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再灌流傷害という心臓の“病気”を知っていますか?

 ある日突然、胸を強く締め付けられるような痛みに襲われたら、皆さんはどうされますか? それが5分や10分で収まるものなら、近々循環器内科のある病院を受診して検査を受けていただければ宜しいでしょう。しかし、それが30分以上も続くようであれば、これは急性心筋梗塞の可能性があります。急性心筋梗塞は命に関わる重大な病気です。すぐに救急車を呼んで、最寄りの循環器内科のある病院を受診する必要があります。急性心筋梗塞は、心臓の筋肉を栄養する血管(冠動脈)が動脈硬化のために閉塞してしまい、そのために心臓の筋肉組織が時々刻々と壊死してゆく病気です。従って発病したら、ただちに閉塞した冠動脈を再開通させ、壊死の危機に陥っている心臓の組織を救出する必要があります。そのために行われるのが、いわゆるカテーテル治療です。正式には経皮的冠動脈インターベンション治療と言います。今、日本ではこの治療法が広く普及しており、少なくとも都市部においては、身近にそうした治療のできる病院が必ずあります。ただし、このカテーテル治療のみですべてが解決する訳ではありません。再灌流傷害というやっかいな問題がつきまといます。皆様には、是非この再灌流傷害という“病気”を知っていただきたいのです。この聞き慣れない“病気”は、実は急性心筋梗塞のカテーテル治療によって引き起こされる、治療に伴う避け難い合併症のようなものです。もし、急性心筋梗塞の治療に際し、この再灌流傷害も合わせて治療することが出来たなら、それが理想の治療と言えます。

 この再灌流傷害については、詳しくは私どものホームページ内のトピックス、「市立病院発の『急性心筋梗塞の新しい治療法」を是非一度お読みください。病気も災害も、事前の備えがとても重要です。

さいたま市立病院
副院長 小山 卓史

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