ページの先頭です。 メインメニューへ移動 フッターへ移動


ページの本文です。

更新日付:2023年12月12日 / ページ番号:C093627

ばらエティレポート2022 特別編第6弾 「瑛伶(書家)×近藤区長」書を味わう

このページを印刷する

中央区の区の花はバラであることをご存知ですか。
中央区役所内にはいろいろな種類のバラを植えています。
また、与野公園は、約180種類以上、約3,000株あるバラの名所です。
ここでは、中央区役所や与野公園など、バラの状況をお伝えします。
また、中央区内のおすすめスポットや区民の方のコミュニティ活動などを、ばらエティにレポートします。

今回は特別版第6弾です。

「瑛伶(書家)×近藤区長」書を味わう

中央区は「芸術のまち」と親しまれていますが、今回は芸術の中でも「書」をテーマにしました。

中央区ご出身で書家の瑛伶(えいれい)さんと近藤区長と国指定有形文化財としても知られる「会席料理 二木屋」の浅倉邸にお邪魔して、芸術としての書の味わいについて対談しました。近藤区長は小学生時代にお習字をしていたとのことですが、毛筆で文字を書くのは久しぶりとのことで最初は大変緊張されていました。実際に、瑛伶さんから書体の基本を教えて頂きながら、書を楽しんで表現するコツなどを学び「蹴」という作品を作り上げました。

003  004  005

006  007
当日は、味わいのある道具を特別に使わせていただきました。作品が出来上がるまで何度も何度も書き直し、筆の流れに緩急をつけたり、太いところや細いところ、かすれるところやにじみなどに気を付けながら出来上がり、現在は区長室に飾られています。

001  002 

筆の種類や硯、墨の香りなどの話題で話が弾み、和やかな雰囲気で対談が始まりました。

(対談内容は、抜粋です)

区長 個展前のお忙しいところ、このような時間を設けていただいてありがとうございます。本日は、よろしくお願いいたします。はじめに、書を始めたきっかけを教えてください。

瑛伶さん 5歳の時に、いわゆるお習字を始めました。自分のマイナスを指摘されて正すというか、最初はあまり楽しいと思えない時期もありました。学生時代は、書道は「書き順をしっかり守りなさい」とか「払い方」とか「飛び方」というか、字の「跳ね方」なども色々な指導要領によって違っていて、ちょっと自分には窮屈だと感じていました。

区長 なるほど。そういった時期もあって、どうして書の道に進まれたのでしょうか?

瑛伶さん 自分自身、少し人生で迷うことが多かったですし、書から離れた時期もあったのですが、改めて20代後半の頃に書と向き合ったら、過去の時と全く違う線になっていたり、墨汁のにじみや紙の余白の取り方も変わっていたりして、書には人生の色々なものが反映されてくるのだなと実感し、その楽しさに目覚めました。特に最近は、パソコンで文字を打ってしまうので、綺麗な字という意味ではパソコンで打ってしまった方が早いっていうこともあります。そうなった時に、逆に書道の良さというか、書道でしかできないものっていうのは魅力だなと、感じています。また、茶道などもそうですが、文字を書くということだけではなく、綺麗な字を書くために集中したり、心を落ち着けたりすること、そういう過程が大事になってくるのではないかと思っています。

区長 普段はどの様な作品を制作されているのでしょうか。

瑛伶さん 「墨象(ぼくしょう)」という表現方法があって、炭を使った作品なのですが、今の心持ちだったり、いろんな雰囲気だったりを表現する方法で、文字や漢字もやっていますが、例えばクラシックバレエの「グランジュッテ」という体の動きを表現することにもチャレンジしています。一つの文字をいろんな雰囲気で描くことで、多様性といいますか、「百花繚乱」という言葉のあるように、同じ「花」という文字も様々な形で「花」という文字を書くことで、人間の多様性にも繋がっているのではないかと思うので、もっと縛られない自由な作品を制作していきたいと思っています。でも、やはりその中でも基礎ができてないと逆に外れられないというところもあるので、古典もしっかり勉強はしつつ、そこからどれだけ自由に作品を生み出せるか、そういう部分も大事にしています。

区長 先ほど、「習字」と「書道」は違うっておっしゃっていたと思いますが、どの様な違いがあるのでしょうか?

瑛伶さん 私が考えるに、お習字はやっぱり「字を習う」なので、正しい字を読み書きし、伝達する手法としても漢字をしっかり勉強するという意味合いで文字を習うということ。その文字そのままだと思うのですけど、書道になるとやはり「書の道」になるので、表面に現れてこない心情だったり、経験だったり、また文字にも歴史的な背景もあるので、そういったものを学んだ上でもっと深めていくのが書道だと思います。

区長 習字は、子供の頃に学校とかで習うものだと思いますが、何となくその時に「習わされた」というような苦手意識が私にはあります。瑛伶さんの書の先生は、ずっと同じ方ですか?

瑛伶さん 先生は小学校に上がった段階で別の先生にお願いして、その先生も色々ご都合があり、高校生ぐらいから少し離れた時期がありました。その間はダンスが好きだったので、ダンサーになりたいという夢も持ったりして、書道からは全く離れましたし、書道を仕事にするっていうことも考えていませんでした。

区長 先ほど伺った話に関連しますが、ダンサーではなく書の道に進むきっかけは何だったのですか?

瑛伶さん やはり書のことを「習い事の一環」としか思っていなかったのですが、ダンサーを目指している中で怪我をしてしまったり、自分には向いていないのではないかと思ったり、人生で少し落ち込んだ時期がありました。そんな20代後半の時に、小学校の時に習っていた先生がまた別の先生、今教えて頂いている先生を紹介してくださって。その先生の字を見た時に、初めて文字が踊っているように見えました。平面の作品なのに、立体に見える書があっって、本当に書の表現は、ダンス、舞踏と一緒だなと感じました。元々その先生は建築家として40歳ぐらいまで活動されていた方なので、 すごく立体的に文字を見ることができて。そうなると、今まで少しダンスでくじけてしまった部分もあるのですが、ダンスをやっていたことが書に活かされるのではないかと思い始めました。そして、実際に筆を動かすといった身体的な面もあるので、身体と文字との関係性みたいな部分もあり、とても共通しているなっていうことに気が付きました。

区長 それはとても新しい視点ですね。

瑛伶さん 筆を持つとき立てて書くのですが、やはりこの体幹の部分、文字の真の部分がしっかりしていないと、文字も弱い字になってしまうので。

区長 スポーツも体幹がしっかりしていないと、怪我をしやすかったりしますしね。

瑛伶さん 書道は、文字を書くときに自分の文字の「線」を追求する、という面白さがありますが、やはり最初にお手本を習っていた経験があるからこそ表現できるものだと思います。基礎もオリジナルも両方大事ではあるのですが、それが苦に思われてしまうこともあるので、できれば最初から少し楽しい「書」が出来たら良いなと思います。

区長 そうですよね。サッカーで例えると、昔の指導はダメだし中心だった時期もあったと思いますが、そういう指導だと楽しくなくなって離れてしまう人もいる、悪いところを非難するよりも良いところを褒めて伸ばしていくという指導方法に、段々世の中も変わってきていると思います。スポーツもそうですし、私はその方が皆さん楽しいかなと思います。

瑛伶さん そうですね。私が書に対する気持ちと、近い考えかなと思います。教え方もそうですし、あまりきつく指導していると意外と本番に弱くなってしまったり…。「自分がやりたいからやる」という気持ちをもっと追求出来たら良いなと思います。

区長 書も芸術のひとつです。瑛伶さんが創作時に大切にしていることは何ですか?

瑛伶さん 作品を創る時は、哲学をしているようなイメージです。自分が生きてきた、考えてきたことを書の中でどう表現していけるか、極めたいと思っています。色がないことは、ある意味つまらないという風に思われてしまうかもしれないですけれど、逆にこの制限された中での表現いうか、自由を感じてもらえるといいのかなと思います。あと一番大事なのが、実は書いているところよりも余白の部分なので、その様な考え方がとても日本人の精神性にあっていると思います。日本の文化でいうと俳句などとも書は共通点があると思っていて、間とか余白とか作品を仕上げる時間の流れが、書の炭を磨って、書いて、仕上げて、乾くまでのこの過程の流れが、日本人的な「様式美」を大事にするところと通じていると思います。禅や枯山水など、余白の部分から何かを感じ取るっていう感性は、私たち日本人の独特な感性で大事にしたい精神ではありますね。私も、墨と和紙しか使わないとか、ある程度物質の素材も限定し、どの様に余白を活かせることができるか、また見る側の人の感性にも委ねられる部分が多いと思います。ただ、文字には意味があるので、これを読めてしまう人と漢字を知らない人が見るものだと、また全然違ってくるかなと思います。

区長 そうですよね。外国の方が見たら、それは形でしかないですしね。知らない人が見て何か感じるとしたら、それが「本当」なのかもしれないですね。

瑛伶さん 私は作品の中でダンスの動きを取り入れたりすることもあるのですが、そのポーズが特徴的なものがあるので、もし私が文字の無い時代にこの人たちの姿を残すとしたらどうするだろう、ということを考えています。

区長 私はサッカーをずっとやっているので、本日は「蹴」という字を表現しました。出来栄えはどうでしょうか?

瑛伶さん 線が力強いし、サッカーを上手く表現されているのではないかなと感じました。先ほどもお話ししたのですが、体幹の部分というか、その方の経験値というか、大事にしている部分が文字に現れるのだなと感じました。本日、近藤区長は久しぶりに筆で文字を書いたということですが、むしろ強制されていない今一瞬で表現されたことが良いと思います。

区長 書をご職業にされたきっかけのようなものは、あったのでしょうか?

瑛伶さん そうですね。私としては、意外と自然な流れで夢中にやっていたら道が広がっていったような感じです。別の夢を追いかけていた時は色々な事が起きて前に進まなかったのでが、書をやると繋がりですとか、人との出会いとか自然に広がっていきました。普段は、パソコンを使ったグラフィックデザインの仕事もしているので日々フォント(字体)と向き合っていますが、デジタルの部分を知っているからこそアナログの良さもわかるし、両方とも融合させていくようなことが出来たら良いなと思っていますし、まだ勉強中ですが次は映像作品にも挑戦しています。「温故知新」というか、アナログの良さと最新の技術を使って、何か新しいモノにアップデートできたら良いかと思っています。

区長 今後の目標や区民の皆様へメッセージをお願いします。

瑛伶さん 私にとって書はシンプルを突き詰めていくような芸術で、花鳥風月を楽しむような感覚です。書は敷居が高いと感じ方もいると思いますが、書の歩んできた深みのある歴史や背景を伝えていきたいと思いますし、海外の方へも伝えたいと思っています。墨の香りと紙の余白を楽しみ自分と向き合う、その様に書を皆さんに楽しんでほしいと思います。

008  009  010

2023年も区民の皆様にとって幸多き一年になりますように。

この記事についてのお問い合わせ

中央区役所/区民生活部/コミュニティ課 
電話番号:048-840-6020 ファックス:048-840-6161

お問い合わせフォーム

ページの先頭に戻る

イベント情報

イベント情報一覧を見る


表示モード : パソコン版スマートフォンサイト

ページの先頭に戻る