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更新日付:2020年1月28日 / ページ番号:C069581

【報告】さいたま市民大学 男女共同参画コース~「男・女」ではなく「私らしさ」を考える~

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日時 第1回 令和元年12月3日(火)  第2回 令和元年12月6日(金)
第3回 令和元年12月10日(火)  第4回 令和元年12月17日(火)
第5回 令和2年1月14日(火)
各回とも14時~16時
会場 さいたま市生涯学習総合センター多目的ホール
講師 第1回 萩原 なつ子 さん(立教大学 社会学部 教授) 
第2回 安齋 徹 さん(目白大学 メディア学部 教授)
第3回 萩原 なつ子 さん(立教大学 社会学部 教授)
第4回 村瀬 幸浩 さん(元一橋大学・津田塾大学 講師)
第5回 原 ミナ汰 さん(NPO法人共生社会をつくるセクシャルマイノリティ
             支援全国ネットワーク代表理事)
    熟田 桐子 さん(東京メンタルヘルス 心理カウンセラー)

講座内容

 さいたま市教育委員会とパートナーシップさいたまの連携により、さいたま市教育委員会主催「さいたま市民大学」実施コースの一つとして、「男女共同参画コース」を実施しました。【「男・女」ではなく「私らしさ」を考える】をテーマとして、講義・映像・ワークショップを通して「私らしさ」について学ぶ全5回の講座を実施しました。

第1回「男・女ではなく「私らしさ」を考える」
 日本における男女共同参画の現状について、萩原先生ご自身の経験や映像、男女共同参画の替え歌を交えた、受講者の笑顔が絶えない講義を行っていただきました。
 講義では、日本ではSDGs(エスディージーズ、持続可能な開発目標)におけるジェンダー平等への取り組みがなされる一方、日本のジェンダーギャップ指数が世界でも下位であることについてお話されました。その理由の一部として、現在の日本の多くの分野において、未だアンコンシャンス・バイアス(無意識の偏見)が払拭されていない現状、政策・意思決定の過程に女性が参加していないこと等を具体例として語られました。
 また、「男女共同参画」、「ジェンダー」と一口に言っても、様々な議論や理論、運動への考え方が存在しているものの、それぞれが反目するのではなく、互いに協力しあって少しずつ社会を変えていくことが大切であると語られました。
 講義の最後には、男女共同参画基本法の制定過程において、賛同・協力した男性も数多く存在した事例を挙げ、「男女共同参画は男性対女性という構図ではない。全ての人が互いに共感し「私らしく」生きていく「希望」を持って取り組んでいくことが大切である」と語られました。

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 第2回「映画から読み解くジェンダー」
 ディズニーアニメなどを題材に、社会におけるジェンダー観の移り変わりを、参加者同士の対話を交えて学ぶ講座となりました。
 はじめに、ジェンダーとは「男はこうあるべきだ」「女はこうあるべきだ」という社会的枠付けや、「男らしさ」「女らしさ」という固定的な「らしさ」を意味すること、人間の文化や社会において、また歴史の展開に対応して変化するものであると説明されました。
 続いて、ジェンダーによるステレオタイプについて説明されました。私達の身近でもジェンダー・ステレオタイプが存在していることの具体例として、「子どもが生まれたときに、性別がどちらであるかが最初に語られる」ことや、玩具や子ども服は、「女の子向け/男の子向け」が明確に分けられていること、テレビや絵本における主人公は「圧倒的に男性が多い」ことを挙げられました。
 次に、ディズニーアニメのヒロイン像の変遷から、ジェンダー観の移り変わりを説明されました。初めに、20世紀中ごろまでの作品のヒロインは、1960年代の典型的なアメリカの主婦像が幸せの象徴であったことを反映しており、苦境に陥ったヒロインが王子と結ばれ、救われるという「受け身の女性」であったことを説明されました。一方、20世紀末から現代のヒロインは、能動的に自分で選び取る女性に変化しており、物語のゴールは「素敵な王子と結ばれる」ことから「多様化した夢の実現」へと移り変わっていることを説明されました。
 ヒロイン像の変遷に見るように、ジェンダー観は文化や社会、歴史の展開に対応して確実に変化してきた一方で、「ガラスの天井」の言葉が表すようなジェンダーによる障壁が未だ存在していることを指摘され、講座は終了となりました。 

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第3回「暮らしの中で私らしく生きる、みんなで考えよう!男女共同参画ワールドカフェ」
 はじめに、2014年に東京23区で唯一「消滅可能性都市」に位置づけられた豊島区において、「女性にやさしいまちづくり」の実現のため立ち上げられた「としまF1会議」の事例を説明されました。
 この「としまF1会議」の特徴は、「単なるガス抜きとしての政策提言ではなく、初めから管理職を含む区職員を参加者として組み入れ、行政の当事者性を担保すること」、「調査・研究→政策提言→予算確保のスケジュール感を共通認識とすること」、などであり、実際に11事業8,800万円を予算化した事例となりました。この取り組みは発展を続け、現在でも形を変えて続けられています。
 また、この取り組みは、『女性を政策の「対象」ではなく、「政策形成の主体」として認識をした点』、『「住民の話を聞き置く」だけの住民参加ではなく、行政の予算編成に意見を反映させることを前提とした、「住民参画」型の政策形成デザインである点』において、意義のある取り組みであることを説明されました。
 続いて、「さいたま市を理想の街、もっと素敵な街」にするためにはどのようにしたらよかと思いますか?をテーマにワールドカフェ方式(メンバーの組み合わせを変えながら、4~5人の小グループで話し合いを続けることにより、あたかも参加者全員が話あっているような効果が得られる手法)でのワークショップを行いました。
 参加者の皆さんはグループごとに分かれ、アイスブレイクの自己紹介のあと、初めに「現在のさいたま市のイメ―ジ」を活発に出されていました。その後、席替えにより他グループの意見を取り入れ、グループごとの「理想のさいたま市のイメージ」を模造紙にまとめ、発表する取り組みを行いました。各グループからは、東京の近くにありながら、東京よりも一歩深く、人間関係も良好な「ダサカッコイイさいたま市」、住む人がお互いに支え合うことを大切にした「たより上手、ささえ上手なさいたま市」などのイメージが出ていました。参加者の皆さんが楽しみながらも、真剣に「理想のさいたま市」について語り合う姿がとても印象的でした。

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第4回「暮らしの中の男らしさ女らしさを見つめる」
 はじめに、国語辞典における「男らしい」・「女らしい」という言葉の意味の変遷についてお話されました。現在では「男らしい」・「女らしい」という表現自体には積極的な意味は定義されていないものの、この言葉が使用される際には、上下関係や格差や差別性を伴うことが多いことを語られ、暮らしの中においても根強くこの意識が残っているとお話されました。
 次に、日本における「らしさ」の歴史的経緯に触れ、戦前までの「男権」を核とした家父長制度における女性の無権利状態は、現行憲法における「両性の対等平等性」によって解消されたものの、家庭の在り方や女性の生き方、性別役割分業を巡る葛藤は現在に至るまで続き、「らしさ」を問うことにも深く影響していることを説明されました。
 続いて具体例として、現代では共働き世帯が大半を占めるに至っているにも拘わらず、家庭における男性の家事分担率は15パーセントと諸外国と比べて大きく低いこと(2016年OECD調査)を挙げられました。原因としては、日本における男性を取り巻く就業の在り方(早く家庭に帰りたいが、仕事量の多さから帰れずに葛藤に苦しむ男性も多数いる)の問題も大きいものの、近現代以降の日本でいまだに根深い「男女の特性論」や「役割分担論」、加えて「若い世代と親世代との意識のズレ(○○でなければならない、私達は○○だった等)の大きさ」といった問題が大きく影響していることを指摘されました。
 その上で、家庭は「消費される場」ではなく「生命力を生産する場」であり、「日常生活を共同して支え合っているか」という指標こそが、社会における男女共同参画実現の基礎とも言える、と説明されました。
 続いて、暮らしの性(セクショナリティ)についてお話され、日本においては、「性」が偏り・誤った知識や理解のもとに閉鎖的なものとして扱われる一方、性の問題は家庭でのコミュニケーションや表現、育児や家事のありようとも深く関わっていることを説明されました。
 講義後には、受講者の方からの質問・相談に村瀬先生が丁寧にお答えする時間が設けられ、第4回の講座は終了しました。

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 第5回「性の多様性を学ぶ」
 初めに、講師の原ミナ汰さんが、LGBTの支援の現状と、現在の社会状況について説明されました。
 LGBTなどの性に関する相談機関は、自治体をはじめとして少しずつ増えているものの、原さんが運営を支援する「よりそいホットライン」では、受けきれない程の件数のアクセスが寄せられており、相談機関・体制の拡充が求められることを話されました。一方で、通常の相談体制では知識や情報の不足により相談受付が難しいという課題があり、原さんご自身も、相談員のプログラムの作成や、相談窓口開設の支援を行っていることをお話されました。
 また、公共トイレの利用をめぐる現状と行方を事例として、社会における性の多様性に対するリテラシーが不足していることを指摘されました。
 次に、講師の熟田桐子さんが、LGBTの当事者としてのこれまでの人生での経験と思いを語られました。家の中では女の子として生き、学校では男の子として過ごした子ども時代。芝居の世界にのめり込みながらも、男性としての役のみを演じることに葛藤があった20代。新宿の有名ショーパブや銀座の有名店で、トップ・ニューハーフとして輝き羽ばたいた30代。40歳のときに受けた性別適合手術と、カウンセラーとして多くの人を支援する現在。面と向かってカミングアウトをしたことはないものの、子どものころから何も言わずに心で応援してくれたご両親への思いと、どんな逆境や苦しい状況でも挫けず、努力と情熱で自分自身の人生を切り拓いてきた生き方について語られました。
 最後に、相談の現場での様々な事例にどのように対応するか、受講者のグループで検討するワークが行われました。受講者の皆さんは、グループごとに異なる事例への対応を熱心に議論し発表していました。また、講師の原さんのフィードバックに熱心に耳を傾けていました。

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市民局/人権政策・男女共同参画課/男女共同参画推進センター 
電話番号:048-643-5816 ファックス:048-643-5801

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