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更新日付:2019年6月3日 / ページ番号:C063542

市長の部屋 さいたま市長 清水 勇人 絆をつなぐ

平成31年度施政方針

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平成31年2月6日開会の平成31年さいたま市議会2月定例会において、清水勇人市長が施政方針演説を行い、平成31年度の市政運営の基本的な考え方や主要な施策などについての説明を行いました。
その全文(議場に配付した内容)は、以下のとおりです。

※ 議場に配付した冊子のPDF版は、最下段のダウンロードファイルをご覧ください。

平成31年度施政方針

議員各位には、平素から市政運営に御支援をいただき、心から感謝を申し上げます。
本日ここに、新年度に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げ、議員各位及び市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

1 はじめに

(振り返り:人口130万人突破
昨年9月、政令指定都市移行15周年の節目の年に、さいたま市の総人口が130万人を突破いたしました。
本市は、平成13年5月1日に浦和市・大宮市・与野市の合併により誕生し、その後、平成15年の政令指定都市移行、平成17年の岩槻市との合併を経て、今や「東日本を連結する対流拠点」にふさわしい、持続的に成長・発展し続ける大都市となってまいりました。
古くは氷川神社の門前町、その後、街道の宿場町や市場町、城下町として、歴史的にも様々な人が行き来する交通の要衝、モノや情報が集積する地として、様々な地域文化が発展してまいりました。
市長として、今日の発展の礎を築かれた先達の英知と御尽力に敬意を表するとともに、改めて深く感謝申し上げます。

(振り返り:計画推進の着実な成果
本市の取組を振り返りますと、私の3期目の公約に基づいて策定いたしました「しあわせ倍増プラン2017」や「成長加速化戦略」、さらには「まち・ひと・しごと創生総合戦略」、そしてそれらを目的別の重点事業として位置付け、全てを包含する計画として策定いたしました「総合振興計画後期実施計画」を着実に推進してまいりました。本年度より、計画の事業評価に「成果指標への有効性・貢献度」や「組織連携・公民連携・協働」、「広報・周知活動等の結果」など、7つの評価項目を新たに加え、事業の見直しや改善をより意識できるPDCAサイクルを整えるとともに、これら4つの計画を一体化することで、効率的な進行管理を行ってまいりました。

主な成果を申し上げますと、

環境・アメニティの分野では、「E-KIZUNA Project」や、国から地域活性化総合特区として指定を受けた「次世代自動車・スマートエネルギー特区(第2期)」により、次世代自動車の普及を促進したほか、浦和美園地区では、「公民+学」の連携により総合生活支援サービスを提供するなど、スマートシティ実現に向けた取組を進めてまいりました。
こうした本市の取組を世界に発信するため、昨年10月には、ドイツに本部がある持続可能性を目指す自治体協議会「イクレイ」を訪問し、イクレイ世界事務局長に、「E-KIZUNAサミット」の国際化を目指した「(仮称)E-KIZUNAグローバルサミット」開催に向けた協力を依頼するとともに、相互協力に関する協定を締結いたしました。本市での会議開催に向けて、大変大きな成果があったものと考えております。

次に、健康・福祉の分野では、シルバーポイント事業やアクティブチケット事業の拡充のほか、ICTを活用し、楽しみながら運動習慣を身に付ける健康マイレージを引き続き実施いたしました。また、介護・医療の充実として、在宅医療や介護連携事業、救命救急センターを含むさいたま市立病院の整備等を進めてまいりました。本年3月には、さいたま北部医療センターが移転し、新病院が開設されます。
そして、子育て支援につきましては、安心・安全な妊娠・出産・育児が実現できるよう、引き続き妊産婦健康診査及び訪問型の産後ケアを実施いたしました。また、保育を希望される方が一人でも多く保育施設を利用できるよう、本年度は、認可保育所等の定員を1,933人増やしたほか、保育士宿舎借上げ支援など保育士確保対策を強化いたしました。さらに子育て家庭の多様なニーズに対応するため「子育て支援型幼稚園」認定制度を創設するとともに、昨年4月には、子どもや家庭の問題に総合的に対応する「子ども家庭総合センター(あいぱれっと)」を開設いたしました。

次に、教育・文化・スポーツの分野のうち、教育につきましては、「全国学力・学習状況調査」において、調査開始以来、小・中学校ともに、常に全ての実施教科で全国の平均正答率を上回り、政令指定都市でトップレベルの結果となっております。また、「将来の夢や目標を持っている」、「自分には、よいところがあると思う」といった、将来に関する意識や自尊意識に関する質問項目では、全国や大都市平均を上回る良好な結果が得られました。小・中学校での英語教育「グローバル・スタディ」においては、中学3年生で英検3級以上相当の英語力を有する生徒の割合が、平成28年度の45.9%から平成29年度では58.9%と大幅に上昇し、政令指定都市でトップとなるなど、英語力ナンバー1に向けその成果を大きく伸ばしております。そして本年4月には、県内初の中等教育学校として、国際バカロレア認定校を目指す「大宮国際中等教育学校」が開校いたします。
文化・スポーツにつきましては、「さいたま国際芸術祭2020」の開催計画を策定し、東京2020大会の公認文化オリンピアードの認証を得たほか、市民の皆様とのオープンミーティングを開催し、開催テーマ「花/flower」のもと、本格的な準備に着手いたしました。
また、スポーツを地域経済の活性化に活用していくため、全国初の自治体主導のスポーツコミッションにより多くの誘致実績をあげ、「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」などの主催・共催事業を含めた累計件数は、平成29年度までに252件となり、経済効果は累計約508億円にのぼります。そしてスポーツコミッションの法人化により、「日本一のスポーツ先進都市」を目指し、更なる活動の充実、体制の強化が図られました。

次に、都市基盤・交通の分野では、大宮駅の乗換改善等を含めた駅機能の更なる高度化、駅前広場を中心とした交通基盤整備、駅前広場に隣接する街区のまちづくりを、三位一体で推進するための「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」を策定いたしました。浦和駅周辺では、浦和駅中ノ島地下通路が完成し、駅周辺の利便性が向上いたしました。また、新大宮バイパスと国道17号線を結ぶ町谷本太線の開通により、東西方向のアクセスが強化され、交通渋滞緩和、市街地の活性化が図られました。

次に産業・経済の分野では、東日本の各地域との広域的連携を図るため、広域周遊観光ルートの構築や「東日本連携・創生フォーラム」の開催、「(仮称)東日本連携支援センター」の整備、「MICE誘致戦略」の策定など、地域活性化や交流人口の拡大を推進してまいりました。

次に安全・生活基盤の分野では、さいたま新都心の広域防災拠点としての機能の充実・強化を図るため、「さいたま新都心公園」を整備いたしました。また、犯罪のない安心で安全なまちづくりを推進するため、振り込め詐欺防止のための自動通話録音装置の無料貸出しや、防犯活動、防犯カメラ設置等の支援を実施いたしました。

次に、交流・コミュニティの分野では、地域コミュニティの中核を担う自治会への支援とともに、チャレンジスクール、スクールサポートネットワークの推進、マッチングファンド制度の活用等を行い、市民の皆様との協働に取り組んでまいりました。

次に行財政改革では、高品質経営市役所への転換を目指し、「見える改革」、「生む改革」、「人の改革」の3つの柱で、切れ目のない改革に積極的に取り組み、平成22年度から平成29年度までの8年間の財政的効果は、累計で約1,400億円となりました。
「見える改革」では、区役所窓口の休日開設などの区民サービスの向上に取り組んだ結果、平成29年度に実施した「窓口満足度アンケート」では、97.3%の方に満足との高い評価をいただきました。また、市民の声モニター制度では、平成30年度目標を上回る239人の市民の皆様に御登録いただき、タウンミーティングなどを通して、幅広い御意見をいただきました。
「生む改革」では、事務事業の見直しによるコスト削減や、市税等による収納率の向上、積極的な自主財源の確保などに取り組み、平成29年度には、約73億6千万円の財政的効果を生み出しました。
「人の改革」では、職員の働き方見直しを推進するため、サテライトオフィスの試行開設や早出遅出勤務制度の試行導入などを実施いたしました。学校においては、勤務時間を意識した働き方の推進と業務の適正化に向け、全166校でタイムカードシステムを導入いたしました。
また、一職員一改善提案制度においては、平成24年度以降、毎年1万件を超える改善の取組がなされ、改善・改革を日常的に実施する組織風土が着実に定着してまいりました。
こうした取組等の結果、「働きがい」を感じている職員の割合は、平成22年度の64%から平成30年度には75%に上昇し、やりがいと誇りをもったモチベーションの高い職員の割合が増加するなど、「事務改善」は年を追うごとに進んでおります。

成果に対する市内外からの評価
このような様々な取組の結果、「さいたま市民意識調査」では、本市を「住みやすい」と感じている方は、調査を開始した平成19年度の74.0%から上昇基調が続いており、本年度は84.2%に達しました。また、「今住んでいる地域にこれからも住み続けたい」という定住の意向をお持ちの方も、86.1%にのぼり、ともに調査開始から過去最高の数字を記録しております。
昨年の東洋経済新報社「都市データパック」の「住みよさランキング」の総合評価では、全国20政令指定都市で第1位、日本総合研究所の「指定都市幸福度ランキング」では、第2位の高い評価をいただきました。また、リクルート住まいカンパニーが発表した「住みたい街ランキング2018関東版」では、大宮と浦和が10位以内に入るなど、市外からの注目度も高まりました。
財政面においては、市税収入は納税義務者の増加や景気の回復に伴い、平成30年度は本市誕生以来最高となる見込みで、平成29年度決算では、自主財源の多くを占める市税の割合は、政令指定都市の中で3番目に高い水準となっております。また、市民一人当たりの借金は、34万6千円で、政令指定都市の中で2番目に少ない額となっており、実質公債費比率や将来負担比率もトップクラスの健全性を維持しております。
平成29年中の人口増加率については、政令指定都市で第3位、転入超過の割合を表す社会増減率においては、第1位となっております。
これらの評価は、本市誕生以来の先人を含め、議員各位、市民、企業・団体の皆様、そして職員が、それぞれの立場でともに地域の課題を考え、行動していただいた賜物であると、心から感謝申し上げます。

2 運命の10年 2021年の先の新たなステージへ

(今後の課題)
「人口が2030年まで増加」。これは、昨年3月に国立社会保障・人口問題研究所から発表された、本市の推計人口の結果であります。
私は、平成21年5月の市長就任以来、「市民一人ひとりがしあわせを実感できる都市」を実現したいという思いを胸に、本市の発展のために、全力で市政運営に取り組んでまいりました。
そして、市政運営の最も基本となる「総合振興計画」を始めとした主要な計画に基づき、子育てが楽しくなる環境づくりや質の高い教育といった、未来を担う子ども・若者を育成していく施策を始め、本市の強みを生かし、「住みやすい」、「住み続けたい」と感じていただけるまちづくりの施策を着実に推進してまいりました。その成果が人口増につながり、推計人口のピークを2025年から5年先に延ばすことができたものと考えております。
しかしながら、本市の高齢化率は、毎年上昇し続けています。さらに国立社会保障・人口問題研究所の推計において本市の総人口は、2030年の約131万8千人をピークに、2045年には約128万5千人にまで減少する見通しとなっております。
また、本市の公共施設の多くは、人口が急増した昭和40年代から50年代までに整備されたため、老朽化が進行しており、今後、大規模改修や建て替えが必要となる建物の大幅な増加が見込まれます。これらに加え、社会保障関連経費等の増大や多様な市民ニーズへの対応など、財政運営はますます厳しくなることが予想されます。

(持続可能な成長・発展)
私は、このような課題を克服し、本市が将来も成長・発展していくためには、人口のピークを迎えるまでの「運命の10年」こそが大切な期間であると以前から申し上げてまいりましたが、その思いは現在も変わっておりません。
人口減少や高齢化などは完全に止めることが難しい問題ですが、その影響をできるだけ緩やかにすることは可能です。そして我々は既にその取組を始めております。
2015年9月に国連サミットにおいて「持続可能な開発目標(SDGs)」が全会一致で採択されました。そこでは「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17のゴールと169のターゲットが示され、これを受け、国は2016年12月に実施指針を決定しました。これらSDGsの取組は、少子高齢化に歯止めをかけ、地域の人口減少と地域経済の縮小を克服し、将来にわたって成長力を確保することを目指す、まさに地方創生を推進するものであります。そしてその理念は、本市が目指す「市民一人ひとりがしあわせを実感できる“絆”で結ばれたさいたま市」、「誰もが住んでいることを誇りに思えるさいたま市」と同じ方向を向いているものと考えております。また、SDGsを自らの事業に取り込み、ビジネスを通じて社会的課題の解決に貢献する民間企業の動きは、広がりを見せており、我々自治体にはその積極的な参加を促す活動も期待されているところであります。
その実現に向け、「総合振興計画」を始めとした主要な計画を着実に推進することで、世界の共通言語でもあるSDGsの目標達成にも貢献でき、国際社会における都市ブランドの向上にもつながるものと考えております。
本市は、2年後の2021年で誕生から20年を迎えることとなります。誕生からこれまでは、旧4市が育んできた都市ブランドや文化を大切にしつつ、“絆”で結ばれた一つの都市として、また、政令指定都市として成長力を高めてきた期間であったと認識しております。
私は、年頭の記者会見で、今年の抱負を「充」の1文字で表しました。今後は、成人期を迎える成熟したさいたま市として、「必要なこと」、「前に進めるべきこと」をしっかりと「充」填、「充」足し、さらに拡「充」していくことが必要と考えております。
そして「2021年の先の新たなステージ」に向けて前進していくために、積極的な投資を行い、更なる発展につなげてまいります。

(上質な生活都市、東日本の中枢都市を目指す)
私は、「市民一人ひとりがしあわせを実感できる“絆”で結ばれたさいたま市」、「誰もが住んでいることを誇りに思えるさいたま市」を実現するためには、交通の要衝、災害に強いという2つの優位性、教育、環境、健康・スポーツの4つの強みを最大限に生かした「上質な生活都市」づくりと「東日本の中枢都市」づくりが必要であると考えております。私は、「責任と共感・共汗」、「徹底した現場主義」、「公平・公正・開かれた市政」を堅持しながら、130万人の市民、事業者や団体の皆様と手を携え、スピード感をもって、こうした都市づくりを実現してまいります。
そして、その実現が「CS90」、すなわち「住みやすい」と感じていただける市民の割合90%以上につながるものと確信しております。

3 平成31年度予算案の概要
-2021年の先の「新たなさいたま市の創造」に向けた「充実予算」-

平成31年度当初予算につきましては、今申し上げた基本的な考え方の下、2021年の先の「新たなさいたま市の創造」に向けた「充実予算」として編成いたしました。
具体的には、第1に、「しあわせ倍増プラン2017」、「成長加速化戦略」、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を着実に実施する事業を中心に、限られた財源を効率的・効果的に重点配分する予算、第2に、東日本の対流拠点にふさわしい都市機能の充実を図るための予算、第3に、健康増進につながるスポーツ環境の充実を図るための予算、第4に、子育てを応援し、誰もが健やかに安心して暮らせる環境・きめ細かで質の高い教育環境の充実を図るための予算、として編成したところでございます。
この結果、一般会計予算総額は対前年度比0.4%増の5,568億円、特別会計予算総額は3,118億円、企業会計予算総額は1,380億円となり、全会計予算総額は1兆66億円となり、本市誕生以来最大の予算規模となりました。

4 平成31年度の主な事業等

それでは、以下、平成31年度の主な事業等について、申し上げます。 

1 環境・アメニティ
初めに、「環境・アメニティ」に関する施策であります。

(環境未来都市の実現)
地球温暖化対策は、国・地域を越えて取り組まなければならない喫緊の課題であります。
本市といたしましても、温室効果ガス排出量の更なる削減を目指し、再生可能エネルギー等の導入や、「環境未来都市」実現に向けた「スマートシティ」への取組を推進してまいります。
具体的には、太陽光発電設備などの創エネ・省エネ機器の設置支援や、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)などの次世代自動車の普及を引き続き促進いたします。また、総合特区を活用し、浦和美園地区を中心としたスマートホームコミュニティ先導的モデル街区の整備拡充のほか、移動型のハイパーエネルギーステーションとして活用可能な次世代バスの導入、太陽光発電等の再生可能エネルギーを電動モビリティへの充電設備として整備を図るなど、脱炭素化に向けた地域交通モデルの構築を目指してまいります。
さらに、東京2020大会の来訪者へのおもてなしの一環として、浦和美園駅やさいたま新都心駅など、市内5駅周辺を新たに環境美化重点区域及び路上喫煙禁止区域に指定し、環境美化を推進いたします。

(豊かな自然環境の活用)
本市の市街地は、見沼田圃や荒川を始めとした水とみどりに囲まれた都市構造になっており、河川やそれに沿って広がる緑地等は首都圏の環境インフラとして貴重な資産となっています。
そこで、首都圏に残された貴重な大規模緑地空間である見沼田圃を、引き続き保全・活用・創造してまいります。
具体的には、見沼散策の拠点となる「(仮称)三崎広場」の整備や、見沼田圃の新たな交流の場である「見沼・さぎ山交流ひろば」で開催される「みぬま秋フェス」等への支援により、見沼田圃の活用と情報発信力を強化いたします。

2 健康・福祉
次に、「健康・福祉」に関する施策であります。

(自分らしい暮らしの実現)
2025年、我が国は、第1次ベビーブームに生まれた「団塊の世代」が全て75歳以上となり、「超高齢社会」は新たな局面を迎えます。本市の高齢化も従前の予想を上回るスピードで進行しており、今後、医療・福祉・介護・生活支援に対するニーズは、量・質の両面でますます増大・多様化していくことが想定されます。
このニーズに対応するため、長寿応援のまちづくりや、健康を維持する健康寿命の延伸、ノーマライゼーションの理念に基づく環境整備、充実した医療提供体制の確保に取り組んでまいります。
具体的には、中高年齢層の社会参加を促進し、市民一人ひとりが「生涯現役」として地域の中で活躍できるよう、就労、ボランティア、余暇活動の情報を集約・発信する「(仮称)セカンドライフ支援センター」を開設いたします。
また、地域の担い手養成研修を引き続き実施するとともに、地域支え合い推進員を増員し、地域全体で高齢者の生活を支え合う体制を強化いたします。さらに、身体的要因や交通環境要因など様々な要因により、日常生活に必要な買い物や通院等の移動が困難な高齢者などの外出を支援するためのモデル事業を実施いたします。
健康寿命の延伸につきましては、シルバーポイント事業や健康マイレージ事業に引き続き取り組むとともに、健康経営企業認定制度の推進等により、官民一体となって「スマートウエルネスさいたま」を推進いたします。
障害者支援につきましては、障害のある方が自ら選択した地域で安心して暮らすことができるよう、グループホームの整備を促進するとともに新たに運営費を補助いたします。
来年度、新病院を開設する予定のさいたま市立病院は、地域完結型医療の要として安定した医療を提供するとともに、救命救急センター設置による医療機能の強化を図ります。

(乳幼児期から青少年期に至るまで切れ目のない支援)
子育て支援につきましては、「子育て楽しいさいたま市」の実現を目指し、未来を担う全ての子どもが健やかに成長できる環境づくりを推進し、乳幼児期から青少年期に至るまで切れ目のない支援をより一層充実させていく必要があります。
本市では、共働き世帯の増加や核家族化の進展などにより、保育所や放課後児童クラブの利用希望者が年々増加しており、平成30年4月現在、保育所等では315人、放課後児童クラブでは379人の待機児童が生じております。そのため、誰もが安心して子どもを産み育てることができる環境の実現に向けて、各事業の充実に取り組んでまいります。
具体的には、保育所等の整備を進めるとともに、「子育て支援型幼稚園」を始め、子育て家庭の様々なニーズに応えられる多様な保育の受け皿を確保いたします。さらに、保育士の負担軽減のための用務員配置の支援など、保育士確保対策を強化いたします。放課後児童クラブにつきましては、教育委員会との連携による余裕教室の活用など施設の拡充により、入所児童数を拡大いたします。
また、本年10月から実施される幼児教育・保育の無償化にも対応いたします。

3 教育・文化・スポーツ
次に、「教育・文化・スポーツ」に関する施策であります。

(日本一の教育都市)
「いま生まれた子どもたちが100年の間に経験することを予測するのは不可能だ。だから、長寿化時代には、不確実性に対処することが避けて通れない」。これは、ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏、アンドリュー・スコット氏の著書「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」の一節であります。生涯にわたって質の高い学びを重ね、新たな価値を生み出し、輝き続ける力をどのように身に付けていくのか、教育のあるべき姿が大きく変わろうとしています。
こうした中、生涯にわたる一人ひとりの「可能性」と「チャンス」の最大化を教育政策の中心課題に据えて取り組むことが求められています。さらに子どもたちの成長を支えていくためには、学校・家庭・地域・行政が連携・協働するための組織的・継続的な仕組みをより一層充実させていくことが必要となります。
そこで、グローバル化の加速にも対応し活躍できる人材育成や、地域が学校を育て、学校が地域を育てる取組を行ってまいります。
具体的には、ICT環境を充実させるため、タブレット型コンピュータを中学校35校に新たに整備するとともに、アクティブ・ラーニングの視点でICTを効果的に活用した授業を推進いたします。また、複雑・多様化する子どもの状況への対応を強化するため、スクールソーシャルワーカーの配置拡充や、生徒の悩みや不安に対してSNSを活用した相談窓口を設置いたします。さらに、学校を核とした地域づくりを推進する学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)を小・中・高等学校7校に先行導入いたします。

(生き生きと心豊かに暮らせる文化芸術都市の創造)
地域文化資源を活用し、市民が文化芸術に親しむ機会を増やすことで、生活にゆとりと潤いをもたらし、地域に深い絆と活力が生み出されます。
「さいたま国際芸術祭2020」につきましては、国内外の新進・一流アーティストによる作品展示や公演に加え、市民参加型の国際芸術祭として、多くの方々が参加・発表・交流できる機会を創出するなどの取組を進めてまいります。

(スポーツのまち さいたま)
東京2020大会の開催を控え、スポーツに対する関心が高まる中、スポーツ環境の整備や市民の自主的なスポーツ参加を促進し、「日本一スポーツで笑顔あふれるまち」の実現を目指してまいります。
具体的には、身近な場所でスポーツを楽しむことができる多目的広場1か所、バスケットコート2か所を新たに整備するほか、「さいたま国際マラソン」につきましては、市民マラソンとオリンピック等の女子マラソン代表選考レースを併せた大会として、引き続き開催いたします。
また、スポーツ人材の育成や持続的で幅広いスポーツの振興に貢献する環境の実現、スポーツ産業の創出・活性化を目指し、民間力を最大限活用した「スポーツシューレ事業」を推進いたします。
「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」につきましては、収益性を高めるための事業転換と大会価値の更なる向上の観点から、スポーツを核に複合的な事業を展開する「さいたまスポーツコミッション」が行うこととし、引き続き本市で開催いたします。

(東京2020大会へ向けての気運醸成)
東京2020大会まで、残り1年余りとなりました。来年度は、大会への気運を醸成する集大成の年となります。
サッカー、バスケットボール競技の開催会場としての大会の盛り上がりを市民の皆様に目に見える形で感じてもらうため、商店街の皆様にも御協力をいただきながら、市内商店街の街路灯を中心に、約5,000か所で大会フラッグを掲出いたします。併せて、気運醸成や共生社会への理解を、市内にきめ細かく広げていくため、「さいたまスポーツフェスティバル2019」や10区の区民まつりなど、オリンピックやパラリンピック競技を体験できる機会を、一層充実させてまいります。

4 都市基盤・交通
次に、「都市基盤・交通」に関する施策であります。

(東日本の対流拠点にふさわしい都市機能の充実・強化)
本市は、国の首都圏広域地方計画において、東日本の玄関口機能を果たす役割と、首都直下地震の発生時に、首都圏の機能をバックアップするための最前線としての役割が期待されております。
このため、東日本の対流拠点にふさわしい都市機能の充実・強化、誰もが使いやすく移動しやすい交通環境の形成、安心・安全を確保する取組を行ってまいります。
具体的には、「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」の実現に向けた取組を推進するため、「(仮称)GCSプラン案」を作成いたします。
また、大宮区役所新庁舎が、本年5月に開設するほか、大宮駅東口大門町2丁目中地区の再開発事業、大宮駅西口の土地区画整理事業や再開発事業を引き続き推進いたします。そして浦和駅周辺につきましても、浦和駅西口南高砂地区の再開発事業や浦和西口停車場線の整備を引き続き推進いたします。
地下鉄7号線の延伸につきましては、引き続き、埼玉県と共同で調査・検討を行うことと併せて実務レベルの会議を開催することで、関係者との調整を図り、1日も早い事業着手に向けて取り組んでまいります。東西交通大宮ルートにつきましては、実現に向けて引き続き努力いたします。そして、新大宮上尾道路の整備促進や首都高速埼玉新都心線の東北道への接続につきましては、国土強靭化の視点も踏まえつつ、国に対し引き続き働きかけてまいります。

(誰もが使いやすく移動しやすい交通環境の向上)
また、暮らしの道路、スマイルロード整備事業の申請から2年以内での着手率を上げるとともに、無電柱化を推進いたします。
自転車政策におきましては、「さいたま自転車まちづくりプラン~さいたまはーと~」に基づき、「人と環境にやさしい 安全で元気な自転車のまち さいたま」の実現に向けた各施策を実施してまいります。
具体的には、「さいたま市サイクルパーク構想」やシェアサイクルポートの設置拡大に向けた調査・検討を行ってまいります。

5 産業・経済
次に、「産業・経済」に関する施策であります。

(東日本連携を加速化)
東日本の「食」や「地域の産業」を中心に交流・発信・活性化を促す地方創生の場として、本年度、「(仮称)東日本連携支援センター」を開設いたします。各自治体間の連携は、先程申し上げたとおり、地方創生の推進というSDGsの重要な取組の1つでもあり、本センターを核として東日本連携の取組を加速させ、本市の東日本の中枢都市としての新たなスタートの年にしたいと考えております
このため、他市と連携しながら地域資源を活用・発信していくことで、交流人口を拡大していくことが必要となります。
具体的には、本センターを中心にビジネスマッチングやシティプロモーション、都市間交流等を促進していくとともに、東日本連携都市の地域資源を相互に活用し、広域観光周遊ルートのプロモーションを行うなど、各地の魅力を共同発信し、誘客を促進いたします。

(地域資源を活用した観光振興)
本市の特色ある地域文化資源である人形や盆栽などの魅力を生かし、人を呼び込む観光の振興を推進していく必要があります。
まず、人形文化につきましては、拠点となる「岩槻人形博物館」を整備し、平成32年2月の開館を目指してまいります。併せて、岩槻の歴史及び文化の発信、産業及び観光の振興、地域活性化拠点として「にぎわい交流館いわつき」を整備し、「岩槻人形博物館」との同時開館を目指してまいります。また、盆栽文化は、盆栽人口の裾野拡大や大宮盆栽のブランド強化に向け、さいたま国際盆栽アカデミーの外国人向けコースなど4コースを新たに開講いたします。
さらに、見沼田圃をステージとした、「日本一の桜回廊」を歩行者が快適に散策できるよう、案内板やベンチの設置等を行う、「サクラサク見沼田んぼプロジェクト」を引き続き推進いたします。

(MICEの推進)
また、「MICE誘致戦略」を実行に移し、経済の活性化や都市の活力向上を図っていく必要があります。
そのため、さいたま観光国際協会等と連携して、コンベンションを始めとするMICE誘致を一層推進するとともに、宿泊事業者等への誘致活動を展開して受入環境の充実を図ってまいります。

(戦略的な企業誘致)
本市は交通の利便性が非常に高く、他の都市にない優位性があります。
この優位性を生かした企業誘致活動を実施するとともに、短期的又は中長期的な観点から、官民連携による新たな産業集積拠点の創出に取り組んでまいります。

(中小企業への支援)
我が国の景気は回復基調にあるものの、経営資源に乏しい中小企業は厳しい経営環境に置かれており、10月からの消費税増税による社会経済情勢の動向にも注視していく必要があります。
中小企業の競争力が強化されることにより、雇用を創出し、地域経済の活性化につなげていかなくてはなりません。
そのため、市内中小企業者及び創業者に対しまして、経営の安定及び向上に必要な融資制度により、円滑な資金調達を支援いたします。

6 安全・生活基盤
次に、「安全・生活基盤」に関する施策であります。

(安心して暮らせるまちづくり)
昨年は、大阪府北部地震や北海道胆振東部地震、平成30年7月豪雨などの自然災害が相次ぎ、甚大な人的・物的被害をもたらしました。今後起こりうる首都直下地震や南海トラフ地震、大規模な風水害等、災害への備えや危機事案への迅速、的確な対応と都市の強靭化が強く求められています。
このため、安心して暮らせるまちづくりを推進してまいります。
具体的には、地震で倒壊の恐れのあるブロック塀を改善するための助成制度を新たに創設いたします。また、浸水被害の軽減を目的とした芝川都市下水路の改修及び準用河川の整備を引き続き推進いたします。そして、大規模災害発生直後の初動体制の確立及び応援部隊との連携強化を図るため、警防本部室に情報端末等の機器及び災害情報の集約・分析に必要なシステムを新たに整備するとともに、地域の災害活動拠点施設となる消防署所、消防車両を計画的に整備いたします。
さらに、行政・市民団体・事業者が連携し、WHOが推奨する国際セーフコミュニティの認証を目指してまいります。

7 交流・コミュニティ
次に「交流・コミュニティ」に関する施策であります。

(市民の声を反映した生活重視のまちづくり)
多様化する市民ニーズや地域の課題に迅速かつ的確に対応していくため、多様な人々が共存・共生・参加できる人権尊重社会、そして地域の絆を育み、ふれあいのある地域社会の形成を実現してまいります。
具体的には、新たな「第4次さいたま市男女共同参画のまちづくりプラン」に基づき、男女共同参画の学習機会を提供する講座や講演会を開催いたします。
また、地域コミュニティの活性化を図るため、自治会への加入を促進する啓発活動を行い、地域活動への参加を呼びかけていくとともに、引き続き自治会活動を支援いたします。
さらに、市民と行政が協働して取り組むマッチングファンド制度の活用等により、様々な分野での地域課題を解決していくための市民活動を支援いたします。

8 高品質経営市役所(行財政改革)

(公民連携の推進)
「自助」、「互助」、そして「扶助」。江戸中期、窮地に陥っていた米沢藩を藩主の上杉鷹山は、この「三助の精神」で改革し、のちの繁栄をもたらしました。
本市でも、「公」と「民」の連携・協働により、持続可能で暮らしやすいまちづくりを更に推進していく必要があります。
具体的には、多様な公民連携の取組を積極的に推進する観点からPFI等の導入の可能性や課題を整理し、民間の力を効率的・効果的に活用するとともに、パークPFIなどによる公共空間の有効活用方策の検討、指定管理者制度運用の見直し、民間企業等との対話・民間提案等を通じて、質の高い自治体経営を目指してまいります。

(働き方改革と行政のICT化)
また、本市の施策・サービスの質を高め、職員が働きがいを持って意欲的に職務に取り組むため、新たなICT技術を利活用するなど、ワーク・ライフ・バランスの一層の確保を図り、過度の時間外勤務を抑制してまいります。
具体的には、保育施設の入所選考にAI技術を導入することや、ソフトウェアロボットにより事務処理を自動化するRPAシステムを試行導入することで、業務の効率化を推進いたします。
また、早出遅出勤務制度を本格導入するとともに、現在、本庁と各区役所で行っている市税の賦課徴収事務を集約して「(仮称)市税事務所」を開設いたします。学校現場においては、教員の負担軽減と業務の適正化、授業の質の向上のため、市立中学校・高等学校への部活動指導員の配置拡大を図ってまいります。
そして、業務により蓄積した様々なデータや統計データを一元的に集積・共有することで、企画立案や業務改善に活用する「さいたまシティスタット」の取組を引き続き推進いたします。

5 結びに -未来へ向けて 3つの「きょうそう」-

本年は、ラグビーワールドカップが、アジアで初めて日本で開催されます。
本市は、開幕戦で日本代表と対戦するロシア代表のキャンプ地でもあり、東京2020大会へと続いていく中で、本市の取組を国内のみならず世界に発信する大きなチャンスであります。
ラグビーのチームワーク精神を表す有名な言葉として「One for All All for One」というものがあります。日本のラグビーの人気と価値を高めた功績者であり、ミスターラグビーと呼ばれた平尾誠二氏は、この後半の「All for One」を著書の中で、『みんなは「ひとりのため」ではなくて、「ひとつのため」、すなわち共通の「目的」のためにがんばるという意味なのだ』と述べています。共通の「目的」とは、「チームの勝利」のことであります。平尾誠二氏のこの思いは、未来に向けて進もうとする私たちを勇気づけるものであり、今後の市政に求められるものでもあります。
昨年11月14日、多くの企業や団体に参画いただいた「CSパートナーズ」と本市が共同し、「CS90運動」を全力で推進する「さいたま市CS90共同宣言」を発表いたしました。
私たちが目指すまちづくりは、行政の力だけでは決して実現することはできません。重要なのはコミュニティ、そして地域の絆の再生であります。市民、企業や団体、職員を含めて地域社会の中で、それぞれがそれぞれの役割を果たし、共通の「目的」に向かって連携・協働し合うことでよりよいまちづくりが実現すると私は考えております。
このため、私は3つの「きょうそう」で職員とともに今後の市政運営にあたってまいりたいと考えております。
1つ目の「きょうそう」は、共に想うと書く「共想」です。市民、企業や団体の皆様と施策の目的や目標、想いやビジョンをしっかりと共有してまいります。
2つ目の「きょうそう」は、共に創る「共創」です。様々な技術や手法を用いながら創意工夫や知恵を出し合い、民間の力を結集させてみんなで創り上げてまいります。
そして3つ目の「きょうそう」は、協力して奏でる「協奏」です。市民、企業や団体、職員がそれぞれの役割を分担してそれぞれの個性や能力を活用し、また参画してもらうことで、個と全体が調和してより魅力的なまちにしてまいります。
これら3つの「きょうそう」への取組が、市民、企業や団体、職員それぞれの誇りや絆につながり、ひいては、シビックプライドや幸福感につながっていくものと信じております。
今後、待ち受ける様々な行政課題に対しまして、皆様とのチームワークで果敢に取り組み、強い信念を持って、市民一人ひとりがしあわせを実感できる、誰もが住んでいることを誇りに思えるさいたま市を、皆様と手を携えて実現してまいります。

以上、平成31年度の市政に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げました。市民の皆様及び議員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

さて、今議会に提出いたしました議案は69件でございます。
予算議案といたしまして、補正予算が14件、新年度予算が18件、また、条例議案が18件、一般議案が19件でございます。
何とぞ慎重なる御審議の上、各議案につきまして、御承認をいただきますようお願いを申し上げます。

平成31年2月6日

さいたま市長 清 水 勇 人

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