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更新日付:2021年4月16日 / ページ番号:C077488

中央区(与野)の民話シリーズ(その3) 送り地蔵

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中央区(与野)の民話シリーズ(その3)

送り地蔵

ある日、侍が大宮宿へ出かけ酒を飲み酔い潰れ帰る途中、上落合の雑木林にさしかかった。
そのあたりは、昼でも追いはぎが出ると噂される物騒な所である。
夜道をよろめきながら歩いていると、だれかが後をつけてくるような気配がする。
恐る恐る振り返るが、だれもいない。
「おかしいなぁ」と思いつつ、また歩き出すと確かに誰かの足音が聞こえる。
内心ビクビクしながら後ろを振り返ったが、やはり誰もいない。
そんなことを繰り返しているうち、薄気味悪い所へさしかかった。
すると足音がすぐ後ろまで近づいたように思えた。
背筋にゾクッとするものを感じた侍は、太刀を引き抜き後ろに向かって切りつけた。
「ガチッ」と手ごたえがあった。
侍はカッと目を見開きあたりを見回したが、そこには暗闇があるだけ。
すっかり酔いもさめた侍は、亡霊か化物のしわざと思い込み、一目散に駆け出して我が家へ帰り着いた。
やがて、悪夢のような夜が明けた。昨夜の出来事が気にかかった侍は、さっそく事件のあった場所へ出かけてみた。
なんとその場所は真っ赤な鮮血で染まっていた。そのうえ、血は小村田村の地蔵堂前まで転々と続いていた。
                    送り地蔵
「そうだ、このお地蔵さまはたいへん情け深いと噂されていたが、昨夜自分の後を付けてきたのは酒に酔って災難にでもあっては大変だと心配されたからなのだ」
侍は、そうとは知らずいきなり切りつけた事を申し訳なく思い、お地蔵さまの前にひれ伏して詫びたという。
このことがあってから、小村田村のお地蔵さまの功徳はなおいっそう知れわたり、いつのころからか「送り地蔵」と呼ばれ多くの人がお参りするようになったという。

平成6年3月与野市教育委員会発行 与野市文化財図録「与野の不思議探検」より(イラストも)

「与野の不思議探検」には紹介した民話を含め41の「不思議」が掲載されています。与野図書館で借りることができます。

送り地蔵は、現在は円乗院に安置されています。

中央区(与野)の民話シリーズ
その1 諏訪坂の怪は こちら
その2 二度栗山と弘法大師は こちら
その4 長伝寺の水飲み龍は こちら
その5 お化け地蔵は こちら
その6 阿弥陀様とへびは こちら
その7 大戸貝塚は こちら
その8 妙行寺と二つの巨木伝承は こちら
その9 長伝寺の厄除け開山は こちら

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