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更新日付:2013年12月24日 / ページ番号:C010000

市長の部屋 さいたま市長 清水 勇人 絆をつなぐ

平成25年度施政方針

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平成25年2月5日開会の平成25年さいたま市議会2月定例会において、清水勇人市長が施政方針演説を行い、平成25年度の市政運営の基本的な考え方や主要な施策などについての説明を行いました。

補足 平成25年度施政方針全文のPDF版(PDF形式:619KB)はこちら

 議員各位には、平成25年さいたま市議会2月定例会に御健勝にて御参集をいただき、心から感謝を申し上げます。

 本日ここに、新年度に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

はじめに 積み重ねた軌跡に自信を持って

 平成21年5月の市長就任以来、私は、さいたま市を「子どもが輝く“絆”で結ばれたまち」に、そして市民の皆さんが住んでいることを誇りに思えるまちにするため、「しあわせ倍増プラン2009」や「行財政改革推進プラン2010」を策定し、常に全力で、市政の運営に当たってまいりました。

 本年度末まで、残すところ2か月を切りましたが、「しあわせ倍増プラン2009」の139項目、「行財政改革推進プラン2010」の192項目の事業につきましては、おおむね9割が達成できる見込みとなっております。

 具体的に申し上げますと、認可保育所やナーサリールーム・家庭保育室の定員を3,000名以上増加させるとともに、子育て支援センターも10か所増設するなど、子育て支援策を積極的に展開してまいりました。

 また、地域と学校の連携を目指して、全校に学校地域連携コーディネーターを配置し、チャレンジスクールや学校安全ネットワークの活動などを通じて、子どもたちの健やかな成長を多くの市民の方々に育んでいただいております。

 また、高齢者の皆さんに健康で長生きしていただけるよう、シルバー元気応援ショップ制度の創設、配食サービスの拡大や、地域包括支援センターの増設・年中無休化などを行ってまいりました。

 さらに、高齢者や障害者の皆さんが地域で安心して生活できる社会の実現を目指し、「安心長生き条例」や指定都市で初めてとなる「ノーマライゼーション条例」も制定いたしました。

 地球温暖化対策の一環として電気自動車の普及を目指しスタートした「E-KIZUNA Project」は、東日本大震災を契機にエネルギーセキュリティの視点も取り込み、「次世代自動車・スマートエネルギー特区」の認定を受けるなど、我が国の成長戦略の一翼を担っております。

 スポーツでまちを元気にする取組は、我が国初の本格的なスポーツコミッションの設立を契機に、プロバスケットボールの「bjリーグオールスターゲーム」や「FIFA U-20女子サッカーワールドカップ大会」など、全国レベル、国際レベルの大会の誘致に成功しました。

 また、これらのしあわせ倍増に向けた取組の実現に向け、生産性の高い都市経営を行うため、「見える改革」、「生む改革」、「人の改革」の3つを基本目標に行財政改革を進めてまいりました。

 その結果、「見える改革」といたしましては、都市経営戦略会議の資料や結果概要をはじめ、市の意思決定過程や予算編成過程の透明化を図り、昨年度の全国市民オンブズマン連絡会議による全国情報公開度調査では、満点の80点を獲得いたしました。

 また、くらし応援室の設置などの区役所改革やマッチングファンドの創設など、市民に身近な行政、市民との協働の取組も進んでおります。

 「生む改革」といたしましては、「1円たりとも税金を無駄にしない」徹底的な無駄の削減と新たな歳入の確保により、3年間で600億円という目標を上回る、675億円の貴重な財源を創出し、同時に、コンビニエンスストアでの証明書の発行など、効果的な行政サービスの向上にも努めております。

 そして「人の改革」といたしましては、「一職員一改善提案制度」の提案件数が、平成20年度の398件から平成23年度には7,649件と19倍もの大幅増加となり、働きがいを感じる職員の割合も増加するなど、着実に改革の成果が上がりつつあります。

 このように、生産性の高い都市経営を進めながら、「しあわせを実感できるまち」を目指し、環境、健康・スポーツ、教育といったさいたま市の強みに磨きをかける取組を通じて蒔いてきた種は、市民の皆さんや事業者、団体との“絆”を通じて、徐々に芽を出してきております。

 しかし、我が国全体の人口減少や特に首都圏で急速に進む高齢化、高度経済成長期に大量に整備した施設・インフラの老朽化など、これからのさいたま市を取り巻く環境は厳しいものが予想されます。

 このような中で、芽を大切に育てて、大きな花を咲かせ、豊かな実がなるようにしなければなりません。

 そのために、私たちがしなければならないことは、まず、地域経済の活性化を図り、地域に元気を取り戻すことであります。

 長引く円高・デフレ不況、東日本大震災や欧州政府債務危機の影響など、我が国を取り巻く経済環境は、本市の地域経済の足取りをも重くしてきたところでありますが、政府・日銀による大胆な金融緩和、機動的な経済対策により、我が国経済の先行きには明るさも見えてきております。

 先日、国の緊急経済対策に基づく補正予算が国会に提出されました。

 本市といたしましても、国と歩調を合わせた経済対策について検討を進め、地域経済の活性化に積極的に取り組んでまいります。

 次に私たちがしなければならないことは、これまで私たちが創り上げてきたさいたま市の良さ、強みを国内外に発信し、「選ばれる都市」にすることであります。

 さいたま市の良さ、強みは、実は市民の皆さんにはよく認識をされています。

 市民意識調査の結果では、さいたま市を「住みやすい」と感じている方は年々増加し、本年度は81.6%に達しています。

 また、「今住んでいる地域にこれからも住みたい」という定住意向をお持ちの方も、82.5%に上っております。

 私は、今のさいたま市に足りないものをあえて一つ挙げるとすれば、それは「自信」ではないかと考えます。

 長引く景気の低迷の中で、私たちはともすれば前向きな意欲を失ってしまいがちであります。

 しかし、私たちが積み重ねてきた実績に自信を持ち、さいたま市の良さ、強みを更に充実・強化し、発信をすることで、より多くの人にさいたま市に住んでもらえる、あるいは、訪れてもらえる、また、より多くの企業に来てもらえる、「選ばれる都市」になることができる。

 私は、そう確信しております。

 本年は、「ツール・ド・フランス」の名前を冠した大会を開催する予定であります。

 フランス以外の国では世界初となる大会が、このさいたま市において開催されるというまたとない機会を捉えて、新たにシティセールスの担当課を設置し、さいたま市を積極的に発信してまいります。

 市としても、職員誰もがシティセールスの担当者という心構えで情報発信に努めるとともに、市民の皆さん一人ひとりにもさいたま市の良さ、強みを再認識し、発信をしていただくことで、全国、そして世界に本市の存在感を発揮できるようにしてまいりたいと考えております。

 そして、私たちがしなければならないことの3番目は、さいたま市の良さ、強みに磨きをかける取組であります。

 私は、このためのキーワードとして、「東日本のハブシティ」、「防災拠点都市」、「先進施策によるブランド化」を申し上げたいと思います。

 改めて申し上げるまでもなく、さいたま市は、首都圏と東北、上信越地方といった東日本をつなぐ、地理的に非常に大きな優位性を持っております。

 そして、既存の新幹線5路線に加え、今後の北海道新幹線、北陸新幹線の開業により、北海道、北陸ともつながるとともに、圏央道など高速道路ネットワークの整備が進むことで、東日本のハブシティとしてのさいたま市の地位が更に上がると考えます。

 このような本市のポテンシャルを最大限に生かすためにも、大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区をはじめとしたまちづくりについて、広域的な視点も踏まえて進めるとともに、大震災の被災地をはじめ東日本各地との経済的・文化的なつながりを深める取組を一層進めてまいります。

 また、東日本大震災を経て、災害に強いまちづくりが全国各地で進められていますが、本市は地理的にも自然災害に強く、また、国の広域防災拠点であるさいたま新都心を有するという、大きな強みを持っております。

 この強みを評価し、さいたま市を進出先に選択する企業も増えてきております。

 市としても、インフラや建築物の耐震化などハード面での取組や、災害時の情報基盤の整備などソフト面での取組を通じて、防災拠点都市としての地位を確立してまいりたいと考えております。

 さらに、はじめに申し上げた環境、健康・スポーツ、教育といったさいたま市の強みにつきましては、従来から、全国でも先進的な取組を行ってきております。

 今後は、これらの取組を更に充実・強化し発信をすることで、さいたま市のブランド化を加速させ、その結果、我が国のみならず世界の最新の情報がさいたま市に集まり、一段と本市の施策がバージョンアップしていく、そのようなプラスのサイクルを創ってまいります。

 そして、さいたま市がこれらの取組を進めていくためには、私たちに十分な権限と財源が必要であります。

 昨年、大都市地域特別区設置法が成立し、特別自治市構想を踏まえた大都市制度改革につきましても、政府の地方制度調査会で議論が進められています。

 大都市への権限と財源の移譲により、住民に身近な基礎自治体として行政に市民の声を一層反映できるようにすることに加えて、我が国の成長のエンジンとして、大都市がグローバルな都市間競争に打ち勝っていくためにも、引き続き、他の指定都市との連携・協力の下、大都市制度改革の議論に積極的に参画をしてまいります。

 以上、これまで4年間、市政運営の任を与えていただいた私の、現在の想いを述べさせていただきました。

 さいたま市は、3市合併による誕生以来、先人たちの汗と英知の積み重ねにより、人口124万人を有する大都市に成長してまいりました。

 私も、800か所近くの現場を訪問し、さまざまな市民の皆さんと出会い、多くの企業や団体に伺って、多くの皆さんと意見交換を行う中で、いくつもの課題が見えてきた一方で、さいたま市の無限の可能性を感じてきました。

 市民の皆さんや市内の企業・団体のすばらしさ、また地域への想いは、さいたま市にとってかけがえのない宝物であります。

 今後より一層、市民と企業・団体、そして行政が共に手を携え、市が一つにまとまれば、さいたま市は大きな力を発揮し、もっと良いまちになる、もっと大きな夢が実現できると考えます。

 先般、見沼田んぼをステージに「日本一の桜並木」をつくろうと申し上げたのも、市民や企業、団体の皆さんと行政が共につくり上げることで、さいたま市の“絆”を一つに結ぶ象徴になるだけでなく、日本一の桜並木という“誇り”にもなるという想いからであります。

 これまでの4年間の取組の成果は、私一人の力によるものではありません。

 議員各位、市民の皆さんや企業の御理解と御協力、また、職員の努力の賜物であります。

 そして、これからのさいたま市が目指す姿の実現に当たっても、これまで以上に多くの皆さんの力が必要であります。

 このため、さいたま市の、そしてさいたま市民の実力に自信を持って、多くの皆さんと共にまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。

平成25年度予算編成等

これからの100年に向かって

 平成25年度予算につきましては、今申し上げた私の想いをもとに、これまでの取組や成果等を踏まえた事業を推進していくことはもとより、「総合振興計画新実施計画」の達成や、東日本大震災の経験を踏まえた防災対策等の強化、さらにはこれからの100年を見据えた活力のあるまちづくりを推進する予算として、編成をいたしました。

 個人市民税や固定資産税等の影響から、歳入の根幹をなす市税収入の増収が見込まれるものの、歳出予算では、社会保障費等の増額により、収支不足が拡大する厳しい予算編成作業でありました。

 このような中で、徹底した行財政改革を進め、生産性の高い都市経営を目指し、重点分野を中心に限られた財源を効率的、効果的に配分したところであります。

 この結果、一般会計予算は、4,459億2,000万円、対前年度比3.5%の増となりました。

 また、特別会計予算総額は、3,121億4,000万円、企業会計予算総額は、1,075億5,071万円、全会計予算総額は、8,656億1,071万円となったところであります。

 以下、「防災、環境・エネルギー対策」、「高齢者支援、子育て支援、教育の充実」、「健康増進、スポーツ振興」、「地域経済の活性化」の重点分野をはじめ、平成25年度の主要な事業等について、申し上げます。

(1) 防災、環境・エネルギー対策

 まず、「防災、環境・エネルギー対策」に関する施策であります。

 東日本大震災を通じて、私たちは、身近にあって当たり前と思っていたものが、実は当たり前のものではなかったということに気付かされました。

 エネルギーの問題は、その最たるものであります。

 我が国のエネルギー政策は、大きな転換期を迎えておりますが、安心・安全な市民生活の確保や地域経済への影響を勘案すれば、さいたま市としても自治体独自のエネルギー政策、特に省エネルギーの推進や再生可能エネルギー等の活用、災害時のエネルギーセキュリティの確保に、今まで以上に取り組む必要があります。

 このため、本年度中の策定に向けて作業を進めている「(仮称)さいたま市新エネルギー政策 エネ・スマ活用ビジョン」においては、省エネ対策により2020年度のエネルギー消費量自体の10%削減と併せて、再生可能エネルギー等の導入割合を4倍以上増加させ、エネルギー消費量の10%を賄うという、高い目標を掲げました。

 この目標の達成とともに、災害時の防災拠点の強化を図るため、平成25年度から3年間で、市立学校152校に太陽光発電設備と蓄電池を設置いたします。

 平成25年度は24校に、また既に太陽光発電設備を設置した学校のうち7校に蓄電池を、それぞれ整備してまいります。

 また、家庭における太陽光発電や蓄電池などの創エネ・省エネ設備等の設置について、引き続き補助を行うとともに、メガソーラーにつきましても、市有地等における具体的な事業実施について、検討してまいります。

 さらに、国から指定を受けた「次世代自動車・スマートエネルギー特区」の取組も進めてまいります。

 まず、ガソリン、天然ガス、電気、水素等の多様な自動車用エネルギーを供給し、太陽光発電設備や蓄電池などを備えて災害時にも対処できる「ハイパーエネルギーステーション」を普及させるため、新たに補助制度を創設いたします。

 また、みそのウイングシティで整備を進めているスマートホーム・コミュニティにつきましても、エネルギーマネジメントシステムやそのためのインフラの整備に向けた設計を進めるとともに、土地区画整理事業による基盤整備をスピードアップいたします。

 私たちが排出する廃棄物も、活用できる大きなエネルギー源であります。

 平成27年度の供用開始を目指し整備を進めている新クリーンセンターは、熱エネルギーを最大限活用し、効率的な廃棄物発電と売電を行うことで、地球温暖化対策や電力不足への対応にも大きな効果を発揮いたします。

 また、老朽化に伴う東部環境センターと西部環境センターの再編に際しましても、廃棄物発電の高出力化や温水プールなどの余熱利用施設への熱エネルギーの有効活用を目指し、基本計画の策定を進めてまいります。

 防災面の取組では、災害時に避難場所となる学校と公民館について、計画を前倒しして取り組んだことで、本年度中に耐震改修が完了する見込みとなっております。

 今後は、学校体育館の天井材や照明器具等の非構造部材の耐震化や、段差解消等のバリアフリー化の工事に着手してまいります。

 また、その他の公共施設につきましても、平成27年度を目標に耐震化を推進してまいります。

 特に、耐震診断の結果を踏まえ、建替えを決定した大宮区役所庁舎につきましては、新たな防災拠点としてはもちろん、大宮駅東口のまちづくりにも寄与する事業として、基本設計や実施設計等を実施してまいります。

 また、災害時の司令塔となる本庁舎につきましても、昨年御承認いただいた補正予算によりまして、耐震補強工事の基本設計や実施設計等を行ってまいります。

 さらに、市民生活に必要不可欠なライフラインである上下水道施設につきましても、老朽化対策や耐震化対策などを計画的に推進するとともに、緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化に対する助成の件数を増やすなど民間建築物の耐震化にも取り組んでまいります。

 また、防災行政無線のデジタル化により災害時の市民への情報伝達手段を確保するとともに、引き続き非常用物資の計画的な備蓄を進め、拠点備蓄倉庫につきましても、未設置の区を優先して整備を進めてまいります。

 自然災害は地震だけではなく、特に近年多発するゲリラ豪雨への備えも必要であり、埼玉県とも連携しながら、河川や下水道の整備をより効果的に推進してまいります。

 また、河川等の水位情報を的確かつ迅速に収集する監視システムを構築し、大雨の際の情報提供を充実してまいります。

 大規模災害への備えを万全とするためには、市民の生命や財産を守る消防力の強化も必要不可欠であります。

 消防救急無線のデジタル化や、新消防緊急情報システムの整備を進めるとともに、新たな指令センター庁舎の基本設計を行うなど、災害通信体制の充実強化を図ってまいります。

 また、市内の消防力の充実のため、片柳地区における新消防署の整備や、消防分団車庫の耐震改修や建替えを進めてまいります。

(2)高齢者支援、子育て支援、教育の充実

 次に、「高齢者支援、子育て支援、教育の充実」に関する施策であります。

 昨年は、子どものいじめや自殺が全国的な問題となりました。

 さいたま市の未来を担う子どもたちの盾となり温かく包み込むことは、私たち大人の責務であります。

 このため、SOSのサインを見逃さず、救いの手となることができる、ゲートキーパーとしての役割を果たす教員を養成してまいります。

 また、経験豊富な臨床心理士などをスクールカウンセラーのスーパーバイザーとして各教育相談室に新たに配置し、児童生徒のさまざまな心の問題に向き合ってまいります。

 さらに、いじめ問題等への対応を強化するため、教員OBを教育相談室に配置するとともに、警察との連携が必要な事案において、学校へのサポートを行うため、専門的な知識や経験をもった警察OBを配置いたします。

 これまで、日本一の教育都市を目指す取組として、土曜チャレンジスクールと放課後チャレンジスクールを行ってまいりましたが、引き続きこれらの事業を推進するとともに、両事業の一体化も視野に検討を進めてまいります。

 また、市立高等学校の特色ある学校づくりも、さいたま市の教育を支える大きな柱であります。

 高い志を持ち世界で活躍する人材の育成を目指し、4校がそれぞれに特色ある学校づくりを着実に進めるとともに、教育委員会に高校教育の担当課を新設して、各学校の取組をサポートする体制を整えます。

 併せて、新たな中高一貫校の設置についても、検討を進めます。

 さらに、トイレや外壁の改修など、老朽化した施設の大規模改修を重点的かつ計画的に進めるため、学校施設リフレッシュ計画の策定作業に着手し、教育環境の充実を図るとともに、全ての学校で自校調理による給食を提供できるよう、給食室の整備を進めてまいります。

 障害のある児童生徒が安心して地域で教育を受けられるよう、昨年のさくら草特別支援学校の開校に引き続き、ひまわり特別支援学校において、教室不足の解消や施設の充実を図るため、校舎の増改築を行うとともに、各小・中学校への特別支援学級の設置を進めてまいります。

 本年末には、本市出身の宇宙飛行士、若田光一さんが、日本人初の国際宇宙ステーション船長として、長期滞在クルーの指揮を執ることとなりました。

 若田さんが世界で活躍する姿は、さいたま市の子どもたちに大きな夢を与えてくれます。

 打ち上げ応援や滞在中における子どもたちとの交信イベントなど、子どもたちが夢や希望を抱くことができるさまざまな事業を実施し、さいたま市を挙げて若田さんを応援したいと考えております。

 また、さいたま市は、現代短歌の歌人、大西民子さんゆかりの土地であり、日本語の美しさと可能性を兼ね備えた短歌文学は次世代に継承すべき貴重な財産であります。

 本市が毎年主催している「現代短歌新人賞」に加え、優れた小・中学生の短歌作品を表彰する「子ども短歌賞」を創設いたします。

 子育て支援につきましては、先に申し上げましたように、本市の最重要課題の一つとして取り組んでまいりました。

 平成25年度につきましても、引き続き認可保育所の定員を842人、ナーサリールーム・家庭保育室の定員を230人、放課後児童クラブの受入可能児童数を360人と、それぞれ拡大を図ります。

 また、平成26年度の開設に向け、認可保育所の定員540人分の整備を進めてまいります。

 さらに、保護者の子育てに対する負担の軽減や子どもの食育等のため、公立保育所の3歳以上の子どもに主食を提供し、完全給食を実施いたします。

 不登校、ひきこもり、いじめ、発達障害など、子どもや家庭を取り巻く課題は複雑になっております。

 このため、児童相談所をはじめとする専門機関を集約し、専門職の連携によりワンストップで相談に対応する施設として、平成29年度の開設を目指し、「(仮称)さいたま市子ども総合センター」の基本設計に着手してまいります。

 また、ひきこもり状態などの課題を抱える子どもや若者の自立支援を行うため、「(仮称)青少年ルーム」を整備いたします。

 高齢者支援につきましては、昨年制定いたしました「安心長生き条例」に基づき、お互いの顔が見える地域づくりや地域による助け合い・支え合いを目指した取組を充実させ、一人ひとりが「生涯現役」として地域の中で引き続き活躍できる環境の整備を進めております。

 平成25年度におきましても、高齢者のボランティア活動にポイントを付与するシルバーポイント事業や、市内の公共施設、保養所等を無料や低額で利用できるアクティブチケット交付事業の利用者の増加を図り、高齢者が元気で暮らせるための施策に取り組んでまいります。

 併せて、高齢者を中心として多世代が触れ合えるグラウンド・ゴルフ場について、西楽園の隣接地に整備を進めてまいります。

 また、「見守り」に取り組む地域の団体等に対する奨励金の交付や、買い物、通院等の移動が困難な高齢者に対するシルバー人材センターによる生活支援への助成、さらには今後2年間で特別養護老人ホームを720床整備するなど、いざというときにも高齢者の皆さんが安心して暮らせるための施策にも力を注いでまいります。

(3)健康増進、スポーツ振興

 次に、「健康増進、スポーツ振興」に関する施策であります。

 誰もが元気で健やかに暮らせるまちの実現は、市民一人ひとりの生活の質の向上、しあわせの実現に必要不可欠な取組であります。

 同時に、まちの活力の向上、地域のコミュニティの醸成や社会保障関係経費の節減など、行政にとっても重要な課題であります。

 このためには、医療体制の充実はもちろんのこと、病気等の予防に取り組むことが重要であり、市民と行政とが共に汗して協力しなければ実現できないものであります。

 このため、「歩く」を基本に、「体を動かす、体を動かしてしまう」まちづくりを総合的に進める「スマートウェルネスシティ構想」について、他都市とも連携して更に研究を深めるとともに、庁内横断的なモデル事業を新たに実施してまいります。

 また、講演会、ウォーキング、健康相談会など、第2次のヘルスプラン21に掲げる取組をはじめ、市民の主体的な健康づくりを積極的に支援してまいります。

 さらに、がんの早期発見のため、がん検診の充実を図るとともに、子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンといったワクチン接種事業につきましても、継続して実施してまいります。

 また、心身両面にわたる健康の保持増進のためには、スポーツが大きな効果を発揮しますが、働き盛りの30代、40代では週1回以上のスポーツの実施率は4割を切っております。

 気軽にスポーツができる環境を整備するため、未利用地や都市公園を活用した「スポーツもできる多目的広場」の整備に引き続き取り組み、平成25年度末には累計で市内45か所の整備をしてまいります。

 また、近年、健康づくりの一環として、ランニングやウォーキングなどの気軽に取り組めるスポーツ、さらには環境にもやさしい自転車が注目されております。

 このため、さいたま市としても、世界が注目する自転車レースである「ツール・ド・フランス」を冠した国際自転車競技大会の誘致や、「さいたまシティマラソン」、「さいたマーチ~見沼ツーデーウオーク」の開催など、市民の皆さんがスポーツに親しむ機会となる取組を進めます。

 また、このような全市的なイベントだけでなく、区制施行10周年の記念事業の中でも、西区の資源である荒川サイクリングロードを活かし、自然環境に親しみながら健康づくりを目指す自転車イベント、桜区内の自然や歴史・文化を再発見するためのウォーキングイベントや、南区内のJR東日本主要駅との協働による「駅からハイキング」など、市民の健康づくりやスポーツへの参加につながる事業を展開いたします。

(4)地域経済の活性化

 次に、「地域経済の活性化」に関する施策であります。

 これからの100年を見据えた活力のあるまちづくりを進めるためには、足下の地域経済の活性化により、地域の元気を取り戻さなければなりません。

 このため、先に申し上げましたように、国と歩調を合わせた経済対策の推進について、現在検討を進めているところでありますが、平成25年度当初予算におきましても、地域経済の活性化に資する事業について、本年度と比べて約1割増の予算額としております。

 例えば、市内中小企業の経営の安定化や向上に必要な資金のあっせんに加えて、本年3月の中小企業金融円滑化法の終了を見据え、返済負担を軽減する借換資金制度を創設することとしております。

 また、商店会連合会が実施する商店街活性化キャンペーン事業への支援につきまして、従来は補正予算で計上しておりましたが、より効果的な時期に事業を実施できるよう、当初予算に計上したところであります。

 また、企業に求められる人材の育成を目的として、企業や施設での就業体験と実務に直結したスキルや資格の取得を効果的に併用した就職支援を、新たに実施してまいります。

 多くの人にさいたま市を訪れてもらうことも、地域経済の活性化につながります。

 「ツール・ド・フランス」を冠した国際自転車競技大会や、「さいたまシティマラソン」、「さいたマーチ 見沼ツーデーウオーク」の開催は、スポーツ・健康面での効果だけでなく、地域経済の活性化にも大きな効果が期待できます。

 国内のスポーツ関連産業の市場規模は3兆円とも、広義では11兆円とも言われており、東京マラソンの経済波及効果は約240億円に上ると試算されています。

 このため、さいたまスポーツコミッションとも連携し、これらの機会を最大限に活用して、地域経済に波及効果が及ぶように取り組んでまいります。

 また、区制施行10周年の記念事業として、「(仮称)岩槻・城下町まつり」を地域イベントと連携して開催したり、政令指定都市移行10周年という節目の年を祝い、市民の心を一つに結ぶため、従来の3会場に加え、規模を拡大した花火大会を開催するなど、さいたま市に人を呼び込む取組を積極的に進めます。

 さらに、海外でも人気のある大宮盆栽を世界的ブランドとして確立し、海外からの観光客や海外への販路拡大を図るため、各種プロモーション活動等を実施するとともに、平成29年度に開催が予定されている「世界盆栽大会」の誘致活動を展開いたします。

 「ツール・ド・フランス」や「世界盆栽大会」といった大規模イベントの効果を一過性のものとせず、常にさいたま市に人を呼び込んでいくためには、MICEと呼ばれる、国際会議やコンベンション、学会、展示会などのビジネストラベルを積極的に誘致していく必要があります。

 このため、観光MICEに必要不可欠な大型ホテルの誘致に向けて、宿泊動向やホテルの進出可能性についての調査に着手をいたします。

 従来から、雇用機会の創出や、地域経済の活性化を図るため、戦略的な企業誘致活動を展開するとともに、産業集積拠点の整備を検討してまいりましたが、これらの取組に加えて、次世代の成長分野における関連産業の育成も必要であります。

 超高齢社会の到来により、確実に成長分野となる医療に関しては、昨年、「さいたま医療ものづくり都市構想」を策定したところであり、世界で約25兆円の市場規模と言われる医療機器関連分野に対して、研究開発型ものづくり企業の新規参入や事業拡大に向けた支援、試作開発ラボの整備等を行ってまいります。

 また、環境の分野では、「次世代自動車・スマートエネルギー特区」に市内企業が参画できるように取り組み、特に低炭素型パーソナルモビリティの普及に向けて、産学官民連携による研究や開発を支援するための補助制度を創設いたします。

 また住宅用太陽光発電設備等の設置補助に関し、市内事業者による施工の場合は補助金をかさ上げするなど、環境・エネルギー対策と地域経済活性化の「一石二鳥」を図る取組も進めてまいります。

 浦和美園から岩槻地域にかけては、埼玉スタジアム2002や岩槻の歴史文化といった魅力ある地域資源、利便性の高い交通アクセス、そして基盤整備の進展など、大きなポテンシャルを有する、本市に残された貴重な戦略的エリアであります。

 昨年取りまとめた「浦和美園~岩槻地域成長・発展プラン」を踏まえ、情報発信の強化や快速バスの運行、市民方策の支援など、定着・交流人口を増やす各種方策を、市民、経済界や国・埼玉県等とも連携しながら強力に進めてまいります。

(5)まちづくりの推進、市民生活を重視した施策

 4つの重点分野以外にも、市民の声をしっかりと反映し、市民がますます「住みやすい」と感じるまちづくりを積極的に進めてまいります。

 東日本の玄関口である大宮駅周辺の経済・商業機能等を高めるため、大門町2丁目中地区市街地再開発事業の組合設立認可に向けた支援を行ってまいります。

 また、氷川緑道西通線の用地買収を継続するとともに、工事に着手してまいります。

 さいたま新都心のまちづくりにつきましては、民間の開発プロジェクトとも連携を図りながら、今後のまちづくりの指針となる「(仮称)新都心将来ビジョン」を策定し、にぎわいの創出と広域防災拠点を生かしたまちづくりを進めるとともに、8-1A街区につきましては、引き続き埼玉県やさいたま赤十字病院との連携による整備を進めてまいります。

 本年3月に鉄道高架化が完成する浦和駅周辺におきましては、浦和駅東口駅前交通広場や浦和西口停車場線を整備してまいります。

 岩槻駅周辺につきましては、「岩槻まちづくりマスタープラン」を基に、アクションプランの策定及び旧岩槻区役所の敷地利用の検討を行い、城下町の歴史・文化が息づくふれあいのまちづくりを推進してまいります。

 与野本町駅周辺につきましては、芸術や文化の地域資源と民間活力を活用した、安心・安全で持続可能なまちづくりを進めるため、公共施設再編も含めたマスタープランを策定するとともに、与野本町駅から彩の国さいたま芸術劇場を結ぶアートストリートに照明等を設置してまいります。

 市民生活に密着した社会資本整備につきましても、積極的に進めてまいります。

 暮らしの道路・スマイルロード整備事業など、市民の要望が強い事業を引き続き推進するとともに、下水道事業につきましては、未整備地区の中で特に事業効果が高い区域を中心に整備を進めてまいります。

 多くの市民の皆さんが日常生活で利用する鉄道駅につきましては、平成26年度末の完成を目指して指扇駅、岩槻駅の橋上化及び自由通路の整備を進めるとともに、引き続き北浦和駅のエレベーター設置工事を進めてまいります。

 また、これまで市民の皆さんから非常に多くの強い要望が寄せられていた南浦和駅のバリアフリー化につきましては、先般、改札内の整備についてJR東日本が発表したところでありますが、改札外につきましても、一日も早い整備を目指して詳細設計を進めてまいります。

 また、幅広い年齢層の市民に身近な交通手段である自転車の利用環境を整備するため、県庁通りや旧中山道の一部に自転車レーンを設置するとともに、ネットワーク基本構想の検討も進めてまいります。

 また、公園不足地域の解消とオープンスペース確保による防災機能向上のため、公園整備事業を引き続き進めてまいります。

 さらに、市営住宅等長寿命化計画に基づき、岩槻区浮谷住宅の建替えに着手いたします。

 自治会活動の拠点であり、地域の絆づくりの場として重要な自治会集会所の整備に対する補助を引き続き行うとともに、市民の生涯学習活動や地域の文化発信拠点として、「(仮称)内野地区公民館」の建設に着手いたします。

 全ての人が同じように生活を営める社会をつくり上げるという「ノーマライゼーション条例」の理念を更に浸透させるため、条例の周知啓発の取組を強化するとともに、引き続き差別や虐待に対する障害者やその家族への適切な支援を行ってまいります。

 また、聴力の向上や、言語能力の発達を促しコミュニケーション能力の向上を図るため、軽・中等度の難聴児の補聴器購入に対する助成制度を創設いたします。

 これまで申し上げてきた各行政分野の施策を総合的、体系的に示す総合振興計画基本計画は、平成25年度末で計画期間が満了いたします。

 このため、各界各層の意見もお聴きしながら、次期の基本計画を策定するとともに、併せて、基本計画に定めた施策を展開するための実施計画を策定してまいります。

(6)行財政改革

 「行財政改革推進プラン2010」に基づく取組は、先に申し上げたように大きな成果を上げてきましたが、時代の趨勢とともに市民ニーズが高度化・多様化する中、行財政改革に決して終わりはありません。

 このため、公共施設マネジメントの更なる推進や、公民連携の取組など、新たな課題にも積極的に対応してまいります。

 本市の公共施設の多くは、人口が急増した1970年代に整備されており、既に建築から40年近くが経過し、建物の老朽化は着実に進行しております。

 近い将来、改修や更新の波が一気に訪れ、膨大な事業費が必要となることは厳然たる事実であります。

 こうした状況に対応していくため、全国でも先進的な取組として、昨年6月に「公共施設マネジメント計画」を策定し、計画的に施設の更新を行うための基本的な考え方や目標を整理したところであり、平成25年度には、施設分野ごとのアクションプランを策定し、具体的な行動につなげてまいります。

 公共施設のマネジメントは、将来の世代のためにも私たちが責任を持って取り組まなければならないテーマであります。

 このため、市民や事業者の皆さんとも情報や問題意識を共有しつつ、議論を積み重ねながら進めてまいります。

 財政状況が厳しくなる中で多様なニーズに対応するためには、民間の知恵や工夫、アイデアを活用し、公共サービスを提供するPPP(公民連携)の取組が重要となります。

 昨年、「提案型公共サービス公民連携制度」により、催事情報システムや広告掲載による財源確保などの御提案をいただいたところであり、平成25年度はこれらの事業を実施してまいります。

 また、市内企業の公民連携への参画を促進するため、行政、地元企業、各種団体間のネットワークである「(仮称)さいたま公民連携コミュニティ」の構築に向けた取組を進めます。

 さらに、職員一人ひとりの意識改革に関して、「一職員一改善提案制度」の提案件数の大幅増や、業務改善発表会「カイゼンさいたマッチ」の開催により、全国の自治体職員とのネットワークの構築や情報の共有化が図られ、この3月には、自治体のカイゼン甲子園ともいうべき「第7回全国都市改善改革実践事例発表会」を本市で開催する運びとなっております。

 平成25年度には、民間企業等とも積極的なカイゼン交流などを実施し、日常的に改善・改革を実践する考えが継続されるような組織風土の構築を目指してまいります。

結びに

市民と手を携えさいたま市の未来を創る

 今から約40年前、まだ大型汎用コンピュータしか無かった時代に、アメリカの科学者、アラン・ケイ博士は、誰もが簡単に使うことができるパーソナルコンピュータの概念を提唱し、現代の情報社会の礎を築きました。

 「パソコンの父」と呼ばれる彼は、ある研究所に勤めているとき、パソコン研究の先行きを不安視する経営陣から研究の将来予測を問われ、「未来は予測するものではなく、創るものである」との言葉を残したと言われています。

 長引く景気の低迷やグローバルな都市間競争の激化、人口減少社会の到来、そして首都直下型地震の懸念など、これからのさいたま市を取り巻く環境は厳しく、先行き不透明な時代であるのは確かです。

 しかし、そのような中にあっても、単に世界の激流に身をゆだねるのではなく、自ら主体的に未来を創っていくことの大切さを、アラン・ケイ博士の言葉は教えてくれています。

 私も、さいたま市の可能性を信じ、自らが先頭に立って、さいたま市の輝かしい未来を力強く切り拓くため、私が持ちうる全てを注ぎ込む決意であります。

 そして、一人ひとりがしあわせを実感できる絆であふれるさいたま市、誰もが住んでいることを誇りに思えるさいたま市を、124万人の市民、事業者や団体の皆さんと共に手を携えて、実現してまいります。

 以上、平成25年度の市政に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げました。

 市民の皆様並びに議員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 今議会に提出いたしました議案は60件でございます。

 予算議案といたしまして、補正予算が14件、新年度予算が19件、また、条例議案が14件、一般議案が13件でございます。

 何とぞ慎重なる御審議の上、全議案につきまして、御承認をいただきますようお願いを申し上げます。

平成25年2月5日
さいたま市長 清水 勇人

補足 平成24年度施政方針については、以下のファイルをご覧ください。

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