平成18年職員の給与等に関する報告及び勧告
給与勧告とは
公務員は民間企業の従業員とは異なり、争議権や団体交渉権が制約されており、その代償措置として、人事院や人事委員会による給与勧告の制度が設けられています。
給与勧告は、人事院と人事委員会の調査の結果により、公務員の給与水準と民間の給与水準を均衡させることを基本に、毎年8月から10月にかけて国や人事委員会のある自治体で行われています。
参考
給与勧告の流れ(PDF形式:19KB)
平成18年職員の給与等に関する報告及び勧告の概要
勧告日:平成18年9月20日
勧告のポイント
- 公民給与の比較方法について、比較対象企業規模などの見直しを実施
- 月例給について、職員の給与が民間の給与を459円(0.11%)上回っていることから、この較差を解消するための給料表を勧告
- 特別給(期末・勤勉手当)は、改定見送り
- 給与構造の改革(給与制度の抜本的見直し)について勧告
1 職種別民間給与実態調査
市内に所在する民間事業所のうち、企業規模50人以上で、かつ、事業所規模50人以上の363事業所を調査対象事業所とし、その中から層化無作為抽出法により抽出された100事業所について調査を実施した。
2 公民給与の比較方法の見直し
民間従業員の給与をより広く把握し、職員給与に反映させる観点から次の見直しを行った。
- 比較対象企業規模について、従来の「100人以上」から「50人以上」に変更
- 比較対象従業員について、ライン職の民間役職者の部下要件を緩和するとともに、従業員の範囲をスタッフ職等に拡大
- 職員と民間従業員との比較における対応関係の見直し
3 職員と民間従業員との給与較差(公民較差)
給与較差(公民較差)
区分 |
民間給与 |
職員給与(行政職) |
公民較差 |
月例給 |
435,398円 |
435,857円 |
-459円(-0.11%) |
特別給 |
4.44月分 |
4.45月分 |
-0.01月分 |
(注) 上記職員(新卒者、消防職員等を除く。)の平均年齢は、43.7歳、平均経験年数は、21.9年である。
4 公民較差に基づく給与の改定
- 月例給
公民較差を解消するため、給料表の引下げ改定を行う。
- 特別給(期末・勤勉手当)
民間の支給月数とほぼ均衡していることから、改定を見送る。
- 実施時期等
条例の公布日の属する月の翌月の初日(公布日が月の初日であるときは、その日)から実施。
なお、改定にあたっては、年間における職員の給与と民間従業員の給与との均衡を図るため、適切な調整措置を講ずること。
- 所要額
-約5,500万円(教育職、技能職及び企業職を除く。)
5 給与構造の改革の実施
職員の士気を確保しつつ、能率的な人事管理を推進するため、年功的な給与上昇の抑制、職務・職責に応じた給料構造への転換、勤務実績の給与への反映等が必要。そのための給与構造の改革を平成19年4月1日から実施する。
- 給料表の見直し
- ア 行政職給料表の見直し
- 給与カーブのフラット化等を図るため、若年層については据置き又は引下率を抑制し、中高齢層については最大7%程度の引下げ
- 1級、2級を統合し、新たな職務の級(新8級)を新設
- きめ細かい勤務実績の反映を行えるようにするため、現行の号給を4分割
- 職務の級間の給料水準の重なりを縮小させるため、初号等の号給をカット
- 昇格時の号給決定方法の見直し
- イ その他の給料表の見直し
行政職給料表との均衡を基本として、職務の級、号給構成、給料表水準等の見直し
- 勤務実績の給与への反映
- ア 勤務成績に基づく昇給制度の導入
- 現在行われている普通昇給(年4回)と特別昇給を統合し、昇給時期を年1回とする
- 枠外昇給制度の廃止
- 55歳昇給停止制度に替わる55歳昇給抑制制度(昇給幅が通常の半分程度)の導入
- イ 勤勉手当への実績反映の拡大
人事評価制度の本格導入にあわせて勤務実績をより反映できる制度とすることが必要
- 中途採用者の初任給決定方法の見直し
有用な民間経験者等の採用が可能となるよう、初任給決定方法の見直し
- 地域手当
さいたま市及び東京都千代田区に在勤する職員に支給。支給割合を100分の12(医療職給料表(1)適用職員(医師)にあっては、100分の15)に改定
- 管理職手当の定額化
職務給としての性格を踏まえ、年功的賃金体系の見直しの観点から定額化することが必要
- 新給料表への切替、経過措置等
- 新給料表は、平成19年4月1日から適用。同日にすべての職員の給料月額を新給料表に切り替える。なお、現給保障として、新給料月額と平成19年3月31日の給料月額との差額を支給する。
- 地域手当は、当面、給与構造の改革の実施状況を踏まえた、暫定的な支給割合とする。
(補足)平成19年度については、支給割合を100分の9(医師は100分の12)とする。
6 扶養手当の改正
人事院勧告の扶養手当改正の趣旨を踏まえ、3人目以降の子等の支給月額を、平成19年4月1日から1人につき1,000円引き上げる。
7 その他報告する事項
- 級別の職員構成の適正化等
本市は合併の影響により、管理・監督の地位にある職員の割合が比較的高いことから、団塊の世代の大量退職の時期を見据え、計画的に級別職員数の適正化を進める必要がある。
- 若手職員の登用及び昇任昇格基準の検討
給与構造の改革の実施にあわせ、昇任昇格においても年功的一律的な運用を改め、能力や実績を重視し、若手職員の管理職への登用を進めるためには現行の主任、主査への昇任昇格年齢の引下げも含め検討する必要がある。
- 人事評価制度の整備
人事制度を年功的なものから能力や実績を給与等に反映させる制度へと移行させることが不可欠であり、その基礎として、信頼性の高い人事評価制度を構築する必要がある。
- 時間外勤務の縮減
職員一人ひとりがコスト意識を持ち、常に計画的・効率的な業務の執行を心掛け、管理監督者による事前命令を徹底することなど、時間外勤務の縮減に向けた取組が必要である。
- 職員の健康管理
職員の健康保持は身体面の健康管理対策のみならず精神面における対策も重要である。特に精神・行動の障害を原因とする休職者の増加に対する取組が課題となっており、職員の病気に対する理解と良好な職場の雰囲気づくりなど具体的な対策が必要である。
- 男女共同参画社会の実現に向けた取組
- ア 仕事と子育ての両立支援
仕事と子育てを両立しやすい職場環境をつくるには、職場の意識を改革することや、子育て中の職員の時間外勤務について配慮するとともに業務分担の見直しを行うなど、職場内の応援体制づくりが必要である。
- イ 女性職員の積極的な登用
性別による固定的な役割分担意識に基づく慣行をなくし、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できるよう、意欲のある女性職員の積極的な登用を推進する必要がある。
- 分限制度及び条件附採用制度の適正な運用
職員が能力などを十分発揮できず、その職責を果たすことができなくなった場合や、条件附採用期間中に十分な能力の実証が得られない場合には、分限制度及び条件附採用制度の趣旨に則り適正な対応をする必要がある。
- 服務規律の確保
職員の不祥事は、一部の職員が引き起こした事件であっても職員全体や市政に対する信頼を損ねる結果となる。組織として指導・監督及び研修を積極的に行い、絶えず公務員倫理の高揚を図るなど、再発防止に努める必要がある。
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