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更新日付:2022年12月5日 / ページ番号:C086606

市長の部屋 さいたま市長 清水 勇人 絆をつなぐ

令和4年度施政方針

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令和4年2月1日開会の令和4年さいたま市議会2月定例会において、清水勇人市長が施政方針演説を行い、令和4年度の市政運営の基本的な考え方や主要な施策などについての説明を行いました。
その全文(議場に配付した内容)は、以下のとおりです。

※ 議場に配付した冊子のPDF版は、こちらからご覧ください。
※ 施政方針の目的や令和4年度の骨子をわかりやすく紹介するための動画を公開しています。
  画像をクリックすると新しいウインドウが開き、動画がスタートします。

市長メッセージ動画(令和4年度施政方針)
市長メッセージ動画(令和4年度施政方針)

令和4年度施政方針

議員各位には、平素から市政運営に御支援をいただき、心から感謝を申し上げます。
本日ここに、新年度に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げ、議員各位及び市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

1 はじめに

平成13年5月1日に誕生したさいたま市は、昨年、市制のスタートから20周年という大きな節目を迎えました。浦和市、大宮市、与野市の3市の合併によって誕生した本市は、平成15年4月、全国で13番目となる政令指定都市へ移行し、平成17年には岩槻市と合併し、10区によって構成される現在の市域が形成されました。103万人でスタートした総人口は、平成30年9月には130万人を突破し、現在では、133万人を擁する首都圏を代表する都市へと発展を遂げてまいりました。
この間、「2002FIFAワールドカップ」や、平成29年の「第8回世界盆栽大会 in さいたま」、そして昨年は、「東京2020オリンピック競技大会」など、世界的なイベントが本市において開催され、各国の選手団や要人、観戦や観光に訪れる人々を迎える国際都市としても地歩を築いてまいりました。

(20年間の振り返り)
今日に至る20年間、本市は、市民の融和と一体感の醸成を進めるとともに、都市基盤の整備と市民生活の向上とを両輪にしながら市政の発展に取り組んでまいりました。

市民の融和と一体感の醸成では、平成14年に市の木・市の花・市の花木、平成15年には市の歌「希望(ゆめ)のまち」など、市民の皆様が共有し親しむシンボルの制定を進めてきたほか、戦後60年の節目となった平成17年には、「さいたま市平和都市宣言」を国内外に向けて宣言いたしました。
誕生10周年となった平成23年には、都市イメージキャッチフレーズ「のびのびシティさいたま市」を策定したほか、区の花のデザインを定めるなど、10区10色の個性を深める取組を進めてまいりました。
そして誕生20周年を迎えた昨年には、市制がスタートした日として本市の歴史において最も重要な日である5月1日を「さいたま市民の日」と定めたほか、市民の皆様の郷土への思いや市民としての誇りを込めた「さいたま市民憲章」を制定しました。

都市基盤の整備について振り返りますと、2都心の一つ、大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区では、平成30年7月に「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」を策定するとともに、東口における公共施設再編による連鎖型まちづくりでは、令和元年5月に、大宮区役所と大宮図書館の複合公共施設の移転再整備が実現し、本年4月には市民会館おおみやが大門町二丁目中地区の再開発ビルへ移転いたします。
浦和駅周辺地区では、平成19年10月、駅東口に複合公共施設「コムナーレ」がオープンし、平成25年3月には地元の皆様や関係者の御尽力によって浦和駅の高架化と東西連絡通路が完成し、駅周辺の利便性や回遊性が大きく向上いたしました。
4つの副都心においても、日進・宮原地区では、日進駅舎の橋上化やさいたま北部医療センターの移転再オープン、武蔵浦和地区では、南区役所等の複合公益施設「サウスピア」の整備、美園地区では、美園コミュニティセンター等の複合施設の整備やみそのウイングシティの土地区画整理事業、岩槻駅周辺地区では、岩槻駅舎の橋上化及び東西自由通路の完成など、副都心としてのまちづくりを着実に進めてまいりました。
また、中央区の与野本町駅周辺では、区役所を始めとする公共施設の再編等を進め、令和2年4月には与野本町小学校複合施設「いーよの」の開設、昨年12月には、中央消防署の移転が実現しました。

人口減少時代の到来を見据えたとき、強い産業力の醸成は本市誕生以来の重要な課題でありました。このため、平成16年3月には、さいたま市産業創造財団を創設し、平成17年度からは、本市にふさわしい産業集積を目指した戦略的な企業誘致活動を展開するとともに、独創性・革新性に優れた市内の研究開発型ものづくり企業に対する認証支援制度の創設や企業の海外展開支援など、独自の中小企業支援にも取り組んでまいりました。
また、紅赤やくわいなどの市内農産物のブランド化や、ヨーロッパ野菜による農商工連携の推進など、新たな時代に対応した農業振興を進めてまいりました。

市民生活の向上に向けた歩みを振り返りますと、平成21年度にスタートした「土曜チャレンジスクール」が、平成24年度には市立小中学校全校で実施を実現するなど、学校・家庭・地域が連携して子どもを支える取組を進めてきました。平成28年度からは、国にさきがけた新しい英語教育「グローバル・スタディ」を全ての市立小中学校で導入し、平成31年4月には、埼玉県初の中等教育学校となる大宮国際中等教育学校が開校するなど、国際化の時代にふさわしいグローバル人材の育成に取り組んでまいりました。これらの結果、全国学力・学習状況調査において、「学校に行くのは楽しいと思う」、「自分には、よいところがあると思う」と答えた児童生徒の割合は、全国平均を毎回大きく上回り、令和元年度の英語教育実施状況調査においては、英検3級相当以上の中学3年生の割合が、全国平均の44%を大きく上回る77%に達するなど、本市の教育が子どもたちの健やかな成長に確実に結びついていると考えております。

障害のある人もない人も誰もが権利の主体として安心して地域で暮らしていける社会の実現を目指した取組では、平成23年3月に、いわゆるノーマライゼーション条例を政令指定都市で初めて制定し、障害者の人権を守り、社会参加を推進するための移動支援や通学通所支援、働く機会の創出につながる全国初の就労時の支援などに取り組んでまいりました。

子育て世代の社会増が続く本市にとって、待機児童ゼロや「子育て楽しいさいたま市」の実現は一貫して重要課題であり続けてきました。このため、認可保育所等の積極的な整備を進め、この20年間で定員を約19,200人増の約3.3倍とし、平成30年度からスタートした本市独自の「子育て支援型幼稚園」は、昨年末時点で46園にのぼるなど、公民が一体となり、選べる子育て環境を整えてまいりました。また、「さいたまパパ・スクール」や「パパサンデー」、「孫育て講座」などを通じて親と子、家族の絆を深める子育て参加の機会拡充を進めてまいりました。

私は、スポーツには、コミュニティを活性化させ、地域経済に活力をもたらすなど、これからの時代に大変重要な役割を果たす力があると考えてまいりました。このため、平成22年3月の「さいたま市スポーツ振興まちづくり条例」の制定や、平成23年10月のさいたまスポーツコミッション設立などの環境整備を進めるとともに、平成25年度から始まった「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」の開催や、エリートランナーと同じコースに参加者が挑戦できる「さいたま国際マラソン」の開催など、スポーツを活用した総合的なまちづくりを推進してまいりました。その結果、週1回以上スポーツをする市民の割合は、平成15年度の28.5%から、令和2年度に66.6%へ大きく増加するとともに、スポーツイベントなどによる経済波及効果は、平成23年度から令和2年度までの累計で約832億2,000万円にのぼりました。
また、平成22年3月に大宮盆栽美術館が開館、平成23年12月には「さいたま市文化芸術都市創造条例」の制定、そして令和2年2月には岩槻人形博物館を開館し、地域資源や文化芸術が持つ力を生かした文化芸術都市の創造に取り組んできました。

この20年の歩みの中で、本市は、かつてない危機にも直面してまいりました。平成23年3月に発生した東日本大震災では、本市においても、人的被害・物的被害が発生し、市民生活に大きな影響を及ぼしました。その教訓を踏まえ、平成24年度から帰宅困難者一斉帰宅の抑制対策を市内企業とも連携しながら推進し、美園地区では、「スマートホーム・コミュニティ」の整備にレジリエンスの視点も取り入れるなど、災害に強い都市づくりを進めてまいりました。また、令和元年東日本台風では、観測史上最大の大雨に見舞われ、本市でも大規模な浸水被害が発生しました。本市は、油面川排水機場の整備を前倒しで実施するなどの浸水対策を進めるとともに、災害時の防災情報電話サービスの開始など、ハード・ソフト両面で更なる防災・減災対策の強化を進めてまいりました。

そして今、新型コロナウイルス感染症が世界を席巻し、本市にも災害級ともいえる状況をもたらしています。本市では、市民の命と生活を守ることを最優先に、令和2年4月以降で総額2,700億円を超える緊急対策予算を措置し、検査・医療体制の整備や迅速確実なワクチン接種、感染拡大によって落ち込んだ市内経済を活性化させる取組を着実に進めてまいりました。
特に、ワクチン接種につきましては、医療従事者の皆様や市民の皆様の御理解と御協力の結果、昨年11月末時点で接種対象者の84.5%の方に2回目の接種を完了し、当初の目標であった70%を大きく上回ることができました。皆様の御協力に改めて御礼を申し上げます。

(成果に対する市内外からの評価)
このような歩みを経て、本市は今日、都市の成長力、財政の健全性、市民満足度などにおいて政令指定都市の中でもトップレベルの都市として発展することができました。
都市の成長力につきましては、令和2年国勢調査の結果、平成27年からの人口増減数で本市は20の政令指定都市で4位、人口増減率では福岡市に次いで2位という結果になりました。総務省が発表した0歳から14歳までの子どもの転入超過数は、平成27年から6年連続で全国1位を維持しています。
事業所数は、平成24年から28年に638社純増し、その増加数は政令指定都市で4位に位置しています。
財政の健全性につきましては、財政力指数は政令指定都市で3番目に高く、市民一人当たりの市債残高では政令指定都市で2番目に低いなど、健全な財政状況を維持しています。
市民満足度につきましては、今年度の市民意識調査で本市を「住みやすい」と答えた市民の割合は85.6%、「住み続けたい」と答えた方は85.2%と、2年連続で共に85%を超える結果となりました。
また、最新の「全47都道府県幸福度ランキング2020年版」では、政令指定都市の中で総合1位、日経グローカルが昨年1月に発表した「全国市区SDGs先進度調査」で総合1位となるなど、民間のランキングにおいても高い評価をいただいています。
平成の大合併のさきがけともなったさいたま市が、今日このように発展を遂げてまいりましたのも、誕生に至るまでの多くの先達の御努力と、誕生以来20年にわたり、議員各位、市民の皆様、企業・団体の皆様が、ともに汗をかき、様々な困難を乗り越え、力を尽くしてくださったことの賜物にほかなりません。
皆様の御尽力に、心から感謝を申し上げます。

2 さいたま市の新時代に向けて

先人の汗と皆様の御尽力による20年の道のりを経て、人間でいえば成人として歩み始めた本市は、ここからさらに個性や強みに磨きをかけ、都市としての成熟を深めていくステージを迎えています。
私は、本市が感染症や自然災害に適切に対処し、それを克服していく強靭さを備えていくこと、また、魅力や強みを伸ばすことで一層のさいたま市らしさを発揮していくとともに、誰一人取り残さず、誰もが住みやすく、かつ持続可能な地域社会を創造していくことが、本市の新時代に向けた挑戦にほかならないと考えております。
さらには、それらを実現するため、市役所は、新たな時代に対応する市役所に進化していくことが、本市の次なるステージへ向けての課題であると考えております。

(感染症を克服し、真に災害に強いレジリエントシティを目指す)
新型コロナウイルス感染症の克服は、今なお喫緊の課題であります。ワクチンの追加接種を迅速確実に進めるとともに、これまでの取組を検証し、国・県と一層緊密な連携を図りながら検査体制や感染拡大防止の更なる強化を進め、新たな変異株の発生など、あらゆる事態に柔軟かつ的確に対応してまいります。その上で、落ち込んだ市内経済回復のための取組を進め、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図ってまいります。
また、切迫性が高まっている首都直下地震や激甚化する自然災害への対策も万全にしていく必要があります。都市・生活インフラの耐震性の確保や治水対策を進めることはもとより、感染拡大の状況下において災害が発生することも念頭に置きながら、迅速・円滑に災害情報を受発信し、配慮を要する方の避難体制を確保するなど、ハード・ソフト一体となった防災対策に、市民や事業者の皆様と一丸となって取り組んでまいります。

(ポストコロナの新たなさいたま市の創造)
21世紀の幕開けに船出をしたさいたま市は、コロナ禍という荒波の中で20年の節目を迎え、ここから新たな時代に向かって舵を切っていく必要があります。
まず、本庁舎整備等の在り方については、本市誕生以来、残された大変重要な課題であると認識しており、私も就任以来、この課題に方向性を示すことを自らの責務として、取り組んでまいりました。
昨年12月には、市民の皆様から広く御意見を伺い、市の方針を取りまとめた「新庁舎整備等基本構想」を策定し、現在その内容について、市民の皆様、企業・団体の皆様への周知に取り組んでいるところであります。さいたま市の未来を見据えたまちづくりを実現していくためには、新庁舎整備及び現庁舎地の利活用について、更なる具体化を図っていくことが必要です。今後も引き続き、市の方針についてしっかりと周知をさせていただいた上で、市役所の位置に関する条例の改正案を然るべき時期に提出させていただく予定でありますので、御理解をいただきますよう、お願い申し上げます。
現下のコロナ禍は、テレワークやキャッシュレス決済などの急速な普及をもたらすなど、社会のあらゆる分野において、デジタルトランスフォーメーション(DX)への気運が高まり、動きが加速しています。都市空間においては、ゆとりあるオープンスペースや緑豊かな空間へのニーズが高まりつつあると言われるなど、コロナ禍は、人々の働き方や暮らし方、都市基盤整備の在り方、そして、それらの根底にある人々の考え方に大きな影響を及ぼしつつあります。そうした中にあっても、気候変動への対応や人生100年時代への対応は待ったなしの課題です。
国の内外に起きているあらゆる時代の変化を的確に捉えながら、新たな羅針盤である総合振興計画のもとで、環境未来都市やスポーツ先進都市、日本一の教育都市や東日本の未来を創る対流拠点都市の創造など、本市の魅力にさらに磨きをかける取組を推進し、さいたま市らしさの深化に取り組んでまいります。

(誰一人取り残さず、誰もが住みやすく持続可能な地域社会の実現)
本市が持続可能な成長・発展を続けていくためには、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念のもとに、直面する課題に迅速かつ的確に対応する必要があります。
本格的な人口減少・超高齢時代の到来に備えて、「子育て楽しいさいたま市」の更なる進化や、高齢者が生涯現役として暮らせる社会の実現など、あらゆる世代が輝けるまちづくりを進めてまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の停滞や、単身世帯の増加など、深まる社会的孤立に対しては、セーフティネットの確保や地域の絆などのソーシャルキャピタルを高め、人と人が支え合い、誰もが自分らしく暮らせるまちづくりを進めてまいります。
私自身先頭に立ってリーダーシップを発揮し、誰一人取り残さず、誰もが住みやすく持続可能な地域社会の実現を目指してまいります。

(新たな時代に対応する市役所の創造)
本市の総人口は、2030年をピークに減少することが予想されています。公共施設の老朽化や社会保障費の増加が見込まれるなど、本市が直面する課題が複雑化・多様化していく中、従来の行政の在り方を絶えず見直していくことが求められております。
また、新技術であるデジタル技術は、市民サービスの向上や行政事務の効率化・迅速化に大きな可能性を秘めており、今般の新型コロナウイルス感染症により、デジタル化の推進は時代の急務ともなりました。
さらに、企業、大学等と行政がそれぞれの強みを発揮しながら、より一層力を合わせていく公民学共創を実現していくことが、新たな時代に対応する市役所の進化には不可欠です。
本市においても、行政手続の原則オンライン化など、デジタルファーストな行政運営への転換を図り、市民の皆様に、よりスピーディーで利便性の高い行政サービスを提供してまいります。同時に、職員のテレワークなどを一層推進することで、多様な働き方を実現し、市民の皆様はもとより働く職員も幸せになる「Well-being(ウェルビーイング)経営」に取り組んでまいります。
また、様々な分野において公民学共創を推し進め、新たな時代にふさわしいさいたま市役所の創造につなげてまいります。

3 令和4年度予算案の概要
-難局を乗り越え、さいたま市のシンカに取り組む予算-

令和4年度当初予算につきましては、ただいま申し上げた基本的な考えのもと、総合振興計画に掲げる重点戦略事業や各分野の事業等を着実に進め、新型コロナウイルス感染症の拡大による難局を乗り越え、都市としての成熟を深めて、さいたま市のシンカに取り組む予算として編成しました。
予算編成に当たりましては、特に、新型コロナウイルス感染症や自然災害への対策を一層強化すること、ポストコロナを見据え、さいたま市らしさを深化させること、一方で誰一人取り残さない包括的な支援を充実させること、そして市役所のDXと公民学共創を推進することを重視しました。また、国の補正予算とも連動しながら、令和3年度12月補正予算から令和4年度当初予算までを通じた、切れ目のない予算編成に取り組んだところであります。
その結果、来年度の一般会計当初予算総額は、対前年度比4.2%増で6,373億円、特別会計予算総額は3,237億円、企業会計予算総額は1,305億円となり、全会計予算総額は1兆916億円となりました。

4 令和4年度の主な事業等 

それでは、令和4年度の主な事業等を申し上げます。

(新型コロナウイルス感染症と自然災害への対策の強化)
まず、新型コロナウイルス感染症の対策としまして、市民の生命及び健康を守るため、ワクチン接種体制を確保し、引き続き迅速かつ確実に予防接種を進めてまいります。また、市内の自宅療養者を支援するため、訪問看護ステーションへの補助や酸素濃縮装置の確保、パルスオキシメーターや食料品等の配送などを行ってまいります。
次に、自然災害への対策では、震災時において落橋などの致命的な被害を防ぐため、大栄橋や羽根倉橋等について橋脚の耐震補強を実施します。また、近年の豪雨災害を踏まえた治水安全度の向上を図るため、新川、黒谷川等の準用河川の改修や雨水管・雨水貯留施設等の整備を推進してまいります。さらに、災害時には避難所となる市立中学校の体育館への空調機の整備を進めるとともに、被災者の生活を再建する支援の取組として、罹災証明書交付の更なる迅速化が可能となるよう、システムを再構築します。

(ポストコロナを見据えたさいたま市らしさの深化
新型コロナウイルス感染症は、社会や人々の生活様式に様々な影響を及ぼしております。ポストコロナを見据えた新たな日常へ向けて、本市がこれまでの都市づくりで育んできた魅力に磨きをかけ、さいたま市らしさを深化させてまいります。
大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区では、「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」に基づき、大宮駅周辺街区のまちづくり、交通基盤整備及び駅機能の高度化の事業化に向けた検討を実施するとともに、シェア型マルチモビリティの実証実験の拡充を図るなど、MaaSの実装に向けた取組を推進してまいります。
浦和駅周辺地区では、浦和らしい風格ある都市づくりを進めていくため、まちづくりの指針となる「(仮称)浦和駅周辺まちづくりビジョン」を策定します。
与野本町駅周辺では、中央区役所周辺の公共施設において、施設の安全性や公共サービスの質を高めるとともに、地域住民が交流する場の創出を目指し、公共施設再編の基本計画を策定します。また、地下鉄7号線の延伸に向けて、鉄道事業者への事業実施要請に必要となる速達性向上事業に関する計画素案の案を作成するとともに、中間駅周辺まちづくりの検討を進めてまいります。
持続可能な社会の実現に向けては、エネルギー地産地消の推進体制の構築や脱炭素先行モデル事業の調査・検討を進めるなど、ゼロカーボンシティの実現に取り組んでまいります。また、本市がこれまで取り組んできた「E-KIZUNAProject」、「次世代自動車・スマートエネルギー特区」、「スマートシティさいたまモデル」を国内外に発信するため、「E-KIZUNAグローバルサミット」を開催します。さらに、見沼田圃の保全・活用・創造を先導し、市民のオアシスとなる緑の拠点として、さいたまセントラルパークの整備を本格化してまいります。
本市の強みの一つであるスポーツに関しては、「さいたまスポーツシューレ」のネットワークを活用し、ICT・スポーツテック・ヘルスケアなどの先端的な知見をスポーツ指導に活かしていく取組や、スポーツビジネスの創出・活性化事業を実施するとともに、スポーツシューレ推進施設の整備に向けた調査・検討を進めてまいります。また、民間力やデジタル技術を活用し、スポーツ観戦やイベント開催による採算を重視した次世代型スポーツ施設の誘致・整備に向けて、アドバイザリー業務等を実施します。
本市の魅力である特色ある学校教育の深化に向けては、武蔵浦和駅周辺地区に義務教育学校を整備するための基本設計を実施します。また、建設に伴い利用停止となる沼影市民プールを含む市内レジャープールについて、今後の在り方に関する調査・検討を進めてまいります。大和田地区においては、保育所、放課後児童クラブのほか、市民利用を前提とした学校体育施設を複合化した小学校を整備するための実施設計を実施します。
このほか、大消費地に近接する立地特性を生かした都市農業の持続的な発展に向けて、AI・IoTなどの先進技術の活用支援を行い、農業のDXを促進するなど、本市の強みを生かす産業振興に取り組んでまいります。

(誰一人取り残さない包括的な支援の充実
社会経済状況が大きく変化する中、誰もが住みやすく持続可能な地域社会の実現に向けて、SDGsの理念を基に、誰一人取り残さない包括的な支援の充実を図ってまいります。
具体的には、複合的な課題を抱えている方などの相談を受ける「福祉まるごと相談窓口」や、身近な場所で、子育て全般に関する相談や児童等への必要な支援を実施する「子ども家庭総合支援拠点」を10区全てに開設し、包括的な相談体制を強化してまいります。
また、介護等が必要な家族等をケアする、いわゆるケアラー・ヤングケアラーを社会全体で支えるため、この問題に対する社会的認知度や理解の向上を図る啓発事業を行うとともに、引き続き実態把握に努め、支援策の更なる充実を図ってまいります。あわせて、「さいたま市ケアラー支援条例」の制定を目指してまいります。
子育てに関しては、多子世帯の子育てを支援するための取組を強化していくとともに、仕事、子育てなどにより自ら相談に出かけることが難しいひとり親家庭への訪問等相談事業を民間団体の活用などにより新たに実施してまいります。
教育の分野では、令和5年4月に予定する、ひまわり特別支援学校への知的障害教育部門高等部の設置に向けた準備を進めるとともに、「不登校等児童生徒支援センター(通称:Growth)」を新たに設置し、ICTを活用した学習支援や訪問相談等を実施してまいります。
デジタル技術が自治会活動を支えコミュニティの活性化にもつながっていくよう、自治会の運営負担の軽減や地域の高齢者の見守りなどを可能とする電子回覧板のモデル事業を自治会と連携して実施してまいります。
このほか、女性やDV被害者等に対する相談・支援体制の強化や、交通空白地区等におけるAIデマンド交通の導入に向けた検討などを進めることで、誰一人取り残さず、誰もが住みやすく持続可能な社会の実現に向けて、取組を進めてまいります。

(市役所DXの推進と公民学共創
現在は、デジタル技術を前提とした行政に転換する過渡期であります。多様化する市民ニーズや新しいライフスタイルに対応するため、本市のDXのコンセプトである「さいたまデジタル八策」に基づき、窓口手続のオンライン化や、市民の皆様がスマートフォンなどを活用して道路の損傷等を通報することができる道路通報システムを構築します。
教育の領域においては、高等学校及び中学校の運動部において、ICTを活用した指導方法の検討及び実証実験を実施してまいります。
また、多様化・複雑化する行政課題に柔軟に対応するため、「公」と「民」との連携を推進し、行政コストの削減を図りながら、質の高い公共サービスの提供を目指す必要があります。
具体的には、公園のにぎわい創出に向けたPark-PFIなどの公民連携事業や、多様な機能を有するグリーンインフラの推進に向けて、公民が連携して緑化滞在空間を創出する社会実験などを進めてまいります。

次に、総合振興計画の重点戦略の柱に沿って、関連事業も含めて申し上げます。

1 先進技術で豊かな自然と共存する環境未来都市の創造

まず、先進技術で豊かな自然と共存する環境未来都市の創造についてであります。
住民等が抱える社会課題を解決するため、市民生活の様々な分野において、AIやIoTなどの技術を活用し、民間事業者による生活支援サービスなどの実証や社会実装に取り組むことで、「スマートシティさいたまモデル」の構築を目指します。
また、見沼田圃の保全と新たな活用・創造を推進するため、新たな散策拠点の検討や、サポーター制度を活用した桜回廊の管理向上を図ってまいります。

2 一人ひとりが“健幸”を実感できるスマートウエルネスシティの創造

次に、一人ひとりが“健幸”を実感できるスマートウエルネスシティの創造につきましては、医療・介護のデータから高齢者の健康課題を把握し、健康状態に課題がある方やフレイル予防が必要な方などに対する個別的な保健指導を実施してまいります。
また、ICTを活用し、楽しみながら継続的な健康づくりを支援するため、歩数等に応じてポイントを付与する健康マイレージ事業を実施してまいります。
さらに、超高齢社会における高齢者の生きがいづくりや地域コミュニティの活性化を図るため、サーマルエネルギーセンターの整備にあわせ、余熱を有効活用した新たな東楽園の建築工事に着手します。

3 笑顔あふれる日本一のスポーツ先進都市の創造

次に、笑顔あふれる日本一のスポーツ先進都市の創造につきましては、昨年のオリンピックを契機に関心が高まっているアーバンスポーツを楽しむ環境の整備に向けて、公民連携組織を設立し、体験型イベントの開催や身近にアーバンスポーツができる場所の整備を推進してまいります。
また、子どものスポーツ能力測定会や大人の体力測定会の開催などを通じて、誰もがスポーツに親しむことのできる生涯スポーツを振興してまいります。さらに、子どもから大人まで、初心者から上級者まで、市民の皆様が体力に応じて楽しめるランニングイベントを開催するとともに、令和5年度のフルマラソン化の実現に向けた準備も進めてまいります。

4 子どもたちの未来を拓く日本一の教育都市の創造

次に、子どもたちの未来を拓く日本一の教育都市の創造についてであります。
本市独自の英語教育である「グローバル・スタディ」を引き続き推進するとともに、GIGAスクール構想により整備した児童生徒1人1台端末の効果を高めるため、全ての小学校と特別支援学校にプロジェクタを整備し、対面授業とデジタルのベストミックスを図ってまいります。
また、先ほど申し上げたひまわり特別支援学校への知的障害教育部門高等部の設置に向けた準備を進めるとともに、市立小学校の35人学級を推進するため、教室改修及び仮設校舎の設置により教室を確保し、個別最適な学びと協働的な学びの実現を目指します。
さらに、教育の質の向上と持続可能で機能性・合理性を高めた教育環境の整備に向けて、水泳授業の民間委託化をモデル的に実施してまいります。

5 ヒト・モノ・情報を呼び込み、東日本の未来を創る対流拠点都市の創造

次に、ヒト・モノ・情報を呼び込み、東日本の未来を創る対流拠点都市の創造についてであります。
広域交通ネットワークを構築するため、新大宮上尾道路の事業区間の早期完成と圏央道までの未事業化区間の早期事業化を目指し、関係機関への要望活動などを実施するとともに、首都高速埼玉新都心線の東北自動車道までの延伸を目指し、国や県などと連携して検討を進めてまいります。
新幹線6路線等が乗り入れる本市の拠点性を生かす取組としては、東日本連携センター「まるまるひがしにほん」においてシティプロモーションイベントや商談会を行うとともに、eスポーツイベント開催による観光誘客促進や新たなビジネスマッチングを行うことにより、市内はもとより東日本全体の地域経済の活性化を図ってまいります。また、「東日本連携・創生フォーラム」では、SDGsをテーマとした連携も進めてまいります。
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市内経済の活性化を図るため、オンラインを活用した謎解きイベントや本市伝統産業のプロモーションなどを実施します。
このほか、食肉中央卸売市場・と畜場及び道の駅を一体的に整備する「(仮称)農業及び食の流通・観光産業拠点」の整備に着手します。

6 子どもから高齢者まで、あらゆる世代が輝けるまちづくり

次に、子どもから高齢者まで、あらゆる世代が輝けるまちづくりに関する事業であります。
まず、子育て家庭の様々なニーズに応えるため、認可保育所等の整備を促進するなど、多様な保育の受け皿を確保するとともに、働きながら幼稚園を利用できる環境を整えるため、児童を送迎する拠点となる「送迎保育ステーション」を武蔵浦和駅周辺に整備します。
また、近年ニーズが高まっている医療的ケアを必要とする子どもの受入れについて、私立認可保育所等に対して支援を行うことで、受入れ施設の拡大を図ってまいります。
さらに、生活困窮世帯の子どもたちの基礎学力の向上や大人と触れ合う居場所の提供などを目的とした学習支援を実施してまいります。
高齢者を対象とした支援としては、シルバーポイント事業や「ますます元気教室」などの開催により、高齢者の生きがいづくりや健康づくり、介護予防を推進するとともに、地域における住民主体の介護予防活動のためのボランティア育成を行ってまいります。

7 激動する新時代に「未来技術」で躍動する地域産業づくり

次に、激動する新時代に「未来技術」で躍動する地域産業づくりに関する事業として、先ほど申し上げた農業のDXを推進するとともに、地産地消の更なる推進のため、農産物直売所等を軸に、市民農園や観光農園と連携した農業交流施設の整備に着手します。
また、市内中小企業の持続的な成長とDXの推進に向けて、セミナーなどの意識啓発や人材育成支援、AI・IoTなどの実装支援等を行うことで企業のビジネスモデル変革を促進してまいります。
さらに、「さいたまスイーツ」を広くPRするため、市内お菓子工場直売所や個店と連携したキャンペーンを実施するとともに、SNSなどを活用した情報を発信することで、市内スイーツの全体の消費拡大による地域経済の活性化を図ってまいります。

8 災害に強く、市民と共につくる安全・安心なまちづくり

次に、災害に強く、市民と共につくる安全・安心なまちづくりに関する事業であります。
災害時の被害を軽減し市民の安全を守ることは、喫緊の課題のひとつであり、先ほど申し上げた準用河川の改修や雨水管・雨水貯留施設等の整備を進め、防災上の重要な道路等の無電柱化を推進してまいります。
また、市民の安全・安心を確保するため、交通データなどを活用した交通安全対策を推進するとともに、自治会による防犯カメラの設置や犯罪統計データを効率的に活用し、地域における自主防犯活動の支援を行ってまいります。

9 環境に配慮したサステナブルで快適な暮らしの実現

次に、環境に配慮したサステナブルで快適な暮らしの実現に関する事業であります。
家庭ごみの組成分析や市民意識調査の結果を基に一般廃棄物処理基本計画を改定するとともに、食品ロスを減らしていくライフスタイルへの転換を促進するため、「食品ロス削減全国大会」を開催します。
また、西部環境センターと東部環境センターを統合し、サーマルエネルギーセンターを建設するため、引き続き新施設の工事を実施するとともに、クリーンセンター大崎については、施設の長寿命化を図るための基幹的設備改良工事を実施してまいります。

10
 絆で支え合い、誰もが自分らしく暮らせるまちづくり
絆で支え合い、誰もが自分らしく暮らせるまちづくりに関する事業につきましては、自治会活動のDXを支援するため、自治会向けICT講座を開催するとともに、先ほど申し上げた自治会電子回覧板モデル事業を実施してまいります。
また、地域全体で未来を担う子どもたちを育むため、市立学校においてコミュニティ・スクールを全校実施に拡大し、学校を核とした地域づくりを推進してまいります。
文化芸術都市の創造に向けては、専門人材による調査研究、芸術活動支援及び象徴的事業を実施するアーツカウンシルを創設するとともに、「さいたま国際芸術祭」の開催に向けて、広報戦略を含めた開催実施計画を関係機関と連携して策定します。また、市民の多様化する文化芸術活動を支えるため、美術館等の文化芸術創造拠点の整備に向けた調査・検討を行ってまいります。 

11
 質の高い都市経営の実現 
次に、質の高い都市経営の実現に関する事業であります。
まず、市民協働・公民連携につきましては、市民活動団体が実施する公益的な事業を支援するため、引き続き基金を活用したマッチングファンド制度による協働事業を推進してまいります。
また、多様化・複雑化する行政課題に柔軟に対応するため、先ほど申し上げたPark-PFIなどの多様な公民連携手法を活用することにより、行政コストの削減を図りながら、質の高い公共サービスの提供を支援してまいります。
高品質経営市役所に関する事業につきましては、業務の効率化に資するRPAの拡充や、職員による簡易なシステム開発を可能とするノーコード・ローコードの導入を進めるとともに、ペーパーレス会議やテレワークの環境整備などを通じて、多様な働き方を実現してまいります。
また、区役所では、御家族を亡くされた際の窓口手続の負担軽減を図るため、死亡時の主な手続を一体的に行う「(仮称)おくやみコーナー」を10区全てに設置します。

5 結びに

「着眼大局、着手小局」という言葉があります。
昭和の将棋界を代表する升田幸三名人が座右の銘とした言葉で、常に大局に着眼し、目の前の局面に細心の注意で着手せよ、そうすることで未来は切り拓ける、という意味が込められています。
新型コロナウイルス感染症と人間との闘いは、依然、予断を許さない厳しい局面が続いています。人口減少社会の到来、気候変動や激甚化する自然災害、誰一人取り残さない社会の実現など、成人を迎えた本市が対峙している局面を切り拓いていくためには、多くの困難が待ち受けています。
だからこそ、私たちは英知を結集し、本市の将来への大局観を忘れることなく、今できる最善の努力を、その現場、その課題ごとに着実に積み重ねていかなければなりません。
私たちには、先人の御努力によって築かれてきた優れた都市機能や見沼田圃に象徴される豊かなみどりがあり、それらを受け継ぎ、発展させてきた本市20年の歴史があります。子どもたちの健やかな成長を支え、このまちをよりよくするために力を尽くしてくださる地域の人々の絆は、この20年で大きく強く発展してまいりました。
これらの蓄積を誇りとしながら、「上質な生活都市」、「東日本の中枢都市」という本市の未来に向かって、私は、引き続き「責任と共感・共汗」、「徹底した現場主義」、「公平・公正・開かれた市政」の基本姿勢を貫き、皆様と一層力を合わせ、さいたま市の新たな局面を拓く挑戦に全身全霊で臨んでまいります。
以上、令和4年度の市政に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げました。市民の皆様及び議員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

さて、今議会に提出いたしました議案は68件でございます。
予算議案といたしまして、補正予算が16件、新年度予算が17件、また、条例議案が17件、一般議案が18件でございます。
何とぞ慎重なる御審議の上、各議案につきまして、御承認をいただきますようお願いを申し上げます。

令和4年2月1日

さいたま市長 清 水 勇 人

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