸に向けた取組や、市内の東西道路の整備、鉄道網としては、地下鉄7号線延伸への取組を進めてまいりました。
また、本市の都市構造を実現するための2都心4副都心を核とした多核ネットワーク型都市づくりにつきましては、これまで、浦和駅周辺では、鉄道高架化と東西連絡通路、浦和駅東口駅前交通広場が整備され、本年3月には、浦和駅西口中ノ島地下通路が開通いたします。さいたま新都心では、北袋町1丁目土地区画整理事業が完了する予定となっております。
そして、大宮駅周辺につきましては、大宮駅周辺地域戦略ビジョンに基づき、西口第四地区の土地区画整理事業、第3-B地区の再開発事業や、東口の大宮区役所の移転建替え、大門町2丁目中地区再開発事業、氷川緑道西通線の整備など、着実に事業を進めてきております。
また、4副都心につきましては、みそのウイングシティにおいて都市再生機構が施行する2地区の土地区画整理事業が完了するとともに、武蔵浦和駅周辺地区においても第1街区、第3街区の再開発事業が相次いで竣工いたしました。さらに、岩槻駅の橋上化や日進駅南口の駅前広場等が完成するなど、まちづくりを着実に前に進めてきたところです。 

次に、産業・経済の分野では、本市の特性を生かした産業振興を進め、ビジネス面での拠点機能の強化に取り組んでまいりました。
具体的には、地域経済の活性化を図るため、若手農家やレストラン、種苗会社、流通業者等が一体となったさいたまヨーロッパ野菜研究会が発足し、産・官・民・学連携による高付加価値の新たな農業事業展開を行い、現在は、他の農産物も含めて、市内学校給食にも展開しております。併せて、企業特性を生かす新産業育成プロジェクトとして成長分野である医療・ヘルスケアへの参入と産業創出を目的に「医療ものづくり都市構想」を策定し、推進してまいりました。その結果、ドイツ・バイエルン州の医療分野とメカトロニクス分野の2つのクラスターと経済交流覚書を締結し、グローバルニッチトップを目指す企業の支援を行っております。また、企業立地や集積の促進では、カルソニックカンセイ株式会社やクラリオン株式会社などの本社機能の誘致が実現し、地域経済の活性化に寄与しております。 

次に、安全・生活基盤の分野では、広域的な防災力、全市的な防災力、身近な地域の防災力の3つの強化を図るとともに、安全を確保し、市民生活を支えるための取組を進めてまいりました。
具体的には、広域的な防災力の強化では、「国土形成計画 首都圏広域地方計画」における本市の役割の成果として、国土交通省関東地方整備局及び日本大学法学部と、平成28年度に協定を締結し、本市が災害時の緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)の進出拠点となりました。
全市的な防災力の強化では、同じく平成28年度に佐川急便株式会社と「災害時等における支援物資輸送拠点としての協力に関する協定」を締結し、本年1月には国土交通省との共催による実働訓練により、物資の受入から避難所への配送体制を検証しました。また、様々な危機事案にいち早く対応できるよう、危機管理センターを整備し、広域拠点備蓄倉庫を新設するなど、災害に強いまちづくりに取り組んでまいりました。
そして、身近な地域の防災力では、「防災アドバイザー」を育成・活用した「地区防災計画」の策定支援、市内41か所の「身近な地域の防災拠点」の整備を進めました。 

次に、交流・コミュニティの分野では、低下傾向にある地域コミュニティを再構築するため、自治会への支援を拡大するとともに、チャレンジスクール、スクールサポートネットワークの推進、マッチングファンド制度の導入等を行い、市民活動の支援に取り組んでまいりました。
また、産・官・民・学の協働によるまちづくりを進めるため、浦和美園地区と大宮駅周辺のまちづくりを進める、「アーバンデザインセンターみその」及び「アーバンデザインセンター大宮」を設置しました。

次に、行財政改革では、行財政改革推進プランを策定し、「見える改革」、「生む改革」、「人の改革」の3つを基本目標として、切れ目のない改革に積極的に取り組んだ結果として、平成22年度からの7年間の財政的効果は、累計で約1,320億円にものぼるものとなっております。
「見える改革」では、情報公開につきまして、全国市民オンブズマン連絡会議が評価した全国情報公開度ランキングでは、平成21年度は政令指定都市中最下位でありましたが、予算編成や政策決定など意思決定に関する議論の過程を公開するなどした結果、平成24年度には1位となりました。
また、区役所窓口の休日開設などの区民サービスの向上に取り組んだ結果、平成28年度に来庁者を対象に実施した「区役所窓口サービス向上のためのアンケート」では、97%の方が満足との高い評価をいただいております。
「生む改革」では、大宮区役所や大宮国際中等教育学校の整備などにおいて、PFI等の積極的なPPP手法の導入を図るなど、歳出改革を推進するとともに、市税等の収納率の一層の向上や広告掲載による自主財源の確保を図ってまいりました。
「人の改革」では、平成22年度から実施した一職員一改善提案制度において、平成24年度以降、毎年1万件を超える改善の取組がなされ、改善・改革を日常的に実施する組織風土が着実に定着してまいりました。また、「働きがい」を感じている職員の割合は、平成22年度では64%でありましたが、平成29年度には77%に上昇し、やりがいと誇りをもったモチベーションの高い職員の割合が増加するなど、「改革」は年を追うごとに進んでおります。

(市内外からの評価)

このような取組の結果、財政力指数、自主財源比率、実質公債費比率、将来負担比率、市民一人当たりの市債残高で政令指定都市の中でもトップレベルであり、財政の健全性を維持してまいりました。平成28年中の人口増加数についても全国の政令指定都市で第3位、企業の本社数も平成18年から10年間に61社増加し、これも政令指定都市で第3位となりました。一昨年の日本総合研究所の指定都市幸福度ランキングにおきましても、全国20の政令指定都市の中で、本市は幸福度1位の評価をいただきました。
また、国からも、平成28年3月に国土交通大臣が決定した「国土形成計画 首都圏広域地方計画」の中で東日本の対流拠点と位置付けられたことは、本市の優位性である「交通の利便性」、「災害への強さ」、そしてそれらを踏まえた本市の「東日本の中枢都市」を目指す取組が評価されたものと認識しております。
そして、市民意識調査の結果では、さいたま市を「住みやすい」と感じている方は、調査を開始した平成19年度の74.0%から上昇基調にあり、本年度は83.4%に達し、「今住んでいる地域にこれからも住み続けたい」という定住の意向をお持ちの方も、82.9%にのぼり、平成19年度以降概ね8割を超える水準で推移しております。
これらの評価は、私一人の力によるものではありません。本市誕生以来の先人を含め、議員各位、市民・企業・団体の皆様、職員が、それぞれの立場で、ともに地域の課題を考え、行動していただいた賜物であると、心から感謝申し上げます。

2 運命の10年2021年の先の新たなステージへ

先月8日に、さいたま市の未来を担う青年の新しい人生の門出を祝福する平成30年成人式が開催されたところであります。
さいたま市も、3年後の2021年で誕生から20年を迎えることとなります。
さいたま市誕生からこれまでは、旧4市が育んできた都市ブランドや文化を大切にしつつ、“絆”で結ばれた一つの都市として、また政令指定都市として成長していくための礎を築いてきた期間であったと認識しています。
私は、年頭の記者会見で、今年の抱負を「展」の1文字で表しました。今後は、誕生から20年が経ち、成人期を迎える成熟したさいたま市として、本市を中長期的に「展」望し、様々な計画を「展」開し、新たなステージに発「展」していくことが必要と考えております。
そのためには、この3年間で今までを振り返り、新たなステージを迎えるまでの間で「必要なこと」、「準備しなければならないこと」、「やり残したこと」をしっかり行ってまいります。
そして同時に、この期間に2021年以降の新たなさいたま市の姿、ビジョンについてもしっかりと描いてまいりたいと考えております。
本年は、このような取組にかかるスタートの年でありますので、こうした目標に全力で取り組んでまいります。

(今後のさいたま市の課題)

先ほど申し上げたように、これまでのさいたま市は順調に成長・発展してきたところですが、今後は、少子高齢化の急速な進展や、公共施設の老朽化も進んでまいります。また、社会保障関連経費等の増大により、財政運営も厳しさを増すことが見込まれます。高齢の単身世帯など核家族化の増加などによるコミュニティ力の低下などの課題もあり、本市を取り巻く環境は今後大変厳しくなっていくと予測されます。 

(さいたま市が目指す方向性:「運命の10年」-しあわせを実感できるまち、誇りに思えるまち)

私は、このような課題を克服し、将来も成長・発展していくためには、本市が人口のピークを迎える2025年頃までのおよそ10年、この「運命の10年」こそが、本市が持続的に成長・発展を続けるために大切な期間であると認識しております。
この期間に「市民一人ひとりがしあわせを実感できる“絆”で結ばれたさいたま市」、「誰もが住んでいることを誇りに思えるさいたま市」づくりを展開してまいります。
そして、「運命の10年」のうち、すでに約3年が経過した今は、「2021年の先の新たなステージ」に向けて発展していくために、ビジョンを創造し、その土台をしっかり構築していく時期であると考えております。このため、積極的な投資を行い、更なる発展につなげてまいります。

(さいたま市が目指す方向性:上質な生活都市、東日本の中枢都市)

私は、「市民一人ひとりがしあわせを実感できる“絆”で結ばれたさいたま市」を実現するためには、交通の要衝、災害に強いという2つの優位性、教育、環境、健康・スポーツの4つの強みを最大限に生かした具体的な都市像として、「上質な生活都市」づくりが必要と考えております。こうした都市づくりに向けて、市民一人ひとりがしあわせを実感できるための事業をとりまとめた「しあわせ倍増事業」と、高品質な市役所への転換をさらに進めるため、働き方改革などを盛り込んだ「高品質経営プログラム」からなる「しあわせ倍増プラン2017」を策定しました。
また、「誰もが住んでいることを誇りに思えるさいたま市」を実現するためには、2つの優位性と4つの強みを最大限生かした具体的な都市像として、「東日本の中枢都市」づくりが必要と考えております。こうした都市づくりに向けてさいたま市がブランド力を高め、成長・発展していくための事業をとりまとめた、「さいたま市成長加速化戦略」を策定しました。
私は、総合振興計画を始めこれらのプランや様々な施策をスピード感をもって実行していくことにより、129万人の市民、事業者や団体の皆様と手を携えて、「市民一人ひとりがしあわせを実感できる“絆”で結ばれたさいたま市」、「誰もが住んでいることを誇りに思えるさいたま市」を実現してまいります。

3 平成30年度予算案の概要
-2021年の先の「新たなさいたま市の創造」に向けた「展開予算」-

平成30年度当初予算につきましては、今申し上げた基本的な考え方の下、2021年の先の「新たなさいたま市の創造」に向けた「展開予算」として編成いたしました。
具体的な特徴としましては、第1に、「しあわせ倍増プラン2017」、「さいたま市成長加速化戦略」等の計画を推進する予算、第2に、本市の将来を見据えた積極的な投資を行う予算、第3に、真の東日本の中枢都市としての地位を確立するための予算、そして、第4に、市民の「健幸」を推進するための予算として、編成したところであります。
この結果、一般会計予算総額は対前年度比4.6%増の5,545億円、特別会計予算総額は3,087億円、企業会計予算総額は1,306億円となり、全会計予算総額は9,938億円となり、本市誕生以来最大の予算規模となりました。 

4 平成30年度の主な事業等

それでは、以下、平成30年度の主な事業等について、申し上げます。 

1 環境・アメニティ

初めに、「環境・アメニティ」に関する施策であります。
地球温暖化対策は、本市としても、温室効果ガス排出量を削減するため、市民・事業者・行政が一体となり、社会・経済情勢の変化や技術革新に対応した先進的な環境施策を展開することで、市民が安全・安心に生活できる、低炭素でエネルギーセキュリティの確保されたまちづくりを進める必要があります。
このため、災害時も踏まえた平時からの資源の循環利用やエネルギーの有効活用、再生可能エネルギーの導入や低炭素化の取組等を促進してまいります。
具体的には、サーマルエネルギーセンターの整備に取り組むほか、住宅や自治会館等の公益的施設に、太陽光発電設備などの創エネ・省エネ機器を設置する一定の要件を満たした市民や団体に対し、費用の一部を補助してまいります。
また、電気自動車(EV)に加え、燃料電池自動車(FCV)など、次世代自動車の普及を促進するほか、浦和美園地区を中心として、総合特区制度を活用し「徹底的な低炭素化」、「エネルギーセキュリティの確保」、「誰もが自由に移動できる手段の確保」を、「公民+学」による連携を更に強化して取り組み、「暮らしやすく、活力ある都市として、継続的に成長する環境未来都市」を更に向上させてまいります。
そして、本市の市街地は見沼田圃や荒川を始めとした水とみどりに囲まれた都市構造になっており、河川やそれに沿って広がる緑地等は首都圏の環境インフラとして貴重な資産となっています。
そこで、首都圏に残された貴重な大規模緑地空間である見沼田圃を保全・活用・創造してまいります。
具体的には、見沼田圃基本計画アクションプランを着実に推進するとともに、活用につながる取組の充実と情報発信力を強化してまいります。

 2 健康・福祉

次に、「健康・福祉」に関する施策であります。
本市の高齢者人口は今後も増加が続くと見込まれます。平成29年10月の高齢化率は22.6%であり、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年には、23.8%に達する見込みです。
このような超高齢社会でも高齢者が益々「健幸」で「活躍」するための事業が重要と考え、誰もが生涯活躍できる「健幸長寿社会」を創造すべく、昨年秋に長寿応援部を新設いたしました。また、「介護や医療の充実」のための事業も安心という側面から必要であります。
このため、高齢者が「健幸」で「活躍」できる施策を推進するとともに、誰もが「住みたい」都市、そして安心して「住み続けられる」都市となるようにしてまいります。
具体的には、シルバーポイント事業等の活動に参加した高齢者及び75歳以上の方を対象に、市内公共施設等を無料又は割引料金で利用できるアクティブチケットを交付してまいります。また、ICTを活用し、楽しみながら継続的な運動習慣の獲得を図るため、健康マイレージを引き続き実施してまいります。
さらに、高齢者等がいつまでも住み慣れた地域で暮らすことができるよう、移動の手助けとなる支援策を検討してまいります。
そして、「医療の充実」として、地域における医療機関と介護サービス事業者などの関係者の連携を推進していく在宅医療、介護連携事業を進めてまいります。また、救命救急センター設置を含めたさいたま市立病院の施設整備を実施してまいります。
子育て支援につきましては、障害や虐待など社会的支援や経済的支援が必要な子どもとその家族も含め、乳幼児期から青少年期に至るまで切れ目のない支援をより一層充実させていく必要があります。
このため、誰もが安心して子どもを産み育てることができる環境を整備してまいります。
具体的には、産婦健康診査及び訪問型の産後ケアを実施します。また、保育を希望される方が1人でも多く保育施設を利用できるよう、保育施設の整備を行ってまいります。さらに、保育の質の向上として、事故防止に関する研修や勉強会、立入調査等を実施するとともに、保育士の確保や離職防止のため、保育士宿舎借上げ支援などの保育士確保対策を強化してまいります。
そして、子育て家庭の多様な環境やニーズに対応するため、私立幼稚園等における預かり保育事業に対する補助の拡充や、一定の要件を満たす「子育て支援型幼稚園」の認定制度を創設し、選択できる子育て支援を拡充してまいります。
さらに、教育委員会との連携を強化し、放課後児童クラブの安定的な運営支援と施設の拡充により、入所児童数を拡大してまいります。
また、地域社会の中で、子どもが様々な世代との交流を通じて健全に成長できる環境づくりを推進するため、多世代交流会食に取り組む団体等を支援してまいります。
そして、今年4月にオープンする子ども家庭総合センターにおいて、ワンストップの総合相談や、複数の専門機関の集積・連携による専門相談の充実等により、子どもや家庭の問題に総合的に対応してまいります。 

3 教育・文化・スポーツ

次に、「教育・文化・スポーツ」に関する施策であります。
本市は、「日本一の教育都市」の実現を掲げ、生きる力の確実な育成や未来へ飛躍する人材の育成を図るなど、質の高い教育活動を実践しています。こうした本市の先見性や強みを生かし、様々な人材の力や組織の力を一層発揮することで、全ての子どもたちに、「真の学力」を付けていくことが重要です。また、質の高い教育の提供のためには、様々なニーズに応える魅力ある学校づくりや教育環境の整備が必要です。
このため、グローバル化に対応した教育の更なる推進や「特色ある学校づくり」を行ってまいります。
具体的には、小学校1年生から9年間を見通した小・中学校での英語教育「グローバル・スタディ」の発展・充実を行います。また、タブレット型コンピュータ等ICTを効果的に活用した授業を推進します。
さらに、働き方改革の観点も踏まえ、市立中学校・高等学校に部活動指導員を配置し、部活動の充実・活性化による生徒の満足度の向上と、教員の負担軽減を図ります。
また、市立高等学校「特色ある学校づくり」計画を推進し、中等教育学校を整備するとともに、児童生徒数が増加している浦和美園地区にさいたま市立美園北小学校、美園南中学校を整備いたします。
文化・スポーツにつきましては、市民が健康で生きがいを持って心豊かに暮らせる地域づくりのためには、積極的に文化芸術とスポーツを推進していくことが重要です。
このため、地域の文化芸術資源等を活用し、市民が文化芸術に親しみ、スポーツを活用した健康で心豊かな活力あるまちづくりを推進してまいります。
具体的には、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会の文化プログラムとして実施を予定している市民参加型の「さいたま国際芸術祭」に向けて、開催計画及び広報戦略を策定してまいります。
また、市民会館おおみやの機能を移転し、文化会館機能・コミュニティ機能等を備えた新たな施設を整備いたします。本市の特色ある人形文化の振興を図るため、「(仮称)岩槻人形博物館」も整備を行ってまいります。
そして、6回目の「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」や、第4回の「さいたま国際マラソン」等、シンボリックな大会やイベントを開催します。
また、各種スポーツ大会の誘致支援等を実施する「さいたまスポーツコミッション」の法人化を推進します。そして、ラグビーワールドカップ公認チームキャンプ地の整備に向け、練習グラウンドの整備等に係る費用の一部を補助します。
また、「2018FIFAワールドカップロシア」開催期間中に「サッカーのまち」としての気運の醸成を図るため、各種イベントを市内において実施してまいります。
さらに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を成功に導くため、「さいたまスポーツフェスティバル」を10区に拡大するほか、ホストタウン交流事業などを実施し、市民の気運の醸成を図ってまいります。 

4 都市基盤・交通

次に、「都市基盤・交通」に関する施策であります。
本市において、人々が望む暮らしや時代のニーズに応え、都市として成長を遂げていく取組を着実に推進していく必要があります。
このため、東日本の対流拠点としての都市機能の充実・強化、安全・安心の確保、移動環境の向上及び快適で魅力ある生活空間の確保に取り組んでまいります。
具体的には、大宮駅周辺において、都市再生緊急整備地域の指定のメリットを生かしながら、東日本の玄関口としての大宮駅グランドセントラルステーション化構想を策定し、交通基盤整備、駅周辺のまちづくり、駅機能の高度化を三位一体で推進します。また、大宮区役所新庁舎の整備や大宮駅東口大門町2丁目中地区の再開発事業を推進するとともに、大宮駅西口についても、第四地区の土地区画整理事業や第3-B地区の再開発事業を推進してまいります。そして、浦和駅周辺につきましては、引き続き浦和駅西口南高砂地区の再開発事業や浦和駅西口停車場線の整備を推進するほか、浦和東部・岩槻南部地域のまちのブランド力を高めるための都市デザイン推進業務等を実施します。
さらに、地下鉄7号線の延伸及び東西交通大宮ルートにつきましては、実現に向けて引き続き努力してまいります。また、国土強靭化の視点も踏まえつつ、新大宮上尾道路の整備促進や首都高速埼玉新都心線の東北道への接続について、引き続き国に対し要望してまいります。
そして、「さいたま自転車まちづくりプラン~さいたまはーと~」に基づき、「人と環境にやさしい 安全で元気な自転車のまち さいたま」の実現に向けた各施策を実施するとともに、都市公園の適正な配置に向けて、公園が不足する地域に、歩いて行ける身近な公園を整備いたします。
また、暮らしの道路、スマイルロード整備事業の申請から2年以内での着手率を上げるとともに、無電柱化を推進してまいります。 

5 産業・経済

次に、「産業・経済」に関する施策であります。
本市は、北海道、東北、上信越、北陸地方と新幹線で結ばれており、さらに広域的な道路網も充実しています。また、本市は、首都圏広域地方計画において「対流拠点」としての位置付けがされており、企業の取引機会拡大や販路開拓、連携によるイノベーションの創出等への取組支援や広域周遊観光ルート構築のための玄関口機能を果たすことが求められております。
このため、東日本の中枢都市づくりを加速させるとともに、地域経済をより活性化させてまいります。
具体的には、東日本の対流拠点都市実現のためのプラットフォーム「(仮称)東日本連携支援センター」の整備を進めます。
新たな産業集積拠点の創出につきましては、関係機関等との協議を行いながら、実現可能性について調査を実施してまいります。
そして、本市の魅力ある盆栽の振興を図るため、大宮盆栽のブランド強化に向けた取組を実施します。また、広域周遊ルート等を活用した外国人観光客の誘致を促進するためのプロモーション活動やコンベンションを始めとするMICEの誘致に取り組んでまいります。 

6 安全・生活基盤

次に、「安全・生活基盤」に関する施策であります。
市民の安心・安全を守るため、災害への備えや危機事案への迅速、的確な対応と都市の強靭化が強く求められています。また、幹線道路や公共下水道などの都市基盤を効率的・効果的に整備し、市民生活や経済活動を支えるとともに、都市基盤の適切な維持管理を推進することが必要です。
このため、安心して暮らせるまちづくりを推進してまいります。
具体的には、振り込め詐欺防止のための自動通話録音装置の無償貸出しや自治会等による防犯活動や防犯カメラ設置等に係る経費の一部助成を実施してまいります。
そして、公衆街路灯のLED化をスピーディーに進めていくために、財政効果の高いESCO事業を導入し、進めてまいります。
また、さいたま新都心の広域防災・医療拠点を補完するオープンスペースとして(仮称)北袋1丁目防災公園を整備してまいります。
さらに、浸水被害の軽減を目的とした雨水貯留施設及び雨水管の整備を推進するとともに、地域の災害活動拠点となる消防署所、消防車両及び人員を計画に基づき整備してまいります。 

7 交流・コミュニティ

次に、「私たちがつくり、共に生きるまち」を合い言葉に、性別にかかわりなく一人一人がお互いを認め合い、お互いを尊重しながら、個性と能力を十分に発揮していく必要があります。また、地域自治の推進など市民と行政の連携・協働による絆で結ばれた地域社会を実現する必要があります。
このため、男女共同参画の推進、自治会活動や市民活動の支援を行ってまいります。
具体的には、「第3次さいたま市男女共同参画のまちづくりプラン」に基づく推進事業の実施及び「女性の職業生活における活躍についての推進計画」を盛り込んだ次期プランを策定いたします。
そして、自治会及び自治会連合会の運営に要する経費の一部や自治会集会所の新築及び増改築修繕並びに建物及び用地の借上げに要する経費の一部を補助します。また、コミュニティ活動の促進を図るため、みこし等の屋外活動備品や会議机等の屋内活動備品の整備に要する経費の一部を補助してまいります。
さらに、市民活動への参加のきっかけづくりを目的としたセミナーの開催や地域課題の解決に市民と行政が協働して取り組む マッチングファンド制度の活用等により、市民活動の支援を行ってまいります。 

8 高品質経営市役所(行財政改革)

私は、これまで、さいたま市役所は「市民一人ひとりのしあわせコーディネーター」であり、さいたま市の職員は皆が市民一人ひとりのしあわせを応援しているという意識をもって仕事に取り組むことを呼びかけてまいりました。
職員はさいたま市役所にとって最大の財産です。
長時間労働が深刻な社会問題となっている今日、働き方改革を推進して職員の心身の健康を維持し、モチベーションの一層の向上やワーク・ライフ・バランスの実現を図ります。
具体的には、技術進歩のめざましいAIやIoTなどICT技術を積極的に取り入れ、ICT化の更なる推進を目指すとともに、業務プロセスの見直しやマニュアル化の推進などの働き方改革を行ってまいります。
また、高品質経営市役所の実現に向け、データの利活用に関しても、シティスタットの拡充やビッグデータの利活用に取り組んでまいりたいと考えております。 

5 結びに ―CS90へ、さらに前へ―

以上の様々な施策を推進することで、市民満足度を2020年までに90%以上とする「CS90運動」を、引き続き強力に展開してまいります。
平成30年度は、新たに、市民や事業者の皆様が行っている市民満足度の向上に向けた取組を広く周知し、「CS90運動」を展開することで、市民満足度の一層の向上を目指してまいります。
そして、「CS」のもう一つの意味である「チャレンジさいたま」の姿勢で、私自身も全身全霊をかけて、この目標のため、市民や事業者の皆様とも手を携えて、全庁一丸となって取り組んでまいります。 

明治維新の中核を担った一人、西郷隆盛は、「事業を創起する人其の事大抵十に七八迄は能く成し得れども、残り二つを終わり迄成し得る人の希れなるは、始めは能く己れを慎み事をも敬する故、功も立ち名も顕はるるなり。」(南州翁遺訓)と述べたといわれています。この意味するところを、齋藤孝 明治大学文学部教授は『超訳西郷隆盛語録―大きな心で生きろ』のなかで、「事業を始める場合、七、八割まではうまくやるが、あと二割というところでつまずく人が多い。それは、知らないうちにほぼ成功した自分に満足して、慢心してしまうからだ。これを成し遂げようと思ったなら、最後まで己に克ち、身を慎む気持ちを持ち続けることが大切である。」と訳しています。 

先程申し上げましたとおり、これからの3年間は、「2021年から先の新たなステージ」に向けて、先達が築き上げてきた礎の上に、さらに、強固な土台作りを行っていかなければなりません。これまでの一つの成果として「さいたま市が住みやすい」「さいたま市に住み続けたい」と思う市民の皆様の割合は80%を超えておりますが、まだ道半ばであります。
ここで、慢心することなく、私が初めて市長をお任せいただいたときに決意した「素志貫徹」という言葉を改めて心に刻み、市民や事業者、団体の皆様などとともに手を携えて、さらなる高みを目指してまいります。 

以上、これまでの本市としての成果と、市政運営の任を与えていただいた私の、現在の想いを述べさせていただくとともに、平成30年度の市政に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げました。市民の皆様及び議員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。 

さて、今議会に提出いたしました議案は89件でございます。
予算議案といたしまして、補正予算が15件、新年度予算が18件、また、条例議案が37件、一般議案が19件でございます。

何とぞ慎重なる御審議の上、各議案につきまして、御承認をいただきますようお願いを申し上げます。 

平成30年2月6日             

さいたま市長 清 水 勇 人

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