築200年の蔵を改装したレストラン

JR武蔵浦和駅前にそびえるタワーマンションをすぎ、小さな公園が点在する静かな住宅街を歩いていくと、突如存在感のある蔵が現れます。

ここは築200年にもなる蔵を改装した、知る人ぞ知るレストラン「mukuroji」。晴れた日は木漏れ日が壁に作る影が美しく、まるでアート作品を見るような感覚になります。

オーナーの望月さんは「歴史ある蔵を地域の人に気軽に利用してもらいたい」という想いからレストランを始められたのだそう。不便を慈しみ楽しむため、大幅な改装はせず土壁は残し、床は凸凹のまま。窓ひとつない蔵の中には、ところどころ光が差し込みます。そして庭には蔵と同じ年月を生きた無患子の木が。
店名の「mukuroji」は、子どもたちの健康と成長を願うこの無患子が由来。お店も地域とともに成長していきたいという願いを託し、迷わず名付けられたのだそうです。

      
築200年の蔵を改装した重厚感のある、まるで美術館のような入り口
      
自然光の差し込む店内と、メインテーブル。
テーブル中央には アート作品が飾られることも。

五感をフルに使って楽しむ
食事のひととき

食事は店内に構えられたひとつの大きなテーブルの上で楽しみます。土壁に囲まれたあたたかな空間は隙間から差し込む光が日の位置を教えてくれ、時折聞こえる鳥の声や虫の声が内と外の境目を曖昧にします。

レストランのメニューはコースのみ。ドリンクは自家製のシロップなど、ここでしか飲めないオリジナルです。前菜から始まる料理にはストーリーがあり、あたたかな質感のあるお皿は額縁となって旬の食材が彩り豊かに描かれます。さらにメニューに書かれているのは食材の名前だけ。想像力を働かせて、どんな料理か思い浮かべます。

五感を使って楽しんでほしいという想いが端々に感じられ、ワクワクする体験がここに。感覚をフルに使って楽しむレストランにはそうそう出会えないでしょう。あなただけの体験を「mukuroji」でぜひ味わってみてください。

      
旬の食材を使った料理を引き立てるお皿は、
陶芸家のものを使用するこだわり。
 
店内を装飾するオブジェにも
外から差し込む光が美しい陰影を作り出す。