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さいたま市議会基本条例逐条解説

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目次(逐条解説)

前文

第1章 総則

 第1条(目的)

第2章 議会及び議員の責務

 第2条(議会の責務)

 第3条(議員の責務)

第3章 議会の活動

 第4条(議会の活動)

 第5条(議長及び副議長)

 第6条(臨時会の招集及び会期)

 第7条(本会議)

 第8条(委員会)

 第9条(委員長及び副委員長)

 第10条(その他の会議)

 第11条(質疑及び質問等)

 第12条(意見書及び決議)

 第13条(議員の派遣)

 第14条(学識経験者等の活用及び調査審議のための機関の設置)

第4章 議員の活動及び会派

 第15条(議員の活動)

 第16条(会派)

第5章 市民の議会 

 第17条(市民の参画)

 第18条(広聴)

 第19条(傍聴等)

 第20条(広報)

 第21条(会議録等)

第6章 市長等との関係

 第22条(市長等との関係)

 第23条(市長等の出席)

 第24条(資料の提出その他の協力)

 第25条(議決事件の拡大)

 第26条(区行政との関係)

第7章 定数、議員報酬等及び政務活動費

 第27条(議員の定数)

 第28条(議員報酬及び期末手当)

 第29条(政務活動費)

第8章 政治倫理

 第30条(政治倫理)

第9章 議会局等

 第31条(議会局)

 第32条(議会図書室)

第10章 補則

 第33条(適用範囲)

 第34条(他の条例等との関係)

 第35条(議会の在り方の検討) 

前文

  さいたま市議会は、指定都市の議会として、市民の多様かつ広範な意見を把握し、市の意思や政策に適切に反映させていく使命を担っている。

  議会は、二元代表制の下、市長その他の執行機関に対して抑制と均衡の関係にあり、その自主と自立の実現が不可欠である。

  真の分権社会を実現し、市民を取り巻く多くの課題を解決するためには、それらに的確に対応できる自治立法権、自治行政権及び自治財政権を備えた「地方政府」の確立が必要である。

  よって、さいたま市議会は、市の意思を決定する機関として、日本国憲法で保障する主権在民の原理と、直接選挙により選ばれた民主的正当性に基づき、その果たすべき責務を明らかにし、監視機能、調査機能、政策形成機能などを強化し、揺るぎない地方政府を確立することを通じ、市民福祉の向上と市の健全な発展を実現することを決意し、この条例を制定する。



(解説)

  本条例制定の背景、経緯、必要性等を示し、さいたま市議会の決意を表明したもの。

  近年の地方分権の進展に伴い、地方議会の在り方が大きく問われていることを背景として、さいたま市議会では、政務調査費(現在の政務活動費)の使途基準運用指針の策定、第三者による使途調査の導入、議会改革推進特別委員会の設置、予算委員会の常設化、中学生議会の開催、議員定数削減条例の制定などの自主的な改革を進め、市民の代表機関として自らの襟を正すとともに、議会が担うべき様々な機能の充実に努めてきた。

  地方公共団体の議会は、日本国憲法の要請により、議事機関として、当該地方公共団体の意思を決定する権能を有している。

 これは、同じく憲法で定める地方自治の本旨のうち、特に「住民自治」という、地域のことはその地域の住民の意思に基づき、地域の住民の代表者で構成する議会に政治や行政を行わせるといった代表民主制を具現したものとなる。

  この代表民主制の具現の過程で、独任制の首長(市長)と異なり、様々な立場や階層にある市民の意見を代表することにより、高い民主的正当性を付与された議員が関与することが特に重要であり、地方自治という仕組みの中における議会の存在意義となる。

  さいたま市議会は、人口122万人(条例制定時現在)を擁する大都市自治体の議会として、また多くの権限と責任を担う指定都市の議会として、市民の広範な意見を把握し、市の政策に反映させることで、多様化する市政の諸課題を解決する使命を担っている。また、さいたま市議会は、二元代表制の下、市長その他の執行機関と対等の立場にあり、議会として自主的・自立的に活動を行い、議会の果たすべき監視機能、調査機能、政策形成機能などを最大限発揮する使命も担っている。

  このような使命を果たすため、さいたま市議会は、不断の取組によって議会の担うべき各機能を強化し、自治立法権、自治行政権及び自治財政権を備えた揺るぎない「地方政府」を確立することによって、市民福祉の向上と市の健全な発展を実現することを決意した。

  前文は、以上のようなさいたま市議会の決意を表明し、その実現のための議会自身の基本的な規範として本条例を制定することを宣言したものである。

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第1条(目的)

第1条 この条例は、さいたま市議会(以下「議会」という。)及びさいたま市議会議員(以下「議員」という。)の責務、活動の原則、組織、市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)との関係等について明らかにするとともに、自主的かつ自律的な議会運営を実現するための基本的な事項を定め、議会の使命を果たすことにより、市民福祉の向上と市の発展に寄与することを目的とする。



(解説)

  本条例の目的を定めたもの。

  条例で、議会及び議員の責務、活動の原則、市長等との関係などを明確化するとともに、自主的・自律的な議会運営の実現のための基本的な事項を明文で規定化することで、それらの必要性・重要性を議会・議員における共通認識として確認し、併せてその趣旨に沿った運営を実現することにより議会の使命を果たしていくことで、「市民福祉の向上」と「市の(健全な)発展」に寄与することとしたもの。前文において掲げた議会の決意を受けて条例の目的を明文化した。

  本条で掲げた目的の達成のため、以降の条項でメニューを示すこととなる。

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第2条(議会の責務)

第2条 議会は、市民の意見の把握と調整を図り、様々な解決の方策の中から市民福祉の向上と市の発展のための適切な選択をし、及び議論の過程を積極的に公開することに努めなければならない。



(解説) 

  議会として果たすべき責務を、市民の意見の把握・調整を図りつつ、市民福祉の向上と市の発展に最も適切な選択(決定)をするとともに、その判断に至った過程を広く市民に向けて公開するよう努めなければならないこととするもの。

  市民の多様な意見を代表する“市民代表性”の高い機関である議会として、前条の目的実現のために、その責務を明らかにした。

  独任制の機関である市長には、広範多様な市民の意見の把握に物理的な限界があることに対し、議会は市民の直接投票により選挙された複数の議員から構成される合議体として、幅広い民意を把握することが可能となることから、様々な行政課題に対する解決の選択肢の中から、市民の意思にかなう最も適切な選択をしなければならないという合議体としての決定責任を明確化した。

  併せて、議会の活動を市民の注視の下に置くこと、市民の批判監視の機会を確保することで、民意がどのように審議に反映しているか、公正な議事がなされているかを確認できることが、議会の市民代表性を維持するために不可欠であるとの認識から、議論の過程を議会として積極的に公開することを明確化した。

  議会の責務を実現する具体的手法として、市民の意見の把握については、公聴会・参考人制度の活用(第7条)、市民の参画(第17条)、広聴(第18条)を、適切な選択については、第3章(議会の活動)において各種会議の適切な運営や議論の充実、調査機能の向上を、議論の過程の積極的な公開については、地方自治法第115条第1項(会議公開の原則)の規定を受けた「傍聴の自由」(第19条)、「報道の自由」、 「会議録の公開」(第21条)や、市民参画機会の提供(第17条)、広報活動の充実(第20条)を規定している。

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第3条(議員の責務)

第3条 議員は、市民の代表者としての品位を保持し、能力の向上に努めるとともに、市民の意見を的確に把握し、広い視野から情報収集を行い、市民全体の利益を勘案して職務を行わなければならない。



(解説)

  議員の責務について、市民の代表者であるという観点から、議員としての品位保持と能力向上はもちろん、市民意見の把握と、指定都市の議員としての立場から広範な情報を収集し、市民全体の利益を見定めた上で、市民福祉の向上と市の発展に最も適切な決定を議会が行っていくよう、一人一人の議員がそれぞれの職務を遂行していくこととするもの。

  地方分権の進展に伴い、合議制の機関を構成する議員の活動領域は、住民自治の充実の観点から時間的・場所的に拡大の方向にある。議会の定例会・臨時会(本会議)に限らず、積極的に市民意見を聴取して地域の課題等を把握した上で、特定の利益に偏ることなく、市民・市にとって何が全体利益となるかを勘案し、議会の意思決定を最も適切なものへ導くようにしなければならない。

  本条の趣旨を踏まえ、議員の活動に関する原則(第15条)、政務活動費(第29条)、政治倫理(第30条)の規定が置かれる。

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第4条(議会の活動)

第4条 議会は、次に掲げる原則に従い活動するものとする。

(1) 条例の制定を通じて自治立法権を有効に発揮するとともに、意見書の提出、決議等により積極的に政策の形成、政策の提言等を行うこと。

(2) 市政に関する課題に的確かつ迅速に対応するため、活発な質疑及び質問並びに調査研究を通じて市長等の事務(第22条第2項に規定する市長等の事務をいう。第11条第18条及び第24条において同じ。)を監視し、政策の効果を適切に評価すること。

(3) 議決機関として活発な議論を通じ、市民の意見の調整を行い、政策の決定を図ること。

(4) 内外の社会経済情勢の変化に的確かつ柔軟に対応するため、調査機能の向上に努め、市民の視点に立った政策を形成すること。

(5) 第7条第1項の本会議、第8条第1項の委員会その他この条例の規定により置く会議において、議員相互間の議論を行うこと。

(6) 議会への理解と信頼の向上のため、議会運営の透明性を確保するとともに、議会の諸活動を市民に説明すること。

(7) 議会の組織の編成に当たっては、その時々の市政に関する課題に応じ、柔軟かつ弾力的な運営が可能となるようにすること。



(解説)

  議会の責務を果たしていくために、その活動上必要となる原則を掲げるもの。

  さいたま市は、人口122万人(条例制定時現在)を擁する大都市自治体であり、市長等及びさいたま市議会は、大都市特有の諸課題を解決する責務を有するとともに、指定都市として多くの権限と責任を担っている。このような状況の下で、さいたま市議会は、議会に求められる監視機能、調査機能、政策形成機能や、議決機関としての利害調整機能を果たしていかなければならない。そのため、市長等の事務の監視・評価、市民の視点に立った政策決定を行っていく上で、自治立法権に基づく条例の制定や意見書の提出等による議会意思の表明により積極的に政策誘導を行うことや、本会議や委員会における質疑・質問、調査研究などに加え、議会の意思決定過程における透明性の確保や情報の発信、議会に置かれる委員会等の組織編成についての基本的・根本的事項を活動原則として掲げた。

  第1号は、議会の高い市民代表性を生かした条例の制定や意見書の提出、決議等により政策の形成、政策の提言等を行うことを議会の活動原則とするもの。議会には、単なる確認機関、監視機関という受動的な位置付けだけではなく、自主的・主導的な立場で政策を企画・立案し、仕立て上げて展開していく役割が大きく求められており、議会としてもその役割を十分に果たすべく、積極的・主導的に政策を誘導していくことを掲げたものとなる。

  第2号は、活発な質疑・質問や調査研究を行い、議会・議員として市長等の事務が適正に執行されているかどうかを監視することと、市長等の事務についての成果を適切に評価することまでを活動の原則とするもの。「質疑」、「質問」については、第11条においてその趣旨等を明文化している。また、「調査研究」については、議会という機関としては第13条(議員の派遣)、第14条(学識経験者等の活用及び調査審議のための機関の設置)、第24条(資料の提出その他の協力)、第29条(政務活動費)に、議員としては第15条(議員の活動)に具体的規定を置いている。

  第3号は、議決機関としての意思決定の前提として、様々な市民意見を踏まえた上で、対立があるときや、より適切な方策が考えられるときなどは、必要な調整を行うこととするもの。

  第4号は、指定都市の議会として広い視野と多角的な視点から市を取り巻く社会経済情勢を把握するよう調査機能(能力)の向上に努め、その成果を市民からの視野・視点にフィードバックさせて政策形成を行うこととするもの。

  第5号は、本会議や、議会の内部機関としての委員会その他の会議などにおいては、議員同士が議論を交わしていこうとするもの。

  第6号は、議会における意思決定過程の透明性を確保するとともに、議会におけるさまざまな活動について広く情報発信をしていくとするもので、その趣旨を明確化したものが、「市民の参画」(第17条)、「傍聴等」(第19条)、「広報」(第20条)及び「会議録等」(第21条)となる。

  第7号は、議会の内部機関となる各委員会や議会に置かれる事務局(議会局)などの組織について、議会として果たすべき機能、議会が対応する行政需要の範囲や緊急性を勘案して、議会がその機能を最大限発揮できるようにこれらを編成することとするもの。

  これらの原則は、決して独立排他の関係にあるものではなく、相互・緊密に連鎖し、相乗して条例の目的達成に向けて作用することとなる。

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第5条(議長及び副議長)

第5条 議長は、議会を代表する中立かつ公平な立場において職務を行い、民主的な議会運営を行わなければならない。

2 議長は、議会の秩序を保持し、効率的な議事の整理に努め、議会の事務をつかさどる。

3 前2項の規定は、副議長が議長の職務を行う場合に準用する。



(解説)

  議長及び副議長の職務上の義務等について定めるもの。

  議会には、議会の統括機関及びその代理機関として、議長及び副議長を議員の選挙により置くこととされている(地方自治法第103条第1項)。

  議会は、市民の直接選挙によって選ばれ、その職責を対等に担う複数の議員によって構成される合議制の機関であり、機関として意思決定を行うこととされることから、議会における活動を主宰し、対外的に議会を代表する者を置くこととなる。

  議長には各種の権限が与えられていることから、その職務執行に当たっては、公正中立さが特に要請されるため、本条を設けた。

  第1項は、議会の代表者として中立・公平な立場で職務を行い、民主的な議会運営を行わなければならないという、議長の責務を定めている。第2項は、本会議を効率的に進行し、議会における審議を充実したものとするために、議長は本会議の主宰者として、議会の秩序を保持し(議場の秩序保持権)、効率的な議事の整理に努め(議事整理権)、また議会の機能発揮を支える事務局を指揮監督し、議会事務を統轄処理する(事務統理権)という、議長の権限を定めている。

  副議長は、議長に事故があるとき、又は議長が欠けたときに、議長の行う職務の全般について権限を有することとなる。

  なお、副議長は、議長職の「法定代位機関」となり、その名において議長の職務を行うものであり、議長の職務を行うに当たって特別の代位関係を表すような名称を付さない。また、代位機関にとどまることから、議長の補佐機関としての性格は有さず、上下の関係にもない。

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第6条(臨時会の招集及び会期)

第6条 議長は、付議すべき事件があるときは、議会運営委員会の議決を経て、臨時会の招集を市長に請求することができる。

2 議員は、その定数の4分の1以上の者により、臨時会の招集を市長に請求することができる。

3 前2項に規定する臨時会の招集を請求したにもかかわらず、これが招集されないときは、議長が臨時会を招集する。

4 定例会及び臨時会の会期は、議会が決定する。



(解説)

  地方自治法に規定する議会側からの招集の請求と議長による臨時会の招集と、定例会・臨時会といった議会ごとの会期について定めるもの。

  法に同趣旨の規定が既にあるが、地方分権の進展や市民の行政・議会に対する需要の拡大に伴い、地方議会の果たすべき役割が増大していることに鑑み、市政運営上の必要に応じて、時宜を失うことなく、積極的に議会を開催していこうとする姿勢を示すために規定した。

  第1項及び第2項は地方自治法第101条第2項及び第3項に定める臨時会の招集請求を定め、第3項は地方自治法第101条第5項及び第6項に定める議長による臨時会の招集について定めている(平成24年条例第51号で追加)。また、第4項は地方自治法第102条第7項に定める定例会・臨時会の会期について、市政運営上の必要性や議会が扱う議案の内容に応じて、議会が自主的に決定することを定めている。

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第7条(本会議) 

第7条 議会の意思は、議場に参集したすべての議員による定例会又は臨時会の会議(以下「本会議」という。)でこれを決定する。

2 議会の議決を要する事件は、本会議の議決を経てその効力を生ずる。

3 議会は、本会議において、予算その他重要な議案、請願等について市民の意見の把握等のため必要があると認めるときは、公聴会及び参考人の制度を活用するものとする。



(解説)
 議会の意思決定は、議場に集まった議員のすべてが参加する定例会及び臨時会の会議(本会議)でのみこれを行うことができるとするもの。

  本会議は、全議員が一堂に会して審議を行う、議会において最も基本的かつ重要な会議であって、市としての団体意思、議会としての機関意思は、本会議で決定されることで、これが有効なものとなることを示した。

  議会の内部機関としては、地方自治法上、専門的な調査・審査を行う「委員会」(常任委員会・議会運営委員会・特別委員会)がある。さらに、議会は、会議規則に定めるところにより、議案の審査や議会の運営に関して協議又は調整を行う場を設けることができることとされた(地方自治法第100条第12項)。ただし、これらの機関の議決(決定)は議会の意思としての効力はなく、あくまで本会議での議決によらなくては、議会の決定としての効力は有さない。

  このことから、委員会や各種会議とは区別して「本会議」として明確化を図り、本会議の役割を再確認するとともに、議決機関として果たす最も大きな役割となる「議決」について、その意義を示した。

  平成24年地方自治法改正により、本会議において公聴会の開催及び参考人の招致について、議会の議決により行うことができることとされた(地方自治法第115条の2第1項、第2項)ことに伴い、第3項において、本会議において公聴会及び参考人の制度を活用することについて定めたもの。

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第8条(委員会)

第8条 議会に、常任委員会及び議会運営委員会を置き、必要に応じて特別委員会(以下これらを「委員会」という。)を置く。

2 常任委員会は、次に掲げる原則に従い活動するものとする。

(1) 市政に関する課題及び市の事務に関する調査並びに付託された事件の審査を自主的かつ自立的に行うこと。

(2) 常任委員会の有する専門性の見地から調査及び審査を行うこと。

3 議会運営委員会は、次に掲げる原則に従い活動するものとする。

(1) 所管する事項の調査又は議案等の審査に当たっては、適正かつ効率的な議会運営の実現に資するよう努めること。

(2) 議長の諮問に関する調査又は審査に当たっては、前号の趣旨を踏まえてこれを行い、意見を述べること。

4 特別委員会は、次に掲げる原則に従い活動するものとする。

(1) 特別委員会の設置の議決に当たっては、その目的、付議された事件の内容、委員の数、設置する期間を明らかにすること。

(2) 特定の事件について審査する機関としての見地から、効率的な審査を行うこと。

5 前条第3項の規定は、委員会について準用する。

6 委員会に、その効率的な運営を確保するため、各会派(第16条に規定する会派をいう。第11条及び第29条において同じ。)を代表する者等で構成する会議を置くことができる。

7 委員会は、調査を行った事務等若しくは審査を行った事件について必要があると認めるとき、又は議会から求められたときは、本会議においてその報告を行う。



(解説)

  議会に置かれる常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会について定めるもの。

  委員会は、議会が意思決定機関として合理的な活動を行うため、事件の審議を終始本会議で行うよりも、議会の構成員たる議員の一部をもって構成する会議体によって、より効果的・効率的に審議活動を行わせることを目的として設置される、議会の内部機関となる。地方自治法では「常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を置くことができる」とされ、必置の制度ではなく、小規模な町村においては委員会制度を採用していない議会もあるが、市及び都道府県では、さいたま市を含めすべての議会で委員会制度を採用している。

  委員会は、議会から事件の付託を受けた限り、その審査に当たってはまったく独自の立場で付託事件の審査を行い、議会の本会議から制約を受けることはない(「委員会審査独立の原則」)。したがって、いったん委員会に付託した事件については、議会は、委員会の報告をまって改めて議題とすることとなる。また、委員会は、議会の中に設けられる組織であり、議会が開会されている状態でなければ、その活動をすることができない(例外として、「閉会中の継続調査・審査」)。

  委員会の運営については、地方自治法で定めるもののほかは条例で定めることとされ(地方自治法第109条第9項)、その内容は、法令に反しない範囲内で、各議会が自由に定めることとなる。さいたま市議会では、さいたま市議会会議規則、さいたま市議会委員会条例及びさいたま市議会委員会傍聴規程を定め、委員会の組織と運営について規定している。 

  常任委員会は、議会の案件についての予備的・専門的審査機能を有し、その果たすべき役割は大きいが、議会と離れた独立の意思決定機関ではなく、広範多岐にわたり、専門化・技術化していく普通地方公共団体の事務を合理的・能率的に調査し、又は議案、請願等を審査するために認められたものとなる。

  さいたま市議会では、市政に関する課題をより専門的・効率的に審議できるよう、常任委員会として総合政策委員会、文教委員会、市民生活委員会、保健福祉委員会、まちづくり委員会、予算委員会を設置している。第2項は、これら常任委員会の活動原則を規定したもので、委員会の設置目的でもある「専門性」を生かしながら、自主的・自立的に所管事項の調査・審査を行うことを定めている。

  議会運営委員会は、会派間の調整が議会運営上大きな役割を果たしていることに鑑み設けられた制度(平成3年地方自治法改正)であり、議会の円滑な運営に資するためのものとされる。

  さいたま市議会では、議会の円滑な運営を図るため、議会運営委員会を設置し、議会の会期や議事日程などの議会の運営についての事項や、臨時会の招集請求など議長の諮問を受けた事項について審査を行っている。第3項は、このような議会運営委員会の活動原則を規定したもので、所管事項の調査・審査を行い、また議長の諮問事項を審査し意見を述べる際に、議会運営委員会の設置目的である「適正かつ効率的な議会運営」の実現に資するように努めなければならないことを定めている。

  特別委員会は、常任委員会と異なり、特定の付議事件の審査のためにその都度設けられるものである。

  さいたま市議会では、市政の課題に対して柔軟に対応し、効率的・専門的に調査を行うため、条例制定時において、政治倫理特別委員会、大都市行財政制度特別委員会、議会改革推進特別委員会、いじめ問題等特別委員会(平成23年3月まで)、地下鉄7号線延伸事業化特別委員会、見沼田圃将来ビジョン特別委員会を設置し、また、平成23年5月より決算審査及び行政評価を行う決算・行政評価特別員会を設置している。第4項は、これら特別委員会の活動原則を規定したもので、設置に当たってはその目的、付議された事件の内容、委員の数、設置する期間を明らかにし、特定の付議事件について効率的な審査を行うことを定めている。

  今日、委員会が議案審査、議会運営の中心となっており、また平成18年の地方自治法改正により委員会による議案提出権が認められたことにより、委員会の果たす役割は今後ますます重要なものとなることから、委員会における議案審査の充実が不可欠である。そのため、第5項は、委員会の調査・審査の充実のため、本会議における公聴会制度及び参考人制度の活用について定めている前条第3項の規定を委員会についても準用し、市民意見の把握を図ることとしている。

  第6項は、委員会の効率的な運営のため、委員会に各会派を代表する者等で構成する会議を設置することができることを定めている(会派については、第16条を参照)。

  委員会は議会の内部機関であり、議会の意思は本会議で決定される(本会議については前条を参照)。そのため、委員会は本会議において、付託された事件に対する委員会での審査内容及び結果を報告する必要がある。第7項は、必要があるときや議会から求められたときに、調査・審査を行った事件について、委員会が報告することを定めている。

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第9条(委員長及び副委員長)

第9条 委員長は、調査又は審査を行う委員会の特性を発揮させるよう努めなければならない。

2 委員長は、委員会の秩序を保持し、効率的な議事の整理に努め、委員会の事務をつかさどる。

3 前2項の規定は、副委員長が委員長の職務を行う場合に準用する。



(解説)

  委員長及び副委員長の職務上の義務等について定めるもの。

  委員会が議会の運営上重要な役割を担い、その運営が議会全体の運営を大きく左右することから、委員会の専門性、独立性などに鑑み、議会内部における委員長及びその職務を代理する副委員長についての権限を明確にした。

  委員会制においては、法令及び条例の規定の前提として「委員会審査独立の原則」が認められ、委員会は、議会から議案等の付託を受けた限り、独自の立場で調査・審査を行い、議会の本会議から、また他の委員会からも制約を受けることはない。

  委員会が、本会議の機能の一部を分担する機関であり、本会議における審議の予備的・専門的・技術的な審査機関と位置付けられ、その運営は効果的かつ円滑に行われることが議会の果たすべき機能発揮に大きく連動することから、その舵取り役として、委員長の責務は非常に大きいものとなる。そのため、第1項は、委員長が委員会の舵取り役として、専門的な調査・審査を行う委員会の特性を発揮させるよう努めることを規定している。

  地方自治法上、委員の選任その他委員会に関する事項は、条例で定めることとされ、さいたま市議会委員会条例では、各委員会に、原則として委員長及び副委員長を各1人置くこととし(委員会条例第9条)、委員長は、委員会の議事を整理し、秩序を保持することを職務としている(委員会条例第11条)。

  委員長の議事整理権の内容の主要なものは、委員会を招集する権限、委員会の開議・散会・休憩を宣告する権限、案件の審査順序を定める権限、委員会の議事を進行し整理する権限、裁決権を行使する権限となる。そのほか、委員会記録作成の権限等があり、おおむね議長の権限と類似するが、事務統理権と代表権は有していないとされる。

  事務統理権については、委員会が議会の内部機関であり、委員会運営に伴う事務は議会運営事務として議長の事務統理権に属するため、また、代表権については、内部機関の長の権限は議会内部の関係においてのみ認められ、対外的には代表権を有するのは議長とされる。第2項は、議会という機関内部の範囲で、委員長に上記の権限を認め、その職責を確認している。

  第3項は、副委員長について定めている。委員長に事故があり、又は委員長が欠けたときは、副委員長がその職務を行うのも、議長と副議長の関係と同様となる。

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第10条(その他の会議)

第10条 議会に、議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための会議を置くことができる。



(解説)

  平成20年地方自治法改正により新たに設けられた同法第100条第12項の規定に基づき置く会議について定めるもの。

  地方自治法第100条第12項は、分権時代において地方議会の議員に求められる活動領域が拡大していることに伴い、議会が、会議規則の定めるところにより議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を設けることで、議員活動の主たる範囲である議会の活動を明確化し、より積極的な議員活動の展開を図る趣旨から設けられた。具体的にどのような会議等を置くかは、各議会の裁量となるが、一般的には、全員協議会、各派代表者会議、議会広報編集委員会などが考えられる。

  なお、会議規則に所要の規定を設けるに当たっては、会議等の名称、目的、構成員、招集権者を明記することが必要となる。

  さいたま市議会では、全員協議会、各派代表者会議、議員連盟、理事会、議会広報編集委員会が事実上の機関として置かれており、議会の運営について協議・調整が行われている。

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第11条(質疑及び質問等)

第11条 会派に所属する議員は、当該会派を代表して、本会議において議長の許可を得て、提出された議案に関する質疑(以下「質疑」という。)又は市長等の事務に関する質問(以下「質問」という。)をすることができる。

2 前項のほか、すべての議員は、本会議において議長の許可を得て、質疑又は質問をすることができる。

3 前2項の質疑又は質問は、議長にその要旨をあらかじめ文書で通告しなければならない。

4 前項の規定にかかわらず、緊急を要するときその他特別の事情があるときは、議員は、議長の許可を得て質疑をし、又は議会の同意を得て質問をすることができる。

5 委員会の委員は、委員会において委員長の許可を得て、質疑をし、質問をし、又は自己の意見を述べることができる。この場合において、委員が質問をしようとするときは、委員長にその要旨をあらかじめ文書で通告しなければならない。

6 質疑又は質問は、一問一答の方法等により行うことができる。

7 本会議又は委員会に出席した市長等は、議員又は委員による質疑又は質問に対する答弁に必要な範囲内で、議長又は委員長の許可を得て、当該質疑又は質問を行った議員又は委員に対してその趣旨を確認するための発言をすることができる。



(解説)

  本会議及び委員会において行われる質疑、質問等について定めるもの。

  「質疑」と「質問」の区分は、一般的な用語としては不明瞭であり、市民にその違いを説明する必要があると考え、説明的な規定として整理した。

  本会議や委員会の運営上の手続的・技術的なルールは、会議規則及び会議運営規程並びに委員会条例に定めることとなるが、基本条例においても、会議運営上の最も基本的な事項として、特に規定化することとした。

  さいたま市議会では、従来、原則として「一括質問方式」「一括質疑方式」を採用し(委員会においては「一括方式」と「一問一答方式」の併用)、個々の議員の質疑・質問が一通り終わった後、これに対して市長等がまとめて答弁するものとなっていた。この場合、質疑・質問が行政の様々な分野に展開されることもあるため、答弁がいずれの質疑・質問に対してなされたものか不明確となりやすく、また、答弁漏れがあったことを即座に判断できない場合もあること、特に傍聴している市民等にあっては質疑・質問と答弁の時間が離れてわかりにくいといったデメリットが大きい。これらのことから、議論を明確にし、何が論点となっているのかわかりやすく、集中的かつスピード感のある議論に資するものとして、平成22年9月定例会から、代表質問及び一般質問について「分割質問方式」(「一問一答方式」と「一括方式」の中間にあるもの)を導入し、「一括質問方式」との選択制を採っている。

  さらに、質疑・質問は議員に認められたものであり、従来、本会議や委員会に出席した市長等は一方的に質疑・質問に答えるだけであったが、丁寧かつ要点を押さえた答弁を確保するために、議員の質疑・質問の趣旨が不明確であったときは、市長等による確認のための発言を認めることにより、議会と市長等との緊張関係を保つとともに、論点を明確化し、議会審議の充実と活性化を図るもの。

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第12条(意見書及び決議)

第12条 議会は、市民福祉の向上と市の発展に資するため、国会又は関係行政庁等に意見書を提出し、その意見を表明する。

2 議会又は委員会は、市民福祉の向上と市の発展に資するため、重要かつ喫緊の事項について決議し、その意思を表明する。



(解説)

  議会という機関としての意思表明となる「意見書」及び「決議」について定めたもの。

  市民福祉の向上と市の発展を図るためには、議会・市行政の取組はもちろんのこと、国や県に対して対応を求めたり、連携・協力を求めることが必要となる。そのため、法的手段として議会の意見を国、県等に対して提出する「意見書」(地方自治法第99条)を第1項に、事実上の行為として議会の意思を表明する「決議」を第2項に規定した。意見書・決議としてさいたま市議会の政策上の意思を表明し、その実現を目指すことで、市民福祉の向上と市の発展を図ることになる。

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第13条(議員の派遣)

第13条 議会は、議案の審査又は市政に関する課題若しくは市が推進するべき事務の調査研究に必要があると認めるときは、議員を派遣することができる。



(解説)

  議案の審査や、市政に関する課題又は市の事務に関する調査研究のため必要があると認めるときに、議員派遣することを規定するもの。

  さいたま市議会は、市政の課題に的確かつ迅速に対応し、議会として積極的に政策形成及び政策に関する提言を行うことを目指しており(議会の活動については、第4条参照)、そのためには、内外の先進事例について積極的に調査研究を行うことが重要となっている。また、必要と認めることができない議員の視察等に対する市民の批判が高まっており、公務として議員を派遣する場合には、その目的を明らかにし、透明性を向上させることが不可欠である。このような背景から、議員が公務として内外に視察等を行う目的を「議案の審査」「調査研究」として明確化するとともに、必要な場合に議員派遣を活用することを定めた。

  具体的には、地方自治法第100条第13項の規定に基づき、会議規則の定めるところにより派遣することとなり、派遣の目的、場所、期間その他必要な事項を明らかにしたうえで決定することとなる。

  議員が公務として内外に視察等を行う場合は、委員の派遣又は議員の派遣に基づき行うこととなる。

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第14条(学識経験者等の活用及び調査審議のための機関の設置)

第14条 議会は、議会における審議の充実、議会による政策形成機能の強化及び政策の効果の評価に資するため、学識経験を有する者等の知見を活用することができる。

2 議会は、その公正性及び透明性の確保並びに自律性の向上に資する事項について必要があると認めるときは、当該事項を調査審議するための機関を置くことができる。



(解説)
 議会における学識経験者等の活用及び調査審議のための機関の設置について定めるもの。

  第1項は、議会は、議案の審査又は市の事務に関する調査のために必要な専門的事項に係る調査を学識経験者等(個人、法人、大学、法人格のない団体・組織等)にさせることができることとするもの(平成18年地方自治法改正による同法第100条の2を受けた規定となる。)。

  従来から、専門的知見の活用については「公聴会」や「参考人」の制度があるが、これらは意見を聴取することにとどまり、議会が必要とする専門的な知見を得るためのものではなかった。また、執行機関が第三者等により調査研究をさせ、その結果を説明させることもあったが、これも執行機関の事務執行の一環として位置付けられるものである。

  そのため、議会における審議の充実と、政策形成機能の強化を図る見地から、平成18年地方自治法改正により新たに「専門的知見の活用」が設けられた。

  さいたま市議会においても、地方自治法の趣旨を踏まえ、議会の審議を充実し、議会が担うべき監視機能、調査機能、政策形成機能などを最大限発揮するために、学識経験を有する者等の知見を活用することができることを定めた。

  この制度は、議会の自主性を基底とする活動として、議決に基づき調査等をさせることとなる。

  なお、学識経験者等の知見を活用した調査は、議案の審査又は市の事務の調査が議会において行われていることが前提となるため、議会が閉会した後に引き続きこれを行わせる必要があるときは、閉会中の継続審査の手続が必要となる。

  第2項は、議会の「公正性・透明性の確保」「自律性の向上」に資する事項を調査審議するための機関を設置することができることとするもの。

  さいたま市議会でのこれまでの経緯を踏まえ、議会という機関が一体となって取り組むべき調査研究を扱わせること、また、議会の自律的問題という部分も含めていること等から、調査機関の任務として、議会の「公正性」、「透明性の確保」及び「自律性の向上」という文言を用い、具体性を備えた用語で整理することにより、議会の課題は議会自ら解決を図ること、そのための仕組みとして議会の内部に機関を設けていくことを明確に示し、また同時に、議会に求められる使命として果たしていく姿勢も強く示すもの。

  なお、この調査機関は、議会の意思として設置することとなることから、議決手続を要するものとなる。

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第15条(議員の活動)

第15条 議員は、次に掲げる原則に従い活動するものとする。

(1) 市民の意見と市政に関する課題を的確に把握し、政策の決定及び形成に適切に反映させること。

(2) 市民を代表する機関を構成する者として、市民福祉の向上と市の発展に資する調査研究を積極的に進めること。

(3) 市の政策の効果を適切に評価し、その公表に努めること。

(4) 議会における政策の決定の過程等について、市民に説明すること。



(解説)

  議員の責務を果たしていくために、その活動上必要となる原則を掲げたもの。

  議会に求められる監視機能、調査機能、政策形成機能や議決機関としての機能(利害調整機能)も、本会議や委員会における質疑・質問、調査研究や、議会運営上の透明性の確保や情報の発信など、議員一人 一人の意識と行動によることから、議員の活動原則として、(1)市民の意見と市政に関する課題の把握、(2)調査研究、(3)市の政策の評価と公表、及び選挙によって選ばれた地域住民の代表として(4)市民への説明責任を定め、自らの襟を正すこととした。第4条の「議会の活動」に応じた規定となる。

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第16条(会派)

第16条 議員は、政策の決定及び形成に資するため、その理念を共有する議員の集団として会派を結成することができる。

2 各会派は、政策の決定及び形成その他の議会活動に関し相互に協議を行い、円滑かつ効果的な議会運営を図るものとする。

3 議会に、前項の協議を行うために、各会派を代表する者で構成する会議を置く。

4 議会は、議会にいずれの会派にも属さない議員があるときは、前項の会議及び第8条第6項の規定により置く会議につき、当該議員に対し、適切な配慮を行うものとする。

 

(解説)
 規模が大きく、また、委員会制度を中心に運営される議会においては、政策・理念を共有する集団として構成された会派同士の議論が、円滑な議会運営に資する面を有していることから、さいたま市議会においても会派制を採っており、その会派について定めたもの。

  「会派」とは、一般的に、議会において共通する政策、意見、考え方を持つ議員の集まりとされている。

  第1項では、会派を「理念を共有する議員の集団」と位置付けるとともに、議員が会派を結成することができることを定めている。第2項では、各会派が議会活動について相互に議論を行い、円滑で効果的な議会運営を図ることを定めており、その協議の場として第3項に各派代表者会議を規定している。

  また、議員はそれぞれが選挙によって選ばれ、等しく職責を担う存在であることから、第4項では、会派に属さない議員に対し、適切な配慮を行うことを定めている。

  なお、「会派」は、国会における「政党」とは、厳密には異なる概念となる。

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第17条(市民の参画)

第17条 議会は、市民の代表者で構成する機関であることを踏まえ、自ら行う政策の形成の過程において市民が参画できる機会の提供に努めなければならない。

 

(解説)
 議会は、自ら政策の企画立案等を行おうとするときは、その過程において市民参画の機会を提供するよう努めなければならないとするもの。

  議会の活動を広く公開することにより、市民の意思が議会にいかに反映しているかその審議内容を周知するとともに、市民が議会を監視し、批判する機会が確保されることで、常に公正な議会運営が確保される。

  それに加え、議題とされる前の段階から、市民の意見から離反していないか、政策として妥当であるかについて検証することが求められることから、議会として市民参画の機会を確保し、市民の意見を議会に反映することが必要となる。そのため、議会は、政策形成の過程において市民が参画できる機会の提供に努めなければならないことを定めた。

  さいたま市議会では、本会議の公開・情報発信については、地方自治法第115条第1項に規定する「会議公開の原則」に基づき、傍聴の自由及び報道の自由を保障するとともに、会議録の公開を行っているところであり、また、委員会においても同様に情報発信を行っているところであるが、事後報告的な面に限ることなく、より広範な市民の意見の把握と議会に対する信頼確保の観点から、市民参画の機会を多く設けていこうとするものである。

  なお、平成24年地方自治法改正により、住民参画の機会を拡大し、議会審議を活性化させるという観点から、本会議においても「公聴会の開催」及び「参考人の出頭要求」を行うことができることとなったが、本条は政策形成過程に特化した市民参画の機会の確保について定めるものであり、本会議における公聴会・参考人制度の活用について規定する第7条第3項とは分けて規定することとしている。

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第18条(広聴)

第18条 議会は、市政に関する課題に対する市民の意見を把握し、これを政策の適否の判断に当たっての基礎とするため、広聴の充実に努めなければならない。

2 前項の目的を達成するため、議案の審議及び市長等の事務の調査等に当たっては、公聴会又は参考人の制度等を積極的に活用するものとする。

 

(解説)
 様々な市政上の課題の解決や施策の推進に当たって、多種多様な市民の意見を把握し、これを意思決定に当たっての拠り所とするため、広聴の充実に努めるとするもの。

  議会には、「多様な民意の反映、さまざまな利害の調整、住民意見の集約などの役割」(第28次地方制度調査会答申)が求められており、市民の意思と議会の意思が隔たっていては、市民代表としての機能・役割を果たさず、二元代表制の一翼を担うことができない。そのため、議会は、常に市民の意見や要望、懸案となる問題に目を光らせ、耳をすませ、肌で感じ取れるほどの感覚を研ぎ澄ませていなければならない。

  このような背景から、本条では、議会の広報紙やホームページなどで、本会議などの事後的な報告だけでなく、市民参加型の企画や意見募集を行うなどのほか、本会議や委員会において公聴会や参考人の制度を積極的に活用していくことにより、効果的に市民の意見の把握を行い、市民と議会との間で、意見・意向が離反しないよう努めていくことによって、議会及び議員の活動に対する理解と信頼を深めるよう努めなければならないことを定めた。

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第19条(傍聴等)

第19条 本会議及び委員会は、市民が主体的に市政に参画することができるよう、傍聴、インターネットの利用その他の方法で公開しなければならない。ただし、個人の権利利益の侵害その他相当の理由があると認めるときは、この限りでない。

 

(解説)
 本会議は公開が原則であるという地方自治法第115条第1項の規定を受けた「傍聴の自由」と、その例外となる「秘密会」について規定するもの。

  「傍聴の自由」とは、議員以外の者が会議の模様を直接に見聞きすることの自由をいい、「会議公開の原則」の重要な要素となる。

  地方議会の傍聴は、本会議、委員会、その他の会議で取扱いが異なる。本会議は、地方自治法第115条第1項の規定により公開が原則となるが、委員会は、法律上公開が義務付けられておらず、委員会の許可により傍聴できるとする「制限公開制」が採られている。

  また、公開の原則が適用されている本会議では傍聴は自由であるが、それは、議場の秩序を保持し、円滑な議事を運営するために必要な制限又は制約を加えることまで否定されるものではないとされている。さいたま市議会では、本会議の傍聴に関して傍聴規則が定められ、傍聴に供するスペースといった物理的理由から人員について最低限の制限を行い(一般席84人、報道関係者席17人)、傍聴席に入ることができない者や傍聴人が守るべき事項、写真撮影・録音の禁止等の必要な事項について規定しており、委員会についても、委員会傍聴規程を定め、同様の制限を行っている。

  さいたま市議会では、傍聴は市民の議会への主体的な参画にとって最も基本的なものであるとの認識から、本会議のほか、委員会についても公開を原則としており、本条において、本会議及び委員会を公開しなければならないことを定めている。また、物理的な理由から人員について最低限の制限を行っているが、このような制限の弊害を除去するとともに、市民が容易に議会における審議を知ることができるよう、本会議等の傍聴のほか、インターネットや会議録の閲覧等によって公開することとしている。

  なお、議会の本会議及び委員会は公開が原則となるが、例外として、プライバシーの保護等の観点から、審議する事項が公益を害するような場合や個人の利益にかかわる重要なものである場合には、議長又は出席議員(委員会の場合は委員長又は委員)の発議により、一時会議の公開を停止し、秘密会とすることができる(地方自治法第115条、委員会条例第20条)。

  秘密会は、1.会議の議事を公表しない、2.傍聴人(及び議長の指定する者(説明員、書記など)以外の者)を退場させる、3.報道関係者を退場させる、ということとなる。

  秘密会の議事については、記録を公表しないことのほか、何人も秘密性が継続する限り、これを他人に漏らしてはならないこととなる。

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第20条(広報)

第20条 議会は、市民が議会における決定の過程及び結果に関する情報を入手することができるよう、広報紙の発行、インターネットの利用その他の方法により広報の充実に努めなければならない。

 

(解説)
 市民が議会の意思決定及びそこに至る過程についての情報を入手できるよう、議会広報紙、議会ホームページといった情報通信の技術を利用した方法などにより、効果的に情報の発信を行い、議会及び議員の活動に対する理解と信頼を深めるよう努めなければならないとするもの。

  議会広報は、広く市民に対して議会の活動や審議の結果などの情報を提供し、その説明責任を果たす最も重要な手法であり、市民と議会のコミュニケーションを図ることで、市民の議会への理解や信頼を得ることにつながる。

  市政へ市民の意思を反映させるため、議会に求められる監視機能、調査機能、政策形成機能などが確実に果たされているか、自分たちの税金がどのように使われ、自分たちの意思がどのように市政に生かされているのかなど、市民の批判と評価を得るためのツールとして広報が果たす役割は大きいものとなる。

  本条によって、議会における決定の理由や経過について広報機能を活用して広く解き明かしていくことはもちろんのこと、事後報告的な情報のみならず、市政上の問題について事前に内容を知らせ、問題意識の共有を図るなど、市民と議会との接点として、有効に広報機能を活用していくよう努めることとなる。

  さいたま市議会では、現在、議会広報紙、議会ホームページのほか、テレビ広報やインターネットによる議会中継など、多様な手段を用いて広報の充実を図るとともに、議会広報編集委員会を設置し、市議会の広報紙やホームページなど広報に関する事項の議論を通じて、さらなる広報の充実を図っている。

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第21条(会議録等)

第21条 議長は、本会議の議事等の会議録を作成し、及び保管する。

2 委員会の議事等の記録は、委員長が作成し、議長が保管する。

3 第1項の会議録及び前項の記録は、写しの閲覧、インターネットの利用その他の方法により公開しなければならない。ただし、個人の権利利益の侵害その他相当の理由があると認めるときは、この限りでない。

 

(解説)
 本会議の会議録及び委員会の記録の作成と保管について規定するとともに、それらの公開について定めるものであり、第19条の「傍聴等」と同様、地方自治法第115条第1項に基づく「会議公開の原則」を受けた「会議録の公開」について規定するもの。

  「会議録の公開」とは、本会議の記録を市民の閲覧に供することであり、議長はその作成が義務付けられている(地方自治法第123条)。

  地方自治法上は、本会議についてのみ会議録の公開を義務付けているが、さいたま市議会では、委員会条例において、「委員会の記録」について本会議の会議録と同様に作成することを義務付けており、その閲覧や公開についても会議録に準じた取扱いとし、順次公表を行っている。

  会議録は、本会議に関する唯一の公の記録であり、議会に関する争訟が生じた場合の証拠書類ともなる重要な公文書であることから、本条では、議会の透明性を高め、市民が会議の正確な状況を知る機会を確保するため、本会議の会議録と委員会の記録の作成・保管と、市民への公開について定めた。

  なお、市民による会議録閲覧請求権は、特段の事由がない限り拒むことはできない(最高裁:昭50.4.15)が、秘密会(地方自治法第115条第1項ただし書)の議事であり、未だ秘密性の継続する必要のある場合は、非公開となる。

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第22条(市長等との関係)

第22条 議会は、市長等の事務の適正な執行を確保するため、厳正な監視及び調査を行う。

2 前項の市長等の事務は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされる事務(国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の検査の対象とすることが適当でないものとして地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第121条の3第2項に規定する事務を除く。)のほか、市の予算の適正な執行を確保するため、市が補助金、交付金、負担金、貸付金、損失補償、利子補給その他の財政的援助を与えているもの、市が資本金、基本金その他これらに準ずるものを出資しているもの、市が借入金の元金又は利子の支払を保証しているもの、市が受益権を有する不動産の信託の受託者及び地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定に基づき公の施設の管理を行わせているものの出納その他の事務で当該財政的援助等に係るものを含めるものとする。

 

(解説)
 議会の監視・調査の範囲、いわゆる守備範囲を明示して、議会の責任を明らかにし、あるべき方向性を示すもの。

  地方公共団体において、議会と市長は相互に対等な関係にあり、自治体運営の車の両輪として適度な均衡・対等関係を保ちながら、相互の理解・協力の上でそれぞれの職責を果たさなければならない。とりわけ、自治体行政の適正な執行を確保するには、市長の事務執行を監視する議会の役割が重要となる。そこで、第1項では、議会が、市長等の事務の適正な執行を確保するため、対等な関係の下で市長等の事務を厳正に監視・調査するという議会の責任を明確化している。

  しかし、地方自治法上は、市長による事務執行のすべてに議会の監査権・検査権が及ぶものではない。そこで、法令上、議会への報告や議員による質疑・質問への答弁がなされない部分についても、自発的にこれを把握するよう努め、法令上議会には報告されない事項についても、金額がわずかであっても公費・税金が投入されているのであれば、議会の責務として明らかにしよう、という趣旨から、第2項において、「監視」「調査」という用語により、議会の立場から「監視する」「調べる」という整理をし、議会の監視・調査の範囲を行政全般に拡大することで、監視機能を担う議会の責任を明確化している。

  ただし、「監視」「調査」はあくまで議会の意思として行うものに限られ、議員個人又は議決を受けていない委員会による監視・調査は、含まれるものではない。

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第23条(市長等の出席) 

第23条 議長は、本会議の審議に必要な説明又は答弁のため、市長等の出席を求めることができる。

2 委員会は、委員会の調査又は審査に必要な説明又は答弁のため、議長を通じて市長等の出席を求めることができる。



(解説)
 市長等の執行機関に対して、本会議及び委員会への出席を求めることについて定めるもの。

  本会議や委員会において市長等の事務の執行を監視・評価したり、市長提出議案について審議をする際には、議員同士の議論によって議会の意思を決定することは当然であるが、その前提として、市長等の事務の執行状況や提出された議案の考え方、効果等を知るために、市長等と質疑応答を行う必要がある。そのため、本会議の審議や委員会の調査・審査を充実したものにし、議会が監視機能、調査機能、政策形成機能などを最大限発揮するためには、議会が必要に応じて市長等に出席を求めるとともに、市長等との質疑を踏まえ議員同士で十分な議論を重ねることが不可欠である。そこで、第1項では本会議において、第2項では委員会において市長等の出席を求めることができることを定め、執行機関の出席の必要性を訴えている。

  なお、地方自治法上、市長等の執行機関は、議長から出席要求があったときは、議場に出席する義務がある(地方自治法第121条第1項本文)。これに対して、委員会への法的な出席義務はないため、委員会への市長等の出席は、委員会条例第21条の規定により、議長を経て出席要求をすることとなる。

  平成24年地方自治法改正により、市長等が正当な理由がある場合にその旨を議長に届け出たときは、議場への出席義務が解除されることとされた(地方自治法第121条第1項ただし書)。なお、この場合の正当な理由としては「例えば、災害による交通の途絶や現地対応、その団体にとって重要な影響のある公務出張、あるいは重い疾病や傷害、出産といったような事情」が想定され、「議長にそれを届け出れば出席義務が解除され」、「議会のチェック機能は、諾否は問わないという仕組み」となっている(かぎ括弧内は平成24年7月31日衆議院総務委員会政府答弁より抜粋)。

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第24条(資料の提出その他の協力)

第24条 議会は、市の政策及び市長等の事務に係る監視及び調査を行うため、市長その他の関係する者に対し、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる。

2 議会は、自ら行う政策の決定及び形成に資するため、市長等に対し、資料の提出、意見の提供、説明その他必要な協力を求めることができる。



(解説)
 市長等に対して関係情報の提出や説明などの協力を求めることについて定めるもの。

  地方議会が市長等に対して監視機能、調査機能、政策形成機能などを果たしていくためには、市長等が有する各種事務事業に関する情報を的確に把握し、有効に活用する必要がある。

  第1項は、市長等の事務を監視・調査するため、市長その他の関係する者に対して広くその有する情報を求め、また政策課題等に対する分析、対策、認識等を確認するための意見や説明を求めることを定めている。

  第2項は、議会が独自の政策形成を通じて市政上の課題を解決するため、議会が政策の決定(判断)をする上で必要な情報や、議会自ら行う政策形成の過程で必要と考えられる情報について的確に把握・認識できるよう、市長等に対して関係情報の提出や意見の提供などを求めていくことを定めている。

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第25条(議決事件の拡大)

第25条 議会は、市民の負託にこたえる市政運営を実現し、市民福祉の向上と市の発展のために最も適切な決定を行うことができるよう、議決事件の拡大について検討し、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。



(解説) 
 地方議会の有する議決権のうち、地方自治法第96条第2項の規定による議決権の拡大に関するもの。

  議会の議決の対象となる事件は、地方自治法第96条第1項に列挙され、その主なものは、条例を制定改廃すること、予算を定めること、決算を認定すること、一定規模以上の契約を締結することなどとされる。

  議会は、市長等に対して、その地方公共団体の意思決定機関として存在し、長が提案した案件に対して可否を表明することが重要な使命、職責とされる。議会は、議会を構成する議員が賛成、反対の意思を表明し、その結果を議会の意思として決定することで、議決権、選挙権、調査権など多くの権限を行使するが、そのうち議決権が、議会の権限の中で最も典型的、基本的なものとされる。

  地方自治法第96条第2項の規定は、民主的な行政運営の要請と市長等による効率的な行政運営の調和を図り、地方公共団体の意思決定機関としての議会の地位を尊重し、その機能を強化するため、必要と認める事件を条例で議決事件として追加拡大する途を開いたものとされる。(ただし、法令の規定により市長等に権限が専属するものや、事務の性質上市長等に専属すると解されるものについては、議決事件として追加することはできない。)

  近年、市政の課題が多様化・専門化してきていることに伴い、地方自治法第96条第1項に列挙されている事項以外にも、各種の行政計画など、市民の福祉にとって重要である事項が増えてきている。議決事件の拡大は、そのような重要な事項を議会の議決を要する事項に加えることを意味しており、議会権限の拡充の手法として有効であり、議会の行政に対する監視機能の強化に結びつくものと考えられる。

  さいたま市議会では、平成22年9月定例会において、各種の行政計画や、市の財政運営や市民の利害に大きな影響を及ぼす契約、財産の取得など、市政上の重要な事項を議会の議決事件に加え、あるいは議会での慎重な審議の確保のためにあらかじめ報告を受けることとする「さいたま市議会の議決すべき事件等に関する条例」を制定し、同年10月1日から施行したところである。

  その後も、平成23年の地方自治法の改正に伴い、市の行政計画の最上位に位置する基本構想の策定・改廃についても、議決事件として条例中に明確に位置付ける改正措置を行っている。

  このように、議決事件の拡大については、現在進められている国からの権限移譲の問題など市行政を取り巻く状況の変化に応じた検討を今後も当然に進めた上で、その結果に基づき、条例改正などの必要な措置を随時講じていくこととするもの。

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第26条(区行政との関係)

第26条 議会は、区で執行される事務その他区の行政について具体的かつ個別的に検討する場を設けることができる。



(解説)
 市域に置かれている「区」で執行されている各種行政について、議会としても課題となる事項や問題点を把握の上で、具体的・個別的に検討する場を設けていこうとするもの。

  指定都市は、市長の権限に属する事務の全般にわたって地域的に分掌させるため、条例で市域に複数の区(行政区)を設け、そこに区の事務所(区役所)を設置する。この場合、区役所は市の内部の行政的なまとまりにとどまり、区役所にどのような機能を持たせるかは市長の裁量とされ、関係条例の発案権は、市長の権限に属する事務処理機構に関する問題であり、市長に属すると解されている。

  しかし、区における行政は、市民生活に最も密着したもの、身近なところで処理されるものであり、市民生活への影響は大きい。また、区行政の執行に当たっては、市域内のどこに住んでいても均等な行政サービスを受ける権利(受益均等の原則)の保障、市行政の総合性・一体性や区を超えた市民の共同意識の醸成の必要性、問題はより身近なところで解決されなければならないとする考え方(補完性の原理)、区によるまちづくりの重要性などのバランスが必要となる。

  議員は、議会を構成する者として市全体の利益と課題に目配りすることを責務とすると同時に、区を選挙区として選出されるところから、市民に最も身近な政治家として、区という地域の事情を把握することが可能である。そのため、区における行政についても、議会の監視機能、調査機能、政策形成機能などを果たすとともに、区行政の課題や区に対する市民の意見を議会の俎上に乗せるシステムが必要であることから、本条において、議会が区行政について具体的・個別的に検討する場を設けることができることを定めた。

  よって、具体的な手法の検討はこれからとなるが、今後何らかの形で区行政との関わりの場を設けることを図っていくこととなる。

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第27条(議員の定数)

第27条 議員の定数は、法令及びこの条例で定める活動の推進と、議会の備えるべき監視機能、調査機能及び政策形成機能の確保の観点を踏まえて、これを定める。



(解説)
 議会を構成する議員の定数については、地方自治法などの法令や本条例に規定する活動の実態に合わせ、広範多様な市民意見の把握という議会の役割、多面的・多角的な視点からの市政の監視機能、調査機能、政策形成機能などを損なうことがないように定数を定めることとするもの。

  議員の定数については、従前、地方自治法第91条において人口に応じた上限が設定されており、その上限を超えない範囲で条例により定めるものとされていたが、地方制度調査会(第29次)から「議会の議員定数については、現在、その上限を人口区分に応じて法定しているところであるが、議会制度の自由度を高めるため、定数の決定は各地方公共団体の自主的な判断に完全に委ねることとし、法定上限を撤廃すべき」といった答申が出された(平成21年6月16日)ことを踏まえ、平成23年4月に成立した地方自治法の改正において、議員の定数の上限数の制限は廃止された。

  地方自治法の改正前のさいたま市の法定上限は64人とされており、さいたま市議会では、当時の地方自治法に基づき「さいたま市議会議員定数及び各選挙区選出議員数に関する条例」において議員の定数を64人と定めていたが、平成20年10月の条例改正に伴い、平成23年4月実施の一般選挙から議員の定数は60人となっている。

  議員の定数を決定するに当たっては、議会を構成する議員の規模が議会の機能・役割を左右することとなること、市民意思を十分に吸収し、その代表性を確保し、少数意見の排除を避けることなど、配慮するべき点は多い。議会の審議能力と市民意思の適正な反映を確保することは議会の責務を果たすための基本となるものであり、単純に、行財政改革といった財政的な観点、効率性の観点のみから削減を行うべきではないことから、本条において、財政的な観点だけでなく、法令やこの条例で定める議会の活動を推進し、議会の備えるべき機能を確保するという観点から、議会が議員の定数を決定することを定めている。

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第28条(議員報酬及び期末手当)

第28条 議員報酬及び期末手当は、指定都市の議会の議員としての活動範囲及び調査審議事項の複雑多様化のほか、市の財政状況、社会経済情勢、他の地方公共団体の状況等を踏まえて、これを定める。



(解説)
 議員に対して支給される議員報酬及び期末手当は、指定都市の議会の議員としての活動範囲、調査審議事項の複雑多様化のみならず、市の財政状況、社会経済情勢、他市の状況等、様々な角度からの検討の上で定めるとするもの。

  報酬とは、一般に非常勤職員が提供した役務の対価として位置付けられ、勤務日数に応じて日割により支給されることが原則とされ、従前の議員報酬も、条例の定めるところによって日額支給が可能とされていた。

  この考え方からすると、議員に対する報酬は本会議や委員会への出席等に対しての対価であるというように解釈されかねず、また、期末手当の必要性も否定されかねない。

  議員活動の実態は、議会・委員会に出席する「公務活動」だけではなく、第15条(議員の活動)の説明でも述べたとおり、「準公務活動」としての任意設置の会議や会派の会合、勉強会、議会を超えた研修会、さらには非公務の「政治活動」として地域住民や支持者からの要望や意見の聴取、議員・会派が行う議会報告会、地元団体(自治会、商店会、PTAなど)の会合や地域イベント事業への参加・協力など広範な領域に及んでいる。

  このような実態に見合うよう、また、議員の広範な職務遂行と議会が有する権能や役割の大きさからも、一定水準の報酬の保障について必要とされるところであるとの認識から、本条において、議員の活動範囲の拡大や調査審議事項の複雑多様化、市の財政状況、社会経済情勢、他の地方公共団体の状況といった多角的な視点から議員報酬・期末手当を決定することを定めている。本条を踏まえ、具体的には「さいたま市議会の議員の議員報酬、期末手当及び費用弁償に関する条例」において、議員報酬・期末手当の額が定められることとなる。

  なお、平成20年地方自治法改正により、議員の報酬と非常勤職員等の報酬の違いを明確化し、それぞれ条文を分けて規定するとともに、さらに議員の報酬については固有の名称(「議員報酬」)を新たに設けたところである。

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第29条(政務活動費)

第29条 会派及び議員は、政策の決定及び形成並びに市政に関する課題に係る調査研究その他の活動に要する経費の一部に政務活動費を充てることができる。

2 会派及び議員は、前項の趣旨を尊重し、効果的かつ効率的に政務活動費を活用するとともに、これに関係する資料を公開し、その使途の公正性及び透明性を確保しなければならない。



(解説)
 地方自治法第100条第14項の規定に基づき、市政に関する調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として会派又は議員に対して交付される「政務活動費」に関するもの。

  政務活動費は、条例の定めるところにより、議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、会派又は議員に対して交付される。地方分権の進展に伴い、地方公共団体の自己決定権と自己責任が拡大する中、地方議会が担う役割も格段に重要となってきているという認識の下に、議会の審議能力の強化と議員の調査活動基盤の充実を図るため、平成12年の地方分権一括法が施行された約1か月後に地方自治法が改正され、平成13年度から政務調査費として制度化されたもの。

  その後、平成24年地方自治法改正により、政務調査費の名称を「政務活動費」に改めるとともに、交付の名目を「調査研究その他の活動」に拡大し、政務活動費に充てることができる経費の範囲を条例で定めることとされた。併せて、政務活動費の使途の透明性の確保について、議長に努力義務があることが法令上明確に規定されることとなった(平成25年3月1日施行)。

  さいたま市議会では、「さいたま市議会政務活動費の交付に関する条例」等の定めるところにより、会派又は議員に対し、政務活動費として毎月一定額が交付されている。

  なお、政務活動費の法的性格は、その生い立ちから、地方自治法第232条の2の「補助金」とされ、したがって、政務活動費の目的に沿った支出が前提となり、目的を逸脱した場合、補助金という性格から取消しや返還の問題が、また、精算して残金があったときも返還の必要が生じることとなる。

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第30条(政治倫理)

第30条 議員は、職務に関する倫理を保持し、公正を疑わせるような行為をしてはならない。

2 議員は、毎年、資産等の公開をしなければならない。



(解説)
 議員は、その活動の公正を確保し、職責にもとる行為により議会への不信を招くようなことなく、市民の負託に値する高い倫理的義務に徹しなければならないとするもの。

  議員は、その職権や地位による影響力から、一般の職員より高い倫理の保持を求められており、特定の利益の実現を求めて公共の利益(市民福祉)を損なうことがあってはならないことから、本条において、議員の倫理的義務を定めている。

  また、第2項では、議員が資産等を公開しなければならないことを定めている。

  さいたま市議会においては、議員の資産の状況等を国民の不断の監視と批判の下に置くことで、政治倫理の確立を期し、もって民主政治の健全な発達に資することを目的として、国の「政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律」(平成4年法律第100号)第7条の規定に基づき、条例(注)に基づいて資産などの公開を行っている。

   (注)条例:政治倫理の確立のためのさいたま市議会議員の資産等の公開等に関する条例(平成15年さいたま市条例第43号)

  なお、議員や市長等には、法令上、一般職の職員に適用される懲戒処分に当たる規定はなく、これは、議員が地域の住民を代表する政治職であるがゆえに、本人の自覚と住民による監視に委ねられているためと考えられている。

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第31条(議会局)

第31条 議会は、その機能を充実強化し、効果的な運営を確保するため、事務局として議会局を置く。

2 議会局は、議長の指揮監督の下、議会に関する事務を執行する。

3 議会は、専門的な知識経験を有する者を活用する等、議会局の体制の強化及び運営の充実を図ることができる。



(解説)
 地方自治法第138条第2項の規定により議会に置く事務局についての規定。

  議会に置かれる事務局は、議会に関する事務を執行するとともに、議会がその機能を発揮し、効果的・効率的な議会運営を行えるよう、議会の活動を補佐する役割を担っており、さいたま市議会では、事務局として議会局が置かれている。

  地方分権の時代にあって、地方議会は市政の課題を解決するため、その機能を一層充実強化することが求められており、議会を補佐する事務局の役割も増大していることから、議会を補佐する事務局として議会局を設置し、その体制の強化と運営の充実を図ることを定めた。

  さいたま市では、「さいたま市議会議会局設置条例」に基づき議会局を設置し、議長の指揮監督の下で、議会の運営に係る庶務的な事務はもちろんのこと、議員提出議案の立案補助など、議会の各機能の充実と議会の効果的な運営を確保している。

  一方で、議会局職員は、採用試験を経て執行機関の職員と一括で採用されるため、議会局職員の配置や増員については執行機関の人事の影響を受けることとなる。そのため、議会局の体制を充実強化するため、第3項では、議会が専門的な知識経験を有する者の活用等を図ることができることを定めている。具体的には、議会の監視機能、調査機能、政策形成機能などを充実させるために、専門的な知識経験を有する者を議員提出議案の立案補助に当たらせることなどが考えられる。

  なお、この場合において、議会局もさいたま市の組織の一部であり、他部局との間の権衡を保持する観点から、組織や職員の定数・身分取扱い等に関しては、あらかじめ市長と協議することとなる。

  第4条第7号(議会の活動)に規定する「議会の組織」には、常任委員会等のほかに議会局を含み、政策課題等に応じた組織編成、人事配置を行うとともに、事務局として備えるべき補佐機能と専門性の充実に努めることとなる。

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第32条(議会図書室)

第32条 議会は、議員の調査研究に資する図書その他の資料を収集し、整理する議会図書室を置く。

2 議会は、議会図書室の一般の利用に配慮するものとする。



(解説)
 地方自治法第100条第19項の規定により議会に置く図書室について定めるもの。

  議会図書室は、議員の調査研究に資するために附置されるもので、政府、都道府県等から送付された公報及び刊行物を保管する場でもある。

 議員の調査研究に資するための制度として「政務活動費」制度があること、及び議会図書室の実質的運営は事務局が行うことから、各議員の市政に関する調査研究を補完するための資料整備に加え、一般に流通しない行政関係資料等の収集を行うこととなる。

  また、議会図書室が公費・税金によって整備されていることや、議会の持つ情報を市民に公開するという見地から、さいたま市議会では、議会図書室に所蔵する資料を市民に公開しており、第2項では一般の利用に配慮することを定めている。

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第33条(適用範囲)

第33条 この条例は、議会及び議員がその職務を行い、又はその権限に基づき活動するときに適用する。ただし、第30条の規定は、議員がその職にある限り適用する。



(解説)
 条例の対象とする事象を明確にするもの。

  条例の規定の適用範囲を、公式の議会活動・議員活動としてその職務を行い、又は職権により活動するときとするとともに、第30条(政治倫理)に限っては、議員としての身分があるときは、常に遵守するべきであることを定めている。

  議会・議員の活動が“法令上”は明確でないことから、この条例に規定する「議会の活動」「議員の活動」に規定する各原則に従う活動は適用範囲に含まれ、純粋に選挙活動・政党活動などを行う場合に限り適用は除外されると解することとなる。

  ただし、政治倫理の保持や公正を疑われる行為の禁止については、議員の職を有する限り、いかなる場面でも求められることとなる。

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第34条(他の条例等との関係)

第34条 この条例は、議会における基本的な事項を定めるものであり、議会に係る他の条例その他の規程を制定し、又は改廃しようとするときは、この条例の趣旨に矛盾し、又はこの条例の規定に抵触するものであってはならない。

2 この条例の施行に関し必要な事項は、条例、規則、議会の告示その他の規程で定める。



(解説)
 本条例が、議会に係る他の条例等に対して優位性を有することを明言するもの。

  「議会基本条例」を、さいたま市議会における基本的事項を定めた“最高規範性”を有するものとして位置付けるとともに、議会に関する他の条例等の制定改廃は、「議会基本条例」との整合を図り、その趣旨に反するものとしてはならないと規定している。

  議会基本条例も条例形式を採っており、改廃に当たっては一般の条例改廃の手続によることとなるが、議会基本条例が「最高規範性」を有することに鑑み、その改廃に当たっては、慎重な議論を要することとなる。

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第35条(議会の在り方の検討)

第35条 議会は、その責務を確実に果たしていくための在り方について検討を重ね、必要があると認めるときは、この条例の改正を含めた所要の措置を講ずるものとする。



(解説)
 「議会基本条例」の規定内容に沿った議会運営と、市民意見や社会情勢等とを勘案し、条例施行後も議会の在り方について不断の検討を重ねることとし、必要に応じて所要の措置を講ずることを規定するもの。

  今後のさいたま市を取り巻く社会経済情勢、地方分権の進展に伴う市行政や議会の在り方、地理的・政治的に置かれる市の立場など、市民福祉の向上や市の発展の方向性に作用する要因をさまざまな観点から吟味し、議会の内容や質の維持向上に努めるよう、本条例の改正を含めた措置を講じていくこととなる。

  「基本条例」として高度の安定性が求められるのは当然だが、反面において、市行政や議会を取り巻くさまざまな動きに対する適応性・可変性も欠くことはできず、対立する両者のバランスを見極めるためにも、慎重に議論と検討を幾重にも重ねていくことが求められる。本条例もその改廃に当たっては一般の条例改廃手続きによるが、その根幹となる部分は安易に見直されるものとはなりえず、あくまで「市民福祉の向上」と「市の健全な発展」という条例の目的をより確実に実現するために必要な時期に必要な範囲で見直しを行い、条例の姿を変えていくこととなる。

  なお、条例の改正については、平成23年12月定例会において、議会に置く調査審議のための機関の設置根拠となる規定を第14条第2項に新たに設けるとともに、併せて、平成22年9月定例会で成立し、同年10月1日から施行された「さいたま市議会の議決すべき事件等に関する条例」を受けて、第25条(議決事件の拡大)について規定表現の見直しを行っている。

  また、平成24年地方自治法改正に伴い、平成24年9月定例会において、第6条第3項に議長による臨時会招集権に係る規定、第7条第3項に本会議における公聴会及び参考人の制度の活用に係る規定を追加する等の改正を行っている。さらに、平成25年2月定例会では、政務調査費から政務活動費への移行に係る第29条の整備等を行っている。

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お問い合わせ

議会局/議事調査部/調査法制課 

電話番号:048-829-1758 ファックス:048-829-1984

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