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更新日付:2023年9月25日 / ページ番号:C099393

【報告】令和5年度多様な性を知る講座

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講師

令和5年

8月9日(水)~18日(金)

トランスジェンダー生徒交流会からの発信1


土肥 いつき さん

(京都府立高校教員)

令和5年
8月24日(木)~9月2日(土)

トランスジェンダー生徒交流会からの発信 2

講義内容 

第1回 トランスジェンダー生徒交流会からの発信 1
・講師は京都府立高校教員でトランスジェンダー生徒交流会世話人。
・セクシャリティとは何か。生殖という狭い範囲ではなく、私たちが生きるということと一体になったものとして性をとらえてみようという考え方。性と切り離して人生や生活を考えることはできない。性とは一部特殊な人のものではなく誰もが当事者である。
・性とは多重構造である。身体・自認・社会・性的指向という4つの要素で性を男女に分け、それぞれどちらに当てはまるかを考えてみると様々なバリエーションがある。他人のセクシャリティは見た目ではわからないため、勝手に決めつけてはいけない。セクシャリティは複雑で多様で自由なものである。
・非典型的セクシャリティを持つ人の総称は変わってきている。本人たちが新しい箱や言葉を作っていき、どんどん複雑になり多様になり自由になっている。
・トランスジェンダーには医療的な側面、社会的な側面がある。社会的な側面のひとつの解決策として「性同一障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律」があるが、内容もそうだが、法律の適用を受けることでよしとする社会を作ってしまう。そもそも誰が性別を決めるのか、医療なのか法律なのか、自分の性別は自分で決めるのが当然のことである。
・現在、国際的にはトランスジェンダーという言い方が標準だが、日本では性同一性障害という言葉が生きている。トランスジェンダーは疾病名ではなく、包括的な概念である。
・トランスジェンダー生徒の壁は制服・トイレ・更衣室等様々。文科省は2016年にトランスジェンダー生徒に対する教職員用資料を発行している。対処法はマニュアル化され対処はできるが、本当にその子が幸せになれるのかは疑問。名前を付けたりマニュアル化したりするのは危険ではないのか。学校生活への違和は学校そのものを問うことである。
・学校の役割は性別分化。幼児教育から高校までかけて性別分化をしている。トランスジェンダー生徒にとっての制服の意味は、望まない性別の服というアイコンによって、望まない性別にカテゴライズされること。望むカテゴリー集団への帰属を阻害することとなる。男女という2つのカテゴリーで性別分化するのは異性愛規範のためであり、ステレオタイプとして自然に受け入れやすくなっているから。子どもたちはジェンダー葛藤を抱えさせられている存在。
・社会の問題は社会的に解決策を見つける必要がある。そこで求められるのは普遍性。普遍性とは個別の課題の解決のために枠組み全体を変えることだが、難しい。
・2012年の国連で事務総長が残したメッセージがある。その後の社会の動きからわかることは、私たちが世界を変えられるということ。私たちの日々の行動が世界を変える。
・性に間(あいだ)があれば、そこに居心地の良い場所を探せる。多様な人間が共に生きるのは難しいが、そういう社会を作っていかなければならない。
・最後はトランスジェンダー生徒交流会のからのメッセージで締めくくられた。

第2回 トランスジェンダー生徒交流会からの発信 2
「性の多様性教育」をすすめるために

・前回講座を受けての質問・感想の紹介、回答。
・「多様性」についてのワークショップの紹介。例えば右利きか左利きか、眼鏡か裸眼か等のカードを用意し、それぞれどちらか選んでいく。カードが10枚あれば教室全員が一致することはまずないため、結果がバラバラだということが顕在化する。ここで左利きの人の不便さを考えてみると、右利きの生徒は不便さに気づき、左利きの生徒は不便であることを再確認する。その結果、多様の間には権利の不平等があることを確認でき、私たちはすでに多様な社会に生きていることを生徒たちは感じることができる。では多様性を阻んでいるものは何か、伝えるうえで大事なことは何かを考えてみる。
・「性の多様性教育」については様々な調査がある。日本と海外の教育実践方法・形式を比較すると似ているところもあるが、海外はより実践的であり、当事者への支援や学校の外へ出ていく特徴がある。最大の違いは、セクシャル・マイノリティそのものの理解VS.環境への働きかけではないか。なぜこうなるのかは、隠れたカリキュラムのレベルによるものと、性別二元論的LGBTフォビア・性別特性観の高さによるものという考え方がある。
・上記を踏まえて3つの提言をしたい。

〇提言1:カリキュラム面
できるだけ早期からとりあげる。発達段階に応じて伝える内容を変えるのではなく、発達段階に応じて伝え方を変える。繰り返し伝える。

〇提言2:多文化教育との接合
多文化教育とは他文化教育・異文化教育ではない。「性の多様性」教育から、性を通した「多様性教育」へ組み換えていかなくてはいけない。特別な科目・時間にのみ「性の多様性教育を実施する」のではなく、学校全体を性が多様であることを前提としたものに組み替えていく必要性がある。性の多様性を前提とした学校づくりは何のためになされるのかというと、LGBTと非LGBTの生徒の間にある格差是正のため。
人権教育には4側面(人権としての教育、人権についての教育、人権のための教育、人権を通じての教育)があるが、これを性の多様性教育に置き換えて考える。多様性についての教育に特化するのではなく、教育全体を性の多様性ということ通して作り変える。

〇提言3:真のダイバーシティをめざして(グッドマンの著書から)
変わるべきは誰か?最初に変わるべきは教員だが、どうやったら変わるのかを本からひも解く。唯一の正しい道というのは存在しないが、全体的に言えることとして、社会的公正とダイバーシティを支持することは、本人にとっても他者にとっても利益になり、社会全体の幸福につながることを繰り返し強調し続けることも大切と結論づけられる。

・新しい課題が出た時には、私たちがすでにやってきたことから学ぶことができる。これまでやってきた取り組みを応用できるはず。ゼロから作るのではなく今までの資産を使わないともったいない。世界の性の多様性教育から学ぶことはできるが、私たちの過去の蓄積からも学ぶことができる。両者から学ぶことがとても大事なのでは、と締めくくられた。

受講者の声

・昨年度までトランスジェンダー児童を担任し、学校全体でも様々なことを話し合い対応してきた。授業でも取り上げて行きたかったが大規模校であり、足並みを揃えるのは難しかった。カリキュラム面では学校全体での理解があってこそだがなかなか…。特権階級の更正教育という表現もインパクトがありました。私も一教員として、そもそも自分はどうなんだと学び考え続け、実践していきたいと感じました。

・すでにあるもの+今の時代のものを合わせて、できることがあるの言葉には共感します。一人ひとりの生きやすさが社会の行きやすさにつながると思っています。現実は厳しいのですが・・・。またお話を聞く機会を持ちたいです。

・説明の中で「発達段階で性の多様性を伝える内容を変えるのではなく、伝え方を変える」に大いに納得した。子供でも大人でも老人でも伝えたい内容は同じはず。演者は高校教諭なので若い方に伝えていく機会が多いだろうが、可能であれば世代別に性の多様性を伝える機会を増やすことで、中々理解が追い付かない高齢世代にも伝わるのでは思った。性の多様性を学ぶと同時に、それは人権の問題でもあるということを合わせて自分も伝えて行けたらと思った。(一部抜粋)

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