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更新日付:2021年4月16日 / ページ番号:C080061

中央区(与野)の民話シリーズ(その9) 長伝寺の厄除け開山

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中央区(与野)の民話シリーズ(その9)

長伝寺の厄除け開山

長伝寺はもと真言宗のお寺で、天正2年(1574)浄土宗に改宗した。中興開山(ちゅうこうかいざん)は存応上人(後の普光観智国師)。この話は観智国師にまつわるものである。
「たいへんです。起きてください」
「なんだうるさいなぁ。今頃」と目をこすりながら起き上がった住職に、
「さっきから奥の方で、カタンコトンとひっきりなしに音がしています。ほら、まだ聞こえるでしょ」
住職は半信半疑で耳をすませると、確かに奥の方から不思議な物音がしている。
「ただごとではないぞ」と思った住職は、小僧と一緒に暗闇の中を手探りで音のする方へ行ってみた。
不思議な音は普光観智国師像の安置してある厨子の中から聞こえてくる。                    
さっそく、小僧に灯を持ってくるよう言いつけた時、突然バタバタと大きな足音がしたかと思うと、二人の黒い影が外へ飛び出していくのが見えた。
その影はなんと泥棒だった。あわてて部屋中を調べてみると、箪笥や納戸がひっかきまわされ、あたりはいろいろなものが散乱していた。
座敷の真ん中には大きな風呂敷が広げられ、寺宝類が置かれていた。
「もし起きるのが遅れていたら…」と考えるとブルッと震えが込み上げてきた。
二人は改めて開山さまに感謝した。
                  長伝寺
またある晩のこと、突然、奥の方でカタンコトンと不思議な音が聞こえてきた。
「また、泥棒か」と早合点した住職は、小僧を起こし、灯をつけて「オフォン、オフォン」と大きな咳ばらいをした。泥棒を追い払おうとしたのだ。
しかし、泥棒の逃げ出す気配はいっこうにない。それどころか、カタンコトンという音はますます高まっていった。
「これは一大事が起きたに違いない」
住職と小僧は、あたりに注意を払いながら厨子の前まで近寄った。途端に音はぴたりとやんだ。不審に思い、厨子の扉を開き中を見たが変わった様子はない。
二人は念のため寺内をまわってみたが別に異常はない。
「やれやれ」と安心し、「また寝ようとしよう」と思い、二人は床についた。
その時、勝手の方でパッと火の手が上がり障子がメラメラと燃え出した。
「火事だぁ」
住職は大声で叫び、小僧と一緒に消火につとめた。こうして二人はてんてこまいしたが、大事には至らず消し止めることができた。
このことがあってから、二人は口癖のように「あの時、開山さまが不思議な音を出して起こしてくださらなければ寺は丸焼けになっていただろう。おかげで大厄を免れることができた。本当にありがたいことだ」と会う人ごとに感謝の気持ちを話したという。
その後も、長伝寺に何か災難が降りかかりそうになると開山さまの尊像が不思議な音で知らせてくれたという。

平成6年3月与野市教育委員会発行 与野市文化財図録「与野の不思議探検」より(イラストも)

「与野の不思議探検」には紹介した民話を含め41の「不思議」が掲載されています。与野図書館で借りることができます。

中央区(与野)の民話シリーズ
その1 諏訪坂の怪は こちら
その2 二度栗山と弘法大師は こちら
その3 送り地蔵は こちら
その4 長伝寺の水飲み龍は こちら
その5 お化け地蔵は こちら
その6 阿弥陀様とへびは こちら
その7 大戸貝塚は こちら
その8 妙行寺と二つの巨木伝承は こちら

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