「宇宙のまち さいたま」教育プロジェクト

宇宙時代をたくましく生き 未来を創造する人

〇宇宙開発と宇宙利用拡大が急速に進む予測不能な「宇宙時代」において、他者と協働し、常に挑戦し続け、新たな時代を創り出すことができる人

〇宇宙飛行士や科学者など、宇宙開発の最前線で活躍するという夢や志をもち、その実現に向けて努力し続けることができる人

 ★ 教育プロジェクト策定の経緯 ★

 アポロ11号が月に着陸し、人類が初めて月面に降り立ってから半世紀が過ぎました。近年、宇宙分野の技術革新が進み、世界中の国々や企業が月面開発や火星探査、小惑星資源開発、宇宙旅行などの宇宙開発に次々と着手しています。国は、宇宙基本法に基づき2015年4月に策定した「宇宙基本計画」において、今後20年程度を見据えた10年間の長期的・具体的整備計画を示し、2017年5月には、宇宙産業の方向性を示した「宇宙産業ビジョン2030」を策定しました。このことを受け、JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、2018年3月に発表した中長期計画の中で、宇宙利用拡大や国際協調を基本として、人類の活動領域を拡大する「国際宇宙探査」など、宇宙政策の目標達成に向けた宇宙プロジェクト等について示しています。

 このように、アポロ計画などで宇宙を目指した時代から、現在は、宇宙を開発し、利用することにより、我々の生活を豊かなものにする時代へと大きく変革しようとしています。例えば、宇宙開発による宇宙の利用として、通信衛星によるテレビ放送や気象衛星による天気予報、GPSによるナビゲーション等が、様々な形で提供されるなど、近年我々の身近にある基礎的なインフラにおいても、大きな変革の波が訪れています。今後、宇宙開発がさらに進むと、宇宙ビジネスの発展、火星・月への移住、宇宙旅行、宇宙資源の活用など、宇宙を利用拡大する「宇宙時代」が到来し、新たな職業の創出をはじめ、社会環境、生活環境等が大きく変化することが予想されます。

  こうした「宇宙時代」においては、未来を見据え、環境等の変化に順応し、未来の創り手としてたくましく生きていく力を身に付けた人材や、宇宙分野の最前線で活躍する人材を育成することが求められています。しかしながら、「宇宙産業ビジョン2030」において、宇宙分野における人材不足が課題として挙げられていることを踏まえると、宇宙時代を支える人材確保のためには、幼少期から宇宙や科学に興味・関心をもち、宇宙に関わる仕事に就きたいという志をもつ青少年を育てることが大切であり、教育の果たす役割は今まで以上に大きくなると考えます。

  本市は、我が国を代表する若田光一宇宙飛行士が生まれ育ったまちであり、若田宇宙飛行士の偉大な功績を広く市民に伝えるための事業や、市民の宇宙へのあこがれや興味・関心を高める事業を数多く実施するなど、長年にわたり宇宙や科学分野の教育に力を入れてきました。その中でも特徴的な事業として、政令指定都市で唯一、全ての小学校第4学年と、中学校第3学年、中等教育学校3学年、特別支援学校を対象とし、若田名誉館長の名を冠した科学館等においてプラネタリウムの学習投影を実施しており、毎年2万人以上の児童生徒に宇宙の素晴らしさを体感する学習機会を提供しております。

 さいたま市教育委員会(以下、「教育委員会」という。)では、令和元年にこのような本市の実情を踏まえるとともに、「宇宙時代」の到来を見据え、これまでの宇宙や科学に関する教育プログラムを、さいたまSTEAMS教育を柱に総合的・体系的に整理・統合し、教育を主軸とした「宇宙のまち さいたま」教育プロジェクトを策定しました。本教育プロジェクトの策定により、「宇宙時代」において未来の創り手としてたくましく生きていく人材や、若田宇宙飛行士のような、宇宙や科学へのあこがれや夢、そして大きな志をもった人材を輩出してまいります。

令和3年4月