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更新日付:2021年4月16日 / ページ番号:C077498

中央区(与野)の民話シリーズ(その6) 阿弥陀様とへび

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中央区(与野)の民話シリーズ(その6)

阿弥陀様とへび

これは円乗院に伝わる不思議な話の一つである。
むかし、隆虔(りゅうけん)という小僧がおった。
ある日、住職がのどが痛いといって苦しみはじめ、とうとう亡くなってしまった。
そこで、栃木県から新しい住職が来て、若い隆虔の面倒をみてくれることとなった。
しかし、しばらくしてこの新しい住職も隆虔も、急にのどが痛み始めた。
ある晩のこと、住職が隆虔を揺り起こした。
「隆虔、だいぶうなされていたようだが、何か怖い夢でも見ていたのか」
「はい、今まで大変怖い夢を見ておりました。お経の練習をしていると、突然大きなへびが天井からぶら下がってきました。怖くなって逃げ出そうとしたのですが、足がすくんで動くことができません。するとへびがスルスルと私の首に巻き付いてきました。あがけばあがくほどギュウギュウとのどを締め付けてきます。気味悪いことに、へびは細長い舌を出し顔をペロリペロリとなめ始めたのです。私はへびに飲まれてしまうかと思い、うめき声をあげたのでしょう」
隆虔は首筋をなでながら夢の一部始終を話した。
そして、隆虔は次の晩も次の晩も同じ夢を見てうなされた。
ある朝、隆虔がいつもの通り住職のそばでお経をあげているうち、居眠りをしてしまった。すると、白衣の老人が現れ、隆虔に話しかけてきた。
「おまえたちは仏弟子でありながら、仏を大切にしない罰があたっているのだ。もしのどの痛みを治したいなら、物置の奥にある長持を開けてみなさい。いつまでも放っておくと、お前たちの命も危ないぞ」と告げた。
「隆虔、隆虔」
住職に肩をたたかれ、隆虔は目が覚めた。
「あっ、すいません」と一言あやまってから、隆虔は夢の話を打ち明けた。
それを聞いた住職は、「私も昨晩同じ夢を見たばかりだ。二人そろって同じとは不思議なことよ。さっそく調べてみよう」といい、物置へ行った。
夢の中と同じ長持を探し出し、大急ぎで蓋を開けてみると、中にほこりにまみれた阿弥陀様があり、なんと首にはミイラになった白へびが幾重にも巻き付いていた。
                      阿弥陀様とへび
住職は「なむあみだぶつ、なむあみだぶつ」と唱え「阿弥陀様、どんなにか苦しかったことでしょう。今まで気づかず本当にすみません。お許しください」とあやまって、へびのミイラを引き離し、阿弥陀様のほこりをはらった。
それからというもの、二人ののどの痛みはすっかりとれ元気になったという。
その後、檀家のものがへびのミイラを保管する箱を寺へ寄付した。住職は弁財天ともに丁重にこれを木箱へ納めた。へびは弁財天の使いであるためであろう。そして供養のため読経したという。この木箱は現在も本堂の奥で丁重にまつられている。 

平成6年3月与野市教育委員会発行 与野市文化財図録「与野の不思議探検」より(イラストも)

「与野の不思議探検」には紹介した民話を含め41の「不思議」が掲載されています。与野図書館で借りることができます。

円乗院は こちら(新しいウィンドウで開きます)

中央区(与野)の民話シリーズ
その1 諏訪坂の怪は こちら
その2 二度栗山と弘法大師は こちら
その3 送り地蔵は こちら
その4 長伝寺の水飲み龍は こちら
その5 お化け地蔵は こちら
その7 大戸貝塚は こちら
その8 妙行寺と二つの巨木伝承は こちら
その9 長伝寺の厄除け開山は こちら

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