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更新日付:2021年4月16日 / ページ番号:C077492

中央区(与野)の民話シリーズ(その5) お化け地蔵

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中央区(与野)の民話シリーズ(その5)

お化け地蔵

今から百年以上前、与野の仲町に長さんといういう人が住んでいた。
ある日、上落合の葬式に行き、夜更けに赤山道を帰ってきた。
当時、赤山道の鴻沼あたりは人家もなく、道の両側は一面の田んぼで高沼排水路(鴻沼川)には榎橋という石橋がかかっていた。
長さんは提灯を頼りに榎橋を渡り、ふと前方をすかして見ると、つい五、六歩先を編み笠をかぶった男のような影が見える。
「仲間がいたなぁ」と心強く思ったのもつかの間、その影は東明院の前でスウーッと消えた。
長さんは急に寒気がして、一目散に駆け出し家へ帰った。
また、ある晩のこと。下町の久さんという人が大宮へ出かけた帰り道、やはり榎橋のところまで来ると編み笠をかぶった男のような影が寂しそうに立っている。
そばへ近づくと、その影は足音もせず動いていき東明院の前で消え去った。
                  お化け地蔵    
さて、それからというもの、与野の街では榎橋のお化けの話でもちきり。薄気味悪がって赤山道を通る人は途絶えてしまう。
そのうち、若い衆の中で威勢の良い虎さんが「お化けの正体を見届けてやろう」と言い出し、夜になるのを待ちかねて榎橋へ向かった。
時折、音もなく風が吹くだけでお化けらしきものはいっこうに現れない。
半ばあきらめて帰ろうとした時、編み笠をかぶった黒い影がスウーッと東明院の方へ動いて行く。
虎さんは恐る恐るその影をつけていくと、東明院の地蔵さまのところで見失ってしまった。
その翌日も同じようにつけていったが、東明院の地蔵さまのところで姿が見えなくなった。
「これはきっと東明院にかかわる深い訳があるな」と思った寅さんは、翌日、東明院の住職に一部始終を話し「お化けの出ない方法はないか」と相談した。
住職はしばらく考え込んでいたが「このお地蔵さんは、もと仲町の大通りにあったもので、往来する多くの人に厚く信仰されていた。いつのころか、人通りの少ない奥まったこの寺に移されたので、さぞや寂しがっておられるのじゃろう」といった。
この話を聞いた町の人々は、早速お地蔵さんを赤山道の現在の場所に移した。
それからは、夜な夜な人をおどろかせる黒い影はプッツリと出なくなったという。

平成6年3月与野市教育委員会発行 与野市文化財図録「与野の不思議探検」より(イラストも)

「与野の不思議探検」には紹介した民話を含め41の「不思議」が掲載されています。与野図書館で借りることができます。

赤山通りの石造地蔵菩薩立像は こちら

中央区(与野)の民話シリーズ
その1 諏訪坂の怪は こちら
その2 二度栗山と弘法大師は こちら
その3 送り地蔵は こちら
その4 長伝寺の水飲み龍は こちら
その6 阿弥陀様とへびは こちら
その7 大戸貝塚は こちら
その8 妙行寺と二つの巨木伝承は こちら
その9 長伝寺の厄除け開山は こちら

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