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更新日付:2021年11月12日 / ページ番号:C084797

【報告】地球女子講座

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日時

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講師

令和3年

10月1日(金)

~10日(日)

国連で働く:バリアフリーな世界を目指して

秋山 愛子さん

国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP:エスキャップ)社会課題担当官 

講義内容

チラシ

   

講座内容・講座の様子

「私は、さいたま市出身で、大宮駅西口も今と異なり木造のお店が並んでいたころ住み、育ってきました。本日の講座では、次の4点について話していきたいと思います。」

(1) 国連での私の仕事

  国際連合システム全体には100前後の主要機関で約78,000人の職員が働いており、そのうち事務局には約37,000人います。国連システム全体の内、日本人は912人おり、事務局では、日本人は282人(女性は187人、男性は95人)います。

  私は、国連理事会の一つである「経済社会理事会」のアジア太平洋経済社会委員会(エスキャップ、世界を5つの地域に分けたうちの一つでタイのバンコクにあります。)で働いています。アジア太平洋にある62の加盟国の経済発展・社会発展のために、この地域(人口43億人)の6億9千万人の障害者ための仕事を行っています。

  国連の価値は、人類共通の理念とか価値観をみんなで合意、実現化することであり、その方法も国際協力という形で、誰も取り残さないインクルーシブな経済・社会発展を進めていこうということであります。

  障害者のためにどういった仕事をしているかというと、「障害は個人のせいではないという考え方」をきちんと伝えることが役割の一つです。(いち人権主体者としての障害者、障害者は福祉のサービスの対象としてのイメージがあるが、経済発展・社会発展・環境維持を担うひとりの人間であるなど)

  私の仕事の代表例として、1. 障害者権利条約草案をつくって国連本部の条約策定委員会に提出(2003年)、2. “Nothing about us without us”(私たち抜きに私たちのことを決めるな)の実践、障害者団体(設立)のエンパワメント、3. データや調査で意識喚起アクションを促す、4. 国の制度やしくみを変える支援やそのきっかけをつくる、5. 国連内の障害メインストリーミング

(2) どうしてこの仕事に就くようになったのか?直感と人との出会い

「私の子供のころは、男女共同参画などの考えがまだなく、高度成長期の時代にありました。この頃は、楽しいことはありましたが、一方で嫌だ、息苦しいといった気持ちもありました。」

「その後、日本の大学中退後、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校に留学しました。そこでいろんな人との出会いがあり、自分の気持ちが言えるようになるなど低かった自己評価が氷解するように和らいでいきました。バークレー校では、文化人類学を学び、その中でベトナム難民、黒人、障害者などマイノリティな人と出会い、その後アジア太平洋資料センターやピープルファーストでの通訳・翻訳、障害者交流のお手伝いのボランティア活動などやりながら障害者に対する感性や知識を身に着けていきました。」

「そして、そのボランティア活動の縁で国会議員の政策秘書やることになりました。秘書時代では、障害者と国会をつなぐコーディネートやバリアフリー法、ハートビル法、介護保険法などの成立に関わったりしました。」

「こうした中、障害者運動をしている知人から「日本政府がアジア太平洋障害者10年のバックアップをしていて、欠員を公募しているので応募したら」との声がかかりました。その後、採用され、40歳を過ぎてからプロジェクトの専門家としてエスキャップに入りました。さらにその後に上席の欠員により応募し、採用され、正規の職員になりました。」

「一般的に国連の職員になるには、YPPの競争試験を受けて採用される流れです。また、JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)という仕組みにより国連職員になる方法もあります。他にインターン、プロジェクト専門家などで国連と関りを持てるようになります。」

「国連で働くことにより世界中のいろんな国の人と関りを持ち、「みんな同じなんだ」と感じています。」

(3) これからの仕事のビジョン・もっかの課題

「現在混乱しているアフガニスタンの障害者がパキスタンに逃げて来ていますが、その人たちにWFP(国際連合世界食糧計画)の障害アドバイザーとの支援やSDGsに関して各国の報告書に障害者の視点が入っているものが少ないので、その国への働きかけを行っています。また、障害者は、社会サービスの受給者という側面だけでなく経済を担っていく面もあることを伝えたり、権利条約実施の検証、障害者のインターン・コンサルタント・国連職員の増加に向けた仕掛けづくりなど行っています。」

「また、国連職員という立場のほかに、個人としてコロナ禍にあって「人とつながることの大切さ、自分にとって大切なことは何だろう」ということを感じています。そして、日本への往来が難しくなったことや私のテーマとして「意見が言えない環境はいやだな。」ということなどから、日本の内外から発言し人とのつながりを広げる場として、「オンラインすなっくあいこ(毎週水曜夜8時)」を設けています。その中で、病室でWi-Fiを使えるようにするための活動など人とのつながりのなかで活動や運動をしています。」

(4) 伝えたいこと

  さいたま市民の国連職員を!

「私は、さいたま市民の国連職員にあったことがありません。一緒に仕事をやることを考えてみてください。ただし、英語で書いたり話せる力は、最低限必要なことです。」

  個人の違和感と社会の課題はつながる:声をあげよう

「個人があれ?おかしいなと思った違和感はがまんしなくていいと思います。それと社会の課題は絶えずつながっています。氷山に例えると、水面に出ている部分は自分が直面している課題であるかもしれませんが、水面下は社会の制度や法律によってそうなっているかもしれません。まずは声をあげてみましょう。そしてつながります。」

  生き抜く冷静さと情熱

「これからの日本は、コロナ後や人口減少等々の問題がありますが、そこで生き抜いていくには冷静さは必要だと思います。でも情熱は失わないでいてほしいと思います。また、それぞれの関りの中に自分がいますが、その中で同一化しなくてもいいと思います。自分が何を大切にしているのかなど気持ちや考えや魂の棚卸を定期的に行うことが必要だと思います。」

  まちがう権利、弱さをみとめる権利もあるよ

「間違えちゃったとか悩んでいることとなど、学校で勉強ができる人ほど言いにくくなってしまったことを見たり経験したりしてきました。人間はいろんな弱さ強さがあり、みんながそれぞれの中にそれぞれのマイノリティさがあるので、これからの時代は、みんながそれぞれの弱さを認めながら社会をつくる一員として参画していくことでないかと思います。」

  古いタイプの国際化 ――>これからの国際化

「国際化に関し理想は大切だが、現状を見ていく厳しさとしぶとさは重要だと思います。これまでの国際化は、英語が共通言語であることなどから欧米を追い越せのような考えもありましたが、これからはアメリカなどに行き目覚めることもなく、国内の自分の立ち位置にいながら進めることができると思います。」

  最後に「楽しさを忘れない」ということが、大切だと思います。

 受講者の声

・障がい者が悪いのではないという視点は、一番の学びでした。
・国連を身近に感じました。違和感を持ったら、声に出して伝えれば、そこからつながることがあると知りました。(一部抜粋)

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