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新生児内科では健常新生児からハイリスク新生児まで周産期小児の医療を広く担当しています。当院は埼玉県周産期医療体制における地域周産期母子医療センターに認定されており、さいたま市内だけでなく隣接する市外の施設からの搬送も受け入れています。また日本周産期・新生児医学会の専門医制度基幹施設にも認定されており、将来の周産期医療を担う人材の育成にも力をいれています。(周産期母子センター長兼診療部長 飛彈麻里子)
周産期母子医療センターはお母さんと赤ちゃんの安全・安心を一番大切にしています。国内で生まれるお子さんの9割以上は元気に産まれてくると言われています。しかし一部のお子さんは何らかのサポートを必要とします。我々はそのようなお子さんたちも含め、皆さんが無事に退院できることを目標に365日24時間体制でサポートを提供いたします。
私たち新生児内科は若手教育にも力を入れています。当施設には経験すべき症例が豊富にあり、指導医が丁寧に指導し実力がつくよう全力でサポートします。常に初期研修医、小児科後期研修医のローテーターがおり、指導医とチームを組んで3チームで日々の診療に当たります。また週1回の全チーム合同カンファレンスではさらなる学びの場があります。明るく前向きで、熱意のあるスタッフが多数揃っています。当院での研修にご興味がありましたら是非ご連絡ください。
さいたま市立病院は「周産期小児医療を積極的に推進する」という基本理念を掲げています。この理念の基、病院の5階フロアは産科病床(40床)、新生児病床(NICU15床、GCU18床)、小児病床(40床、うち感染病床2床)、周産期外来(産科と新生児内科の外来)の4部門で成り立つフロア型「成育母子医療センター」になっています。小児病院の規模には至りませんが、母親の妊娠期、児の胎児期から新生児、乳児、幼児、学童、思春期、成人期と切れ目のない医療を提供するミニ小児医療センターを目指しています。
・入院診療
病床数はNICU15床、GCU18床、小児病棟内新生児床8床です。NICUでは主に在胎22週以降の早産児、300g以上の低出生体重児を中心に診療しています。極低出生体重児、超低出生体重児、気管挿管症例数、新生児外科疾患の診療において県内3番目の実績を有しています。当院以外で出生した新生児の受け入れも年間約100例あります。
当院には小児外科スタッフが3名おり、小児外科症例にも対応可能です。複雑心奇形など当院で対応できない症例は、県内の三次医療施設に搬送しています。
また公立病院としてさいたま市内の社会的ハイリスク母児を、地域の保健所・保健センターや児童相談所と連携しながら多数診療しています。
年度 |
2019 |
2020 |
2021 |
2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|---|---|
総入院数 |
622 |
639 |
676 | 647 | 599 | 612 |
超低出生体重児 |
17 |
12 |
9 | 16 | 10 | 14 |
極低出生体重児 |
16 |
21 |
21 | 17 | 24 | 20 |
多胎児 (組) |
47 |
30 |
41 | 42 | 37 | 51 |
人工呼吸管理 |
116 |
92 |
102 | 78 | 98 | 108 |
一酸化窒素吸入療法 |
4 |
5 |
10 | 5 | 2 | 3 |
染色体異常/先天異常症候群 |
22 |
14 |
13 | 9 | 10 | 10 |
外科開胸・開腹手術 |
18 |
22 |
10 | 11 | 13 | 9 |
未熟児網膜症 光凝固術 |
2 |
6 |
4 | 0 | 3 | 1 |
院外出生数 |
102 |
80 |
80 | 101 | 87 | 73 |
分娩立会い数 |
387 |
336 |
409 |
366 | 345 | 391 |
・外来診療
新生児内科外来は5階フロアの周産期外来スペースにあり、新生児内科独自で診察室 3と処置・計測室 1の計4部屋を有しています。当院で出生した児の健診・予防接種、NICUに入院していた早産児のフォローアップ、シナジス外来などを中心に行っています。その他、お母さんへの風疹ワクチンやインフルエンザワクチン接種、女子中高生へのHPVワクチン(シルガード®9)も行います。
診療実績
外来受診者数(年度別)
年度 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|---|---|
受診者総数 | 5,617 | 6,126 | 6,654 | 6,586 | 6773 | 7051 |
シナジスベイフォータス投与患児内訳
2020-21 | 2021-22 | 2022-23 | 2023-24 | 2024-25 | |
---|---|---|---|---|---|
投与患児総数 | 258 | 225 | 217 | 241 | 234 |
早産(在胎28週以下) | 29 | 21 | 30 | 26 | 27 |
早産(在胎29-35週) | 201 | 162 | 132 | 165 | 160 |
慢性肺疾患 | 2 | 9 | 7 | 4 | 0 |
先天性心疾患 | 13 | 16 | 26 | 26 | 20 |
trisomy21 等 | 13 | 15 | 14 | 18 | 16 |
その他 | 0 | 2 | 8 | 2 | 11 |
私たちは医学部学生の実習、初期臨床研修医・小児科専攻医への教育、治験や臨床研究などの学術活動にも積極的に取り組んでいます。
・医学部学生実習受け入れ 慶應義塾大学、埼玉医科大学、杏林大学、東方大学、帝京大学
・グローバル治験、国内治験
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論文執筆は日本小児科学会専門医取得条件の一つです。当院では小児科と新生児内科で分担して論文執筆指導に当たっています。下記論文は新生児内科に所属する指導医が指導した小児科専攻医の論文です(*は論文指導医)。
平沼 智紀(専攻医2年目), 関 芳子* , 池田 一成. さいたま市立病院における妊婦の風疹抗体保有率:全国統計との比較. 埼玉県医学会雑誌58巻2号419-423(2024)
Narukama R(専攻医2年目), Takahashi K, Arimitsu T, Hara-Isono K, Shimizu H, Ikeda K*. Incidence and clinical risk factors of Bednar’s aphthae in Japanese newborns. Pediatr Int 2023;65(1):e15631.
三浦 彩乃(専攻医3年目), 関 芳子*, 池田 一成. さいたま市立病院における2021年RSウイルス感染入院児の臨床的検討 -2019年との比較-. 日本小児呼吸器学会雑 34巻1号 1-7(2023)
菅野奈緒(専攻医1年目),大森さゆ*, 渡邊浩美, 池田一成. 中隔子宮による外因性の一過性胸郭変形の一例. 小児科診療 86巻2号 229-232(2023)
高谷 麻友(専攻医1年目),広村 竣, 大森 さゆ, 柴田 和恵, 渡邉 浩美, 池田 一成*.母体への硫酸マグネシウム長期使用による新生児骨化障害の1例. 埼玉県医学会雑誌 56巻2号445-449(2022)
Takahashi K(専攻医3年目), Sato Y, Ikeda K*. Group B streptococcus neonatal umbilical colonization managed by dry cord care in nurseries: A retrospective cohort study. Pediatr Neonatol. 2021;62(5):506-511.
横張 博也(専攻医1年目), 三輪 雅之*, 池田 一成. 超低出生体重児の先天梅毒の1例. 埼玉県医学会雑誌55巻2号471-477(2021)
三浦 彩乃(専攻医1年目), 佐藤 清二, 池田 一成*, 関 芳子.さいたま市のRSウイルス定点報告値と院内RSウイルス抗原週間陽性症例数の比較.埼玉県医学会雑誌54巻2号474-478(2020)
<当院での単施設研究>
Noguchi R. Isshiki K, Ohno M, Ikeda K*. Pressure-related complication? :Bacillus Calmette-Guérin (BCG)-induced skin granuloma in a Japanese infant. Pediatr Neonatol.(in press)
Kasai T, Tominaga T, Ikeda K*. Late onset group B streptococcal disease in a single center, Saitama, Japan, 2011-2023. Pediatr Int. 2024;66(1):e15745.
<case report>
Horibe Y, Isshiki K, Tamura S, Watanabe T, Miyamoto Y, Ikeda K. Dehydrated Hereditary Stomatocytosis in a Very Preterm Twin. Pediatric Blood & Cancer (in press)
Seki Y, Watanabe H, Takei S, Ikeda K. Ocular tilt reaction to high pitched sound in a 7 months old infant after preterm birth: infantile Tullio phenomenon. Pediatr Neonatol. 2025;66(2):184-185.
Omori-Shimano S, Ikeda K, Miyauchi J, Fukami M. Genitourinary and craniofacial/cervicothoracic anomalies in a neonate with in-utero mycophenolate mofetil exposure. Congenit Anom. 2024;64(6):257-259
<慶應義塾大学病院・その他との共同研究>
Tominaga T, Seki Y, Omori-shimano S, Ikeda K, Shiko Y, Hamada H, Awazu M. Chorioamnionitis and earlier gestational age are associated with neonatal hypercalcemia after maternal magnesium sulfate therapy: A case-control study. Pediatr Neonatol. 2024 Nov 29:S1875-9572(24)00202-X. doi: 10.1016/j.pedneo.2024.06.013.
Takahashi K, Ikeda K, Hara-Isono K, Nitta A, Nagano N, Arimitsu T. Discordant responses of bone formation and absorption markers in Japanese infants with vitamin D deficiency: A comprehensive matched case-control study. JBMR Plus. 2024;8(5):ziae033.
氏名 | 役職 | 資格等 |
---|---|---|
池田 一成 (いけだ かずしげ) |
副院長 | 日本小児科学会認定小児科専門医 日本小児科学会認定小児科指導医 慶應義塾大学病院医学部客員准教授・同非常勤講師 産科医療補償制度審査委員会委員 |
飛彈麻里子 (ひだ まりこ) |
周産期母子医療センター所長兼小児科(新生児)部長 | 日本小児科学会認定小児科専門医 日本小児科学会認定小児科指導医 日本周産期・新生児医学会専門医 日本周産期・新生児医学会指導医 日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医 |
三輪 雅之 (みわ まさゆき) |
科長(病棟担当) | 日本小児科学会認定小児科専門医 日本小児科学会認定小児科指導医 日本周産期・新生児医学会指導医 |
山口 哲司 (やまぐち てつじ) |
医長 | 日本小児科学会認定小児科専門医 日本周産期・新生児医学会認定新生児専門医 |
太田 裕子 (おおた ひろこ) |
医長 | 日本小児科学会認定小児科専門医 日本周産期・新生児医学会認定新生児専門医 新生児蘇生法専門コースインストラクター |
関 芳子 (せき よしこ) |
医長 | 日本小児科学会認定小児科専門医 日本小児科学会認定小児科指導医 日本周産期・新生児医学会認定新生児専門医 |
宮本 吉輝 (みやもと よしてる) |
医長 | 日本小児科学会認定小児科専門医 日本周産期・新生児医学会認定新生児専門医 |
山本 有里奈 (やまもと ゆりな) |
医長 | 日本小児科学会認定小児科専門医 |
新貝 えりか (しんかい えりか) |
医師 | 日本小児科学会認定小児科専門医 新生児蘇生法専門コースインストラクター |