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内科専門研修概要

統括責任者ご挨拶 金子文彦(消化器内科部長)

皆さん、さいたま市立病院内科ホームページへようこそ。私達の病院は、人口133万の政令指定都市唯一の公立病院で、急性期医療、がん医療、周産期医療、地域連携医療などを担う、さいたま市の中核病院です。そのため内科の診療内容は多岐にわたり、そのニーズに答えるために当院の内科では、循環器、呼吸器、消化器、神経、腎内分泌、血液、リウマチ膠原病、感染と、内科の各分野すべての専門家をそろえて、毎日の診療に当たっています。症例の豊富さや指導医の充実といった点においては、内科の後期研修施設としては、他のどの施設にも負けず劣らずの十分な環境が備わっていると考えています。教育熱心な指導医のもと、内科のサブスペシャリティーをどこまでも追求していくこと、その一方でバランスの取れた総合内科医を目指して研修をしていくこと、いずれもが当院内科の研修プログラムの中で可能になります。是非、私達とともに、内科の道を極めて行きましょう。
詳細は「さいたま市立病院内科専門研修プログラム」 (PDF)をご覧下さい。

※上記プログラムは基幹病院として申請中です。日本専門医機構の審査を踏まえて修正・変更があることをご承知おきください。

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理念と特性

本プログラムは、埼玉県さいたま医療圏の中心的な急性期病院であるさいたま市立病院を基幹施設として、埼玉県さいたま医療圏、埼玉県南西部医療圏および埼玉県県央医療圏にある連携施設での内科専門研修を経て埼玉県の医療事情を理解し、地域の実情に合わせた実践的な医療も行えるように訓練され、基本的臨床能力獲得後は必要に応じた可塑性のある内科専門医として地域医療を支える内科専門医の育成を行う。また、都内大学病院を連携病院に含めることで、高度・先進的医療の経験も可能となるようにし、さらに栃木県の総合病院である足利赤十字病院も加えることにより、柔軟性のあるプログラムとした。

基幹施設であるさいたま市立病院は、埼玉県さいたま医療圏の中心的な急性期病院であるとともに、地域の病診・病病連携の中核である。一方で、地域に根ざす第一線の病院でもあり,コモンディジーズの経験はもちろん、超高齢社会を反映し複数の病態を持った患者の診療経験もでき、高次病院や地域病院との病病連携や診療所(在宅訪問診療施設などを含む)との病診連携も経験できる。さいたま市立病院内科研修施設群の各医療機関が地域においてどのような役割を果たしているかを経験するために、専門研修3年間のうちの1年間、立場や地域における役割の異なる医療機関で研修を行うことによって、内科専門医に求められる役割を実践する。

初期臨床研修を修了した内科専攻医は、本プログラム専門研修施設群での3年間(基幹施設1.5〜2年間+連携施設1.5〜1年間)に、豊富な臨床経験を持つ指導医の適切な指導の下で、内科専門医制度研修カリキュラムに定められた内科領域全般にわたる研修を通じて、標準的かつ全人的な内科的医療の実践に必要な知識と技能とを修得する。また、知識や技能に偏らずに、患者に人間性をもって接すると同時に、医師としてのプロフェッショナリズムとリサーチマインドの素養をも修得して可塑性が高く様々な環境下で全人的な内科医療を実践する先導者の持つ能力である。内科の専門研修では、幅広い疾患群を順次、経験してゆくことによって、内科の基礎的診療を繰り返して学ぶとともに、疾患や病態に特異的な診療技術や患者の抱える多様な背景に配慮する経験とが加わることに特徴がある。そして、これらの経験を単に記録するのではなく、病歴要約として、科学的根拠や自己省察を含めて記載し、複数の指導医による指導を受けることによってリサーチマインドを備えつつも全人的医療を実践する能力を涵養することを可能とする。

専門知識・専門技能の習得計画

到達目標

主担当医として「研修手帳(疾患群項目表)」(日本内科学会Webサイト)に定める全70疾患群を経験し、200症例以上経験することを目標とする。内科領域研修を幅広く行うため、内科領域内のどの疾患を受け持つかについては多様性がある。そこで、専門研修(専攻医)年限ごとに内科専門医に求められる知識・技能・態度の修練プロセスは以下のように設定する。

専門研修(専攻医)1年

  • 症例:「研修手帳(疾患群項目表)」(日本内科学会Webサイト)に定める70疾患群のうち,少なくとも20疾患群,60症例以上を経験し,日本内科学会専攻医登録評価システム(仮称)にその研修内容を登録する.以下,全ての専攻医の登録状況については担当指導医の評価と承認が行われる。
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  • 専門研修修了に必要な病歴要約を10症例以上記載して日本内科学会専攻医登録評価システム(J-OSLER)に登録する。
  • 技能:研修中の疾患群について,診断と治療に必要な身体診察,検査所見解釈,および治療方針決定を指導医,subspecialty上級医とともに行うことができる。
  • 態度:専攻医自身の自己評価と指導医,subspecialty上級医およびメディカルスタッフによる360度評価とを複数回行って態度の評価を行い担当指導医がフィードバックを行う。

専門研修(専攻医)2年

  • 症例:「研修手帳(疾患群項目表)」(日本内科学会Webサイト)に定める70疾患群のうち、通算で少なくとも45疾患群、120症例以上の経験をし、J-OSLERにその研修内容を登録する。
  • 専門研修修了に必要な病歴要約をすべて記載してJ-OSLERへの登録を終了する。
  • 技能:研修中の疾患群について,診断と治療に必要な身体診察,検査所見解釈,および治療方針決定を指導医,subspecialty上級医の監督下で行うことができる。
  • 態度:専攻医自身の自己評価と指導医,subspecialty上級医およびメディカルスタッフによる360度評価とを複数回行って態度の評価を行う.専門研修(専攻医)1年次に行った評価についての省察と改善とが図られたか否かを指導医がフィードバックする。

専門研修(専攻医)3年

  • 症例:主担当医として「研修手帳(疾患群項目表)」(日本内科学会Webサイト)に定める全70疾患群を経験し、200症例以上経験することを目標とする.修了認定には,主担当医として通算で最低56疾患群以上の経験と計160症例以上(外来症例は1割まで含むことができる)を経験し, J-OSLERにその研修内容を登録する。 
  • 専攻医として適切な経験と知識の修得ができることを指導医が確認する。
  • 既に専門研修2年次までに登録を終えた病歴要約は,日本内科学会病歴要約評価ボードによる査読を受ける.査読者の評価を受け、形成的により良いものへ改訂する。但し、改訂に値しない内容の場合は、その年度の受理(アクセプト)を一切認められないことに留意する。
  • 技能:内科領域全般について・診断と治療に必要な身体診察,検査所見解釈、および治療方針決定を自立して行うことができる。
  • 態度:専攻医自身の自己評価と指導医、subspecialty上級医およびメディカルスタッフによる360度評価とを複数回行って態度の評価を行う。専門研修(専攻医)2年次に行った評価についての省察と改善とが図られたか否かを指導医がフィードバックする。また、内科専門医としてふさわしい態度、プロフェッショナリズム、自己学習能力を修得しているか否かを指導医が専攻医と面談し、さらなる改善を図る。

専門研修修了には、すべての病歴要約29症例の受理と、少なくとも70疾患群中の56疾患群以上で計160症例以上の経験を必要とする。J-OSLERにおける研修ログへの登録と指導医の評価と承認とによって目標を達成する。
カリキュラムの知識、技術・技能を修得したと認められた専攻医には積極的にsubspecialty領域専門医取得に向けた知識、技術・技能研修を開始させる。

内科専攻医研修プログラム(モデル)

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各研修施設の概要(令和2年3月現在、剖検数:平成30年度)
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各内科専門医研修施設の内科13領域の研修の可能性
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◆内科各科別研修内容はこちらから

循環器内科消化器内科呼吸器内科脳神経内科腎臓内科
内分泌代謝内科血液内科 ▶総合内科感染症科

臨床現場での学習(on-the-job training)

  1. 内科専攻医は、担当指導医もしくはsubspecialtyの上級医の指導の下、主担当医として入院症例と外来症例の診療を通じて、内科専門医を目指して常に研鎖する。主担当医として、入院から退院〈初診・入院~退院・通院〉まで可能な範囲で経時的に、診断・治療の流れを通じて、一人一人の患者の全身状態、社会的背景・療養環境調整をも包括する全人的医療を実践する。
  2. 定期的(毎週1回)に開催する各診療科あるいは内科合同カンファレンスを通じて、担当症例の病態や診断過程の理解を深め、多面的な見方や最新の情報を得る。また、プレゼンターとして情報検索およびコミュニケーション能力を高める。
  3. 総合内科外来(初診を含む)とsubspecialty診療科外来(初診を含む)を少なくとも週1回、1年以上担当医として経験を積む。
  4. 救急外来(一次および二次救急)で内科領域の救急診療の経験を積む。
  5. 病棟当直医として入院患者の容態変化や病棟急変などへの対応の経験を積む。
  6. 必要に応じて、subspecialty診療科検査を担当する。

臨床現場を離れた学習(off-the-job training)

  1. 定期的(毎週1回程度)に開催する各診療科での抄読会 
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  2. 医療倫理・医療安全・感染防御に関する講習会
    ※内科専攻医は年に2回以上受講する
  3. CPC(年5〜6回開催)
  4. 研修施設群合同カンファレンス
  5. 地域参加型のカンファレンス(さいたま市立病院・JCHO埼玉メディカルセンター合同カンファレンス(年3回)、浦和循環器勉強会(年1回)、臓器保護研究会(年1回)、消化器病診連携勉強会(年1回)、肺癌症例検討会(年1回)、さいたま市神経カンファレンス(年3回)、Neurology Frontier in Saitama(年1回)、さいたま神経生理てんかん研究会(年1回)、浦和医師会合同糖尿病勉強会(年2回)、糖尿病プライマリーケア研究会(年2回)、さいたま血液勉強会(年2回)、さいたま市リウマチ合同カンファレンス(年4回)
  6. JMECC受講(基幹施設として年1〜2回開催)
  7. 内科系学術集会
  8. 各種指導医講習会/JMECC指導者講習会 など

研修実績および評価を記録し蓄積するシステム

J-OSLERを用いて、以下をwebべースで日時を含めて記録する。

  • 専攻医は全70疾患群の経験と200症例以上を主担当医として経験することを目標に、通算で最低56疾患群以上160症例の研修内容を登録する。指導医はその内容を評価し、合格基準に達したと判断した場合に承認を行う。
  • 専攻医による逆評価を入力して記録する。
  • 全29症例の病歴要約を指導医が校閲後に登録し,専門研修施設群とは別の日本内科学会病歴要約評価ボードによるピアレビューを受け,指摘事項に基づいた改訂を受理(アクセプト)されるまでシステム上で行う。
  • 専攻医は学会発表や論文発表の記録をシステムに登録する。
  • 専攻医は各専門研修プログラムで出席を求められる講習会等(例:CPC,地域連携カンファレンス,医療倫理・医療安全・感染対策講習会)の出席をシステム上に登録する。

リサーチマインドの養成

内科専攻医に求められる姿勢とは単に症例を経験することにとどまらず、これらを自ら深めてゆく姿勢である。この能力は自己研鎭を生涯にわたってゆく際に不可欠となる。
さいたま市立病院内科専門研修施設群は基幹施設、連携施設のいずれにおいても,

  1. 患者から学ぶという姿勢を基本とする。
  2. 科学的な根拠に基づいた診断、治療を行う。(EBM;evidence based medicine)
  3. 最新の知識、技能を常にアップデートする。(生涯学習)
  4. 診断や治療のevidenceの構築・病態の理解につながる研究を行う。
  5. 症例報告を通じて深い洞察力を磨く。

といった基本的なリサーチマインドおよび学問的姿勢を涵養する。

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併せて、

  1. 初期研修医あるいは医学部学生の指導を行う。
  2. 後輩専攻医の指導を行う。
  3. メディカルスタッフを尊重し,お互いの専門性を高める努力を継続する。

学術活動

さいたま市立病院内科専門研修施設群は基幹病院、連携病院のいずれにおいても、

  1. 内科系の学術集会や企画に年2回以上参加する(必須)。
    ※日本内科学会本部または支部主催の生涯教育講演会、年次講演会、CPCおよび内科系subspecialty学会の学術講演会・講習会を推奨する。
  2. 経験症例についての文献検索を行い、症例報告を行う。
  3. 臨床的疑問を抽出して臨床研究を行う。
  4. 内科学に通じる基礎研究を行う。


を通じて、科学的根拠に基づいた思考を全人的に活かせるようにする。
内科専攻医は学会発表あるいは論文発表は筆頭者2件以上行うことを目標にする。

更新日 令和6年4月1日

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